TS薄幸白髪赤瞳超絶カワイイ超能力美少女がサイバーパンク世界を行く   作:第616特別情報大隊

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本日2回目の更新です。


VIPサービス//TMCセクター6/2

……………………

 

 ──VIPサービス//TMCセクター6/2

 

 

 夜になり、メイジーさんを連れて私たちはセクター6/2に向かっている。

 

「レムリアってナイトクラブ。そこに向かって」

 

「分かった」

 

 メイジーさんは後部座席からリーパーに指示を出し、リーパーは複雑なセクター6/2ですらも迷わず進める高度な地図アプリで指示されたナイトクラブに向かう。

 

「着いたぞ」

 

 リーパーがメイジーさんにそう言い、車は『LEMURIA』と書かれた豪華なナイトクラブの前で止まった。

 

「レムリアってインド洋にある人工島ですよね」

 

「ああ。大井が作ったデータセンターなどがある場所だ。あそこは名目上はインド政府の管轄になっているが、事実上大井が統治してる場所らしい」

 

「そのレムリアという名前はオカルト的な伝説の大陸の話だって知ってました?」

 

「知らんし、興味もない」

 

 昔、病院においてあった割と古いオカルト雑誌で『幻のレムリア大陸は本当に存在した!』って話を読んだことがあるのです。もっとも、あとでその話は全くのガセだと分かりましたが……。

 

 しかし、今ではその名前にあやかった名前を付けた大井の建造した人工島があるわけですから、世の中分からないものですね。

 

「さ~て! 今日は遊ぶぞ~! あんたたちもついてきて!」

 

「はいはい」

 

 メイジーさんに言われて私たちはナイトクラブのエントランスに向かう。

 

 エントランスではスキンヘッドで明らかに機械化した肉体を有する用心棒(バウンサー)がにらみを利かせていた。

 

「はい! VIPよ。認証して」

 

「お待ちください」

 

 用心棒(バウンサー)は眼球の代わりに埋め込んだインプラントのセンサーでメイジーさんを生体認証する。

 

 彼女はお金持ちらしく、VIP扱いらしい。

 

「認証しました。ようこそ、五十嵐メイジー様。しかし、そっちの2名は?」

 

「あたしの雇ってる傭兵。問題ないでしょう?」

 

 用心棒(バウンサー)の視線が私とリーパーに向けられる。

 

「ダメなら外で待ってるが」

 

「大丈夫、大丈夫。一緒に遊びましょ、イケメンさんも!」

 

「ふむ」

 

 リーパーはそう言って用心棒(バウンサー)の返事を待った。

 

「本来は当クラブに武器の持ち込みは禁止で、武装は解除してもらうのが決まりですが、今回は特例で許可するとのことです。どうぞ」

 

「ありがと!」

 

 というわけで、私とリーパーはメイジーさんと一緒に入店。

 

 ナイトクラブの中は音楽に満ちていた。

 

 巨大なスピーカーを使ってガンガンとリズミカルでハイテンポな音楽が響き、大音量なそれに脳みそをシェイクされる気分になります。

 

 そんな音楽に合わせて人々は踊り狂い、アルコールやドラッグでハイになっている人々がときおり歓喜の声を上げる。

 

「凄い賑やかな場所ですね…………」

 

 賑やかすぎて私に合わない場所です。

 

「いいでしょ? あたしのお気に入りのクラブだから!」

 

 メイジーさんは既にテンションが高い。アルコールもドラッグもまだなのに。

 

 メイジーさんは1階のダンスフロアには向かわずに、さらに別の用心棒(バウンサー)が警備する2階のフロアに向かった。そこは個室になっていて、専用のバーまで備えたまさにVIPのための場所だ。

 

「メイジー! 待ってたよ!」

 

「イエーイ! 今日は遊び惚けようぜー!」

 

 VIPルームには既にメイジーさんの友達がいた。

 

 友達は男性が2名に女性が2名。カップルかな?

 

「まずは乾杯しよう、乾杯!」

 

「そうだね!」

 

 バーに並んでいるのはお高い天然酒だ。

 

 今の世間に出回っているお酒のほとんどは工業合成された合成アルコールに化学薬品で味付けたしたものであり、安価なそれが市場に出回っている。

 

 天然の酵母を使ったお酒はその現在原材料になる穀物などがパンデミックで絶滅に瀕したため、今ではお金持ち限定の楽しみになっていた。

 

「イケメンさんも何か飲む?」

 

「酒は好きじゃないし、今は仕事(ビズ)の最中だ。仕事(ビズ)のときに酒を飲むのは不真面目だろう?」

 

「そんな固いこと気にしなくていいのに」

 

