ようこそ騎士王がいる教室へ   作:笹杭L

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おはトリア!

ちょっと短いから早めに投稿。



第10話 想定内と想定外

 

 時は遡り。

 

 中間テスト採点結果の発表が迫る日、幹部陣すら居ない秘密の打ち合わせがされました。

 

 

 諸藤リカをDの山内に襲わせる?

 

「あァ、真鍋たちは今、クラス内のカーストが最下位なのは知ってるな?」

 

 もちろん。偶然とはいえ私の注意を無視したことでポイントが下がったのは、クラス皆が把握していることです。

 

 場所は、とある食事処。

 月に一定以上の利用があるお客様のみが使用できるVIPルームのような個室。

 私がいるので龍園くんを連れてきました。

 

「あれは従順だ。反抗的な()()()とは違って、俺の支配を受け入れてる。クラスの居場所が無いのが相当堪えたようだな。今なら、毛嫌いしてたお前の頼みだろうと何でもやってくれるぜ」

 

 確かにそうでしょうけど。同姓として流石に却下したいのですが。私、そこまで人間捨ててないですよ?

 

「黙れ人外。この件を以て、アイツらを俺の民として認めてやるって話なんだよ」

 

 むむむ…………分かりました、けじめは大事ですからね。それで、襲うならまだしも襲わせるとは?

 

 正義の心でご飯は食べれないので、そこらの狗に食わせましたけど、人の心はまだありますからね?

 

 そもそも、Dクラスの赤点が予想より少なかったのは、龍園くんの仕業ですか? 私、何も聞いてないですが⋯⋯

 

「あァ、それは俺だ。そもそも中間テスト後は学校側の対応を本格的に見るのは伝えていただろう? だからバカどもを、幾人かは残しておく必要があった。山内以外にも何人か、単純思考の奴らを残してある」

 

 なるほど、それで過去問を教えたわけですか。

 

 しかし、過去問のことが露呈すれば警戒されたりで余計に面倒ですよ?

 

「そいつは問題ねぇ。少しポイントを恵んでやれば、喜んで尻尾振ってくるからな」

 

 あぁ、クラス徴収で資金は潤沢ですからね。

 無一文で贅沢に飢えた彼ら相手なら少額でも十分に効果を発揮できるでしょう。

 

「退学時におけるペナルティは知ることが出来た。次は停学に関して調べていく」

 

 そうですか。では改めて、どうやって襲わせるんです?

 

「お前の出番だ。そのイカれた身体能力がありゃ、何でも出来る。テメェにばっか頼るつもりは毛頭ねぇが、使える武器は使わなきゃな?」

 

 どうぞ、存分に使って下さい。それで具体的には?

 

「諸藤を呼び出して気絶拘束、その後山内を現場に呼べば、事件の出来上がりだ」

 

 ひどく単純な指示ながら、本当に悪辣ですね。

 

 ですが、マスター。その作戦だと山内が普通に先生に通報してしまえば失敗しますよ?

 

「それはあり得ねぇな。事を起こすにあたって、山内についてちょいとばかし調べたがアイツは生粋のクズだ。女子が拘束されて、周囲に誰もいない空間なんてお膳立てされりゃ、間違いなく流される」

 

 …………そうなってしまえば、冤罪などではなく本当の犯罪者ですね。

 

 龍園くんの描いた未来が、容易に想像できてしまうというのがイヤです。山内くんならするでしょうねという逆な意味での信頼感があります。

 

 しかし、実際に襲わせてしまえば、あなたの民を傷つけることになってしまいますよ?

 

「あァ、分かってるさ。だから折を見てリーダーの真鍋に接触し、不安を煽るようなこと言ってやれば、GPSでも何でも使って諸藤の下に行こうとする。タイミングさえ間違えなければ、諸藤は無傷で山内だけが未遂というレッテルを貼られることになる」

 

 …………本当によくそんなこと思いつきますね。

 正直呆れてしまいます。

 

 ていうか、ちょっと待って下さい。この作戦、私の負担が大きすぎませんか?

 

「当たり前だ。諸藤を呼び出すのはいいとして、まずはバレないように気絶させる必要がある。そして、すぐ解けるが見かけ上はしっかりと固定されるように拘束、山内が到着後も、真鍋が遅れた時用のフォロー要員として待機。あと余裕があれば写真とか取ってろ。証拠にしてぇ」

 

 そんな余裕はないっ!!!

