TS薄幸白髪赤瞳超絶カワイイ超能力美少女がサイバーパンク世界を行く   作:第616特別情報大隊

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ヘロディアの娘//異形の群れ

……………………

 

 ──ヘロディアの娘//異形の群れ

 

 

「カンタレラ。化け物が溢れている研究室までナビしてくれ」

 

『正気? あそこに飛び込もうっての?』

 

「至って正気だ。早くしてくれ」

 

『あんた、どうかしているよ』

 

 カンタレラさんは盛大にため息を吐くと、私たちのARに見取り図を表示。

 

『ナビを開始する。言っておくけど無人警備システムはまだ乗っ取ってないから、タレットやドローンで援護はできないよ』

 

「大丈夫だ。問題ない。やつらに似た存在は前にも殺している。数が違うだけだ」

 

 リーパーは自信満々ですね。

 

『では、そこを出て。粒子加速器までナビする』

 

 私たちはカンタレラさんの指示に従って佐久間研究室を出ると、粒子加速器のある実験施設に向けて進んだ。

 

 研究所内では赤色灯が点滅し、警報がずっと響いている。

 

 だが、この付近にはやはり人気がない。警報以外は静かなものです。

 

「リーパー。まだ敵の出てくる感じはなさそうですか?」

 

「ないな。ここら辺にはまだ誰もいないらしい」

 

 私の問いにそう答えながら、リーパーはずんずんと前に進んでいく。

 

 彼はこの不気味な警報や悪魔などまるで怖くないと言うように平然としている。いや、むしろ彼はとても楽しそうです。

 

「止まれ」

 

 それから暫く進んだときだ。リーパーが不意に私を制止した。

 

「敵ですか?」

 

「ああ。来るぞ。備えろ」

 

 リーパーがそう言って真剣な表情で見つめる先には大きな金属製の扉があり、その扉がゆっくりと開くと──。

 

「た、助け──」

 

 ひとりの白衣の男性が這いずるようにして出てきたかと思うと、次の瞬間その男性が血の霧と化した。粘着質な音が響き、周囲に血がまき散らされる。

 

 そして、そののちに扉を潜って現れたのは巨大な化け物だ。

 

 鋭い角を2本頭部に備え、グロテスクとしか言いようがない顔の造形。その赤黒い皮膚にはびっしりと文字のような意匠の入れ墨が刻まれていた。

 

 そんな体長3メートルあまりの化け物が私たちの方を向いた!

 

「き、来ますよ、リーパー!」

 

「それを期待してたんだよ」

 

 リーパーは悠然と前に進み、化け物は雄たけびを上げるとリーパーに向けてずんずんと進んでくる。

 

 そして両者の間合いに入る手前で立ち止まり、にらみ合う。

 

「来いよ、不細工。ちっとはマシな顔にしてやる」

 

「オオオオオオオオォォォォ────ッ!」

 

 リーパーが挑発すると化け物は一気に突撃!

 

「ははっ! 楽しくなりそうだ!」

 

 リーパーはその突撃を正面から受け止め、まずは化け物の振り下ろした右腕を叩き切った。切断面からどす黒い血が舞い飛び、化け物がさらに気味の悪い雄たけびを響かせながらリーパーを左腕で狙う。

 

「意外と雑魚だな? 立派なのは図体だけか?」

 

 リーパーはその左腕も切り落とし、そのまま化け物に思いっきりタックル。

 

 衝撃で化け物がぐらりと姿勢を崩す中でリーパーは大きくジャンプし、化け物の体を駆けのぼる。

 

 そして────。

 

「あばよ、不細工」

 

 化け物の首をあっさりと刎ね飛ばしました!

 

 リーパーは刎ね飛ばされて地面に落ちた化け物の頭を右足で踏み、そのまま完全に踏みつぶしてしまった。

 

「ふん。まあ、こんなもんか。いつもとは違う戦い方ができて楽しいが、もう少し歯ごたえがほしいな」

 

 なんとまあ。彼は酷く余裕そうです。

 

「この調子でさくさく行こうか。ツムギ、お前も雑魚は殺っちまえ」

 

「了解」

 

 リーパーがそう言い、私は頷く。

 

『リーパー。さっき開いた扉に入って。そこから少しばかり進めば問題の粒子加速器がある実験室だよ』

 

「オーケー。保安部の動きはどうだ?」

 

『かなり混乱しているし、損害も酷い』

 

「いい知らせだ。獲物を独占できる」

 

 カンタレラさんの報告にリーパーはにんまり。

 

 どうかしてますよ、この人。

 

 それから私たちは再びカンタレラさんの指示に従って、粒子加速器実験室を目指した。ラジエーションハザードマークなどの各種警告が記された鋼鉄の扉を潜り、私たちは研究所内部を進む。

 

「銃声……!」

 

「保安部が動いているみたいだな」

 

