TS薄幸白髪赤瞳超絶カワイイ超能力美少女がサイバーパンク世界を行く   作:第616特別情報大隊

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パワーストラグル//地下バンカー

……………………

 

 ──パワーストラグル//地下バンカー

 

 

 私たちはリーパーのSUVでセクター10/6にあるという大井のバンカーに向かった。

 

 大井のバンカーがあるとされた場所には古い学校が存在した。廃校に見える。

 

 しかし、廃校にしては周囲でリモートタレットなどの無人警備システムが稼働していたり、有刺鉄線のフェンスに囲まれていたりと物騒でした。

 

「ここがそうみたいですね」

 

「ああ。認証を済ませてとっとと中に入るか」

 

 私が周囲を見渡す中で、リーパーは看板の外された校門の前に設置されたカメラに向けて手を振る。

 

 そうすると校門が自動的に開き、無人警備システムが私たちから照準を外す。

 

「行くぞ」

 

「了解」

 

 リーパーを先頭に私たちは中に入り、まずは学校の校舎に近づいた。

 

 すると校舎から重武装の警備ボットが数体出現。

 

「こちらへどうぞ」

 

 警備ボットはそう言い、私たちは警備ボットに囲まれて校舎内を体育館に向けて進んだ。それから体育館の倉庫に入ると、そこには────。

 

「エレベーター……!」

 

 ガコンと倉庫の床が開くと、そこから重機を搬入するような頑丈なエレベーターが現れた。傾斜を移動する昔のSF漫画の地下施設に出てきたようなエレベーターです。

 

「どうぞ、これで地下まで向かわれてください」

 

「ああ」

 

 リーパーと私が乗り込むと警備ボットは離れ、エレベーターが結構な速さで傾斜を下っていき、私たちは地下に向けて進んでいく。

 

「かなり深く潜るんですね…………」

 

「何だ? 不安なのか?」

 

「それは地下であんなことがあったばかりですし……」

 

 今の私は地下というものに全くいい思い出がないのですよ。

 

「大井の重役どもが隠れてるんだ。ここは世界で一、二を争うほど安全な場所だ。そう心配するなよ」

 

 リーパーはそう言って私の頭をぽんぽんと叩いた。

 

「けど、クーデターで狙われている人たちですからね。どうなるやらですよ」

 

 私は余裕のリーパーにそう言い、ひたすらに下っていくエレベーターの先にある真っ暗な空間を見つめた。

 

「そろそろだ」

 

 リーパーがそう言い、エレベーターは重々しい金属音を立てて止まる。

 

 それから別の警備ボットが私たちを出迎える。しかも、それはただのよくある人型の警備ボットではなく、特殊なものも混じっていた。

 

 六脚の警備ボットで重機関銃をマウントしているものです。

 

「こちらへどうぞ、ゲスト様。警備責任者がお待ちです」

 

「ふうん?」

 

 その六脚の警備ボットに言われて私たちは地下施設を進んだ。

 

 六脚の警備ボットは昆虫のような動きで進んでいき、私たちが案内された先は巨大な金庫のごとき金属の扉がある場所だ。

 

 そしてその金属の扉の前には防弾ガラスだろう窓のある部屋があった。

 

「おおい! あんたらがジェーン・ドウから連絡があった追加の護衛(エスコート)かい?」

 

 そう言うのは大井統合安全保障の黒い制服にがっちりとした軍用の防弾ベストを身に着けた男性だ。頭はモヒカンにしているし、かなりのマッチョだが、アジア系の顔だちをしている。

 

 部屋には他にも大井統合安全保障のコントラクターらしき人物たちが数名見える。

 

「そうだ。あんたが警備責任者か?」

 

「ああ。俺が警備責任者の広瀬大佐だ。よろしく頼む」

 

 リーパーが尋ねるのに答え、男性は広瀬と名乗った。

 

「ここがどれだけ重要な場所か説明するまでもないよな?」

 

「金持ちどもの隠れ家だろう?」

 

「そうだ。世界の富を牛耳る上位0.1%の中の0.1%だ。何かあれば俺たちなんて雑魚は物理的に首が飛ぶと思ってくれ」

 

「ふん。そいつは面白いな」

 

 相変わらずこの人は崖っぷちが大好きでたまらないのです。

 

「それで? その要人(VIP)中の要人(VIP)を守る準備は?」

 

「大井統合安全保障を全面的に動員、と言いたいが、ジェーン・ドウは警戒している。大井統合安全保障内の裏切り者を」

 

「信頼できる人間だけをってわけか」

 

「それと警備ボットだ」

 

 そこで六脚の警備ボットが主張するようにぴょいと足を一本上げた。

 

 ……ちょっと可愛いと思ってしまった。

 

