アルトリアさんいいですよね、、、
第1話 プロローグ
「ここが高度育成高等学校…………ですか」
桜が咲き誇り舞い散る景色、真新しい同じ色の制服を着込んだ少年少女、それらを背景にこれから3年間過ごすことになるであろう学校を眺める私。
――――あ、申し遅れました。
私はアルトリア・ペンドラゴンです。
名前からも分かる通り日本人ではありません、イギリス生まれイギリス育ちの純正イギリス人です。
これから日本屈指の国立名門校であるこの学校に留学生として入学します。
あれ? 私は何故、心の中で自己紹介をしているのでしょうか。
まぁ、小さな事を気にしたら負けです!
気を取り直して行きましょう。
先程まで感慨深く見つめていた校門を軽い足取りで潜ります。
それにしても多いですね、見渡す限りこれ全員新入生ですよね?
あぁいや日本ではこれが普通なんでしたっけ?
日本語を覚えるのにそこまで時間は掛かりませんでしたが、常識までは把握できていないですね。
おっと、気が付けば新入生が群がっている掲示板の前に到着しました。
周囲の声に耳を傾ければ、掲示板にはこれから配属されるクラスの名簿が貼りだされているようです。
私も自身の名前を探すとしましょう。
日本の方々と違って全て横文字だと思いますのですぐに見つかると思います。
……
…………
………………見つけました!
Cクラスの名簿に私の名前が書いてありますね!
Aクラスから順番にさら~っと眺めていたので、ちょっと時間を取りました。
配属クラスも分かったことですし、さっそく向かいましょう。
……ふむ?
改めて視ると、本当に色んな人がいますね。
名門の国立校と聞いていたので、てっきり大半の生徒が真面目調の勉強タイプだと思っていたのですが、運動は出来そうですが知能面で足りていなそうな方、日本の勉強した時に知ったヤンキーなる種族に近い方、等々。
私? 運動面はカンストの域にいますが、知識が不足している状態ですね。
あ、バカって訳じゃないですからね。
いままで、競技に人生を消費してきたので一般的な常識が空っぽということです。
むしろ地頭は良いほうだと自負しています。そうでなければ、世界王者なんて無理ですからね。
私としては、必要ないと思うのですが両親は有り体に言ってしまえば"学がない"私をとても心配していたらしく、知人に私のような学がないだけで地頭は良いみたいな人でも大丈夫な学校を知らないか尋ねたら、ここを紹介されたそうです。
トントン拍子に事が運び、気が付いたら入学してました。
人生って不思議ですよね?
さてさて、教室に到着です。
……う~ん、見事に不良集団という印象を受けますね。
といってもギスギスとした雰囲気が漂っているとかそういうのは無いのでひとまず大丈夫でしょう。
私の席はどこでしょうか…………ありましたっと、おや?
この方は、”山田アルベルト”さんですね、ネームプレートを確認しました。
日本人とのハーフでしょうか、聞いてみましょう。
「おはようございます」
「hello」
あらら、英語のほうが喋りやすかったですかね?
