悪の化身の英雄賛歌   作:wakawaka

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悪神と一人目の眷族

 「ロクデナシ」そう言って私を笑った友が私にはいた。

 

 子供の頃、私には友達が居なかった。国の郊外で育った私にはそれなりに同世代の子達がいたがどうしても馴染むことが出来なかった。そのため村にいるのが苦痛だった私は当然のように村の外に興味を持つようになった。

 

 そして、私は15歳なると両親の制止を振り切って、目を掛けてくれた行商と一緒に村を出たのだ。この時は本当に夢と希望に満ちあふれ世界に感謝するしていた。だが、そんなにこの世界は甘くなど無かった。

 

 行商人が私に目をかけてくれていたのは私の容姿が良かったからであり、()()()()()目的で連れ出してくれただけだった。私はそこで村から出てきたことを後悔することになった。私は行商人から逃げて自らの力のみで生きていくしか無くなったのだ。

 

 そこから先は私は生きるために色々な事をした。最初は自らの容姿が良いことをだしに旅人に近づき金銭を盗んだ。旅人から追われひどい目をみそうになったが運良くモンスターと遭遇しそれを旅人に押しつけて事なきをえた。

 

 ・・・そのお金でありつけたご飯はとても食えたものじゃなかった。

 

 その後も生きるために盗み騙し物を得てはどことも分からない場所を放浪した。私が出来たことは精々人通りがある道を行くことだけだった。

 

 ・・・もう、その頃には美味しい食事なんか出来なくなっていた。

 

 そんなある日、私はついに失敗した。とある神の眷族でありレベルアップを果たしていた旅人から金銭を盗んでしまったのだ。当然すぐに捕まった。私はひどい思いをすることになるであろう事を覚悟した。

 

 だが、私にはそれが自分自身への当然の報いのように思えた。

 

 しかし、そうはならなかった。その主神は優しい女神であり私の話を聞くと商人としての知恵と「神の恩恵」授けてくれたのだ。そこからは私はその女神様に付き従った。行商で得たお金で食べた食事は特に変わった物ではなかったのに涙がでる程美味しかった。

 

 私はこのままこの女神様と共に生きていこうと思った。同じ行商の仲間でありファミリアである同僚達ともそれなりに仲良くやれていたと思う。愛すべきファミリア、愛すべき女神様。私はえてして幸福の恩恵を受けることができた。

 

 だが、そんな幸福はそれほど長く続かなかった。あるとき私達のファミリアは竜の谷近くの村に行商しに行った。危険も多かったため私達は冒険者を雇い行商に出た。

 

 私達のファミリアにもレベルアップを果たした武闘派が3人いたためつつがなく事を終えられるはずだった。

 

 しかし、その時、不幸にも竜の谷が()()()

 

 「竜災」この地で生きる人々であれば皆一度は聞いたことがある絶望の災害。どれだけ用心深く生きていようと人の身で竜に抗う力を持つ者は限られた極々僅かな強者だけだ。そんな災害が私達を襲った。

 

 まず始めに雇った冒険者が逃げた。当然だ。野良のモンスターと竜では訳が違うんだから。戦線はすぐに崩壊し村も土地も人も竜の動き一つでたやすく壊されていった。

 

 私は、すぐに決断した。この身を仲間のために捧げると、我ながらこの決断が出来た自分が誇らしかった気がする。積んでいた武器をなりふり構わず投げた。注意を引き囮になれば少しでも仲間が逃げられる時間が稼げると思ったのだ。

 

 しかし、私はあっけなく爆発に巻き込まれて吹き飛ばされた。

 

 その後に起こったことを私は見ていない。だが、私は自分が恩恵を失っていることに気付いた。救援に来てくれた冒険者に聞けば助かったのは私だけであるという事だった。運良く瓦礫の陰にいたおかげで他のモンスターからも見つからなかったらしい。

 

 すぐに私も仲間の救助に参加しようとしたが、既に全て終わっていた。あるのは燃えカスと人であったあろう肉塊だけだった。より詳しく話しを聞けば神の送還が確認されており、その送還の力によって一時的にモンスターを遠ざけられたらしい。

 

 私は一人啼いた。

 

 私はファミリアの墓を作った。その後、亡くなったファミリアを思い出すように一人で行商を続けることにした。

 

 当然一人で上手くいく訳が無かった。

 

