嫁がクラバで死にそうなので、料理で肥やして生存目指します 作:隼河宗
宇宙世紀0079。コロニーでさえ武器として供されていた時代。僕らが住むコロニーが無事な保証なんてない。だからといって逃げる場所は何処にもない。実感が沸かなかったが、死と隣り合わせだった。そんな中で僕は、後悔する生き方だけはしたくなかった。だから彼女に告白したんだ。
「貴女を、絶対幸せにしっましゅ…」
……まあ、決断はともかく。僕はこの情けない告白を、生涯後悔することになるがね。
宇宙世紀0082。サイド6、イズマコロニー
朝の柔らかな陽光がカーテンの隙間から差し込む中、
キッチンからバターとベーコンの香ばしい香りが漂う。スガイ・シイコは目を覚ました。コロニーの人工的な日光に目を細め、寝ぼけ眼で階段を下りる。
食卓に目を奪われた。色とりどりの料理が並ぶテーブルは、朝陽に照らされて温かく輝いている。中央では、黄金色のフレンチトーストがメープルシロップに艶めき、カリッとした表面からバニラの甘い匂いがふわりと立ち上る。
対照的に、ルッコラとトマトのグリーンサラダは涼しげで、オリーブオイルのツヤとレモンの爽やかな香りが朝の空気に溶け込む。白い器のヨーグルトにはブルーベリーが彩りを添え、かぼちゃとバターのスープは小さなカップでオレンジ色に温かく揺れる。
シイコのお腹が、思わずクゥと小さく鳴った。シイコは恥ずかしそうにお腹を押さえる。
そこに夫……スガイ・マサがフライパンを置いて振り返り、「できたよ」と笑う。最後の仕上げとばかりに空いたお皿に盛り付けたのは、カリカリに焼けたベーコンだ。塩気のある香りが鼻をくすぐり、薄い脂身が光を反射している。
シイコはまず、スプーンを手にスープをすくい、かぼちゃの甘みとバターのコクに目を細めた。
「美味しい」
「それはよかった」
続いてシイコはフォークでフレンチトーストを切り、シロップの甘さとふわっとした食感に心を奪われる。甘いフレンチトーストの後には塩気のあるベーコンをぱくりと食べる。途端に、ベーコン特有の脂と肉の味がシイコの味蕾を満たす。
「ん〜」
テーブルの反対側に座ったマサは、シイコの美味しそうに食べる姿に満足したのか、自身もフレンチトーストを口に運んだ……
『イズマコロニーでは、近年から増加している難民問題への包括的な対応が求められ、サイド6内でも議論を呼ぶなど…』
シイコはひんやりとしたヨーグルトを見る。白い器に盛りつけられ、鮮やかなブルーベリーが宝石のように散りばめられている。スプーンで一口食べると、思わず夫の方を見る。
「なにこれ」
「てづくり。お店で出そうかと思ってね」
「賛成よ!とっても美味しい!」
「それはよかった。農業コロニーまで行った甲斐があったよ」
「あら?貴方コロニーの外に行ってたの?言ってくれれば一緒に行ったのに……」
「いいさいいさ。たまには休んでもらったほうがいいと思ってね」
「うーん、それならいいけど……コロニー間輸送のお金も勿体ないし、次は私に言ってね。連邦退役時に貰ったあの子も動かさ…「お腹の子も今は居るからね」…えぇ、そうね……」
「なあに、首も据われば新婚旅行で行ったサイド4も行けるさ。今後は3人で行こう」
「!ええ!」
「じゃあ、僕は店の準備してくるから、シイコも食べたらおいで」
「分かったわ!行ってらっしゃい!」
そうやって笑うシイコは知らない。3年後、彼女はパイロットスーツを着れなくなるのだと……。他でもない旦那の画策により、幸せ太りをキメて赤面しつつこっそりとパイロットも引退することになるとは、予想すらしていないのだ……。
そんな旦那は自転車で仕入れに向かいつつ……
(原作開始まであと二年……!それまでに彼女を幸せにしてお腹をふにふににしてやる……!)
だいぶ変態な思考でシイコの体重を順調に増やしていくのだった。
ニュータイプってやつはこういう邪な思想とか感じ取れるんだろうか…
口調や設定がおかしかったら優しく教えてください。深夜テンションで書いたので…