TS薄幸白髪赤瞳超絶カワイイ超能力美少女がサイバーパンク世界を行く   作:第616特別情報大隊

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ヘロディアの娘//富士先端技術研究所

……………………

 

 ──ヘロディアの娘//富士先端技術研究所

 

 

 私とリーパーを乗せたSUVは富士先端技術研究所の駐車場に着いた。

 

「さて、まずはエントランスを潜れるかどうかだな」

 

「一応カンタレラさんにも連絡しておきます」

 

「そうしてくれ。やつの出番はまだ先になるが……」

 

 リーパーがそう言う中で私はカンタレラさんに連絡。

 

仕事(ビズ)を開始かい、ツムギちゃん?』

 

「ええ。内部の協力者の手引きで一定のセキュリティが潜れるようなのですが、本当にセキュリティが反応しないか調べておいてもらえますか?」

 

『お安い御用だ』

 

 カンタレラさんはそう引き受けてくれると、私たちのIDで本当に富士先端技術研究所のセキュリティが通過できるかを確かめてくれた。

 

『ばっちり。セキュリティレベル2まではセキュリティが反応しないようになっている。けど、それ以上になると問題ありだね』

 

「分かりました。セキュリティレベル2のエリアまで進出したら、無人警備システムの制圧をお願いします」

 

『了解だ』

 

 私はカンタレラさんにそうお願いしたのちに、リーパーの方を向く。

 

「では、行きましょう」

 

「ああ」

 

 私とリーパーは駐車場から富士先端技術研究所のエントランスに向かう。

 

 エントランスでは富士先端技術研究所のモットーと思しき『昨日よりいい未来を』という文句がホログラムで浮かび上がっており、やや控えめな武装の警備ボットが配置されていた。

 

「前にも言った通りだ。ここにいるのは当然だと言う顔をしておけ」

 

「はいはい」

 

 不法侵入のコツをリーパーが述べ、私たちはエントランスを潜った。

 

 この時点でIDに問題はないらしく、警備ボットは反応しない。

 

 私たちはエントランスを抜け、富士先端技術研究所の内部に入っていく。

 

 研究所内部のシステムが私たちのIDに反応しているのか、ARデバイスに会議室までの道順が自動的に表示されていた。

 

 私たちはその道順に従って、研究所内を進んでいく。

 

 ときおり白衣の研究者などとすれ違うが、彼らは私たちには全く興味がないようで視線を向けすらしなかった。

 

「私のIDでも問題なかったですね」

 

「そうだな。ここまで無関心というのも気味が悪いが」

 

 ツムギちゃん27歳という不審すぎるIDでも、警戒されている様子はなく、私は安堵の息を吐いたのだった。

 

 私たちはそのままセキュリティレベル2のゲートを潜る。ゲートにあるスキャナーが私たちのIDを読み取り、問題がないとして警報はならなかった。

 

 そして、私たちは予定地点である会議室へ。

 

「ここからが本番だ。もう一度見取り図を確認するぞ」

 

 リーパーは誰もいない会議室に入り、ARで見取り図を私と共有。

 

「ここからレベル4のセキュリティレベルにある佐久間研究室に向かうには、真っ当なルートで向かえばセキュリティゲートを2回通過する必要がある。で、カンタレラは短時間なら無人警備システムを無力化できる、と」

 

「帰りのことを考えるならば、なるべくセキュリティゲートに近づかずに佐久間研究室まで向かいたいですね……」

 

「ああ。そこでこいつを使おうと思う」

 

 リーパーが示したのは富士先端技術研究所内を走る物資輸送の車両だ。

 

 富士先端技術研究所はとてつもなく広く、地下には地下鉄が走り、さらには建物内を貨物列車が走っているのだ。

 

 リーパーはその物資輸送のための貨物列車に目を付けた。

 

「この貨物列車はセキュリティゲートでいちいちチェックされない。これでセキュリティレべル4のエリアに侵入し、そこから佐久間研究室を目指す。どうだ?」

 

「悪くはなさそうですね」

 

「問題はこいつが俺たちの望むような場所で止まってくれるかだが」

 

「ええええ……」

 

 まさかとは思いますが…………。

 

「いざとなったら途中で飛び降りる。お前はテレキネシスで列車の速度を落とせるならば、そうしておけ」

 

「はあ。了解です。怪我しないといいんですけど」

 

「では、貨物列車の走っている地下に向かうぞ」

 

 私たちはそういうわけで研究所地下を走っている貨物列車を目指した。

 

 会議室を出て階段を降り、地下へ、地下へと潜る。

 

 そうやってかなり地下に潜ったところで、列車がレールの上を走るごとごとという音がかすかに聞こえてきた。

 

「近そうですね」

 

「ああ。見取り図的にももう少しだ」

 

 私が言い、リーパーが頷く。

 

 それからさらに進むと貨物列車が走るモノレールが見えた。

 

 モノレールの上をかなりの速度で貨物列車が走り去っていく!