 商品も金銭も多くが災害で燃え尽きていたため蓄えもなく残っていた物もすぐに尽き、私に残ったものはと言えば壊れた馬車と少しの金銭だった。

 

 もう死のう。

 

 そう思っていた時だった。私が力尽きようとしていたとき、目の前に全身黒い少年とも青年とも言えない男が現れた。そして、

 

「キヒヒヒヒヒ!おい!嬢ちゃん!俺の眷族にならねえ?」

 

 死にかけの私を腹をかかえて笑いながらその悪神はそう言ってきた。

 

 これが私と後に友人となる悪神の最低な出会いだった。

 

 

◆◆◆

 

 

 

「いいぞ。通れ!」

 

 オラリオでアンリマユとロキの戦争遊戯が決まった翌日もガネーシャファミリアの憲兵達は変わらず門番の仕事をこなしていた。一つの馬車がやって来る度に中身をしっかり確認し、怪しい者、危険な者は絶対に通さない、そんな強い気持ちが彼らを憲兵たらしめている。

 

 そんな中、一台の馬車がやってきた。その馬車び主は盲目なのか両目を包帯で覆っていた。

 

「あなたはこのオラリオに何をしに?」

 

「見ての通り市場に出ようかと・・・最近、オラリオの治安が安定してきたと聞きましたので。」

 

「成る程。しかし、失礼ながら盲目のようですが誰かが一緒なんでしょうか?」

 

「いえ。実は完全に見えない訳では無いんです。」

 

「そうですか。しかし、現在、収まってきてはいますが未だに危険な場所はたくさんあります。少々危険な事もあるかも知れませんのでギルドで冒険者を雇うことをおすすめしますよ。」

 

 話していることも姿も全くもって問題ない。

 

「ああ,大丈夫ですよ。これでも私ファルナもらった身ですから。」

 

 その商人はサムズアップするように頼りないながらアピールして見せた。

 

「それは良かった!ちなみにその神はここに?」

 

 どこぞの神の眷族であるならある程度は大丈夫だろう。神々の恩恵を受ける事が出来ればそれだけで多少、強くなれるのだ。

 

「ああ、大丈夫です。もう既にこの都市に入っているはずですから。・・・新聞に書いてある通りならですけど。」

 

「新聞?」

 

「ええ、この方です。」

 

 そこにはアンリマユファミリアの活躍が書かれた記事があった。

 

「「「「!!」」」」

 

 その瞬間彼らの警戒度は跳ね上がった。

 

「少々お待ちください。」

 

「あ、はい。」

 

 

「急いでアンリマユファミリアの者に確認を取れ!孤児院かディアンケヒトの所にいるはずだ!」

 

「スパイの可能性もある!備えを徹底しろ!」

 

 彼らは必死なのは、アンリマユファミリアが闇派閥であることも理由だが、以前に実はアンリマユファミリアの関係者を名乗り悪事を働く者が出たからである。彼らはすぐに嘘だと判明したため大事にならなかったが、もしこれが明るみに出ればあのファミリアは何をしでかすか分からないためアンリマユファミリアの扱いは全体でも特別扱いになっていた。

 

「居ました!」

 

「クロさんが来てくれるそうです!」

 

 鬼が出るか蛇が出るか憲兵隊は自然と武器を握る力が強くなっていた。

 

 

 

 

「誰です?この人?」

 

「やはりなりすましですか・・・。」

 

 判定は黒。その瞬間彼らは迅速に捕縛を行おうとしたとき、

 

「いやいやいや!なりすましじゃありません!」

 

「はいはい。要件はこちらで。」

 

「待ってください!ステータス見せますから!」

 

 そういって彼女は服を持ち上げ背中を見せた。そこには確かにアンリマユのマークが刻まれていた。

 

「「「「「な!!」」」」

 

 クロを含めてガネーシャファミリア達も驚いていた。

 

「本当にアンリマユファミリア?」

 

「私、知りませんよ?」

 

「・・・はあ。だと思いました。まあ、多分野垂れ死んでるかあるいは本当に忘れ去られてしまってるだろうなあ。と思っていましたとも!」

 

それはもう、拳を握りしめながら商人は恨み辛みを吐いていた。

 

「・・・ちなみにいつあなたは主様の眷族に?」

 

「主様?・・・あの神、そんな呼び方させてるの?」

 

 急に素になる商人。

 

