仮面ライダーStormDueler ~ライドウォーリアーズ~   作:地水

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Battle02:陽光(ひかり)の申し子 後編

 夜守市、人気のない路地裏。

そこにXから逃げて来たフィスタチオの姿があった。

路地裏を抜けた向こうにいるであろう人の気配を感じ取りながら、彼はどう動こうか考えていた。

 

「さぁて、と……どうしたものか」

 

異形の姿形を持つ自分はこの世界の人間とっては所謂【はぐれ者】。

欲しかった目的の物は何とか手に入ったが、それを狙って謎の戦士……ライドウォーリアの一人であるXが現れた。

どうやら各所から無理矢理強奪してきたのが祟って、目をつけられたようだ。

 

「まったく、盗みがご法度ものとはねえ……その手段しか生きられない人にとっちゃどうしろっていうんだろうねえ」

 

そう愚痴りながらフィスタチオはどうしようかと悩んでいると……そこへ、一つの気配を感じ取った。

そちらの方へ首を振り向けば、そこにいたのは自分と同じ異形の姿を持つ怪人。

どことなく海鼠に似て、それ以外は特徴的な外見が見当たないその怪人……『シーラット・ソーンズ』はフィスタチオへ視線を向けると独特な声で話しかけてきた。

 

「我ガ同胞(ハラカラ)、御無事、デスカ?」

 

「シーラットか……相変わらず独特な声だな。無事生きてるよ」

 

男とも女とも取れない独特な発声をしているシーラットへ軽口を叩くフィスタチオ。

彼の手元には、あの時手に入れた緑と黒で彩られた鉱石……自分達が"よく知る"ウォーリアストーンとよく似ている見た目をしているが、根本的に違うのが本能として分かる。

 

「ソレハ……」

 

「モンスターストーンだったか? 攪乱ぐらいにしかならんと思うが、これを使ってみるいい機会だ」

 

フィスタチオは手に持った鉱石『モンスターストーン』をシーラットにそう言いながら、何か見当たらないか周囲を見回す。

すぐそばに放置されていたボロボロの漫画雑誌が目につくと、それを手に取ってモンスターストーンに近づけさせる。するとモンスターストーンから瘴気じみた黒いオーラが解き放たれ、それらは漫画雑誌を取り込んでその姿を変えていく。

普通なら恐れ戦くであろうその光景を見て、フィスタチオは不敵な笑い声をあげた。

 

「ハハッ……! さて、と。そろそろ悪いこと、始めましょうかねえ」

 

傍らに立つシーラットと共にフィスタチオはその変貌を見守る。

二人の前で黒いオーラは人の形へと変貌していき、やがて現れたのは……黒いアンダースーツに黄色い立方体のパーツを取り付けたような機械的な怪人だった。

 

