機動戦士ガンダム 進撃のオズマ   作:武者ジバニャン

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STAGE1 目覚めた者、異なる世界を知る

長い眠りより目覚めた男、シジョウ・オズマ。

彼はポッドから出てきて、ゆっくりと歩いていく。その主をリジェネは呆れたように苦笑交じりに溜息をついた。

 

「はぁ...マスター、先ずは服を着てくれ」

 

「...ん?そうか。そうだな」

 

リジェネに諭されたオズマに、他のイノベイドが彼の為の衣服を用意する。ソレスタルビーイングのメンバーが着ていたジャケットとインナーとデザインが同一である。

唯一違うのはジャケットがロングのコートになってることぐらいだ、オズマはそれを纏い見事に着こなしている。

彼の着ている制服の色は左右非対称で白と黒、髪と眼と同じくカラーリング。

着こなすオズマにリジェネは真剣な顔でそれどころじゃないと報告する。

 

「マスター、実は緊急なんだ」

「俺でないと対応できない案件なのか、リジェネ」

淡々とリジェネに尋ねるオズマに、彼は顔を縦に傾ける。彼の様子にオズマはこれは相当の問題なのだと理解する。

リジェネが先導する形で、オズマはエデンのメインフロアに向かう。

フロアの中央には広く大きな豪華なソファーが設置されており、オズマはそこに自然と寛ぐようにして腕組みしながら座る。

 

「では話す前に...マスター、僕たちが旅をしてる理由は覚えてるね?」

 

「俺たちが旅をしているのは、イノベイターである俺たちとイノベイドであるお前たちで新天地開拓のためのものだ」

先ず彼らが巨大なコロニー型の方舟で旅をしている理由を話そう。ガンダム世界を渡っていたオズマであるが、大量のGN粒子を浴びた為に純粋種よりも遥かに強力な能力を持って進化した。

彼だけでなくソレスタルビーイングの刹那・F・セイエイもまたイノベイターに進化しており、彼らの始まりを契機に地球上の人類からイノベイターが続々とその人口を増やし続けた。

だが一部の人々がイノベイターを危険視、反イノベイター思想と言える「人間至上主義」を掲げ、各地でイノベイターへ覚醒した人々を襲撃し始める事件が発生する。

結果、反イノベイター派とイノベイターの保護を図る西暦世界の連邦政府との間で大規模紛争が発生するまで至った。

だが色々あって反イノベイター派からもイノベイターに進化する者たちが続出し、事態は収束した。

オズマは自身を中心として新天地開拓のために、スペースコロニー型の巨大な方舟・エデンを建造させ、自身に付いて来てくれることを選んだ多くのイノベイターたちとイノベイドたちと共にこうして旅をしているのだ。

 

「開拓の為に地球圏から離れて、遥か宇宙の先へと旅立った筈だったのだけど....」

「どうした?」

リジェネの複雑な顔を見せつつ、端末操作しホログラムによる画像を展開させる。その内容を見てオズマの眉が一瞬ぴくっと動いた。

それもその筈、その映像に映っていたのは開拓の旅路の為に別れたあの青き星・地球だったのだ。

 

「....どういうことだ、これは....リジェネ」

「僕にも分からない。エデンの航行ワープの途中、何かしらの問題があったのかもしれない。原因を究明中」

開拓の旅路に向かった筈が、まさかの地球への帰還?っとなった事にオズマの頭の中は混乱となる。しかしリジェネからの報告は更なる混乱を及ぼす。

 

「実はもう一つ報告すべきことがある」

「...なんだ」

「実は、地球の現状を調べたんだけど......どうやら、僕たちが知る地球じゃないようだ」

「.......なに?」

エデンにある量子型演算処理システム【ヴェーダ】で地球を外周している人工衛星にハッキング、そこから気づかれず情報ネットワークに深く浸透するのに然程時間は要しなかった。

ヴェーダによるネットワークの浸透により、地球の情報が上手いこと大量に入手できた。

そこで思わぬ内容が得られた。それはこの地球がイノベイターたちやイノベイドたちが知る西暦世界ではなく、況してやオズマの宇宙世紀世界とも違う。

この世界では、宇宙世紀や西暦世界とは違い大幅に異なる歴史および技術発展を歩んでいる。

 

サクラダイトと呼ばれる常温で超伝導を実現させるレアメタルの鉱物資源を使用した超伝導電磁石を搭載した軽量高出力のモーター・発電機が発達した技術を用いられているが、代わりに軽量高出力のレシプロエンジンは未発達である。

更に原子力の研究は未だ理論段階に留まっており、戦略兵器に分類される核兵器・長距離弾道弾などの大量破壊兵器も開発されていない。

銃器は火薬でなく、リニアモーターで加速して弾丸を射出するコイルガンを採用し、次いで剣や槍といった武器が、屋内戦や近距離戦に適しているとして実戦でも未だ使用されている。