「・・・(絶句)」

 

「あれを主かあ。まあ確かに神様だもんなあ。敬わなくちゃいけ・・・敬う要素あった?」

 

「ありますよ!!」

 

「「「「・・・(唖然)」」」」

 

 都市の憲兵は唖然として見守るしか出来ていなかった。

 

「・・・まあ、良いでしょう!要件は変わりません。クロさんあなたもあいつの眷族なんですよね?」

 

「主様をあいつ呼び?」

 

「失礼しました。アンリマユ様の眷族なんですよね?」

 

「・・・そうですが?」

 

「分かりました。こちらの荷物、ファミリアのために使ってください。」

 

 そう言って積み荷の一部を鞄に積み込みクロに渡した。

 

「どういうつもりです?」

 

「アンリマユファミリアが私のファミリアであることには変わりありません。その後輩がいるならばお土産を持ってくるのが礼儀でしょう。そう!先輩として!」

 

「・・・先輩?」

 

「はい!なにせ私がアンリマユファミリアの最初の眷族です!」

 

 商人は宣言する自分がこの悪のファミリアの始まりだと。

 

「・・・私てっきりエヴァが最初かと・・・。と言うか、そういうことなら今まであなたはどこでなにを?」

 

「・・・その、まあ、いろいろと。」

 

「・・・あなたも眷族ですよね?」

 

「まあ、そうなんですが・・・。」

 

「まあ、良いです。では、参加してもらいますよ。」

 

「はい?」

 

「戦争遊戯。」

 

「うぉーげーむ?」

 

「ファミリア同士の戦いです。まあ、簡単に言うと神々の代理戦争なんですけど。」

 

「はい、あの知ってます。ですが、あの、私見ての通り非戦闘員なんですが?」

 

「関係ありません。ただでさえ人手不足なんです。」

 

「あの、ちょっと!私対戦相手も知らないですし、それにあなた達だけで勝てますよね!?」

 

「・・・相手はロキファミリアですよ?」

 

「はあああああああ!?」

 

「正気ですか!?率いているのはあの勇者なんですよ!?」

 

「ええ、でも勝ちます。」

 

「あの!私!商人!」

 

「行きますよ。」

 

「そんな~。」

 

 あっという間に連れて行かれる商人。

 

 憲兵達は何もできずにその哀れな背中を見送った。

 

「あの、良かったのでしょうか?」

 

「仕方ないだろう。アンリマユファミリアには我々も関与できない。だが・・・」

 

 そこにはその商人が書いた手続き書があった。

 

「急ぎ、団長に報告だ!ギルドにも使いを出す!加えてあの商人にはこっちから護衛をだす!絶対にあのファミリアを暴走させるな!」

 

 もし、あの商人に何かあればまたこのオラリオは暗黒期まっしぐらだ。それは絶対に阻止しなくてはならない。

 

 憲兵達は号令と共に走り出す。

 

 全ては民衆の安寧のために、彼らはそのために戦い続けてきたのだから。

 

◆◆◆

(side アストレアファミリア)

 

 

 オラリオは沸きに沸いていた。何せあのロキファミリアとアンリマユファミリアの戦争遊戯が決定したからだ。まだ、暗黒期と呼ばれているにも関わらず酒場ではロキファミリアが勝つかアンリマユファミリアが勝つかで大いに賑わっていた。ロキファミリアのジャイアントキリングは有名だが、今回はアンリマユファミリア。都市を落としかけたファミリアが相手だ。しかも、全てが謎に満ちた3人目の存在も現れたらしい。どうなるかは誰も予想できず神々もその戦いを楽しみにワクワクしていた。そのせいかオラリオには活気が溢れていた。

 

「うん!うん!オラリオはこうでなくちゃ!」

 

「アリーゼ!油断は禁物だ。闇派閥は今は動いていないようですが確実に何かを狙っています!私達は警戒に徹さなければ・・・。あ、ミクちゃん髪を引っ張らないでだ・・・」

 

「本っ当に!頭が固えなあリオン!今この戦争遊戯を邪魔すればアンリマユファミリアに敵対することになるんだ。そんな事いくらあいつらでも渋るだろうよ!ってレイナ!盗み食いするな!」

 

「まあ、あのファミリアがこの戦争遊戯を囮にしているならば話は変わりますが・・・。ああ、待て待て今行・・・」

 