「このタイプの警備ボットはあまりみないな?」

 

「ジョロウグモ。大井重工の最新型で、まだ市場には出回ってない。だが、既に実戦データはある程度ある。どこでデータを取ったのかは教えられないがね」

 

「あてになるのか?」

 

「こいつ1体で重武装の1個歩兵大隊規模の敵から拠点を守った」

 

「ふむん」

 

 リーパーは以前にも言っていたが、AIは弱いと考えている。

 

 そのAIに制御されて動くだろうジョロウグモ君を彼が最初からあてにしていないのは明白であった。そのジョロウグモ君を見る目には明白に嘲りの色が見える。

 

 でも、私には頑丈そうな六脚を備え、重機関銃で武装して、愛嬌もあるジョロウグモ君は、もしかしたら今回の仕事(ビズ)を楽にしてくれるのではないかとちょっと期待しています。

 

「そいつは結構だが、段取りを決めておきたい。俺たちはどう動けばいい? いや、こういうべきだな。どれだけ好き勝手にしていい?」

 

 実にリーパーらしい質問です。

 

「ジェーン・ドウからあんたらはサイバーサムライではないが、サイバーサムライみたいに別次元の強さだと聞いている。なので、あんたらにはかなりの部分を任せる。警備ボットは最前線の時間稼ぎ、あんたらが遊撃、俺たちは最終防衛ラインを担当だ」

 

「オーケー。こういう防衛任務にも経験がある。任せておけ」

 

 リーパーはそれから金属の扉を見る。

 

「重役どもは本当に中にいるのか?」

 

「分からん。俺たちには知らされてないんだ」

 

「だろうな。予想はしていた」

 

 私たちのような下っ端にはここが囮かどうかも教えてもらえないのですね……。

 

「マトリクスからの攻撃には備えてるよな?」

 

「ああ。ばっちりだ。警備システムは全てスタンドアローンで、マトリクスからアクセスできないようにしてある。もし、警備システムを乗っ取ろうと言うならば、直接接続(ハードワイヤード)する必要がある」

 

「それならいいが。このポンコツどもに背後から撃たれるのはごめんだからな」

 

 広瀬さんの説明を聞き、リーパーはジョロウグモ君の様々なセンサーがある頭部をトントンと叩く。

 

「こいつは友軍を誤射したことはない。安心してくれ」

 

「どうだかな。物事に絶対ってものはないんだ。可能性がある限り、それは絶対起こるっていうだろ」

 

「それ、マーフィーの法則か何かか?」

 

 リーパーの言葉に広瀬さんは渋い顔。

 

「リーパー。仕事(ビズ)を手伝ってくれるんです。歓迎しましょう」

 

「仕方ない」

 

 私はこれ以上仕事(ビズ)を一緒にやる仲間の機嫌を損ねないようにリーパーが文句を言うのを止めさせます。

 

「上層とこのエリアには警備ボットを展開させる。俺たちはあの扉のまさに真ん前を防衛。あんたらはその間で暴れてくれ。ジェーン・ドウからは期待していいと言われているから、期待しているぞ」

 

「ああ。任せておけ」

 

 作戦はこうです。

 

 上層とエレベーターエリアは警備ボットが防衛。

 

 要人(VIP)のいるバンカー入り口そのものは広瀬さんたち大井統合安全保障から動員された部隊が防衛。

 

 で、私たちはエレベーターエリアからバンカー入り口までの場所を守る。

 

 今回は友軍がいる分、仕事(ビズ)も簡単なように思えますがどうでしょうか?

 

 …………まあ、想定される脅威が巨大だから友軍がいるとも言えるので、あんまり油断はできない感じでしょうね……。

 

「ツムギ。いざとなったら友軍もクソもなく手当たり次第にやれ。俺たちが守るのは友軍じゃない。バンカーに籠っている大井の重役どもだ。多少の損害が出ても、そいつらが無事なら文句は言われん」

 

「ええ…………。そう言われても味方を攻撃したりはしませんよ…………」

 

「巻き込む可能性はあるだろ? 初の友軍との共同だ」

 

「それはあるかもしれませんが、ちゃんと気を付けますから」

 

「それで死ななければ文句は言わない。優先順位を間違うなよ」

 

「ラジャ」

 

 確かにまずは自分が生き残らなければ意味はなく、次に仕事(ビズ)の目標である要人(VIP)を守る必要がある。

 

 悪いが広瀬さんたちの優先順位はあまり高くない。

 

「さて、お客さんが来るのを待つか……」

 

「ご来店をお待ちしておりますっと」

 

 私とリーパーはエレベーターエリアでそう言葉を交わす。

 

 リーパーは壁に寄りかかり、私はジョロウグモ君の上に座り、敵を待った。

 

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