小学六年生の星野ソラです。今日は修学旅行でこれからバスに乗って日光に行きます。
既に学校に集まっているが、時間になってないから自由にしている。ただ自由にしてはいるが俺たちはちょっと自由が過ぎだ。
「ほらソラももっとポーズを取らなと。折角かなちゃんが写真を撮ってるんだよ」
「そう言われましても、周りからの視線が痛いのですよ。何故ここで撮影会が始まっているのでしょうか?」
「そりゃソラと私がお揃いの格好をしているからだよ。かなちゃんもあぁなるのも納得するね」
そうなんだよ。実は二年前に買った服を着ている。つまり女装した状態で学校に来ている。勿論髪を伸ばし胸パットをつければ背の高いアイになっている。それでもアイが2人いる状態で学校に来ているから、最初先生たちはビックリしていた。何なら写真を撮ってもいいかと言われた。先生と言う立場でそれをやるのどうなんだ? って事でお断りをしたら、この世の終わりの顔をして諦めていた。代りにネットの掲示板には書き込んで良いと言ったら、少しは持ち直した。
「くっ道具が足りないから綺麗に撮れない。こんな事になるならちゃんとした道具を持ってくるべきだったわ」
「いや荷物を持てませんし、先生側からストップされて没収されますよ」
「される前に撮ればいいのよ。にしてもホントに似てるわねぇ。髪がウィックじゃなくって地毛なのに疑問が残るけど気にしないとして、これだけ撮ってるけどタダ良い訳? 今ならいくらでも出すわよ」
「写真程度でお金は取りませんよ。後日写真をくれるのならそれでいいですよ」
「いくらでもあげるから撮らせて。ってか喋り方も変わるのね」
「女装をしている状態でいつも通り喋ると違和感が出るので、ここは敬語っぽいものを使って雰囲気を変えてます。どうです?」
「180度ガラッと変わってる。これじゃあアイのお姉さんよ」
「ソラが私のお姉ちゃんか~。つまり今まで以上に接していいってこと!?」
「アイ。旅館に着いたらちょっとお話ししましょうか」
「? いいよ」
「アイ。もう少し理解した方がいいわよ。ソラのアレ、絶対に怒ってるから」
かなの言い分は合っているが、カメラで俺たちを撮りながら言うのはどうかと思うぞ。所でそのカメラの容量は大丈夫なのか? 俺たちばっか撮ってるとそのうちメモリが満杯になって、他の写真が撮れなくなるぞ。かなの事だから別のメモリーカードも持っているだろう。ってかいいのか。普通はインスタントカメラとか使い捨てを持ってくるのに、かなが持ってきてるのは一眼レフカメラだぞ。これは先生たちも何か言うだろ。
俺は一度先生たちの方を見て、かなが持っているカメラに指を指す。先生たちは何も見ていないっと言いたげな顔で俺を見る。俺は黙認すると捉えてこれ以上何もしないで、撮影会を続ける。
「はーい。そろそろ時間になりましたので、一度各クラスの列を作ってください」
時間になった事で集合する事になった。急いで片づけをして列に入って、校長の話や諸注意の話を受ける。終わればクラス順に移動しバスに乗って行く。俺たちがいるクラスの番になれば移動して、指定されている席に座って隣にアイが座る。
ここでバスの座席は同性同士になるが、男女の人数がどっちかに偏っていれば一緒になる事がある。でも今いるクラスは男女の数は同数だから同性同士になる。なら何故俺とアイだけ一緒なのか。答えは簡単、先生が決めたから。まさか誰と隣になるかを考える所で、俺とアイだけは真っ先に決まった。これにはクラスから反発あるだろうと思っていたら、寧ろ満場一致で賛成された。今思うと別々にするとアイが何をしでかすか分からないから、一緒にしたと思っている。んでアイが何をしたら取り合えずに俺に丸投げ出来るから、一緒にしたんじゃないかと思う。
因みにアイの隣は通路を挟んでかなが座っていて、いつの間にか取り出しているカメラを持ってこっちにカメラを向けている。
「いや待ってくださいかな。何故ここでカメラを持ってこっちに向けているのです?」
