仮面ライダーStormDueler ~ライドウォーリアーズ~ 作:地水
今回から読者参加型にて募集していた仮面ライダーあらためライドウォーリアー達が登場します。
にらみ合う二人のライドウォーリアことXとブラックサン。
両者は今でも互いの拳をぶつけ合おうとする雰囲気を醸し出していた。
「答えなさい、アナタは何者なの」
「通りすがりの一般人、ってわけにはいかないよな」
「冗談はよして。少なくとも、同じライドウォーリアなのは分かってるから」
Xはその手に持つライドルスティックを構え、出方を伺っている。
もしも相手が悪党なら放っておけるわけはない。目の前に立つこの黒いライドウォーリアはこの手で倒す。
だが……、相手から返ってきたのはXこと玲が想定したものより意外な返答だった。
「おい、この近くに病院あるか?」
「病院? なんで病院が……あっ」
ブラックサンから返ってきた言葉の意味を考えて、ハッと我に返ったX。
何故なら彼の傍らには気を失ったマヒロが抱えられていた。
もしかして、彼女を助けたいのか……そう思ったXは構えていたライドルスティックを下げ、ブラックサンへと告げる。
「……病院じゃないけど診療所なら案内できるけど」
「すまん、案内してくれ」
「そこまで素直だと調子狂うわね、……わかった。ついてきて」
ブラックサンに頼み込まれてXは案内し始める。
二人のライドウォーリアは騒ぎとなっている地点から逃げていくと、後に残されたのはスクエアスマッシュが倒された事によって異空間から解放された一般市民と被害を受けた建物……。
そして、この場の一部始終を見ていた謎の人影だった。
「新しい仮面のヤツか。面白そうだぜ」
~~~~
Xライダーとブラックサン、二人のライダーは常人離れした脚力でジャンプし、瞬く間に移動する。
ブラックサンの腕の中では気を失ったマシロを抱えており、Xライダーはチラリとこちらを様子を伺っている状況が続いている。
そして二人のライダーがやってきたのは、病院にしては少々小さな印象を受ける建物だった。
「ここは、病院か?」
ブラックサンは仮面の下で難しい表情を浮かべる。確かに、医療施設には違いないが……。
周りを見ると看板には『伊町診療所』と書かれており、Xライダーは自身のドライバーからライドストーンを引き抜くと、元の玲の姿に戻る。
ブラックサンもライドストーンを引き抜いて元の姿に戻るが……そこで、太陽はXライダーの正体がマシロと同じ制服を着た玲を見て驚いていた。
「お前、その姿は……マシロと同じ学校の?」
「私のことはいいから。それよりその子を先に安静な場所に寝かせるために中へ」
玲はそう言いながら、診療所の扉をガチャリと空ける。
清潔感漂う内部を通り過ぎ、ベッドがある部屋へと玲によって案内される。
太陽はマシロをベッドへと眠らせ、そこで一息をつく。
「ふぅ……とりあえず、コイツは無事か」
スゥスゥと寝息を立てている様子のマシロを見て、太陽は安堵の表情を浮かべた。
そんな様子を見て、険しい表情をしながら玲は太陽へと訊ねた。
「アナタ何者なの? あの妙な怪物を倒したのは確かだけど」
「さっきの戦いぶりの通り、アンタと同じ、ライドウォーリアってヤツさ」
玲の言葉に対して太陽は自分自身が所有しているBLACKのウォーリアストーンを手にして見せた。
それを見た玲も自分が所有するXライダーのウォーリアストーンを露わにした。
少しの間だけ緊張した空気がその場を張り詰める……。
そんな最中、太陽でも玲でもない第三者の声が聞こえてきた。
「ふわぁーあ……あれ、誰かいるのかい?」
気だるげな声を上げながら部屋の中へやってきたのは、白衣を纏った一人の若い男性。
TVでよく出ているとある俳優張りに整った顔立ちをしているが、ボサボサの髪と無造作に剃られた髭顎がそれを台無しにしている。
彼は部屋の中を一瞥すると、玲に向かってニッコリと笑いかけた。
「やぁ、おはよう。玲ちゃん」
「おはようございます。敬祐先生」
玲が会釈すると、その白衣の男……『
この診療所の医者なのか、と太陽は考えていると、敬祐は太陽とマシロへ視線を向けて訊ねる。
「キミは玲ちゃんの友達かい?」
「まあ、世話になった」
敬祐の問いかけに対し、太陽は短く言葉を返した。
