天才子役を…
小学二年生になった星野ソラです。今いる場所は小学校の教室にいます。
あの後お父さんたちに俺たちの事を話し、今度どうするかを決めた。ザックリ言うと、普通に生活をする事だ。
何言ってるんだって話だが、これが一番良いやり方なんだよ。そもそも子供の俺たちが証拠集めをしようものなら、お父さんたちから爆弾レベルの説教を貰う事になる。あたり前と言えばあたり前だ。前世では大人だとしても今は子供、そんな危険な事をさせる訳も無い。
じゃあ何で普通に生活をするのか。これは単純でアイは亡くなったアイドルに似ているからだ。他人から見れば似ているだけと思われるが、それを狙っている。似ているおかげで成果はちゃんと出ている。
今通っている小学校では全員とは言わないが先生たちは、動揺したり泣き崩れたり開き直って可愛がっている。亡くなって数年しか経ってないせいか、まだ引きずっている大人たちも多いだろう。そこに亡くなったアイドルに似た子が出て来てみろ。死を受け入れて乗り越えようとした、大人たちはもう心がボロボロになる。
赤の他人だと思っていても、あのアイドル性と人を魅了する顔や目を持っているんだ。嫌でも思い出してしまうだろう。
おかげでちょっと先生たちは情緒不安定になっているが、こればっかりはもう慣れてくれと言うしかない。流石に通う学校に魔法で違う人物になるのは、個人情報関係の法に触れる事になる。バレればアイが捕まらずに親が捕まる事になる。法に詳しい訳じゃ無いから、実際そうなるかどうかは知らないけど。やってはいけない事だけは解る。
後は証拠集めだがこれはお父さたちが主にやる事になっている。最初はあゆみさんたちが役者だから早い段階でモデルと子役をやろうと考えた。だけど親たちに待ったをかけられた。子役とモデルをやるとカミキが接触してくる可能性がある。何なら苺プロも来るかもしれない。子役とモデルは時期早々と見て見送り、証拠集めはお父さんたちに任せる事になった。親としては子供らしくしてほしいのだろう。
じゃあ俺たちは普通に生活していれば良いのかと言うとそうでもない。大体中学三年か高校一年生ぐらいから動き出す。やる予定は先ほど考えていたフリーのモデルと子役だ。流石にアイドルをやるのはちょっと抵抗があるし、確実に苺プロが動き出し引き抜きをやる。斉藤さんだから絶対にやるだろうと思っている。
とまぁこんな所だろうか。当然だが今は予定であり、これが変わる事だって十分あり得る。その時はその時になってから考えるとしよう。
「――――――ちょっとソラ、いい加減助けてほしいのだけど!! 私だけじゃアイの相手は出来ないわよ!!」
これからの事を考えていたら助けを求める声が聞こえ、俺はその声の方に向く。向いたらアイに抱き着かれていて、可愛がれている有馬かながいた。
「あぁちょっと無理ですねぇ。心苦しいですが、顔を赤くしているかなだけで対処してください」
「ふざっけんな! 何のために放課後残って練習をしているのよ!」
そう俺たちは明日やる学芸会の練習の為に残ってる。この学校では偶数の学年は演劇を、奇数の学年は合唱をやる事になっている。俺たちは二年生だから演劇をやる。明日は俺たち偶数の学年が先にやり、明後日奇数の学年がやる事になる。
「いい加減にしなさいよ。明日の演劇は真面目にやりたいんだがら、こんな事で時間を取られたくないわよ」
有馬かな。実は同い年で同じクラスだ。前世でもあった事があるしドラマで何度も共演した。まさか同い年になるとは思わなかったな。
「あーこんな事って言った! 酷いなぁ、こんなに可愛がっているのに…」
「アイ。可愛がり過ぎると逆に嫌われるぞ。いい加減離れて練習をするぞ」
「はーい」
「た、助かった…ありがとう」
アイはかなから離れて俺の所に来て、持っていたアイの台本を渡す。かなはアイから解放されてホッとして礼を言いながら、練習をする為に台本を取りに行く。
「ソラ。かなちゃんってさぁ、このままじゃ干されるよ」
「あぁやっぱり? 去年から少しづつ改善されてきてるけど、未だ改善されてない所が多いからな。あの性格だと仕事が減ってく一方だろうな。子役事務所だからいつか解雇されるだろうが、このままだと早い段階で解雇されそうだ」
「実力と才能が必要なのは分かるけど、相手は人間だから対人関係を疎かにするとすぐに干されちゃうからね。今は売れてるから黙認されてるって所かな。でも長くは続かない」
「どうしたものか。前世の事もあるから放っておけないし、かなは直そうとは思ってないだろうな」
「これはもうアレだね。脳を焼いちゃおっか」