「何故ってシャッターチャンスを逃さない為よ。知ってるソラ。学校内でカメラを持ち込める日は片手で数えるほど少ないの。2人を目と脳内保存じゃどーしても足りないから、今日みたいに日を最大限使って残そうとするの。しかも今回は二泊三日、二泊三日も2人を写真収めることが出来る! ならば私はファンの1人として、2人の姿を余すことなく写真に収めないといけないの。これが私の生き甲斐の一つなのよ!」
ここまで来てしまったか。俺たち存在そのものを生き甲斐の一つになってる。やっぱりファンって怖いな…。
「――――――アイ。どうやら私たちはこの三日間、どんな場所であろうと写真撮影会のようです。しかもアイはかなと同室なので部屋にいても撮影会です」
「寧ろドンとこい。でも服装が同じだと飽きちゃうから、違う服を出して」
「構いませんが、出せない服があります」
俺は最後まで言わずに少しアイの耳元まで近づく。
「さすがにアイドル衣装は出せませんよ。特に最初期の衣装はアイさんも着ている衣装なので、アイが着ると周りの勘違いが加速して、現地の人たちの迷惑に繋がる可能性があります。違う服は出しますが自重はしてください」
アイは何も言わずに縦に頷く。それを確認した俺はアイから離れると同時にかなを見る。かなは何故か顔を赤くしながらこっちを見ていた。ただカメラは落とさずに持ったままなので、落とさなくて良かったと安心した。
「ねぇソラ。不意打ちで耳元で声を聞いちゃったからさぁ――――――色々とヤバい」
こっちに顔を向けて来たアイの表情は既に蕩けている表情だった。今のやり取りが自宅やアイが暮らしている家だったら、確実に襲われていただろう。
「私が言うのもアレですが、アイも既に手遅れですね」
☆
何か修学旅行から撮影旅行に変わってしまった、星野アイです。違った星野ソラです。
もう今日で修学旅行最終日の朝。昨日まで大変だった。例えばバスから降りて集団行動で隙を見て写真撮影会をした。宿泊施設に着いたらホールで諸注意を聞き、宿泊施設のスタッフから話を聞いた。ただスタッフから『撮影禁止以外の撮影は好きにしていいですよ』と言っていた。多分アイが泊まる事になったから、自由に撮影させる為に言ったんだろう。実際スタッフたちの様子は落ち着いていなかったし、あわよくば一緒に撮りたいと思ったんだろう。
諸注意や話が終わった後は荷物を部屋に持って行き自由時間。勿論自由時間は撮影会になりあっちこっちで写真を撮った。後は入浴時間でかながアイの裸を見たせいか鼻血を出したと、アイが言っていた。これでも何度も市民プールに行っていたが、さすがに裸は刺激が強かったか。
これが初日で二日目も同じだ。もう気付いているだろうが、ほとんどの場所で撮影会になっている。これが最低でも後二回も残っていると思うと、他の人たちに迷惑をかけるんじゃないかって思う。
さて今は何をしているかと言うと、先生に連れられてアイとかながいる部屋まで案内されている。なにやらアイとかながやらかしたらしい。そのやらかしを俺に何とかしてほしいとのこと。先生と言うより大人としてどうなんだと思ったよ。良くは無いが2人が何かやらかしているなら、俺の方で何とかしないといけない。
先生に連れられてアイとかながいる部屋に着く。出入口の所で靴を脱いで中に入ると、アイとかなが正座をして俯いていた。まず目についたのはアイが着ている寝間着には血が付いて、布団と毛布にも血が付いていた。直ぐにアイの所に行こうとしたが、初日にかなが鼻血を出していた事を思い出し、先ずはかなに話しかける。
「かな。もしかして鼻血でも出したのか?」
「はいそうです。朝起きたら隣にいたアイが抱き着いていたので、寝顔が可愛かったのと至近距離だったので鼻血を出しました」
「寝ぼけてつい隣にはソラがいると思ってかなちゃんに抱き着きました。起きた時には寝間着は血塗れでした」
「アイの顔によく鼻血をぶちまけなかったなっと褒めていいのか…怪我が無いなら良いけど、この血塗れはどうしたものか」
アイの寝間着は後で回収してから魔法で血を取れば良いけど、布団と毛布は人目があるからおいそれと魔法を使う事は出来ない。周りを見るとスタッフもいるな。
