TS薄幸白髪赤瞳超絶カワイイ超能力美少女がサイバーパンク世界を行く   作:第616特別情報大隊

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TMCジオフロント//地獄門

……………………

 

 ──TMCジオフロント//地獄門

 

 

「了解です。先に進みます……」

 

 ここでは大勢が死んだのだ。

 

 とんでもない大地震が起きて、ここで工事をしていた大勢の人々が崩れてきたもので生き埋めにされてしまったのである。

 

 そう思うと少し怖くなってきた。

 

「ツムギ。さっさと先に進もう。地獄門ってものが早く見たい」

 

「え、ええ」

 

 リーパーに急かされて、私たちは扉の先に進む。

 

「かなり崩れていますね……」

 

「気を付けろよ。俺たちまで生き埋めになったらたまったものじゃないぞ」

 

 ジオフロントの先に進むとやはり構造が大きく崩壊しており、瓦礫があちこちに散らばっていた。鉄骨が剥き出しになった場所もあり、建設途中だったこの場所を襲った九大同時環太平洋地震(ナイン・リング・ファイア)の規模を思い知らされた。

 

「しかし、どうやら一本道みたいですね」

 

「そうだな。他に通れそうな場所はない」

 

 私たちは第二の首都圏として何百万人が暮らすはずだったジオフロントの、その計画が放棄された廃墟を進んでいく。

 

 生活臭は全くなく、ここには運び屋などの犯罪者や風雨を凌ぐために潜り込んだ路上生活者はいないようだった。

 

「見ろ、ツムギ。血の跡だ」

 

 そこでリーパーが壁を照らすと黒く酸化した血の跡がコンクリートの壁に散っていた。その血の跡をリーパーがタクティカルライトで辿っていくと────。

 

「ひっ!」

 

 無数の手形が壁に残っていた。血で残された手形だ。

 

「ふうむ? こいつは地獄門とやらに関係あると思うか?」

 

「わ、分かりませんけど、絶対に何かよくないものがいますよ!」

 

「よくないものってどんなものだ?」

 

「それこそ幽霊だったり悪魔だったり……」

 

「そいつは面白いな。こいつを追ってみよう。この先だ」

 

「ええー…………」

 

 私はおっかないのにリーパーは嬉々として前進していく。遅れるとひとりになってしまうので私もリーパーに続くしかない。

 

 私とリーパーは壊れたジオフロント建設地を進んでいき、周囲に異常がないかを見る。既にさっきの血の跡というホラースポットを経験しており、これ以上怖いことはないと思われたのだが……。

 

「今度は足跡だ」

 

「ひえっ!」

 

 リーパーは次に足跡となった血の痕跡を見る。

 

 しかも、それは靴などを履いた人間の足跡ではなく、素足の足跡だった。

 

 この建築現場で作業員の人が素足なわけがないし、これは明らかに部外者が残していったものですよ。怖い!

 

「怖がらせようとしているわけではなさそうだな。こんな目立たない場所に仕掛けても引っかかるやつはいない。だから、何かしらの理由があって残されたもので間違いはなさそうなんだが、その理由というのが分からん」

 

「き、きっとお化けがいるんですよ……!」

 

「お化けや幽霊、あるいは亡霊を相手にしたことはない。楽しみだな」

 

「あなたって人は……」

 

 ここで私はカンタレラさんに連絡を取ろうと思ってARデバイスからメッセージを送ろうとするも圏外になってしまっていた。

 

「カンタレラさんとも連絡できなくなりました。それでも進みますか……?」

 

「当たり前だろ」

 

 リーパーは迷うことなく、前に前にと進んでいく。

 

 そして、私たちは別の扉を前にした。

 

 それはただの扉ではなかった。

 

「魔法陣にミミズがのたうったような文字。これは前に見たことがある」

 

「ああっ! そうです、そうです!カンタレラさんが送ってくれたミネルヴァの研究所にあったっていう……!」

 

 幾何学模様の魔法陣にルーン文字。

 

 これは以前カンタレラさんが調べてくれたミネルヴァの地下施設に残されていたものとよく似ていた。

 

「まさか本当に地獄門が…………?」

 

「かもな。期待できるようになってきたぞ。ホラーゲームの空気だ。こういうオブジェクトを配置していて何もイベントがない方が肩透かしになってしまう」

 