「脳を焼くのか――――――え、脳を焼く?」
「練習始めるわよー」
アイに聞こうにもかながこっちに来て練習する事になった。俺も練習をする為に台本を持って、2人の所に行き練習を始める。
一体何をする気だ。かなの脳を焼くって言ったがまさか演技で焼く気か? 俺がアイにやったように、今度はアイがかなを焼くのか? 止めろ。本当に止めろ。
お父さんたちに前世の事を言ってから、家で何かと演技やモデルをやらされているんだぞ。やらなくても前世で培ってきた経験があるんだぞ。今のかなは小学二年生。そんなの耐えられる訳ないだろ。
「無理だよっ!! 外には怖いものが沢山あってわたしを傷付けるんだよ! そんな外なんて行きたく無いよ…」
考えながら練習をしていたら台本も最後のページになり、かなは泣きながらその場に座り込む。流石10秒で泣ける天才子役。どんなタイミングでも泣ける事には、称賛を送りたいと思っている。
俺はアイの方に振り向くとアイも俺を見ていたが、顔の表情はこれからイタズラをするっと言う表情だった。アイは前を向いてかなに近づく。
「大丈夫だよ。ミーちゃんが怖いなら私たちがミーちゃんを守るよ!」
かなは泣きながらアイを見る。ただかなは目を見開き何かに見惚れていた。俺は次の台詞を言うために2人に近づく。
やりやがった、マジでやりやがったコイツ。子供相手に焼き始めたぞ。これ俺もやんないと後で絶対に言われるじゃん。あぁクソッ! やってるよ!
俺はかなに近づき演技を入れて、かなをジッと見つめる。
「ミーちゃん。怖いのは解るよ。外にはぼくたちには想像の出来ない程の怖いものは沢山あるよ。そこでずっといても何も変わらないし、怖いものだってずっと怖いままだよ」
「そ、そんなこと言ったって、家にいれば怖いものなんて無いもん…」
「そうだね。でも家にいても何も変わらないし何も始まらない。だから」
かなの左手を握ってアイは右手を握る。アイと一緒にかなを引っ張って立ち上がらせる。
「――――――い、いや」
「大丈夫怖くないよ。わたしとトーくんでミーちゃんを守るし傍にいるよ!」
「ぼくたち3人なら怖いもの何て無い! 怖いものが来てもやっつけてやる!」
このタイミングで笑顔になり、俺たちに釘付けになるようにかなを見つめる。
「「さぁ一緒に…行こう!」」
★
昨日の練習が終わり、今日で本番を迎えた星野ソラです。
既に演劇は終わり放課後になっている。学校の校門で待っている親の所に行って、アイが来るのを待っている。
「いやまぁ、ソラとアイも凄いがあの有馬かなも凄いな」
「そうだね。天才子役は伊達じゃ無いって事ね。でも、ソラには負けるね」
急に親バカを発揮しているお母さんの事は無視して、お父さんに話しかける。
「お父さん。録画はちゃんと撮れてる? 今日来れなかったあゆみさんたちに見せないといけないんだが」
「バッチリ撮れてる。これで撮れて無かったら2人に殺される…」
「殺される事は無いと思うけど、死んだほうがマシだったくらいにはされるかな」
「お、恐ろしい事を言うな。所でアイはどうしたんだ。まだこっちに来てないが」
お父さんの言う通りまだこっちに来てない。俺は辺りを見渡すとアイを見つけた。見つけたのは良いが、何故かかながアイに引っ付いている。
「おまたせ~。かなちゃんが中々離れないから連れて来ちゃった」
「嘘だろ。昨日はあんなに嫌がっていたのに、今じゃこんなに、なついているだと」
するとかなは俺を見て手招きしてくる。手招きされた俺は2人に近づくとかなに腕を組まされる。
「何で腕を組んだんだ? アイはまだしも俺まで腕を組む必要は無いだろ」
「え、一緒にいたい人といて何が悪いの?」
「悪くは、無いけど。え、マジで」
「んーこれはやり過ぎちゃったかなぁ。ま、いいよね」
「よくない。いや本当によくないぞ。このままじゃ変な方向に行くぞ。ほら離れなさい」
「いや。まだ離れないわ」
「自分が天才子役って忘れてない? 下手するとマスゴミどもがでっちあげて潰しにかかるぞ」
「知らないわそんなの。仮にそうなったら役者なんて止めてやるわ」
「えー止めてほしくないな~。私はかなちゃんが出てるドラマを楽しみにしてるんだよ」
「限界が来るまで役者を続けるわ」
かなが言った言葉を聞いて前世のアクアとルビーを思い出しだ。2人も俺とアイやお母さんが何かしら言うと、すぐに意見を変えていた。人の事言えないがアクアとルビーほど酷くは無かった。
「――――――少しお時間よろしいでしょうか?」