「まぁ故意でやった訳では無く事故のようですし、我々の方は気にしませんよ。それに血は洗えば落ちますよ」
「本当に申し訳ございませんでした。2人にきつく言っておきます」
おっとこれだと俺が来た意味が無いだろ。周りに人がいても手はあるんだ。いつも通り手品と言うなの魔法を使って血を消しますか。
俺はズボンのポケットに手を入れて、どう考えてもポケットの中に納まらないだろうサイズの布を空間から出す。アイとかなを布団からどいてもらって、布団と毛布に血が付いたところに布をかぶせる。
「ではこれから手品を始めます」
「わー!」
「え、は? ソラ君何をする気?」
アイは拍手をして先生たちは困惑。かなは興味津々で無言で見てくる。
「これから布団と毛布にかかっている血を3秒で消します」
「いやいやいや何言ってるの。ほらふざけてないですぐにスタッフさんに―――」
「はい3」
俺は魔法で血を消しての残り時間を言って0になったら、右手で布を握って勢いよくどける。布が無くなったら布団と毛布が出てくるが、布団と毛布に付いていたかなの鼻血は見事に綺麗に無くなっている。
『はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
俺とアイ以外部屋にいる全員が叫ぶ。かなはすぐに布団と毛布の所まで来て、鼻血が着いていた所を触ったり匂いを嗅いでいた。
「全く血の匂いがしない。ホントどうなってるのよ。いや有難いんだよ。実際私たちじゃ出来ない事だから、ソラが代わりに何とかしてもらったし、本当にありがとうございます」
「ありがとー」
「おう。元々何とかするために呼ばれたわけだから。んじゃ後はお願いしますかね。アイは後で寝間着貸して」
「じゃあ今から脱ぐね」
「俺が出てから脱げバカ。ここ家じゃ無いんだよ」
布をポケットと言う名の空間の中にしまって靴を履き部屋から出る。
一度部屋に戻って支度をして食堂でアイと再会して、寝間着を借りてすぐに綺麗にする。返す際に何故か不満顔で俺を見ていたが無視をして席について座る。
☆☆
時間が過ぎて最後の自由時間。俺とアイとかなはお土産を買うために店を回っている。
ただちょっと大変な事になっている。今は店の中にいるのだが、何故かここ斉藤さんがいるんだ。
「坊主ちょっといいか? 修学旅行生だろ。アイを見てねぇか?」
おいこのおっさん、仕事はどうした仕事は。今日はここで仕事してるのか? だとしたらとんでもない偶然だなっ!!
「――――――アイですか。今は違う所に行ってますよ」
「その声っ!? お前あの時坊主か! いやじゃあ何で姿が…」
あぁそうだった。あのペンダントは姿を変える事は出来るけど、声までは変えられないんだよなぁ~。まぁどうでもいいか。
「私の事はどうでもいいじゃないすか。日光にまで来てお仕事ですか。精がでますね」
「んなことどうでいい。お前がアイの幼馴染なら色々知ってるだろ」
「これは怖い。まるで人を殺しそうな目で私を見ないでいただきたい。それに貴方もここで捕まりたくは無いでしょ」
俺がそう言うと斉藤さんは周りを見渡して、すぐに考えを改めたのか咳払いをして俺を再度見る。
「なぁ坊主。せめてお前の名前だけでも教えてくれねぇか? ずっと坊主と言われるのは嫌だろ」
「私は構いませんよ。実際に坊主ですし訂正する余地もありませんので。それにアイだけじゃなく私の事も調べているのでしょ?」
「あぁ。だか一向に情報が出来ねぇのは何故だ?」
斉藤さんが真面目な顔で言っているが、聞いた俺は耳を疑う内容だった。
「――――――はい? いや私は知りませんよ。子供の私がそんな事を出来るわけ無いでしょ」
「はぁ?」
マジで知らんぞ。え、何で情報が出て無いんだ? いくら俺でも魔法でそこまで妨害した覚えは無し、例え小学三年生まで自由に外出できなかったとは言え、学校には素で行ってるからバレバレだとも思うんだが。まさか学校側が情報統制をして外部に漏らさないようにしたのか? あるいは前々から俺とアイを見る変わったカラスの親玉でも何かやったのか?