英語に切り替えましょう
『改めておはようございます、英語のほうが良かったですか?』
『大丈夫、日本語は理解できています』
「失礼しました、私はアルトリア・ペンドラゴンです。よろしくお願いします」
『山田アルベルト』
なるほど、寡黙な方でしたか。
ではあまり話しかけても迷惑になるでしょうからこれくらいに。
その後は机に荷物を置いて、教室の皆さんに話しかけていきました。
やはりというかなんというか、皆さん我が強いためコミュニケーションを取るのに苦労します。
儚い印象を受けた文学少女である椎名さんや想像以上に異質な印象がある龍園くんなど、個性豊かな面々で楽しくなりそうなのは確かです。
それと途中で気付いたのですが、視られているなと感じて確認すると教室内にはいくつもの隠しカメラが設置させており、私たちの一挙手一投足が監視されているようです。
何かしら特別な意図を感じますね……勘ですが。
席に着いて、そんな考え事をしているとスーツを着た男性が一人、教室へと入ってきた。
恐らくは教師、そしてこのクラスの担任でしょう。
「皆さん、席に着いてください…………ありがとうございます、私は今日より貴方たちCクラスの担任となった坂上和馬です」
やはりそうでしたね、年齢は見たところ30代後半といったところですか。
「この学校では学年ごとによりクラス替えはありませんので、皆さんとは3年間を共にすることになりますね」
クラス替えが存在しないのですか…………ん? 学年ごと……ですか。妙に引っかかる言葉ですね。
「これから1時間後に体育館にて入学式が行われますので、今のうちにこの学校の特殊なシステムについて説明します。まずは資料をお配りしますので後ろの席まで回してください」
そして受け取ったのは、以前学校から届いた合格通知とともに貰った資料でした。
何度読んでも驚きですよね、3年間外部との接触が禁止される代わりにあらゆる施設が学校の敷地内に揃っているなんて。
「今から配る学生証端末ですが、それを用いることで敷地内にある全ての施設での利用、売店などでの購入が可能となっております。クレジットカードのようなものですね」
ふむふむ、これ一つで完結するならかなり便利ですね。
「ただし、当然ながらポイントを消費しますので気を付けてください。学校内におきましてこのポイントで買えないものはありません、学校の敷地内にあるものなら何でも購入可能です」
んっ!!
今すっごい直感がピキーンって来ました!
坂上先生の一連の台詞は覚えておきましょう。
「施設では機械にこの学生証を通すか、提示することで使用が出来ます。使い方を間違えることは無いでしょう」
ほうほう、ポイントは常に自身で確認が可能ですので無駄な出費にも気を遣うことが出来そうですね。
「あぁ、忘れておりました……ポイントは毎月1日に自動的に振り込まれます。貴方たちには既に全員10万ポイントが平等に振り込まれているはずですよ、そして1ポイントにつき1円の価値があります。」
んっ!!
またまたピキーンです!
ですが、今の先生の話し方には少し違和感がありましたからね。
恐らくその部分でしょう。
10万ポイントの話で教室内は騒然としております。
毎月、10万、怪しいですね。
「ポイントの支給額に驚きましたか? この学校では実力で生徒を測ります。入学された貴方たちにはそれだけの価値があると学校側は判断したのです、それに対する評価というものですよ。遠慮なく使って構いません……注意ですがポイントは卒業後には全て回収されますので、現金化といったものは不可能です」
実力で生徒を測る……入学に対する評価……あぁ、そういうことですか。監視カメラの理由もある程度理解できました。
「もうひとつ、ポイントをどのように使われるかは皆さんの自由です、どなたかに譲渡するのも大丈夫ですが、無理やりカツアゲのような行動だけは慎んでいただきたい、学校はいじめ問題に対しては厳しく対処しますのでね」
そういうと坂上先生は未だ戸惑いが拭えない教室を見渡す。
「最後に、質問等はございませんか?」
そう投げかけると、一人の生徒が声を発した。
というか行儀が悪いですね!? 机に脚を乗せるなんてよくないですよ、龍園くん。
「おい、坂上……毎月10万支給されるってことでいいよな?」
「龍園くん。先程も言いましたが貴方たちには10万が既に支給されており、毎月1日になったら自動的に振り込まれます……という回答になります」
「ククク、今はそれでかまわねぇ」
「それで他には……いらっしゃらないようですね。良い学生生活を送ってください」
すごい会話でしたね、龍園くんの質問に非常に回りくどく、答えになっていないものを無理やり繋げたかのような回答でした。
