ようこそ一之瀬がハッピーエンドを迎える教室へ   作:スカビオサ

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会話文が多いと、文章がスカスカになってしまうので、詰めました。
見にくいなどあれば、お伝え下さい。


6話(クラスのグループラインは知らないうちに出来てる)

「急に人数が増えると聞いたときは何だと思ったが、手が早いな、まだ入学初日だぞ。」

 

合流した神崎君が開口一番、僕に微笑みながら、そう告げる。そういう冗談も言うんだね。あるいはそれだけ仲良くなれたと思って良いのかな。

 

「そういう訳じゃないって。初日にしてクラスメイトとの関わりが強そうな一之瀬さんになら協力してもらえるかなって思ってさ。」

「協力?ああ、そういうことか。」

 

どうやら納得してくれたらしい。もちろん、あわよくばという気持ちも無くはないが、今回はそういう下心で誘ったわけではない。そもそも釣り合ってないからな。期待するだけ無駄だ。

 

「とは言っても、私は何も聞かされてないんだけどね。」

 

ひょこっと会話に入ってくる一之瀬さん。可愛い。

 

「詳しいことは中で話しますよ、とりあえず店に入りましょう。」

 

内心を出さないように表情を取り繕いながら、そう言って二人を誘導する。店内にはまばらだが、何グループか食事をしていた。話を他クラスに聞かれる危険性もある。人が周囲にいない席を確認し、そちらに行く。

 

「それで協力してほしいって何のこと?」

 

席について注文を終えたら、一之瀬さんがそう切り出す。

 

「勿論、説明させてもらいますけど、その前に学校のシステムについて、分かったことを共有したいと思ってます。聞いてもらってもいいですか。」

 

二人は頷く。そうして調べた成果を簡潔に共有した。

 

 

 

 

 

「なるほどね、あの言葉はそういう意味だったんだ、それにクラス対抗かー」

「すぐには信じらないかもしれないですけど…」

「いや、信じるよ。根拠もあるし、それに嘘をつくような人じゃないと思うから。」

 

そんなに自分の観察眼に自信でもあるのだろうか、あるいは人を無条件で信じられるのか。自分には無い、とびっきりの善性に心が痛む。別に騙しているわけじゃないが、推測が間違っていたら申し訳なさすぎる。

 

「木之原の考えは俺も正しいと思う。俺も寮での整理を終えた後、他学年の階で色々と聞きまわってみたが、有益な情報は得られなかった。これについては緘口令が敷かれていたためだろう。だが、他学年はCやDクラスになると席が減っていた。恐らく成績不十分などの理由で退学になったのだろう。それもクラスに配属される人間に優劣があるとすれば頷ける話だ。」

 

神崎君がフォローしてくれる。

 

「で、協力というのは、私に、この事をクラスに伝えて欲しいってこと?」

 

やはり、頭も回るようだ。自分の立ち位置を理解している。

 

「ええ、初日とは言え、一之瀬さんは多くのクラスメイトと関わりを持ってるみたいですからね。僕たちはすぐに学食に行ってしまって他のクラスメイトとは関わりがなかったので。」

「初日だし、みんなそんなものだと思うけどねー。でも、説明するときは一緒に説明してね。実際に先輩に話を聞いたのは二人なんだし、二人にしか答えられないこともあると思うから。」

「勿論、それはやりますよ。ただ今後、クラスを引っ張るリーダーは一之瀬さんにお願いしたいと考えています。仮にこれで上手くいったとしても、僕には他者を率いる才能も経験もありません。変に頼られても、期待を裏切るだけにしかならないですから。」

 

上手くいった場合、僕に功績が集中すると、僕がリーダーに祭り上げられる可能性も出てくる。それは僕も嫌だし、クラスメイトのためにもならないだろう。ここで功績を3人で分配しておけば、リスクは下がる。

 

「それは自分を卑下しすぎだろう。それに失敗したところで俺は責めたりしない。クラスメイトだってそれは変わらないはずだ。」

 

失敗続きでリーダーに文句も言えないなら、それはそれで厄介でもある。悪い方向のまま突き進むことにもなるからだ。

 

「まあ、みんな良い人そうだったからね、でも身の丈以上のことはしないって決めてるんだ。」

 

別に過去に重い何かがあった訳じゃないけどね。けどそうやって言っておけば、勝手に察してくれるでしょ。

 

 

「そうか、すまない、ずけずけと。木之原がそう決めているのなら、俺から何か強制することはできないな。」

「そういう訳で、お願いできますか?一之瀬さん?」

「うん、もちろんだよ。任せて。」

 

その後は届いた食事を食べながら、今後の方針について更に詰めていった。

 

一先ず、これまでの推測を星之宮先生に聞いてみる。それで確信が持てたら、そのまま自信をもってクラスに伝えればいいし、仮にはぐらかされても、推測と前置きしたうえでクラスに伝える。推測とは言え、確度は高いし、聞く耳を持ってくれる人も多いだろう。この点はBクラスの民度の良さに感謝だ。

 

それと一之瀬さんとも連絡先を交換し、出来たばかりのクラスのグループチャットとやらにも入れて頂いた。やっぱりこういうのって知らない所で出来てるもんなんだよな。本当に頭が上がらない。

 

 

 

 

 

学校2日目、僕たち3人は朝のホームルーム前に星之宮先生のいる職員室を訪ねていた。

 

「あれ?3人ともどうしたの?何かあった?」

 

僕たちの方に近づきながら声を掛けてくる。

 

「はい、この学校のシステムについて聞きたいことがありまして。」

 

僕が代表して答える。これについては二人の推薦だ。

 

「今、質問しても問題ないですか?」

 

朝のホームルームまで時間はあるが、一応確認をとっておく。

 

「ホームルームまで、まだ時間あるから大丈夫よ。」

「では遠慮なく質問させていただきます。まず毎月10万ポイント振り込まれますか?」

 

こんなのは前提の確認だ。一つ一つ穴を潰す様に聞いていく。

 

「ごめんね、それについては答えられないの。毎月1日にポイントが振り込まれて、今回10万ポイント振り込まれているとだけ。」

 

やはり、教師も同様にシステムについての詳細な口外は禁止されているか。

 

「いえ、では次に振り込まれるポイントはクラスごとですか?」

 

そう言うと、先生は驚いたように少し目を見開いた。

 

「そうね、それについても言えないとしか。もしかしたら私には殆ど答えられることが無いかも、ごめんね。」

 

確信を得ることが出来れば、安心ではあったが、言えないという事自体がヒントでもある。推測は殆ど合っていると言っていいだろう。

 

「一応、質問を続けますね。クラスはAからDへと成績順に配属されている。クラス間の競争が行われており、希望する進学、就職を叶える権利はAクラスのみに与えられる。クラスに支給されるポイントはクラスに所属する個人の成績、素行により決まる。答えられるものがありますか?」

「ごめんね、どれも答えられない。ねえ?先輩から聞いたりした?」

 

どうやら怪しまれているらしい。結構当たってたのか?

 

「いえ、色々と質問はしましたが、どれもはぐらかされるばかりで詳しくは全く教えてくれませんでしたよ。」

「そっか、今年の子はみんな優秀ねー」

 

今年の子はみんな…?

 

「そろそろ時間だし、教室に向かいましょうか。」

 

どうやら、ここまでのようだ。気になることが出来てしまったが、必要な事は聞けた。あとはクラスへの働きかけだ。

 

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