「坊主も知らねぇのかよ。いやそうだよな。なら改めて――――――」
「お客様。少々お話よろしいでしょうか?」
斉藤さんの後ろから店員が来て話しかける。その表情は不審者を見る表情だった。店員の隣にはかながいて、同時に店員を呼んだ事を理解した。すぐにかなの所に行ってお礼を言ってから店を出る。店の外にはアイがいた。話を聞いたら、空気を読んでいたらしく斉藤さんから逃げるように店を出て待っていたみたいだ。
その後は残り時間を使って別のお土産を見たり買ったりして、集合場所に行く。
雑・説明
星野ソラ
修学旅行は楽しかったが、ほとんどが撮影会だった。斉藤さんがいたのは予想外だった。
帰りのバスで疲れたアイは寝ていた。その時にすぐにかなからカメラを借りて、寝ているアイを撮った。本当ならソラが持っているカメラで撮ればいいのだが、かなが持っていたので借りた。
女装については2年前に買った服を着て胸パットを付けている。胸パットは過去にとある女性が作り出したものだが、特に深い話で話しでは無いので省略。
なおアイ曰く「触り心地は本物だけど所詮は偽物だから、ソラが感じたりしないから余り興奮しない」とのこと。
前世でも変わったカラスを目撃した。害が無かったから放置していたが、今世はどうなるか分からない。
星野アイ
前世では体験したことが無い楽しさを体験した。あらゆる場所で撮影会をやったせいか、妙にテンションが高い。アイドル衣装も着たかったが、ソラに耳元でささやかれて止められた。
因みにもしソラだけ個室の風呂だったら堂々と入りに行っていたのだが、そんなもんは無かったので諦めた。
修学旅行が終わった後、かなから貰った写真をニヤニヤしながら見ていたら、自分の寝顔が出てきた。当然ソラのを探したが1枚も無かった事からソラに文句を言ったが「寝顔を撮れなかった2人が悪い」と言われて、今度は絶対に撮ってやると強く決意をした。
有馬かな
マジで修学旅行何しに来たの? ってレベルで撮影旅行に変えた人物。ちゃんとやる事はやっているので怒られる事は無かった。
初日のバス内で顔を赤くしてたところがあったが、アレはソラの顔が良すぎでしかもアイに急接近したので、見ていたかなはつい妄想して「これは駄目だわ」っとなった。どうでもいいが、かなの隣の人も同じく顔を赤くしていた。
後日撮った写真を現像して2人渡したが、何故か先生たちも欲しがっていた。勿論かなは渡さなかった。いくら先生とは言え赤の他人であることは変わりなく、おいそれと渡す事は無しない。
バスガイドと運転手
アイちゃんが2人いるのは聞いて無いのだが。
旅館のスタッフ
アイちゃんがいる! アレ何かあっちもアイちゃんがいる。どゆこと? ま、アイちゃんが可愛いから良いかっ!
アイとかなが部屋でちょっとした騒ぎを起こしたときに、スタッフはいた。当然故意でやった訳じゃ無いから許す気でいたが、ソラが手品と言う名の魔法で布団と毛布を綺麗にしてしまった。この時「他の物も綺麗に出来るのでは?」っと考え声をかけようとしたが、既にいなくなっていた。
2日目の時の観光客
あれはアイちゃんとアイちゃんとかなちゃん!? 何でアイちゃんが2人いるの!?
これには観光客もびっくり。びっくりしながらもかなのカメラを借りて3人を撮っていた。
男子生徒と女子生徒
男子生徒は色々ヤバかった。何せ二日目まではソラは髪を伸ばし胸パット付けて女装していた。仕草と喋り方も女性に近づけていたせいで、思春期に突入している男子はとにかく辛かった。自由時間は同じ部屋の人たちは、部屋にいないことが多かったのだが、風呂の時間は胸パットは付けていないものの、髪は伸ばしたままなのでアイがいると勘違いを起こしていた。一部の男子生徒は「何故女子風呂にいかないんだ?」と言い出す。寝る時間は同じ部屋の人達にとってドキドキの夜だったそうだ。
逆に女子生徒はアイとかなはほぼ部屋にいないだけで特に変わった事は無かった。代りに風呂ではアイの裸を見たかなが鼻血を出していた。どうでもいいがこの時に他の女子生徒も同じように鼻血を出していた人がいたらしい。
教師達
ア、アイちゃんが卒業しちゃった…。
修学旅行が終わりついに卒業式が来た。その際に多くの教師達が泣いた。理由は単純にアイが卒業しちゃったから。もう教師達は泣くわ泣くわ色々面倒だった。この時最後にアイと写真を撮ろうとしたが、結局撮ることは出来なかった。実はアイ自体もちょっと嫌だと言っていたので、ソラとかなが全力で妨害していた。
斉藤壱護
仕事で日光に来ていた。勿論下心もあったが結局アイには会えなかった。代りに幼馴染であるソラに会った。最終的には店員とO・HA・NA・SHIをしたが無事誤解は解けたが、ソラはいなくなった。
???
ふっふふふ、まさか私が星野ソラの情報を隠蔽しているとは思うまい。それにしても別口でしかも別世界のアイが転生してくるとは思わなかったよ。おかげで調べるのに5年以上かかったけどね。
そんな事よりあの星野ソラは一体何者!? ちょーと見てたら一発でバレたんだけど!? ソラもアイと同じように転生してきたけど、別格に程があるんじゃないかな!? とにかくよう注意人物して超遠距離観察しておこう…。
なお超遠距離観察もバレてテンパった。