 けたたましい銃声が研究室の奥の方から聞こえて来たと思えば、次の瞬間には悲鳴が響いている。

 

 研究所が戦場になっているのは間違いなさそうです……。

 

「で、でも、このまま進むと保安部と化け物の戦闘に巻き込まれませんか?」

 

「気にするな。賑やかしのNPCが増えるだけだ」

 

「NPCじゃないんですって……」

 

 リーパーは気にせずどんどん前進するので私も慌てて続く。

 

「────撃て、撃て!」

 

「畜生、畜生! 全然効いてないぞ!」

 

 私たちが進んだ先では予想通り、富士先端技術研究所の保安要員が銃火器で化け物たちと戦闘中でした。彼らはバリケードを構築して、警備ボットなどともに化け物に向けて発砲している。

 

 機関銃などもけたたましく銃声を響かせる中で、化け物たちが保安要員に迫ってくる。どういうわけか化け物には銃弾が効いている気配が全くないのですが……。

 

「うわああああ────」

 

 そこでバリケードを炎が襲い、保安要員が一瞬で壊滅。

 

 彼らの黒焦げになった死体を踏みつぶして、新手の化け物が姿を見せた。

 

「オオオオオオオオォォォォウ────ッツ!」

 

 それは中世の騎士のような黒い甲冑に身を包んだ巨人で、骸骨やミイラのような頭部と体を有し、その手には真っ赤な炎に燃える剣を手にしていた。

 

 その化け物がその剣を振るうとそこから火炎放射器のように炎が伸びる!

 

「こいつは面白そうだな」

 

「気を付けてくださいね、リーパー! 敵は何をするか分かりませんよ!」

 

「だから楽しいんじゃないか」

 

 私が警告する中で、リーパーは炎の剣を持った騎士に突撃。

 

「どうやら私も見てばかりとはいかなそうです!」

 

 騎士の化け物の後ろから、ゾンビのような風体になった無数の人間が押し寄せてくる。身にまとっている白衣や保安部の制服からして、彼らはゾンビに変えられた人間なのかもしれません。

 

 ですが、今はどれも敵と言うだけです!

 

「てりゃあ!」

 

 私はゾンビ集団を炎で包み、ゾンビが炎の中でもだえる。しかし、これでもとどめを刺すまでには至っていない。

 

 私は近くにあったコンクリート片や金属片、銃弾などをありったけ宙に浮かべて、それらを纏めてゾンビたちに叩き込んだ。

 

 しかし、油断はしない。先ほど化け物たちに銃弾が効かなかったのを見ているのです。だから、私はただ叩き込むだけではなく、ミキサーにでもかけるようにして、ゾンビたちをミンチに!

 

 ぐちゃぐちゃのミンチに変えられたゾンビは残らずダウン。

 

「リーパー! そっちは!?」

 

「もうすぐ片付く」

 

 リーパーは騎士の化け物と激しい剣戟を繰り広げており、騎士の化け物は追い詰められていた。

 

 騎士の化け物は身を守るのに精いっぱいで、主導権を完全にリーパーに握られてしまっている。ときおり炎を放つも、未来が見えているリーパーは当たらない。

 

「そろそろ終わりにするか」

 

 リーパーは騎士の化け物に一瞬で足払いを仕掛け、バランスを崩した騎士の化け物の首に一閃。騎士の化け物の首が飛び、やはり黒い血が流れて、騎士の化け物は血の海の中に沈んだ。

 

「ユニークな敵が多いのは楽しめる。これはいいな」

 

 そして落ちた首をリーパーは踏みつぶして笑った。

 

『リーパー。急いだ方がいい。さっきから粒子加速器実験室にある赤い空間を見ているけど、じわじわと大きくなっている。このまま放置していたら、どうなるか……』

 

「ああ。時間制限付きのミッションってわけだな。急ぐとしよう」

 

 カンタレラさんから警告を受け、私たちは粒子加速器実験室に急ぐ。

 

「前方にさらに敵です!」

 

「数は多いが大したことはなさそうだ。切り抜けるぞ」

 

「合点!」

 

 私は先ほどゾンビたちをミンチにしたコンクリート片などを化け物たちに叩き込み、八つ裂きにしながら押し進む。

 

 ゾンビや最初に戦った巨人、さらには目玉の化け物などが次々に押し寄せるが、私とリーパーは嵐のようにそれを斬り裂いて突き進んだ。

 

「見えてきましたよ! あれが……!」

 

 私たちの視界に無人警備システムで見た赤い空間が捉えらえた。

 

 それはカンタレラさんが言っていたようにじわじわと実験室内に広がり、その度に地獄の亡者が奏でるような不気味な唸り声が響く。

 

 そして周囲には硫黄の臭い。

 

 

 あれが科学的に観測された地獄の一部なのだろうか…………?

 

 

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