 リーパーは仕事(ビズ)の最中だろうが、そうでなかろうがお酒は苦手なのです。

 

「ちびっ子はジュースでも飲む?」

 

「では、私はお言葉に甘えて……」

 

 合成品じゃないジュースを飲める機会は貴重だ。

 

「かんぱーい!」

 

 そして、メイジーさんたちはカクテルのグラスを掲げて、乾杯の声を上げた。

 

「────それでさー。そのあとが爆笑もので────」

 

「────マジで? 最悪じゃん! それからそいつは────」

 

 メイジーさんたちは踊ったり、喋ったりしながらクラブを楽しんでいる。

 

「そろそろお楽しみと行きますか」

 

 そこでメイジーさんたちはドラッグを取り出した。

 

 メイジーさんは大学で売人から買った青い錠剤。ブルーピルって言ったっけ?

 

 それを砕いてからメイジーさんはストローでそれを鼻から吸う。

 

「はあ。最高っ!」

 

 そうメイジーさんたちが言った直後だ。

 

「メイジー! 鼻から……!」

 

「え…………?」

 

 ぼとぼととメイジーさんが鼻から血を流し始め、床に崩れ落ちた!

 

「え、ええっ!? メイジーさん!?」

 

「ツムギ。落ち着け。まずは気道の確保だ。クライアントを死なせたくないだろう?」

 

「は、はい!」

 

 うろたえる私と違ってリーパーはどこまでも落ち着いていた。

 

 私は吐瀉物でメイジーさんが喉を詰まらせないようにし、気道を確保する。救急隊員のようにはいかないが、何とか気道を確保し、メイジーさんが呼吸可能なようにする。

 

 メイジーさんの呼吸はそれでも止まりかけている。

 

「それっと」

 

 そこにリーパーがメイジーさんの心臓に注射器を突き立てた。

 

「アドレナリンですか?」

 

「心肺機能保護機能のあるナノマシン入りのな。既にこの女が加入している大井統合安全保障の救急サービスにバイタルの情報が届いているはずだ。連中は飛んでくるぞ」

 

 リーパーの言ったことは正しかった。

 

 すぐに大井統合安全保障の救急サービスが通報するまでもなく飛んできた。パワード・リフト機でクラブの屋上に乗り付けた彼らがメイジーさんを収容し、すぐさま病院に飛んでいく。

 

 私とリーパーもそれに同行し、メイジーさんは加入していた保険でTMCで最高の病院に搬送されたのだった。

 

「よくアドレナリンなんて持ってましたね」

 

「ジャンキーのお守りをするなら必須だろう?」

 

「慣れてるんですか……」

 

「ジャンキーのお守りはこれが初めてじゃない」

 

 リーパーは文句を言いながらも、仕事(ビズ)に不真面目なわけではないそうだ。

 

 私たちがそんな話をしていたとき、病院の医師がやってきた。

 

「五十嵐メイジーさんの関係者の方ですね?」

 

「ああ。容体は?」

 

「問題ありません。回復しつつあります」

 

「それは何より」

 

 医師はそう説明したのちに、すぐに私たちのところから離れていった。

 

「これで一安心ですね」

 

「いいや。こうなった経緯をちゃんと思い出せ。どうしてあの女は過剰摂取(オーバードーズ)を引き起こしたのか。何故か過剰摂取(オーバードーズ)となったかはちゃんと覚えているよな?」

 

「それは……あの青い錠剤!?」

 

「そうだ。あれが原因だ」

 

 そうです、そうです。リーパーの言う通り、メイジーさんはあの青い錠剤を吸引したあとに過剰摂取(オーバードーズ)の症状を起こしたのです!

 

「そして、あの女が言っていた以前の過剰摂取(オーバードーズ)の話。どうも臭い。調べなおした方がいいかもしれないな」

 

「臭いと言うとメイジーさんが嘘をついているかもしれないと?」

 

「ああ。それかあの女も別の誰かに騙されているかだ」

 

 リーパーは推理するようにそう言い、私も考えてみる。

 

 メイジーさんの元カレが売ったドラッグで過剰摂取(オーバードーズ)が起き、学生がひとり死んだ。

 

 その責任を巡って元カレとチャイニーズ・マフィアの構成員が揉め、元カレはその構成員を殺してしまった。そのせいで元カレは大急ぎでシンガポールに逃げた。

 

 そののち、報復を恐れてメイジーさんは私たちを雇った。

 

「とりあえず聞くべき人はひとりでしょう」

 

「そうだな。そいつは────」

 

 リーパーが言う。

 

 

「────ブルーピルとやらを売った売人だ」

 

 

……………………




本日の更新はこれで終了です(/・ω・)/
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