ようこそ一之瀬がハッピーエンドを迎える教室へ   作:スカビオサ

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27話(退屈)

無人島試験 6日目 朝

 

6日目の朝は昨晩、雨が降ったからか、蒸し暑く、汗をかいた状態での目覚めだった。

かなりべたついているのが分かり、気分が下がる。昨晩の雨でハンモック組はテントに避難してきたから余計に暑い。ともかくこの蒸し暑い空間から逃れなければ。新鮮な空気を求めてテントから出る。テントの外は心なしか涼しい気がした。空は曇り空で、一雨来てもおかしくないような感じだ。

 

「おっ、起きたか、おはよう!」

 

柴田君が元気に声を掛けてくる。こんな最悪な環境だと言うのに元気なものだ。

 

「うん、おはよう。元気だねえ」

「何、年寄りみたいなこと言ってんだよ。今日がほぼ最終日みたいなもんだしさ、楽しんでいこうぜ」

 

陽キャや、仲良くなって忘れてたけど、やっぱ僕とは別の人種だ。

 

「僕は正直、もう帰りたいけどね」

「なんでだよ、こういうの楽しくないか?みんなで一緒に何かするのってさ。日頃、関わらないやつとも喋れるしさ。しっかりしてくれよ。リーダー!」

 

そう言って僕の背中を叩いてくる。

 

「リーダーは帆波さんでしょ?」

「ああ、それはそうなんだけど、俺からしたら木之原もリーダーなんだよな、金田の時もさ、結構よかったぜ。一部のやつは引いてたけどな」

 

一部は引いてたんかい。まあ、結構役に入ってたというか、追い詰めるの楽しかったからな。

 

「あの時はありがとね。柴田君がしっかりと撮影してくれて助かったよ」

「まあな。俺の取り柄って身体能力だし?ああいうときは任せてくれよ!」

 

木登りって案外大変だからな。子供のころは良くできたものだと本当に思う。今も理屈で言えば出来るのだろうが、少し自信は無い。

二人で話していると、みんなが続々とテントから出て来た。

 

「よっしゃー、みんな今日もやるぞー!」

 

柴田君が気合を入れている。このクラスだと見慣れた風景だ。でもこれが有り難い。

一之瀬さんが食料集め、スポット占有などそれぞれに仕事を割り振っていく。この辺りは今までの流用だ。

僕はと言うと、今日もリタイア観察だ。最終日前日、そろそろ状況が動いていくはずだ。

 

雨が降りしきる中、僕は森に身を潜め、リタイア地点を観察していたが、面白い光景が見れた。

伊吹さんがリタイアをして、少し経った後、堀北さんを抱えた綾小路君がやってきたのだ。堀北さんは意識を失っている状態だ。なるほど…リーダー交代か?

 

堀北さんは担架で運ばれ、客船の中へと消えていった。綾小路君はキーカードを教員に渡したが、新しいものは受け取らず、帰って行った。雨で視界が悪く、距離もあり、細かいところまでは見えなかったが、リーダーは綾小路君になったということか?いや、Dクラスのリーダーは当てないという契約を結んでいる以上関係ないか。

さてと、明日の点呼まで頑張りますかね…

 

 

 

 

 

無人島試験最終日 正午

僕たちは初日に降ろされた浜辺にて集計結果を待っていた。A、B、C、Dと順に並んでいるが、Cの列には龍園君しかいなかった。

髭も伸び放題、ジャージも汚い、彼らしくない装いだが、それでもその姿からは圧を感じた。

 

『ただいま試験結果の集計をしております。暫くお待ち下さい。既に試験は終了しているため、各自飲み物やお手洗いを希望する場合は休憩所をご利用下さい』

 

そのようなアナウンスが流れると、こぞって、みなが休憩所の方へと動き出した。気になる龍園君はDクラスに絡んでるみたいだ。僕も休憩所で水でも貰うか。流石に喉乾いたな。というか疲れた。ふらふらと歩いていくと、葛城君がやって来た。

 

「随分と疲れているようだが大丈夫か?」

「ああ、ちょっと寝てなくてね。かなり眠い」

「そ、そうか…こんな状況で言うのも何だが、俺はまたAクラスに返り咲くぞ」

「そんなに今回の試験は自己採点良かったかい?」

 

ああ、眠い。

 

「そうだな、見落としが無ければといったところか」

「そいつは良かったね」

 

眠い。本当に眠い。

 

「ふああ…」

「本当に眠そうだな。客船に戻ってからは十分に睡眠を取るんだぞ。ではな」

 