 アストレアファミリアは相変わらず監視兼、孤児院の手伝いをしていた。

 

 正確には人数をダンジョンで稼ぐ役割を4人、都市の巡回に2人、孤児院付きに4人というように役割を分担して行動していた。現状、最も警戒すべきアンリマユファミリアの監視は病院の方は何かあればフレイヤファミリアが動くため、必然的に孤児院の監視のみなのだが、中々どうしてこれが重労働。子供達は目を離せば暴走し、下手に対応を間違えれば大泣きが始まる。そのため孤児院の担当は監視もできもしものための戦闘も咄嗟にこなせる面々を揃えていた。

 

 だが、

 

「はーい!みなさーん!ご本の時間ですよーー!」

 

「「「「「「「「はーい!!」」」」」」」」」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

 日に日に増える子供達。そして日に日に増えていく仕事量。レベルアップを果たしてきたアリーゼ達を持ってしても精神的疲労は確かに蓄積していた。だが、そこにはさらなる悪魔が居る。

 

 今では働く親が預ける養護施設にもなってしまい今では30人近い子供が居る中、子供の面倒をしながら施設の改築をし始める化け物がいるのだ。

 

 その少女はアストレアファミリアが4人で回している仕事をおよそ一人でこなし、そしてさらに自ら仕事を増やしていくのだ。その結果、正義の眷族達の仕事も増えていき、もはやその仕事量は殺人的になっていた。だが、正義の眷族が悪の眷族に子守で負けた等あってはならない。そんな連鎖がこの養護施設の評判をうなぎ登りに上げてしまったのだ。

 

 その結果、施設に子供を預けたいという者達が増加。できるだけ逼迫している家庭を中心に預かっているが、それでも応募は後を絶たない。

 

 その評判により寄付金の量も大幅に増加したため財政はむしろ好転しているが、仕事状況はブラックまっしぐら。そんな中アンリマユファミリアであり都市を落としかけた最凶の片割れは嬉々として孤児院の先生に精を出し、アリーゼ達も負けじと仕事をこなす。そんな状況が続いていた。

 

「まあ、闇派閥が暴れるより100倍ましだがな。」

 

「そうね!血が流れるより、今の方が、全然、良いわ!」

 

 子供達を高い高いして楽しませるアリーゼは疲労を見せながらどこか嬉しそうに答えた。

 

「・・・何か疑ってるこっちが悪い気分になるんだが。」

 

「私もだライラ。」

 

 企み事に強いアストレアの眷属2トップは既に匙を投げていた。朝から晩まで彼女は本当に献身的に子供達の世話をしていた。それはもうアストレアの眷属達よりも面倒見がよく慈愛に溢れており、子供達の人気も凄まじくこっちが根負けしていた。

 

「これだけ他人を幸せに出来る人がどうして、闇派閥に・・・。」

 

「まあ、確かに気にならないって言ったら嘘になるけど、まあ、色々あんだろ。」

 

「・・・リオン。下手に詮索するのはマナー違反よ。」

 

「分かっています!ですが・・・。」

 

「安心しろ。それはこっちの領分だ。お前はお前のまま適当にやってればいい。」

 

「・・・分かりました。では私はそろそろ例の3人目の方に行きます。」

 

 新しく都市に入ってきた3人目のアンリマユファミリア。聞けばその商人がアンリマユファミリアの1人目の眷族らしく、そのため多くの注目を集めていた。その対処に人員が必要になったのだ。

 

 リューは素早く着替えてその応援に向かわなくてはならない。

 

「おうよ。」

 

「頑張ってリオン!」

 

そういってアストレアファミリアの末っ子は走り抜けていく。

 

「・・・それにしてもこれほど余裕ができるとは。」

 

 仕事量は殺人的だが、精神的余裕は1ヶ月前とは雲泥の差であった。アンリマユファミリアが訪れて1ヶ月。いつまた戦争状態になるかという精神との戦いが続いた中、日に日に被害は減少。加えて、アンリマユファミリアが巡回に加わったことでついにその活動が沈黙。闇派閥とは一体・・・?