 

~~~~

 

 

同じ頃、夜守市の道にて……。

その道を進むのは配達帰りで自転車を押しながら帰るマシロ。

その傍には大陽が付き添いとして付いてきており、マシロは感謝の言葉を口にした。

 

「ありがとうございます先輩。私と一緒に配達の付き添いしてくれて」

 

「大したことはしてない」

 

「フフッ、そんなことはありませんよ。私、先輩が付いて来てくれて嬉しかったですし、頼もしかったのですから」

 

謙遜する対応をする大陽に対し、嬉しそうな表情を浮かべるマシロ。

まるで自分と一緒にいること自体が喜びと言わんばかりに笑う彼女を見て、太陽はやれやれといった感情を浮かべる。

 

「そういえば、玄野先輩って今まで何をやっていたんですか?」

 

「今まで、というと?」

 

「ほら、私が中学校に上がる前に玄野先輩は夜守市から去ったじゃないですか。確かその後に海外へと行ったと記憶していますが……」

 

マシロから訊ねられて、太陽は暫く黙り込む。

急に口を閉じた彼の様子を見てマシロは足を止め、振り返って名前を呼ぼうとする。

 

「あの、先輩?」

 

大陽の様子を見て心配そうに見つめるマシロ。

それに気付いているのかいないのか、太陽の脳裏にはとあるビジョンが浮かぶ。

 

――最初に浮かんできたのは、ウォーリアストーンを手に入れた自分の手

――人々を前に暴れ狂う仮面の戦士達

――その仮面の戦士達を殴り飛ばす漆黒の腕

 

過去に経験した自分の光景にハの字になる太陽……そんな彼を見て、マシロは少し戸惑った後に意を決して声をかけた。

 

「あの……玄野先輩、もしかして聞いちゃいけなかったですか?」

 

「いや、大丈夫。心配してくれてありがとうな、マシロ」

 

困った表情をしているマシロに安心させるような言葉を口にする太陽。

 

 

そんな彼らが帰路に再び戻ろうとする中で……、突如喧騒が聞こえてきた。

 

 

一体なんだなんだと思いながら見てみると、そこには黒いアンダースーツに黄色い立方体のパーツを取り付けたような機械的な怪人が姿があった。

その怪人――太陽は知らぬだろうが、ネビュラガスによって人間が変貌した怪人"スマッシュ"の一体『スクエアスマッシュ』は右腕を振るい、一種の騒動を起こしていた。

 

右腕に装備された武装・エリアカットペンを振るい、各地に四角い立方体のオブジェクト・空間移動ゲートを出現させ、人々のいる空間を上下左右入れ替えていく。

自分達がいる場所を何もかも入れ替わってしまい混乱の渦中に巻き込まれていく一同。

 

それは太陽とマシロも例外ではなく、突如自分達がいる場所が上下逆転し、ゲートの中へ巻き込まれてしまう。

 

「マシロ!」

 

「わわっ、先輩ッ!? きゃっ!!」

 

咄嗟に大陽がマシロを突き飛ばし、そのまま太陽はゲートの中へと消えていく。

自分が慕っていた先輩である太陽が目の前から消えて、目を見開いて顔が強張るマシロ。

そしてマシロ自身もスクエアスマッシュの作り出した空間移動ゲートに吸い込まれようとしていた……その時だった。

 

文字通りの命綱がマシロを捉えたのは。

 

「ライドルロープ! それを握って!」

 

マシロの前に投げ出されたのは、Xのライドルロープの一部……そう、駆けつけたライドウォーリアXが咄嗟に投げたものだ。

咄嗟にそれを掴むと、Xはライドルロープを引き上げ、瞬く間にマシロを回収する。

Xはマシロを連れて物陰に隠れると、彼女の安否を確かめる。

 

「大丈夫かしら?」

 

「えっ、はい……でも、先輩が! 大陽先輩があのゲートの中に!」

 

「落ち着いて、私が助けるから」

 

大切な先輩である太陽が消えてパニック状態になっているマシロを落ち着かせるために宥め、Xはライドルをライドルスティックに変形させて物陰から出て走る。

向かう先はこの事態を引き起こしている未知の怪人・スクエアスマッシュ。

スクエアスマッシュとXの間に引き起こされている乱れた時空間がある中、Xは自身に宿している『固有能力』を発動した。

 

「ハァッ!」

 

勢いよく走り出したXは地面を蹴ってジャンプすると、飛び込みするように地面へと潜った(・・・・・・・)

 

潜水(ダイバー)

それは、X――海天玲がウォーリアストーンとの出会いで手に入れた異能の祝福(ギフト)

壁や地面を水のように潜り抜け、泳ぐことができるという彼女だけの能力。

 

この能力は深海開発用改造人間カイゾーグであるXライダーはこの能力と相性が良く、障害物や分厚い壁を泳ぐことで原典(オリジナル)とは異なった強さを発揮することができる。

地面の中を泳いで近づき、スクエアスマッシュへと向かって行くX。

その手に握ったライドルスティックを剣のように構え、そして勢いよく浮上した。

 

「はっ、――ライドル脳天割り!」

 

勢いよく浮上したXが回転しながら繰り出した上段からの強烈な一撃・ライドル脳天割りがスクエアスマッシュへと炸裂。

よろめくスクエアスマッシュはダメージを受けてしまい、ふらふらと体をふらつかせる。

あと一撃叩き込めれば何とか倒せそうだ……そう思って次なる一手を決めようとした時だった。ヒトデ型の飛来物が襲撃してきたのは。

 

「させるかよ!」

 

「ぐっ、アナタは!?」

 

「よぉ、Xライダー……だったか? 悪いがまだ倒させねえぞ!」

 

そこに現れたのは、ヒトデの怪人であるフィスタチオその人。

彼はスクエアスマッシュにトドメを刺そうとしたXへ妨害するように、大の字になってからの回転攻撃・シースタースピンで突撃。

なんとか避けたXだが、仮にも自分を退かせた相手の再来に歯を食いしばった。

 

「邪魔をしないで! その怪人もアナタの仲間ですか!」

 

「コイツは正真正銘こっちのお人形さ。心がない分容赦がないのがセールスポイントだがなぁ!」

 