そう言って彼は去っていく。本当に良い人だ。でも安心した。やっぱり脅威にはならない。

 

立ちながら寝ていると、キィンと拡声器のスイッチが入る音が砂浜に響いた。並ぶか。

そう思って移動しようとすると、真嶋先生が全体を制止した。

 

「そのままリラックスしていて構わない。既に試験は終了している。今は夏休みの一部のようなものだ、つかの間ではあるが自由にしていて構わない」

 

周囲はそれでも緊張しているようだ。実際、どれだけの点数が残っているかなんて結果を聞かないと分からないからな。やっぱり心配なんだろう。

 

「この一週間、我々教員はじっくりと君たちの特別試験への取り組みを見させてもらった。真正面から試験に挑んだ者。工夫し試験に挑んだ者。様々だったが、総じて素晴らしい試験結果だったと思っている。ご苦労だった」

「ではこれより、端的にではあるが特別試験の結果を発表したいと思う」

「なお結果に関する質問は一切受け付けていない。自分たちで結果を受け止め、分析し次の試験へと活かしてもらいたい」

 

さあ、ここからだ。

 

「ではこれより特別試験の順位を発表する。最下位は───Cクラスの0ポイント」

 

龍園君、残念!どうやら彼も予想外だったみたいだ。

「0だと?」って言ってる。

 

「続いて3位は───Dクラスの175ポイント」

 

Dクラスの方から声が上がる。想像以上の得点で喜んでいると言った感じだろうか。

 

「2位は───Aクラスの260ポイント」

 

うちはそんな感じか。ふむふむ、つまり1位は?

 

「1位は───Bクラスの402ポイントだ。」

 

爆発的な歓声が上がる。葛城君もうっすらドヤ顔だ。

龍園君もこれには驚いた様子だ。

 

なるほど、これでクラスポイントは

 

A 1350ポイント

B 1392ポイント

C 490ポイント

D 232ポイント 

 

となるのか。あらら、抜かされちゃったね。クラス変更が反映されるのは次の更新からだから、今月いっぱいはAクラスだが、来月からはBクラスだろう。まあ、過去の特別試験の傾向を見るに、夏にもう一度何かあるとは思ってるんだけどね。このバカンスの残りの1週間にやってくれると都合が良いんだが。坂柳さんいないし。

 

葛城君の方へと歩いていく。

 

「驚いたよ。まさかここまでポイントを残せるなんてね。どうやったんだい?」

 

本当に驚いているように、葛城君という英雄を引き立てるように、芝居がかった口調で話しかける。

 

「俺たちは敵だ。自クラスの内情を詳しく話すわけにはいかない。再びAクラスに戻ったんだ。このままAクラスで逃げ切らせてもらうぞ。」

 

葛城君はクラスメイトを鼓舞するように敢えて大きな声で言う。その姿はまさしくクラスを率いるリーダーだ。まだBだけどね。

 

「言うねえ。確かに葛城君が率いるクラスは強い。だけど見てなよ。次は僕たちのクラスの番だ。じゃあね。」

 

そう言って客船へと戻る。空気を読んだのか僕のクラスの面々も付いてきてくれる。わざとらしすぎただろうか。けれどこの場面は見るものにはこう映ったはずだ。当初、BクラスをAクラスへと引き上げた人物の一人、木之原葵が葛城康平を認めたぞ、とね。あるいは負け惜しみか。

ああ、早く寝たい。




Aクラス (一之瀬クラス)

ポイント残数    190
ボーナス      30
点呼失敗2回    -10
リーダー当て成功(C) 50
合計        260

Bクラス (葛城クラス)

ポイント残数     270
ボーナス       182
リーダー当て失敗(D)  -50
合計         402
特殊      Cクラスに毎月一人当たり20000ポイント支払う

Cクラス (龍園クラス)
ポイント残数       0
ボーナス         無効
リーダー当てられる(A)(D) -100
リーダー当て失敗(B)(D)  -100
合計           0
特殊      Aクラスから毎月一人当たり20000ポイント貰う

Dクラス (堀北クラス)
ポイント残数     175
リタイア2名      -60
ボーナス       15
点呼失敗        -5
リーダー当て成功(C)  50
合計         175

最終クラスポイント

A 1350ポイント
B 1392ポイント
C 490ポイント
D 232ポイント 






各クラスのポイント残数は原作準拠
Bクラスのスポット占有によるボーナスポイントは、アニメ版の2/3という調整になっています。(今作ではAクラスのことを警戒しているということで調整、アニメ版はそこまで参考にしたくは無いんですが、原作だと不明のため、この点数としました。)

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