TS薄幸白髪赤瞳超絶カワイイ超能力美少女がサイバーパンク世界を行く   作:第616特別情報大隊

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肝試し//カンタレラ

……………………

 

 ──肝試し//カンタレラ

 

 

 カンタレラさんからそのお誘いが来たのは、エージェント-27Uに対処した仕事(ビズ)から7日後のことだった。

 

「カンタレラから遊びに行かないかという誘いが来ている。どうする?」

 

「カンタレラさんから?」

 

 私はリーパーの言葉に首を傾げる。

 

「具体的にどこに遊びに行くんですか?」

 

「それは着いてのお楽しみだそうだ」

 

「面白そうですね。仕事(ビズ)もないですし、行きましょう」

 

「オーケー。早速カンタレラの家に行くぞ」

 

 こうして私たちはカンタレラさんの誘いに乗ることにし、リーパーのSUVでカンタレラさん宅へ向かう。

 

「リーパー、ツムギちゃん。来るだろうって思ったよ」

 

「なあ、どこに遊びに行くんだ? それともまだ内緒か?」

 

「内緒だけど、事前に伝えておくべきことがある。ちょっと危ないよ」

 

「危ない、ね。それは楽しみだ」

 

 またリーパーの悪い癖がでてきちゃいましたよ。アドレナリンジャンキーなところ。

 

「じゃ、あたしの車で行こう。運転するから」

 

「了解だ」

 

 どうやら本当に行く先は最後まで内緒らしく、車の運転もカンタレラさんがやることになった。

 

 カンタレラさんの車はリーパーのものよりお手頃価格のSUVで、一応オフロード対応のそれであった。私は後部座席にリーパーは助手席に座る。

 

 私たちを乗せた車はTMCの高速道路に乗り、TMCの郊外に向けて進んでいく。

 

「随分と寂れた場所に来たな」

 

「目的の場所は無人だから」

 

「無人?」

 

 郊外にある無人の場所……? そこでどう遊ぶのでしょうか……?

 

「そろそろだよ」

 

 TMC郊外も郊外の荒れ果てたかつての都市。その跡地にある、とある建物の前にカンタレラさんは車を止めた。

 

「病院、ですかね?」

 

 看板は崩れていているから建物の名前は分からない。だが、見た感じでは病院という感じの作りに見えます。

 

「そ。病院の廃墟だよ。昔、ここに大きな精神病院があったって話。しかも、相応古い病院だったらしくてね。まあ、いろいろと昔の古い医療のやり方がまかり通っていた時代の病院らしいよ」

 

 昔の精神病院ってなんだか怖い印象がありますよね……。

 

「で、ここで何をするんだ?」

 

「それはね。肝試し!」

 

「…………?」

 

 カンタレラさんが告げた言葉にリーパーは怪訝そうに首をひねっている。

 

「なるほど。肝試しですか。確かにここは怖そうです……」

 

「でしょ? それにこの病院で昔起きた事件についてマトリクスで調べててね。とあることが分かったんだ」

 

「とあること?」

 

 怖いことみたいだけど、それでも興味はある。

 

「昔、ここで事件が起きたんだって。火事が起きて、入院していた大勢が焼け死んだという話。そのせいでここは廃病院になったとか」

 

「か、火事が…………」

 

「しかも、その火災は何の火種もないところから起きたらしくてね。そこで当時のことを調べていたら、この写真を見つけたんだ」

 

 そう言ってカンタレラさんが私たちと共有した画像には────。

 

「これは! これまで見たことのある魔法陣……!」

 

 そこにあったのは火災のあとから見つかっただろう、何か赤黒い塗料で描かれた魔法陣だった。これは間違いなくこれまで私たちが見てきた、ミネルヴァに関係している魔法陣ですよ!

 

「そうそう。もしかしたら、この病院にもミネルヴァの痕跡があるかもしれない。そう思って調べに来たんだ。肝試しも兼ねてね」

 

「要は調査か。どこに危険があるんだ?」

 

「リーパー。あんたはTMCの地下で悪魔に接触したんだろう? それならここでも悪魔に出くわす可能性はあるってことだし、それとは別にこの手の廃墟はよからぬ不法滞在者がいるものだから」

 

「なるほどな。悪魔が出てくれば楽しいんだが」

 

「あたしもこの目で見てみたいよ」

 

 う~ん。完全に物見遊山と言ったところですが、悪魔って危険ですよ……?

