信疑≠真理(シンギノチカラ、シンリニアラズ)   作:サモア リナン

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どんどん新キャラ増やしていきます


第2話『覚醒≠正義』

暴徒は、完全に理性を失っていた。

 

 バットに巻かれた鉄条網には血がにじみ、足元には破壊された看板、住民の安全確保のため守ることに全力を出しているため、捕縛への決定打に欠ける警官たち。

 信象を暴走させた力は、もはや“信念”とは呼べない狂気そのものだった。

 

「なんで、こんなことに……」

 

 駅前の一角で、真澄は立ちすくんでいた。

 体が、恐怖に凍りついて動かない。

 その暴徒──榊という同級生だった男は、かつて優しげな笑みを浮かべていた、静かな青年だった。

 

「正しいことを信じてたんだよ、俺は……!」

 

 暴徒の声が響く。

 その目は血走り、何かを必死に弁明するようで、だが何も届かない。

 

「俺たちは間違ってない! 世の中を正すのが正義だろう!?

 ……なんで、誰も信じてくれないんだよ……!」

 

 彼の体を包むのは、深紅の信象紋様。

 暴徒化の原因は、“信じすぎた”ことだった。

 

 信象は、強い“信念”と“対象”を持った者に宿る力。

 だが、その信念が過度に偏った時──

 “信じすぎる”ことは、歯止めの効かない暴力に変わる。

 

 止めたのは、警察ではなかった。

 

「……力を振るう理由を、見失ってるな。君はもう、“信じる”というより、依存してるだけだ」

 

 静かに現れたのは、黒髪を短く整えた制服姿の高校生。

 一ノ瀬霧人──この春に進級したばかりの先輩であり、政界進出を目指す同じ学校の有名な異能持ちだった。

 

「君の正義は、もう誰にも届かない。疑われて、当然だ」

 

 一ノ瀬が指を鳴らすと、彼の周囲に浮かび上がるのは、幾何学模様の紋様──銀と灰のジオメトリック。

 それは、信象と疑象、双方の力を宿す“双極構式”だった。

 

「……“信じること”も、“疑うこと”も、力になる。だが、どちらも過信すれば毒になる。君はそれを……忘れてしまった」

 

 一ノ瀬の一撃は、信象と疑象を融合させた攻撃だった。

 暴徒は一瞬で制圧され、その場に倒れた。

 

 その光景を、真澄は呆然と見つめていた。

 

(……すごい。あれが……“本当の力”)

 

 信じるだけでもなく、疑うだけでもない。

 両方を受け入れて、その先へ進んでいる──そんな力の在り方がそこにはあった。

 

 ──だが、その視線に一ノ瀬が気づくと、やがて近づいてきて、ふと口元だけで笑った。

 

「キミ、力に目覚めたみたいだね」

 

「え……?」

 

 次の瞬間、真澄の胸に走ったのは、焼けつくような熱。

 

 脳裏に、いくつもの“選択”がよぎる。

 自分の無力さを悔いた記憶。

 自分が信じられなかったもの。

 疑うことさえできず、曖昧にしていたこと。

 

 けれど今、確かに「何か」を自覚した。

 

 誰かの叫びを、疑いもせず、信じることもせず、

 曖昧に見過ごすだけの自分じゃ、もういられない。

 

「……俺は、信じるのが怖いんだ、だけど“疑いたくもなかった”んだ」

 

 その瞬間、真澄の背後に紋様が浮かび上がる。

 それは──双極構式。

 銀と灰色のジオメトリック模様が、ゆっくりと形を成していく。

 

「信じることも、疑うことも……そのどっちも、逃げてた。

 でも、それって結局……自分じゃ何も選ばない、選べないってことだよな……!」

 

 覚醒。

 

 真澄の目の前に、初めて“世界の色”が変わる感覚が走った。

 

 信象は、信じることによって強まる力。

 疑象は、疑うことによって研ぎ澄まされる力。

 

 そして双極構式は、その二つの感情を、矛盾したまま抱きしめて力に変える。

 

 一ノ瀬は、そんな真澄を見て静かに頷いた。

 

「キミも、その矛盾を抱えながら進む覚悟があるなら……“普通”ではいられなくなるよ」

 

 真澄は、ただ

 

「もう、“普通”なんて……とっくに壊れてるから」

 

そう、自分に言い聞かせていた




どんな物事でも自分だけの影響の問題?
未だかつて関わりのなかった人に影響を与える可能性はある

自己解釈は事故解釈

なんちゃって!
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