彼の言葉を聞いた後、視線を太陽からマシロへ向けるとベッドの方へ近づき、彼女の様子を伺う。
「ちょっと失礼……うーん、極度の緊張が限界を達して気を失っているね」
顔色や手首の脈を確認したりといった様子を見て、マシロの診断結果を口にする敬祐。
どうやら例の怪人――スクエアスマッシュという名称なのだが――によっての影響はなさそうだと太陽は安心した。
その太陽を見て、敬祐は『ふぅん』と言いたげな表情をして、彼へあることを告げた。
「こうして休ませておけば大丈夫だよ。彼女さん無事でよかったね」
「ええっと……助けていただいてありがとうございます」
「じゃあボク、あったかい毛布とかとってくるから」
敬祐は太陽と玲の二人にそう言うと、敬祐は部屋を出ていった。
寝ているマシロを取り残した状況で、太陽は珪をチラリと見やる。案の定、対抗心を有した鋭い視線を向けられていた。
美人な顔が台無しだな、と太陽が思っていると玲の方から声がかかってきた。
「改めて聞くけど……アナタ、仮面の戦士であってるのかしら?」
「あぁ、ライドウォーリアーってヤツだろ? それなら合ってる」
「アナタも持っているのね、その石……」
太陽と玲の手に握られているのは、ブラックとXのライダーズクレストが刻まれたライドストーン。
互いにそれを見たあとに吐き出そうとしたため息を飲み込むと、先に玲が話しかける。
「ねえ、アナタは何のために戦っているの?」
「さぁてな、それを聞いてどうする?」
「教えて。戦う理由によっては私は……アナタと戦う」
戸惑う様子の太陽に対し、玲は真っすぐと瞳を覗き込むように見つめてくる。
実直というか愚直というか、彼女の真面目さを感じ取ったのか太陽は一つため息をついて答えた。
「一つだけ言えることはあるなら、オレは誰かを助けるために戦う」
たった一言だけ、理由を述べる太陽。
まるで吐露するかのように絞り出した言葉を聞いて、玲は緊張がほどけたように一息ついた。
「どうやら、アナタのその言葉は行動で明らかになってますね」
「……? 何かしたか?」
玲が口にした安心したような言葉を聞いて太陽は疑問符を浮かべる。
だが彼女の視線の先にいた誰かを見てすぐにそれは分かった。
……視線を辿るとベッドの上で気を失って寝ているマシロの姿があり、太陽は何となく察した。
「何か知らんが、どうやら見透かされたようだな」
何かを納得したようにポツリと呟く太陽。
そんな時だった、モゾリと動いてマシロが目を覚ましたのは。
「う、ううん……ハッ、先輩! 玄野先輩!」
想いまぶたをゆっくりと開き、意識がだんだんと覚醒した途端に太陽の名を叫ぶ。
すぐ隣で太陽と玲が驚いている事も知らずにマシロが慌てていると、そこへ毛布を片手に戻ってきた敬祐がやってくる。
「おっ、目が覚めたんだね。でもまだ安静にしていてね」
「えっと、あの、先輩は?」
「先輩? 玲ちゃんかな、それとも彼のことかな?」
「ふえ?」
敬祐の言葉を聞いてマシロは振り向くと……そこにはこちらを見る太陽と玲の姿があり、マシロは驚く。
「せ、先輩!? そ、それに海天先輩!?」
「名前知っているのね……あと、ここ診療所だから騒がないでね」
「あっ……はい」
驚きの声を上げるマシロに玲は注意して落ち着かせる。
いつもの彼女の様子に戻ったことに太陽は少しだけ微笑んだ。
まるで束の間の緊張が解けたような、そんな表情だった。
~~~~
某所。
裏路地らしきその場所に一人の女性の姿があった。
人気がないこの場所にいるウェーブがかった黒髪の若い女性――『和泉 飛鳥』は静かに何かを待っている様子だった。
ローブ越しに見える瞳は来るかもしれない人を待っていると、飛鳥は口を開いた。
「……おや、来ましたか。珍しいお客さんですね」
そう言いながら飛鳥は視線を少し上げると、そこには一人の男がやってきた。
スーツの上からコートを羽織ったスタイルの白髪が混じった黒髪の厳つい男性――『五代 猛』がやってきた。
猛は鋭い目つきで飛鳥を見ると、彼女へ訊ねてくる。
「占い師の和泉さん、でいいか?」
「ええ、私がそうですが。アナタは確か、そう、クウガの……」
「五代猛、アナタ達で言うところのライドウォーリアと呼ばれている戦士のことだな」