 や、やることが多すぎます。

 

 気絶させるのも拘束するのも、ちゃんとした技術が必要なんですからね! 私は出来ますけど。 

 

 取り敢えず、もう少し詳細を練りましょう。何なら撮影が趣味の友人が最近出来たので、巻き込むのも手ですね

 

「ハッ、なんだお前も結構乗り気じゃねぇか」

 

 

 悪意は芽吹く。

 

  

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 

 

 

 朝のHR。普通の連絡事項を伝え終えた坂上先生だったが、いつもみたく自由時間になるわけではなく、まだ話が残っているようだった

 

「では次、昨日から続くポイント未支給の件について、皆さんにお知らせがあります。現在、一年生の間で二件のトラブルが発生しています。片方に関してはCクラスも関わっています」

 

 私も昨日生徒会室で会長たちと今後の流れについて聞きました。審議が行われるのは1週間後、それまでに証拠が集まらなければ、状況判断で結果が下されると。

 

 本当にややこしくなってきましたね。 

 

「まず最初にDクラスの須藤健が暴力を働きました。被害者はBクラスの柴田颯。訴えはBクラスからです。監視カメラ外による犯行で物的証拠がない為、後日、審議が開かれます」

 

 そして、いつになく真面目な態度を貫く坂上先生は、体調不良で昨日から休んでいる諸藤リカの机を見た。

 

「問題はもう一つ、私たちのクラスが関わっている方が深刻になってます。現在、お休みを取られている諸藤リカさん。彼女に対して猥褻行為を働こうとした生徒がいます」

 

 先生がそう発言すると、教室からザワっとしたモノを感じ取りました。

 

 ほうほう。思いのほかクラス全体が仲間思いだったようですね。例えポイントを下げたことで底辺まで落ちた人たちとはいえ、クラスメイトであることに変わりはありませんし。

 

 そもそも、既に二か月近く経過しているので、そこまで気にしている生徒が少ないというのもあるでしょうか。

 

「詳細の把握はまだですが、襲ったのはDクラスの山内春樹。訴えを起こしたのはそこにいる真鍋さん。特別棟に呼び出された諸藤さんは、後ろから気絶させられ拘束されました。意識が覚醒すると眼と口が防がれた状態で放置されていたと。耳は防がれておらず、聞こえてくるのは自身を触ろうとする山内くんの声。真鍋さんが間に入ることで事なきを得ました」

 

 やや早急に告げられていく内容は、傍から聞けば本当にひどい内容でした。

 山内が自ら触る発言をした以外は全部、龍園くんと私による策の内だと考えると笑えませんね。

 

「こちらもBD間のモノと同じく監視カメラが無いところで行われたものですが、諸藤さんに触れようとしている瞬間を真鍋さんが目撃しています。しかし、Dクラスの山内君に話を聞けば、していないと容疑を否定。よって審議という運びになりました」

 

 うーん。まぁ、認めないですか。

 でも、触れようとした意思があったのには変わらないし、未遂になったのは事実。間違いなく勝てる試合ですね。

 

「少し複雑になってしまいましたね。今回の二つのトラブル、共に容疑者として名前が挙がったのがDの生徒です。被害者側はBとC。それぞれ、日本の法律に乗っ取り、暴行罪、強制わいせつ罪未遂として訴えが受理されています。共に物的証拠が存在せず、情報収集期間として一週間設けられたのち審議となります」

 

 端的な説明助かります。

 山内の方は審議になるのは分かります。こちらがお膳立てした状況に、自ら片脚突っ込んできただけですからね。

 しかし、須藤に関しては相手がBクラスということもあるので、素直に謝罪案件でいいと思うのですが、どうなのでしょう。

 

 今週の私は大忙しですね。

 二つの事件で審議に参加して、表向きは何も知らないので証拠集めに奔走する姿を見せなければいけません。

 

 先生からの話が終わり、次は龍園くんですね。

 

「てめぇら、要するに今回は喧嘩を売られたってことだ。4月のやらかしで真鍋たちは底辺に落ちた。だが、こいつらは俺の国民、所有物だ。人のものに手ぇ出したアホには制裁が必要だよなァ?」

 

 龍園くんは喋りながら教壇まで歩き行儀悪く腰かける。その間に、石崎くんたちが窓や扉を閉めたりといつものようにしている。

 

「命令だ、探せ。手段は問わねぇ。徹底的に証拠になりそうなものを洗い出せ」

 

 野性味を感じるギラギラとした眼を覗かせながら、そんなことを宣います。

 首謀者のくせによくもまぁそんなことが言えたものですね!