 

 貨物列車はコンテナを乗せたもので、飛び乗るにはかなりジャンプをしないといけない。この速度で飛び乗るのは無謀なように思えますが…………。

 

「次にやつが来たら乗るぞ」

 

「マジですか」

 

「大丈夫だ。一緒に抱えて飛んでやる」

 

 リーパーはそう言うと私をひょいと抱え、貨物列車の走るモノレールを睨むように真剣な表情で見る。

 

 ごとごとという音が向こうから響いてきて、私は嫌な汗が背中に流れてきました。

 

「3」

 

 リーパーがカウントする。

 

「2」

 

 貨物列車は速度を落とさず向かってくる。

 

「1」

 

 先頭車両のライトが暗い地下を照らしている。

 

「今だ」

 

 リーパーは思いっきりジャンプし、貨物列車のコンテナの上に飛び乗った!

 

「や、やりましたね……!」

 

「ああ。なかなかスリリングだったな」

 

 リーパーはそう言ってご満悦。

 

「あとは適当な場所で降りるだけです」

 

「そうだな。無事に到着できればいいが」

 

「ここまでやって無駄骨だったら困りますよ」

 

「全くだ」

 

 そう言いながらもリーパーは楽しそうであった。

 

 彼にとってはノーキル縛りで、ノーアラートボーナスがあるステージなのだろう。そういう縛りはゲームなら楽しいのですが、現実ではちょっとと思うのですが……。

 

 貨物列車はときどき物資を降ろすのに止まり、研究所地下を走っていく。

 

 荷物の積み下ろしはボットが自動的に行っており、人の姿はない。

 

 この調子だと本当に気づかれずにセキュリティレベル4のエリアに入れそうです。

 

「そろそろだぞ。降りる準備をしておけ」

 

「了解です」

 

 リーパーは見取り図を見ながらそういい、私はいざというときはテレキネシスで速度を落とさせる準備を整える。

 

「もう少し、もう少しだ」

 

 リーパーがじっとモノレールの先を見つめる。

 

「よし。今だ。飛べ!」

 

「はい!」

 

 私は僅かに貨物列車の速度を落とさせてから、コンテナより飛んだ。

 

「あいた!」

 

 私はドテンとしりもちをついたものの、無事に着地に成功。リーパーもすぐ隣に着地して周囲を素早く見渡す。

 

「オーケー。ここがセキュリティレベル4のエリアだ。ここから階段を上って暫く進めば、佐久間研究室に到着する」

 

「帰りはカンタレラさんに無人警備システムを無力化してもらいましょうね。行きも帰りもこれはごめんですよ」

 

「そうか? 結構楽しかったのにな」

 

「あなたにはついていけません」

 

 私はそういってお尻についた土埃を払い、リーパーに続いて階段を上る。

 

 そうやって階段を上り、地上に出たときだ。

 

「あれ…………?」

 

 ARデバイスに僅かだがノイズが生じた。

 

「どうした?」

 

「リーパー。あなたのARデバイスに異常はないですか?」

 

「ないぞ。買ってもらったばかりで、すぐに壊したりはしていない」

 

「そうですか……」

 

 何だったんだろうと思ったときだ。

 

「!?」

 

 またノイズが走った。次は異常なものが映っていたのを私は見た。

 

 あのTMC地下で見たルーン文字のようなノイズだったのです……!

 

 どういうことですか!? まさかここでもTMC地下で、あの地獄門で起きたのと同じことが…………?

 

 私がそう疑問に思って周囲に視線をはしらせると────。

 

「あれは…………」

 

 私の視界に女性が見えた。

 

 小柄な体に喪服のように黒いドレスに黒いストッキング、そして黒いハイヒールで、ただ胸元のリボンだけが鮮やかすぎるほど赤い。

 

 そんな銀色の髪をした赤い瞳の若い女性だ。

 

 そんな周囲から異常なまでに違和感を発してる女性が私たちの方を見ていた。

 

 にこりと微笑んで。

 

「リ、リーパー。あれ、見えます?」

 

「あれってなんだ? 何もないぞ?」

 

 ヤバい。ヤバいです。ついに見えちゃいけないものが見えちゃった感じです!

 

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