そう言いながら猛は懐から取り出したのは、一つのウォーリアーストーン。
2本角が印象的な紋章のようなものが刻まれているソレを見て、飛鳥は何となく察したような仕草をする。
そして彼女も懐からウォーリアーストーン……それも太陽を模したような紋章が刻まれたウォーリアストーンを取り出した。
「私へ訊ねてきたってことは、ライバルを頼ってでも探したい何かでもあるの?」
「オレはライダーバトルだったか? それは乗り気じゃないんだが……探したいものがあるって点では、まあそんなところだ」
渋い顔をしながら猛はウォーリアーストーンを仕舞ってそう言葉を呟く。
そして猛と飛鳥の話は自分達が持つ未知の鉱物・ウォーリアーストーンに纏わる話へと移っていく。
「そもそも、このウォーリアストーンってのはライドマジン……訳のわからん凄い神様がくれた力の一部とかいう代物だったな」
「ええ、そのウォーリアストーンを用いて変身するのが、ライドウォーリアですね」
猛が口にしたウォーリアストーンの話について飛鳥がさらに付け加える。
ウォーリアストーン。
それは人知を超えた魔神・ライドマジンの力の一部と言われる鉱物であり、それを手にした者は常人離れした力を持った戦士・ライドウォーリアーに変身することができるようになるという。
その姿形は千差万別……そして、その強さは変身者次第で神にも悪魔にもなれるそうだ。
猛はさらにライドウォーリアに関する特徴を口にする。
「あの神様……ライドマジンによると石を有するライドウォーリアーに変身する者達には一つだけ特殊な能力を行使することが可能になる、という話だったよな」
「ええ、私も持っていますし……なんならアナタも使えているのでしょう?」
「まあな……だが、こんなのがあるってことは悪用を考える馬鹿もいるってことだ」
ライドウォーリアーが持つ能力について飛鳥の言葉を肯定したあと、猛は苦虫を嚙み潰したように呟く。
何か彼の頭を悩ませている何かがあるのだろうか……と、飛鳥が思っていると、猛は懐からある物をとりだした。
ソレは一枚の写真であり、そこにはいくつもの仮面の戦士達・ライドウォーリアーの姿があった。
「これは……」
「世間で密かに悪さしている連中だ。今時のAIや昔の拳銃といった技術や力があると、たいがいの人間が最初にやりたがるのは自分が得するようなあくどい事だ」
猛の言葉を聞いて何かを悟った飛鳥は眉を潜めた。
どうやらライドウォーリアーの力を用いて悪さをしている連中がいるようだ。
「……世の常ですね。嘆かわしい事ですが」
「そろそろ話を戻そう。事件を起こしているコイツが手掛かりが欲しい。お前さんの力で少しでも進展すればいいが」
「私の未来を知る術は微々たるものですが、それでもよろしいなら」
猛の必死そうな様子を感じて、そう言いながら目を閉じる飛鳥。
念じると同時に見えてきたのは……一つの 『よくない未来』。
――それは、派手なカラーリングをした仮面の戦士が暴れまわる姿だった。
――緑と桃色を基調とした戦士は見境なく暴れまわっており、通行人も気にする様子もなく他のライダー相手に戦っている。
――最後に断片的に見えたのは、高校らしきその建物がある場所……。
そこまで見えた後に映像は途切れ、視界と意識は元の場所に引き戻される。
心配そうに様子を見ていた猛へ、飛鳥は結果を伝えることにした。
「そう遠くない出来事が見えました。場所は……何処かの高校です」
「くっ……まーた起きるのか。他に何か見たか?」
「アナタの睨んだ通りライドウォーリアーの姿がありました」
「ああ、そうかい。まったく警察官の感も嫌な時に当たるもんだな」
飛鳥の『ライドウォーリア―』という言葉を聞いて、猛は渋い顔をする。
このままでは街の何処かにてよからぬ戦士達が悪さをする……そう考えただけでも、起こるであろう現場に向かおうとした。
今にも飛び出そうそしている猛を見て、笑みを浮かべてこう言った。
「お代は……そうですね。戦士のよしみですし、何か甘いものおごりということで」
「オーライ、とっておきのものでよければな。じゃあな!」
猛は飛鳥にそう言い残すと、速足で裏路地を去って行った。
正義感という強い想いを胸に秘めて走り去る彼の姿を見て、飛鳥は少し微笑んで見送る。
次なる戦いはすぐそこまで迫っていた。