 

「お前たちにも言ってたよな、中間テスト後に一発デカいことをやるって」

 

 雰囲気を緩めた龍園くんは昔を振り返っているようです。言ってましたっけ、そんなこと? まぁ、このクラスでは彼が『言った』といえば言った事にはなりますけど。

 

「BDの須藤暴行事件。アレが俺の仕組んだことだ」

 

 あっ! この人、ちょうどいいからって、やらかしたことを挿げ替えましたよ!

 

 確かに、同じクラスの女子の尊厳を傷つけるモノより、他クラス同士で暴力引き起こさせたなら、心象としては許しやすいですもんね。

 

 もし、暴行事件が起きなかったとしても、逆らえば似たような目に合うという恐怖を与えることが出来ますし、本当に怖い人ですよ。

 

「本来なら、それについて色々とお前らに指示を出すつもりだったが、予定変更だ。俺は、俺の策略以外で所有物を傷物にするやつらを許す気は無い」

 

 ほら! こうやって、ちょっとでも良い顔を見せれば、『龍園って実は仲間思いなんじゃ~』みたいな錯覚に陥りますからね!

 

「アルトリアは今回使えねぇな。コイツは生徒会として中立の立場で審議に参加する必要があるらしい」

 

「ひどい言い草ですが、全くもって言い返せないですね。同胞に対してこのような事をされて、私は憤りを感じています。一応、心当たりのありそうな友人を辿ってみようかと思いますが本命は皆さんです」

 

 パスを与えられたので私も便乗してお喋りしましょうか。

 あたり触りの良い言葉を並べながら、他クラスの動向も推測しておきましょうか。

 

 Cクラスはこれで問題なく動くと思います。リーダーである龍園くんが積極的に行動しようとしているので、触発されてくれるでしょう。

 

 Aは静観でしょうか? もしかしたら、リーダー争いをしている葛城くんが、票集めに事件に協力してくれるかもしれないですね。

 こういった事件、特に被害者が分かりやすいモノは、手を貸すだけでもその分だけ外聞が良くなりますし。

 

 Bは帆波が生徒会ということで、大きくは動けないのですがどうでしょうか?

 あのクラスは帆波に対する信奉心というものが非常に強いです。

 彼女が動かないと何もできないクラスになりつつありますから、いかにスムーズに指示を出すことが出来るかですね。

 

 Dは…………ダメでしょうね。

 そもそもの加害者クラスとレッテルが貼られている中で、冤罪証明する為に奔走するなど、外聞が良くありません。

 というか、ほとんど冤罪じゃないんですけどね。

 

「──ですので、皆さんには頑張ってもらいたい」

 

 いやー、それにしても並列思考も板がついてきたと思いません? 頭で違うことを考えながら、しっかりと中身のある言葉を出すのって結構難しいんですよ。

 

 最近はアリスと戦う為に、チェスに手を出して思考力も鍛えていますので、天才無敵のアルトリアさんが爆誕しつつあります。

 

 

 私が話し終えた後、龍園くんが一言二言話して朝のHRは終わりました。

 

 さて、さっきも言ったように私は大きくは動けません。それでも、やれることはある。というより、仕込みはすんでます。

 

 放課後には接触してみようか。

 

 ちゃんと写真は撮ってくれましたか、()()()は。

 

 





計画を練る二人の王
予想以上にアルトリアが外道になってるのに涙が止まりません。多分、激辛麻婆を食ったせいで異世界から外道神父の価値観が流れ込んでるのかもしれないです。

二つのトラブル
元々山内の方しかプロットになかったんだけど、気が付いたら須藤君がBクラスの生徒を殴ってました。

やっべぇ、どうしよ。収拾がつかない。

天才無敵のアルトリアさん
多分、三学期の終わり頃には至ってしまうだろう。
それ程までに彼女の才は異次元なのだ!


アイリ
めっちゃ丁度いい名前の子がいるじゃん!
となり、出演が決定した人。おかげで巻き込まれました。
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