というよりも今の様子だと、龍園くんはこの学校のシステムの真相を理解してそうですね。
私もおおかた理解はしましたが確証がありませんので、もう少し探ってからになりそうです。
おや、龍園くんが教室から出ていきました。先の質問から龍園くんはまだクラスメイトにシステムについて教える気はなさそうですね。
なら私も確証無いですし沈黙を貫いておきましょうか。
それより、入学式でしたね。
校長からの長いとても長いお話が待っていると聞いたことがありますので緊張します。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
結構あっさりと終わりましたね、入学式。
こんなものなのでしょうか、私の覚悟を返してほしいです。
入学式が終わった後はそのまま解散となり、私は敷地内のスーパーに来ています。
同じクラスの幾人かに遊ばないか誘われましたが、連絡先だけを交換して今回は見送りました。
数回は参加するつもりですが、私の予想が正しければ……ほら、ありました。
目の前には無料コーナーと銘打ってある場所です。毎月多額のポイントが支給されるはずのこの学校において、救済措置があるのはおかしいでしょう。
私の横では、上級生と思われる生徒が無料コーナーに手を伸ばし商品を持っていきました。
ひと月三点まで、そう書かれたプラカードを尻目に考えを張り巡らせる。
支給されてまだ1週間ほどしか経ってない今日にもう無料コーナーを利用する。
支給される額は確実に10万ではない、生徒を実力で測る、入学できたこと対する評価、異様なほど多い監視カメラ。
えぇ、やっぱり考えは間違っていなさそうですね。
毎月支給されるポイントは減少する、それこそ何も買えなくなってしまうほどに。
増えるかまでは分からない。
無駄遣いは出来ないということです。
あと、何点か気になることがありますが明日以降でも大丈夫でしょう。
帰りましょうか……そういえば寮生活になるんですよね。
今まで、実家が太かったので広々スペースで暮らしていましたがどうなりますか。
一年の寮に着きました、あまり混んでいないようで助かります。
そのままの足でエレベーターまで向かうと既に一人エレベーターを待っているようだ。
私もその生徒の隣で待機していると話しかけられた。
「こんにちは! この寮にいるってことは新入生だよね? よろしくね」
「ええ、よろしくお願いします。お名前聞いても?」
「あ! そうだったね、私は一之瀬帆波。Bクラスだよ」
「アルトリア・ペンドラゴン、Cクラス。名前の通り留学生です」
「やっぱり? 一目見てそう思ってたんだけど、日本語スゴイ上手だね!」
「ありがとうございます、日本語についてはある程度大丈夫なのですが日本の常識が少し曖昧でして……」
「あはは、海外から見たら日本って特殊だよね~」
すごく会話がはずみます、お互い話すことが嫌いではないのでしょう。
一之瀬帆波さんですね、彼女はこれから学園中の人気者になってくるでしょう、私の予感ですが。
エレベーターが到着も乗り込んでそのまま話題について話し続けています。
幸い、同じ階層だったのでそのまま降り部屋へと向かいます。
気が付けば私の部屋は目の前にありました、隣の一之瀬さんもまた自身の部屋の前に。
偶然なことに、部屋が隣同士だったようです。
「お隣さん同士、これからもよろしくね!」
「えぇ、お互い頑張りましょう」
「うん! じゃあ、またね」
別れを告げ、それぞれの部屋に入る私たち。
とても短かったとはいえ、非常に楽しい時間でした。
さて、改めて私は自身に与えられた部屋の内装を確認していきます。
日本ではよく見るワンルーム、建築費を考えれば中々の広さだと思います。
やっていけるか不安ですね。
現状前も後ろも分からない状態ですが、頑張っていきましょう!
《学生データベース》
氏名:アルトリア・ペンドラゴン
クラス:1年C組
所属:無所属
誕生日:10月8日
【評価】
学力:E−
知性:B
判断力:A
身体能力:A+
協調性:B
【面接官のコメント】
イギリス在住時に中学1年の時から総合格闘技をはじめ、国際馬上槍試合や甲冑競技など、数々のタイトルで優勝を果たしておりその身体能力は他の追随を許さないほどです。
反面、致命的なまでに学力が低く入試テストでは圧巻の最下位。
しかし、地頭は良く物事の理解力や判断能力は非常に光るものがあるため、磨けば何処までも伸びるかと思います。
【担任メモ】
日々成長が見られます。留学生という点から不安もありましたが友人もできたらしく見守っていこうと思います。
読んでくれてありがとう!