 

「気を引き締めていきましょうね。廃墟探索は悪魔がいなくても危険ですから」

 

「分かってるよ。では、入ってみよう」

 

 カンタレラさんは軽くそう言い、リーパーが先頭に立って病院に侵入。

 

「ふん。荒らされ放題だな」

 

 リーパーはそう言って病院の中を見渡す。

 

 あちこち落書きがされ、椅子や壁は破壊され、本当に荒らされ放題です。

 

「お化けが出そうというより、この破壊行為を行ったならず者が出てきそうです」

 

「それはそれで怖いけど。まあ、こっちにはリーパーがいるから大丈夫でしょ」

 

「そうですね」

 

 リーパーがこんな田舎のならず者に後れを取るとは思えない。

 

「全部見て回るのか?」

 

「イエス。この写真が撮影されてた場所ってのは不明だから」

 

「面白くなればいいんだがな……」

 

 リーパーは大した脅威が感じられないか、退屈し始めています。

 

「けど、こういう人がいたときのままに荒れている建物って不気味ですよね……」

 

 病院の中は確かに荒らされているが、病院が経営していたときのままのように、そっくりそのまま設備が残っている。

 

 診察室の中を見れば古いデスクトップ端末があり、椅子やベッドが置かれている。とても深く埃をかぶっているものの。

 

「分かるよ。別の世界に入ってしまったみたいな、違和感を感じるんだよね」

 

「ええ。都市伝説でも異界に入ってしまう話は多くありますし、どれも怖いですよね」

 

 この前にリーパーと訪れたTMCの地下のように、異界を連想させる空間は妙な怖さを感じさせるのですよ!

 

「どこが怖いのかさっぱりわからん」

 

 リーパーだけは私たちの意見に同意していませんでしたが。

 

「リーパー。急に周りから人がいなくなって、化け物みたいな存在だらけになったらどうです? 怖くないです?」

 

「そういうステージもあるなって感じになるな。ほら、バッドエンドのFPSのラストステージとかな。任務目標は生き残れってやつだ」

 

「はあ…………。あなたに普通の感性を期待した私が愚かでした」

 

 リーパーに怖いなんて気持ちがあると思ってはいけませんね。やつは究極のエンジョイ勢ですよ。

 

「それよりどこも大したものはないぞ。どうする?」

 

「閉鎖病棟の方を調べてみよっか? この渡り廊下で渡った先だ」

 

「了解だ」

 

 精神病院には危険な状態にある患者を入院させる場所があって、そこは普通の病院と違って刑務所みたいに封鎖されていると聞いたことがある。私たちが向かうのもそんな閉鎖病棟だ。

 

「カギがかかってるな」

 

 リーパーは渡り廊下の向こうにあるドアをガチャガチャといじったのちに、“鬼喰らい”の刃で貫き、カギを強引にこじ開けた。

 

「何だが嫌な空気になったな……」

 

 閉鎖病棟の中から何かが焦げたような臭いがする。

 

 それは私たちにここで火災が起きて、入院患者が焼け死んだことを思い出させた。

 

「だ、だ、大丈夫でしょうか……?」

 

「まだ何も起きてないだろ。魔法陣を探すぞ」

 

 私は思わず背筋に寒いものを感じるが、リーパーはお構いなしに前進。

 

 閉鎖病棟の中は別に焼けた様子などもなく、思ったより綺麗な環境になっている。ただあちこちに監視カメラと思しきものが設置されていたり、窓が鉄格子で開かないようになっていたりと物々しい。

 

「ううむ。見つからないねえ。デマだったのかな……」

 

 カンタレラさんはそんなことを言いだし、諦めかけている。

 

「けど、部屋のレイアウトとかはそっくりですよ」

 

「そうなんだよね。けど、ここのどこにも焦げた床とか天井はないし……」

 

「上の階も調べてみましょう」

 

 私はそう言って閉鎖病棟の1階から4階までを調べて回る。

 

 施錠される地域の外には売店などが普通の病院のように存在していたが、品物は一つも残ってない。ここも荒らされ放題だ。

 

 まあ、残っていたとしてもお菓子などは賞味期限切れでしょうけど。

 

「ここも空振りだな」

 

「もうちょっと粘ってみましょう」

 

「はいはい」

 

 リーパーは完全に飽きているが、私はまだミネルヴァとパラテックに繋がるかもしれないものを追いたかった。

 

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