そしてこの世界において、主戦を支配しているのが兵器・人型自在戦闘装甲騎【ナイトメアフレーム】という機動兵器という情報。

 

「ナイトメアフレーム...?」

元軍人、そしてモビルスーツパイロットとしての性故か、この世界の人型兵器に興味を抱いた。そこをリジェネが補足説明を始める。

 

「ナイトメアフレーム....全高4〜5m程度で、高さ20メートル前後のモビルスーツに比べてかなり小さいものさ。地上での高速移動のほか、建造物の間もよじ登れるホイール「ランドスピナー」というもので戦場などを疾駆するようだよ。主に脚部に外装装備されている」

 

「ほう...」

 

「さらにナイトメアには、動力源は「ユグドラシルドライブ」と呼ばれる機関で、液体の満たされた空間にさっき前述したサクラダイトでできたコアルミナスと呼ばれるキューブ状のパーツを浮かせて、稼動時にはそれが高速で回転する。「エナジーフィラー」というエネルギーパックを使用し、切れたらこれを交換して補充するようだ」

 

「リジェネ...もし、モビルスーツとそのナイトメアが戦闘すればどっちが勝つ?」

 

「そんなの、全体的にモビルスーツが圧勝さ。そもそも機体の質量差が違いすぎる。ナイトメアはモビルスーツから見たらチビだよ」

 

更にリジェネは世界情勢をも報告する。

 

「この世界は今、ある国が支配している。その国の名は、神聖ブリタニア帝国」

 

「ブリタニア、帝国?」

 

神聖ブリタニア帝国....国家の起源は、テューダー朝期のイングランド王国。

エリザベス1世の時代までは概ね現実の世界と同じ歴史を歩むが、彼女の子供であるヘンリー9世が存在し、彼が王位を継いでいる。このため、ステュアート朝の成立と、それに伴うスコットランド王国との同君連合は成立していない。

皇暦1770年代には植民地アメリカでワシントンの乱と呼ばれる反乱が勃発、当時のブリタニア公爵の策謀もあって失敗した為、アメリカ合衆国が成立しなかった。

各諸国がフランス革命を端に発する市民革命と議会制度化により停滞していたのに対して、イングランド王国は絶対君主制を固持し、新世界で生産される富によりヘンリー10世とエドワード7世の統治を通して発展。

処女王エリザベス3世の時代にナポレオンが大軍を率いてブリテン諸島に上陸。

王党派はエディンバラに追い詰められ、女王は退位宣言を強要される。

この窮地から女王を救ったのが、後のブリタニア初代皇帝となる、リカルド・ヴァン・ブリタニアであり、彼の尽力によって女王は新大陸に脱出して大陸東部を新たな首都と定める。

エリザベス3世には子がいなかった為、彼女の遺言により王位はリカルドに継承される。彼は国号を神聖ブリタニア帝国と改め、自らは唯一皇帝と名乗った。

こうして神聖ブリタニア帝国は長く繁栄し、国として巨大となっていった。

 

「そして現在第98代皇帝・シャルル・ジ・ブリタニアが即位してから、状況が変わっていく」

 

皇帝シャルルの即位後に、各国の腐敗とそれを変える統治などを理由に各国への侵攻を開始、植民地政策によって急速に国力を大きくしていく。

植民エリアはそれぞれエリアと番号で呼ばれ、皇帝の子供である皇族達が総督を務めている。

そして皇暦2010年8月10日、ブリタニア帝国は日本と地下資源サクラダイトを巡って対立し宣戦布告。

本土決戦に折に、ブリタニアはナイトメアフレームを実戦で初めて投入。

圧倒的侵攻に日本側の本土防衛線はナイトメアによって崩壊、日本は敗北。

結果、名前まで奪われ「エリア11」と呼称され、日本人も「イレヴン」と蔑まれ、名と自由を奪われブリタニアにより支配される。

 

「これが、この世界の現状さ」

 

「.....そうか」

 

リジェネの説明を聞き終えたオズマの表情は冷めたような様子を見せた。説明を終えたリジェネはオズマに問いかける。

 

「そこで....マスター、どうする?」

 

「.....そうだな」

 

ふとオズマは立体映像に映る地球を見つめた後.....

 

 

「....リジェネ」

 

「ん?なんだい?」

 

オズマは映像の地球を眺めつつ命じた。

 

「船の用意しろ。一度....直にこの目で見てみたい」

 

「分かった。っで?どこに降りる?」

 

 

 

 

「.......日本だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回も短いですが、次は少し長め書いてみます。

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