全く知らない声が聞こえそっちに振り向くと、スーツを着た男性が立っていた。その男性は何処にでもいるサラリーマンだと思うが、この人はサラリーマンでは無く芸能界のスカウトマンだと見抜く。
お父さんとお母さんは俺たちの前に立ち、かなは離れてお父さんたちの後ろに付く。
「わたくしこう言うものでして」
「あぁ名刺は結構ですよ。時間が時間なので手短にお願いします」
「では単刀直入に。お2人を是非子役としてスカウトしたと思い、お声をかけさせてもらいました」
やっぱりスカウトマンか。大方アイ目当てだろうな。見た目は亡くなったアイドルを小さくしたようなもんだし、しかもちゃんと演技も出来るならスカウトしたくなるのは解る。将来的にはアイドルにする事も視野に入れてるだろうな。
「お断りです。2人は子役をやる事に反対をしてます。これは演劇をやる前から決めた事です」
「そうですか。今回は失礼します」
スカウトマンはお辞儀をして去っていく。余りにも諦めが早く呆気に取られるが、これはある種の駆け引きなのかもしれない。
これ以上ここにいると他のスカウトマンが来るかもしれないので、かなとは別れてすぐに家に帰宅する事になった。
雑・説明
星野ソラ
親たちに正体を話して小学二年生になった。
あれこれ話をした結果、普通に暮らす事になった。勿論危険な事があったら容赦なく魔法を使う。
小学校に入学後は有馬かながいた事に驚き、しかも同い年である事で二度も驚く。ただこの時のかなは、まぁねぇっと言いたくなるほどだった。アイと協力して性格を矯正して改善をしていたが、あまり成果はなった。
そして小学二年生の演劇でかながぶっ壊れて違う意味で大変な事になった。
星野アイ
ソラと同じ小学二年生になった。
今世はエンジョイする気でいたが、アイドル様が亡くなった事でエンジョイ出来なくなると思っていたが、何だか出来る気がして来た。幼稚園は卒業したが現在は小学生でありその後の中高大に行くため、楽しみ過ぎで仕方がない子である。余りにも楽しみ過ぎでソラを襲おうとしたのは内緒だ。
有馬かなと同い年と分かり前世と同じ態度で接していた。かなは何でこんなに馴れ馴れしいのか、分からないまま一年間過ごした。
二年生の演劇では練習中にかなの脳を焼く事を決意し、ソラと一緒にかなの脳を焼いた。結果はまぁ見ての通りだ。
星野千春
ソラとアイの演劇を見るために来た。かなの事はドラマで見ていたが、生で見ると天才とはよく言ったものだと思った。
星野隆博
こいつはソラの父親である。特に書く事は無いが、職業は千春と同じ撮影スタッフだ。
アイの両親が来れない代わりに、カメラで録画して時間がある時に一緒に見た。
学芸会の演劇
特に深く考える必要は無い。雑に考えた演劇だ。
スカウトマン
すぐに帰ったスカウトマン。
ソラとアイの演技を見てこの2人は絶対に芸能界を荒らす人物だろうと思い、スカウトしに行った。狙いはやはりアイなのは間違いながソラも入っていたのは、2人セットで売り出せば間違いなく売れると思ったのと、ソラとアイが恋人どうしなら武器になると思ったからだ。
すぐに帰った理由は断られたのもあるが、有馬かなが思いのほか威嚇をしてきたからである。子供の威嚇ならいいが相手は有馬かなであり、子供が出していい威嚇では無かったため逃げる事にした。
被害者・有馬かな
こちらはソラとアイに焼かれた脳を強火マシマシで更に焼かれた人。
小学校に入学してから何かとアイに可愛がれている。本人は何故ここまで馴れ馴れしいのか分からないが、別に嫌じゃ無かった。天才子役と言う肩書が付いているせいか、周りから距離を置かれている。学校にいない事もあって余計に距離を置かれているのもある。そんな所にソラとアイが普通に接してくるのは、非常にありがたくちょっと心に余裕が出来ている。
そんなこんなで一年が経ち学芸会の演劇をやる事になった。当然主役はかなになり、その主役の幼馴染の立ち位置の役はソラとアイになった。最初は素人だと思っていたが意外な事に出来る方だった。
ここでちょっと疑問が出だ。あのアイはアイドルの方のアイなのではと。ご存じの通り一度共演をしている。その演技で考えを改めた。じゃあ目の前にアイは何者だ? 当然転生と言う考えは出て来ないし、憑依されている事も考える事も出来ない。まぁ憑依されていないが。
ならソラはどう何かと言うと。アイに教わった程度の考えだ。
練習最終日の放課後。ソラとアイによって焼かれて無事堕ちました。
なお台本を取りに行く自体そんなに時間はかからなかったが、遅くなった理由は鼓動を落ち着かせるために遅くなった。さてはコイツ堕ちる前にギリギリの状態だったのか?
タグにガールズラブを付けるべきか?