嫁がクラバで死にそうなので、料理で肥やして生存目指します   作:隼河宗

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お疲れ様です。すみません。1話にしたかったのですがどうしても時間が足りず…前後編となりますのでよろしくお願いします。

後編は土日中に投稿いたします。1週間から2週間ほど後に繋げて1話といたします。後から書き足したり、変更したりする部分もあるためご了承いただきますと幸いです



約360Kcal×3「配給」(前編)

宇宙世紀0082。サイド6、イズマコロニー

 

『ただいまより、7時間の計画放水を行います。予定雨量は毎時10mm…』

 

 ラジオ放送が聞こえてからちょうど30秒後。イズマコロニーには天気予定通りに雨が降り出した。雨音を聞きながら午後の準備をしていると、勢いよく引き戸が開けられる音がした。

 

「ねえ、マサさんってどうやってシイコさんに捕まえられたの?」

 

「僕が捕まえられた、って表現はまだいいとして、お店に入って第一声がソレなのはどうなのかな。ドロシー」

 

 

 皿を拭く手を止め聞き慣れた声で後ろを振り返る。目の前に立っていたのは茶髪の少女だった。客がちょうど居なくなった頃だったからよかったものの。もしも常連客がいれば3日はおじさんとからかわれるだろう。しかし、出会ったときか。

 

「そんなコト聞いてどうすんだい?」

 

「気になっちゃったんだもの」

 

「よく聞かれるんだけど、そこまで大した話じゃないよ?」

 

「そうかしら?だってマサさんって強面の割にすごく静かでしょ。 シイコさんは一見すると優しそうだけど、実は結構強気なところあるでしょ?凸凹であんまりどこかで出会うというようなこと考えられないような気がするもの」

 

「あー……」

 

 私が話そうか迷っていると、住居と食堂を隔てるドアからシイコが出てきた。

 

「いいじゃないあなた。それに、私も聞きたいわ」

 

「君もか……ったく。とりあえずドロシー、適当に座ってくれ。傘は……あれ、傘はどうした?」

 

「中学に置いてきちゃった」

 

「雨宿りついでの暇つぶしってことか……」

 

 よく見れば彼女の制服は計画放水で濡れているようにみえる。とりあえずシャワーを貸すことにする。シイコに目配せをすると彼女は頷いて、ドロシーと替えの服を取りに行った。

 

 

 しかし、シイコと出会った時か。僕は仕込みをしながら、どこから話すか考え始めた……。

 

 

 

 

 

 

 

 宇宙世紀0079。コロニーでさえ武器として供されていた時代。

 

「並んでください!順番にお並びください!配給はこの地区全員分ございます!」

 

 雨が降る中で、僕らは数千の人々に配給を行っていた。数十人の徴用されたコックと、日に日に表情が暗くなるコロニーの住民たち。そして僕らを管理する連邦兵。

 

 僕───スガイ・マサはコックだ。連邦軍に雇われる前はコロニーの中心セクターから大きく離れた定食屋を営んでいた。戦争が起きる前、インターネットが通っていた頃はレビューは4.3ぐらいだったか。この時期じゃ自慢話にもならなかった。確かめようが無いからだ。

 

 目の前のソレを見る。僕らが一生懸命配る食料は、日に日に悪くなっていくのが分かる。今日は落とされたコロニーで生産していた備蓄がついに尽きた。カロリーは足りていても、戦略食料は軍用に回されるのだ。

 

 

 そう、配給は隠し味も美味しいひと手間も許してはくれない。すべてがギリギリの中で、僕たちコックは最善を尽くすしかなかった。けど、僕らはある意味幸せだった。戦場に出なくてよかったからだ。

 

 知らない機械の操作を叩き込まれて擬似重力さえないところで死ぬのは、僕には向いてないと思った。

 

 今立っている地面を挟んだすぐ向こうでは、連邦の艦隊とジオンの艦隊が戦っているらしい。だからと言って逃げることはできない。コロニーから出た避難船が撃ち落とされたニュースはしょっちゅうだ。

 

 僕らを守ってくれるが頼りないコロニーは人工的に作られた雨で路面を濡らす。僕は決められた仕事を行う。それだけの日常だった。軍事拠点もないただの民間のコロニーだがいつ『流れ弾』が飛んでくるか分かったものじゃない。住民と僕らは怯えながらも何事もなく生きていた。

 

 しかし戦争から八カ月が過ぎた頃、配給が少しずつ滞り始めた。そうした時に地球連邦軍の艦隊の一部が補給を行うと通達があった。

 

「嘘だろ!?コロニーの食料は手一杯なのはおたくらが一番わかってんだろ?」

 

『決定は決定だ。君らの生活を守る兵を足蹴にするのか?』

 

「馬鹿野郎!」

 

 被弾で食糧庫が欠損し、予備の食糧を提供しろと言ってきたようだ。同僚は怒ったように電話を切ったあと、頭を掻きむしり食品の在庫を確認しに行った。そんな同僚を見送り、配給事務局の窓の外を見ると、やせ細った住民が数人、こちらを何の感情もこもってない目で見ていた。

 

 思えばその時点で住民の限界はピークに達していたかもしれない。この時期になると連邦軍の物流は完全に崩壊し、工業コロニーと農業コロニー間の行き来すら厳しくなっていた。そして起こるのが物不足だった。

 

 そんな中での戦艦の来航は、極秘にも関わらずすぐに住民に広がった。どうも。ようやく来た補給船かと勘違いした子どもが、一斉に騒ぎ立てたらしい。

 

 失望が戦艦への憎悪に変わるのに、そう時間は変わらなかった。

 

 

 

 

 

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