 

 その他にもフレイヤファミリアの信用失墜などといった明らかにアンリマユファミリアが故意に何かを仕込んでいるだろう案件があるがどれもアストレアファミリアが剣を抜く程にはなっていなかった。

 

「良いことじゃない!輝夜!私達はこういう日常を求めて戦ってきたんだから!」

 

「はあ、うちの団長は相変わらずだぜ・・・。」

 

「だがまあ、確かに・・・。」

 

 オラリオが負ってきた傷は余りにも大きかった分この一ヶ月という間の闇派閥の活動の不自然な停滞は戦ってきた多くの者に希望を見せた。アンリマユファミリアを新しい英雄の候補としてみなす記事も出回る程だ。

 

「だけどよう、今回の戦争遊戯、原因あの人形姫だろう?」

 

「ライラ!そういう事は言ってはいけないわ!」

 

「だが、彼女を奪い取るアンリマユファミリアの理由が分からん。まあ、体目当てといったゲスな考えも考えたが、どうにも腑に落ちん。」

 

「まあなあ、あの働きぶりと献身ぶりを見ちまうと、そんなことすれば切られるのは神様の方だろうしな。」

 

 明らかにクロの「子供達」への対応は常軌を逸している。子供好きからくる行動とも言えるが、それにしてもレベル1ができる仕事量では絶対にない。だが、それを可能にするその少女の精神力にある意味恐怖をアリーゼ達は感じていた。異常なまでの執着とも言えるほどの徹底した仕事ぶり、面倒を見る子供の数が増えたのにも関わらず仕事の量を自分から増やし実行していく行動力。それは、以前から子供達の面倒を見ていたシスターですら舌を巻くほどだ。

 

 彼女の過去に一体何があったのだろうか・・・?

 

「とすると、他に何かあの神を刺激する要素があるのかも知れないわね・・・。良し!当人達に聞いてみましょう!」

 

「「はあ!?」」

 

「クロー!今、良い?」

 

「?まあ、大丈夫ですが?どうかしましたか?」

 

 あっけからんとした態度でクロは応じた。

 

「今度あなたたち戦争遊戯するじゃない?何が原因で戦争遊戯になったの?」

 

「・・・別にあなた達には関係ないのでは?」

 

「まあ!そうね!でも気になるわ!」

 

 アリーゼはキラキラした瞳でクロに迫った。

 

「はあ、・・・あなた無敵ですか?」

 

 早々にクロはしらばっくれるのを諦めた。

 

「・・・ただの主様の発作ですよ。」

 

「発作?」

 

「あなた達もアイズ・ヴァレンシュタインという女の子を知っているでしょう?」

 

「そりゃあまあ。」

 

「だからこそ解せんのだ。」

 

「別にそんなに疑わなくていいですよ。あの「アイズ」という少女が普通の子だったらそもそも主様が気に入る訳がありません。ですが、あの子にはその何かがあったという事なんでしょう。まあ、私は知りませんが。」

 

「・・・そういうこと。でも、あなたロキファミリアに行った主神に殴り込みに行ったって聞いたわよ?」

 

「・・・私は仮にも孤児院の先生ですので。」

 

「ふうん。やっぱりあなた良い人ね!」

 

「・・・私は闇派閥ですよ。」

 

「それ、エヴァさんも言ってたわ!」

 

「言ってたな。」

 

「まるで説得力ないよな。あの騎士様。」

 

 他の2人もいつの間にか会話に混ざってきた。

 

「・・・ただのポンコツですよ。あの英雄は」

 

 エヴァ・リンクスそう名乗り、今は病院で看護士をしている女性をアリーゼ達は頭に思い浮かべる。

 

 あの1ヶ月前の襲撃から始まった関係だが、接している内に当の本人はどこまで行っても善人で英雄だということが分かった。いや、完璧すぎる英雄だった。この1ヶ月の都市の安定は彼女の存在無しで絶対にはあり得なかっただろう。

 

 だからこそアリーゼは賭けるべきか迷っていた。

 

 自分達では()()()()()()()にこの闇派閥を名乗る者達の手が届くのか。

 

「頑張ってねクロ!」

 

 そして、アリーゼは覚悟を決めた。

 

「そして決めたわ!私は、いいえ私達はクロ達を応援するわ!」

 

「「「「「・・・はあああああ!?」」」」」

 

 この瞬間、アストレアファミリア、アンリマユファミリア側で裏方参戦することが決定した。

 

 

 

 

「・・・正義の眷族が悪の眷族の応援をするのはどうなんです?」

 

 そんな、まっとうな突っ込みがあったとか無かったとか。

 

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