悪の化身の英雄賛歌   作:wakawaka

2 / 25
悪神と愉快な日々

『オラリオ敗北』

 

このニュースは世界中を駆け巡った。それは正に人類の敗北に王手が掛かったことを意味しているからだ。そのためオラリオ救出のため世界中の国家、善神の率いる神々、そして学区にいる者達にも届いた。

 

「お呼びでしょうか?バルドル様。」

 

「話は知っていますね。レオン。」

 

オラリオ最強、オッタルと実力を二分する騎士。その男も届けられた内容のことを知っていた。ロキ、フレイヤの眷属達とは決して仲が良い仲間では無かったが、共に覇者達の暴力に抗い続けた者達だ。彼らの実力もその意思の強さも身をもって知っている。そして、そんな彼らが敗れたということは自分に討伐が任されるだろうと踏んでいたが・・・。

 

「はい。」

 

「そのことでより詳細な内容が届きました。」

 

「端的に言います。今回の件、学区は応援に行かず、静観します。」

 

「!!何故!」

 

いかに騎士の名を持つといえど限度がある。彼らが敗れた今、闇派閥の台頭を許したことになる。その危険性をしらぬ神ではあるまい。

 

「事情が変わりました。」

 

「その事情とは?」

 

「ロキとフレイヤを破ったファミリアの神は『アンリマユ』と名乗ったとこの紙には書かれています。」

 

「アンリマユ?聞いたことがありませんね。」

 

「ええ。なにせ彼が降りてきたのはごく最近らしいのです。まさか、彼が降りてくることは無いと私も思っていましたが・・・。」

 

「その神はどういった神なのですか?」

 

バルドルは語るべきか逡巡しながらも語るその神を。

 

「アンリマユは正しく神と定義できるかも難しい存在です。」

 

「それは、どういう?」

 

「彼はいわゆる悪の神です。」

 

レオンは悪と言われて疑問がわいた。

 

「それは闇派閥という意味でしょうか?」

 

「いいえ。であり、はいです。」

 

「簡単に言えば彼は全ての悪の肯定者です。」

 

「な!!」

 

「故に彼のその性質もそれにそったものです。私達、全知の神々であってもその詳細を知らされてはいませんがその神格だけで言うのならばその神格は大神に届きます。」

 

「それならば何故、応援を呼ばないのですか!?」

 

 もうすでにロキとフレイヤが敗れたなかそんな悪の王がオラリオのトップに達などしたら他の闇派閥と共に地獄の蓋が開かれるのは秒読みだ。なりふり構っているひまなど!

 

「アンリマユだからですよ。」

 

「それは・・・」

 

「断言しましょう。彼が地獄を開くことはありません。」

 

いつも通り神バルドルは微笑んでいた。

 

「・・・そうですか。」

 

紙の内容さえレオンは知らないが神バルドルは善き神だ。悪いようにはならないだろう。

 

「レオンこれは神としての勘ですが次に黒竜討伐の失敗は全人類の滅亡を意味します。」

 

「分っています。」

 

「恐らく彼らの協力が必要になります。」

 

「!闇派閥とですか?」

 

「いずれは、の話です。」

 

「では、オラリオは・・・」

 

「任せましょう。彼らに。」

 

「分りました。」

 

納得はいかない、といった風情を見せながらレオンは肯定した。

 

「所でレオン、竜の谷は?」」

 

かくしてオラリオの未来はオラリオにいる者達に委ねられた。

 

 余談だが、レオンが竜の谷で3人組の冒険者を助けているのだが、彼らがアンリマユファミリアだったと明らかになるのはそこから数分後のことだった。レオンがアンリマユをデリバリーしたことが明らかになりちょっとした内戦が起こるのだがそれはまた、別の話である。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 「愚者」フェルズは生まれてきて1、2を争う足の重さに必死に耐えていた。

 

 突然のオラリオ襲撃そこから始まったオラリオの攻防戦ガネーシャ、ロキ、フレイヤと都市の最高戦力が揃ってなお一人になぎ倒され、他の冒険者も聖女を含め精神攻撃の前に敗北し、撤退を余儀なくされた。死者はほとんど出ていないことから、手加減されていたことは明白。事実上たった二人にオラリオは敗北したのだ。

 

「まさか、こんな日が来るとは・・・。」

 

 現在フェルズはウラノスの使者として悪神の仮住まいとされる所に来ていた。

 

「情報にあればこのあたりか?」

 

「クロ姉こっちー!」

 

 そんな時、子供達の声が響いた。

 

「ほう・・・」

 

 なにやら子供達が遊んでいるようだ。今は暗黒期と呼ばれるる程このオラリオはすさんでいるが子供も当然いるし、当然孤児院も存在する。そういった者達が遊べているのならまだ希望があるというものだ。自然足取りに力が入るというものだ。その明るい様子を一目見ようと足を運ぶとそこには。

 

「黒いお兄ちゃーんあそんで-」

 

「げえ、めんどくせーなあーってバンダナとるな、そっちの子も抱きついてないでいい加減にはなれろー」

 

「「やだーー!!」」

 

「主様、子供が一人転んで怪我を・・・」

 

そこには悪の集団アンリマユファミリアは子供達の世話をさせられていた。

 

「いやいやいや。何故貴様らが子供の世話をしている!」

 

「なんでって」

 

「それは~」

 

「そうですね。」

 

「「「金がないから」」」

 

「・・・(絶句)」

 

悪の集団アンリマユファミリアは金が無いとアルバイトをするらしいぞ!!

 

健全だね!

 

 

フェルズの脳内には変なテロップが流れていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。