フィスタチオは地面へと着地すると、Xの方へ振り向むいて殴り掛かる。

咄嗟にライドルスティックで防御するXだったが、態勢を立て直したスクエアスマッシュが視界に入る。

 

「しまった……!」

 

フィスタチオと対峙しているXの前でスクエアスマッシュは再び空間を操作し、人々を巻き込もうとしている。

その中には、Xが助けたマシロが巻き込まれようとしていた。

 

「きゃっ!?」

 

不意を突かれてマシロの足は地面を離れ、ゲートの中へ呑み込まれようとした。

このままではゲートの中に引き込まれ、何処かへと飛ばされてしまうのではないか……。

そんな悪い予感がよぎった時、気を失おうとしたマシロは見たのは……。

 

 

(あれは、光……?)

 

 

――ゲートの中で輝く、黒く染まった光であった。

まるで皆既日食の如く漆黒の色に輝くその中にいるのは、先程のみ込まれたはずの太陽その人。

その手には彼を選んだウォーリアストーンが握られており、既に腰部に装着されたライドドライバーへ装填した。

 

【Ride Driver】

 

「変身」

 

【Xros-Up……BLACK】

 

電子音声と共に、眩い閃光が太陽を包みこみ、漆黒の外骨格へと変わっていく。

そして姿を現したのは、飛蝗の意匠が入った黒い戦士……ライドウォーリア・ブラックサン。

彼は蹴り上げて力強くジャンプすると、スクエアスマッシュのゲートから出て、飲み込まれようとしていたマシロを優しく受け止める。

 

そして、空間操作の干渉を無視して地面へと降り立った。

現れた第二の戦士にXもフィスタチオも驚くしかなかった。

 

「あれは、新しいライドウォーリア!?」

 

「チッ、また増えやがった……シーラット!」

 

舌打ちを打ったフィスタチオは咄嗟にシーラットの名前を叫ぶ。

それと同時に出現したシーラットは独特の構えを取り、自身の体に力を込める。

 

「ヌゥゥゥン……ヌッ」

 

シーラットの体から噴き出すように生み出されたのは、水棲生物じみた外見の兵士達。

戦闘員の役割を持った増殖兵士・シーポーンズはギロリとブラックサンを視認すると、一声に襲い掛かる。

マシロを優しく地面へ降ろすと、ブラックサンは静かに振り向き……迫ってきたシーポーンズの一体を殴り飛ばした。

 

「どりゃあッ!」

 

ブラックサンが放った鋭い鉄拳が炸裂し、シーポーンズは軽く吹っ飛ぶ。

その間に拳や蹴りを繰り出してくるシーポーンズ達をブラックサンは自身の手足で捌いてく。

右、左、前……と一体具合で、あらゆる方向から迫ってくる攻撃を全て回避、もしくは見事に防ぐと、お返しと言わんばかりに強く握り締めた拳を叩き込んだ。

 

「ライダー……パンチ!」

 

拳に力を込めて放つ最強の一撃・ライダーパンチ。

それを食らったシーポーンズはものの見事に殴りとばされ、勢いを殺しきれず地面へと倒されてしまった。

容赦のない一撃を次から次へとシーポーンズ達は全員受けてしまい、軽くバウンドした後倒されてしまう。

そして混沌極まる状況にブラックサンはスクエアスマッシュを見ると、一言だけ言い放った。

 

「次は、お前か……」

 

赤い複眼を輝かせて睨みつけるブラックサンにスクエアスマッシュは敵意を感じたのか、エリアカットペンを振るって空間を弄り始める。

このまま真っすぐ向かえば別の場所へ飛ばされて怪人の元へと辿り着けないだろう……と、Xが自身の強化された超感覚で理解する。

近づかないまま攻撃する手段がXにはない中、ブラックサンは動揺する気はない中、全身の力を込めて必殺の一撃を叩き込む。

 

 

「キングストーン……フラッシュ!」

 

 

ブラックサンのライドドライバーの姿形が一瞬"赤いレンズのような石がついたベルト"という別物になると、そこから眩い閃光が放射。

彼の必殺技の一つである『キングストーンフラッシュ』が放たれ、スクエアスマッシュが操作した空間を真っすぐ通り過ぎて、物の炸裂する。

 

本来だったらBLACKのキングストーンフラッシュには敵を倒すほどの威力は秘められてない……だが、ブラックサンーー玄野太陽が有する『固有能力』が"不思議な出来事"を引き起こした。

 

ブラックサンは全身にさらに力を籠めて、そして叫ぶ。

 

「シューティングレーザーッ!!」

 

キングストーンフラッシュの視界を覆いつくすほどの強烈な閃光が収束しはじめ、やがて一条の光線へと化す。

ブラックサンが繰り出した光線攻撃として一撃……『キングストーンフラッシュ・シューティングレーザー』をまともに浴びていくスクエアスマッシュは、そのボディが耐え切れずそのまま貫かれる。

そして地面へと倒れ、そのまま爆発……その光景を見てXと交戦していたフィスタチオは驚いた。

 

「なんだ、あのライダー……強すぎるぜ!?」

 

「フィスタチオ、撤退ヲ」

 

「クッ……そうだな。今の俺達の目的は石だけじゃないからな」

 

今にも攻撃を仕掛けようとするフィスタチオだったが、シーラットに咎められて冷静を取り戻した後、そのまま撤退。

先程まで交戦していたXは追いかけようとするが、それより気がかりな存在を認識し、追いかける足を止めた。

 

それは、新たに現れた仮面の戦士・ブラックサンについてだ。

Xはブラックサンの方を見ると、彼は戦場を背を向けると気絶しているマヒロを連れて去ろうとする。

そんな彼をブラックサンを呼び止めた。

 

「待ちなさい、そこの人」

 

「……」

 

「怪人を倒したのはいいけど……アナタ、何者なの? 答えなさい」

 

Xはライドルスティックの矛先をブラックサンへ向けて問いかける。

対してブラックサンはマヒロを抱えたまま無言を貫く。

切羽詰まった緊張感が広がる中、二人のライドウォーリアは相対するしかなかった。

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