 リーパーは軽く扉を調べると、それを蹴り破った。

 

 ガンッと扉が蹴り開けられ、“鬼喰らい”とともにリーパーが中に突入。

 

「ほう。これは……!」

 

「嘘……!」

 

 私たちは目にした。

 

 本当に地獄に繋がっているような赤い炎が燃え滾る穴を。

 

 真っ赤な炎が吹き上げては周囲を剣呑に照らし、その半径2メートルほどの穴からは人のうめき声のようなものが響いてくる。そんな硫黄の臭いが漂う場所に私たちは到達してしまったのである。

 

「ARが……!?」

 

 さらにARの映像に謎のルーン文字が侵食してきた。何を意味するのか分からないルーン文字は私の視界を覆い尽くさんばかりに広がっていき、さらに不気味なノイズが広がっていく…………。

 

「ARは使い物にならなくなったな」

 

 リーパーはそう言ってARデバイスを投げ捨てる。

 

「ど、どうするんですか、リーパー!?」

 

「さあ? これを見に来ただけだ。他に予定はないぞ」

 

「じゃ、じゃあ、逃げましょう! すぐに!」

 

 私は猛烈に嫌な予感を感じていた。

 

 先ほどから私のテレパシーの方にも人のうめき声のようなものが混じっているのだ。これは絶対におかしい状況です!

 

「待て。ツムギ、何か感じないか?」

 

「何かって……?」

 

 そこでリーパーが“鬼喰らい”の柄を握り、地獄門を見つめる。

 

『地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ。地上だ』

 

 私のテレパシーにうめき声と違って明白に言葉と認識できるものが聞こえてきた。

 

 重低音の人の声とは思えないようなその言葉は、だんだんと近づいてくる!

 

「リーパー! 逃げましょう! 早く!」

 

「遅かったな。何か来たぞ」

 

 リーパーがそう言った直後、巨大な腕が地獄門から飛び出してきました!

 

  表面は血にまみれたかのように赤く、さらには謎の紋様が入れ墨のようにびっしりと刻まれている。さらにその手には長い爪があり、鋭いそれがぎらりと怪しげに地獄門の炎を反射する。

 

 それは私たちを掴もうとして振るわれ、私は思わずしりもちをついてしまった。

 

『はははははっ! 獲物だ! 獲物だ! 獲物だ! 贄だ! 贄だ! 贄だ! 供物だ! 供物だ! 供物だ!』

 

 大きな笑い声がテレパシーを通じて響き、私はあわあわと後ろに後ずさる。

 

 しかし、リーパーは平然としています!

 

「これが悪魔だとすれば────」

 

 そんなリーパーはそう言ってぐっと身を低くする。

 

 彼は怯えた様子など全くなく、逆に楽しげに巨大な腕が自分たちを狙うのを嘲るように見ていた。

 

 狩るのはお前じゃない。俺の方だとでもいうかのような視線だ。

 

「────俺は初めて悪魔を斬れる!」

 

 リーパーは一瞬で動き、電気の弾ける音がしたと思えば、次の瞬間には巨大な腕が真っ二つに切断され崩れ落ちていった。

 

 斬った……? 悪魔と思しきものを斬った……? マジですか……?

 

『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァ────…………ッ!』

 

 また複数のおぞましいうめき声が合唱でもしているかのように上がり始めたが、地獄門から炎が一度大きく噴出すると地獄門を形成する穴が瞬く間に小さくなっていき、そしてそのまま消滅してしまった。

 

「よし。実績解除だな。『初めて悪魔をキルした』ってところで、実績解除者は1%ぐらいだろ?」

 

 リーパーは消滅していく地獄門を眺めてご満悦のご様子。

 

「あ、あなたは……」

 

「なかなか楽しかったな。無駄足にならずに済んだし」

 

「そういう感想ですか……」

 

 私はリーパーがこの世で恐れるものは退屈なクソゲーだけなのだろうと思った。

 

「それに見ろ。これは興味深いものじゃないか?」

 

「これは……」

 

 地獄門があった場所にはやはりというべきか巨大な魔法陣とそれを囲むルーン文字があった。さらにリーパーが壁の方にある机を照らすと──。

 

 

「フクロウのマーク……!」

 

 

 そう、そこにはパラテックの研究機関であるミネルヴァのシンボルとして知られているフクロウのマークが刻まれた書類が存在していた。

 

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