ようこそ騎士王がいる教室へ   作:笹杭L

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何か気の利いたことを言いたかったけど何もなかったわ。

fate/Zeroっていいですよね~


第2話 邂逅と水泳

 

 

 入学してから5日が経過した。

 

 進展は少ししかありません。

 仕方ないことですが、この世には友人付き合いというものがあるのです。

 

 初日に見送ってしまった手前、2回連続で断るのは心象に悪いと判断しての行動でしたが存外クラス内では目立つ故に人気だった影響か、何人もの生徒からお誘いを受ける羽目になりました。

 

 全て断るのは難しく気が付けば、こうなっていました。

 とはいえ、成果がゼロというわけではありません。

 

 例えば、個室。カラオケなどいくつかの施設内では監視カメラが無く、密談に利用できそう。

 次に食堂。ここにもおおよそ見当はついていたが、無料の定食がありました。山菜定食、流石にきつかったです。

 

 そういえば、2日目に部活動紹介もありましたね。

 あまり惹かれるものはなかったのですが、唯一印象に残っているのが堀北学生徒会長の短い演説です。

 話している時間はそれこそ1分となかったのですが、沈黙という話術でしたか、あれは中々お目にかかれないモノですよ。

 

 そんなこんながありまして、ようやく放課後に余裕が出来ました。

 これから向かうのは上級生の階層ですね。

 

 何故かといいますと、まず救済措置を利用される生徒が多かった点です。

 生徒を実力で測ると初日に話していましたが、それにしても多いという印象です。

 特に、食堂で山菜定食を頼まれている生徒はかなりの数でした。

 

 評価基準が生徒個人を対象にしていたら、流石にあの数はありえないでしょう。

 ポイントが減る一方で増えることが無いということのでしたら、納得ですがその可能性は低いとみてます。

 

 となってくると可能性として有力なのは、集団ごとに評価される……ですね。

 私たちの場合ですと、Cクラス全体の評価がそのままCクラスの全員にポイントとして与えられる。

 

 そしてそうなってくると気になるのがクラス分けです。

 一見ランダムかと思いましたが、この数日他クラスの人と話すタイミングがあり、クラスの雰囲気について聞くことが出来ました。

 Aクラスはいかにも優等生ですという感じで、あと濁されましたが少しピりついているようです。

 Bクラスは一人の生徒を軸に真面目な集団となっているらしいです。十中八九、一之瀬さんでしょうね。

 Cクラスはなんというか、武闘派? 頭より筋肉大事! といった感じです、一部例外もいますが。

 最期にDクラスですが入学数日で、もう授業の体すら為していない程騒がしい様です。

 

 これらを総合してみると、クラス分けにも確実に法則といいますか何かしらがあると思っています。

 

 さて、到着です。

 2年生の階層ですが……何というか顕著ですね。

 全体的に雰囲気が暗いです、特にCやDになるごとにお通夜かと思ってしまうぐらいには新年度だというのにお先真っ暗と言わんばかりですね。

 それと席が異常に少ないですね、ポツポツと空きが見られます。

 Dクラスに向かうほどこちらも多くなっていますね。

 これ以上留まっていても得られるものは無いですし、次に行きましょう。

 

 3年生ですね、こちらは2年生とは違って全体的に活気に溢れている印象です。

 それでもやはりというか、Dクラスに行くにつれ少し淀みを感じます。

 2年生ほどではありませんが、空席も徐々に目立ちます。

 

 ほぼ確定とみていいでしょう。

 

 

 クラスは実力で分けられている。

 Aから優秀な順番に、Dが一番弱いということですね。

 

 しかし、学力のみで決まっているわけではないようです。

 何故なら、私は学が無いという自負があります!

 入試テストでも最下位の自信があるのです。

 

 なら、身体能力? いやそれだけではありませんね。

 この学校の謳い文句は”日本を支える人材の教育”です。

 心技体に加えて、色々と総合されて算出しているのでしょう。

 

 別にCクラスに不満は無いですよ?

 龍園くんがいればAに上がろうと思えばすぐに上がれると思いますし、なにより強者を倒すのがゲームの醍醐味でしょう。

 

 

 さて、確認したいものを見ることもできましたしそろそろ帰――――

 

 「ここは3年生の階層だ、何か用でもあったか? アルトリア・ペンドラゴン」

 

 気が付くと、目の前には入学式や部活動紹介で遠目に見た現生徒会長・堀北学がいた。

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 翌週

 

 どうやら今日から体育では水泳があるらしい。

 まだ夏にすらなっていない時期から始めるのは非常に珍しい、何かあるのでしょう。

 

 それと気になっていることが1つ。

 アルベルトくんが少し怪我しているようです。

 彼だけに限らず、ヤンキー気質の石崎くん一行にもありますね。

 

 まぁ、一番怪我していると思えるのは龍園くんなのですけど。

 推測ではありますが、彼はクラスを支配するにあたりアルベルトくんを手駒に置きたいようですね。

 石崎くんはそのついでといったところですか。

 

 恐らく、今週中には決着がつきそうですね。

 そんなことより…………。

 

 「椎名さん、先日勧めていただいた本、とても面白かったですよ」

 

 「アルトリアさん、おはようございます。良かったです! もっと感想をお聞きしてもよろしいでしょうか」

 

 彼女との会話を楽しみましょう。

 彼女の名前は”椎名ひより”さん。

 入学初日に少し話した文学少女ですね。

 

 私と彼女が出会ったのは想像通り、図書館です。

 校内を散策中にまだ行ったことが無かった図書館へ訪れると、隅っこで一人本を読んでいらっしゃたので声を掛けさせていただきました。

 最初のほうは集中していたのか、スルーされましたが彼女が読んでいる本がイギリス文学であることをぼそりと呟くとすごい反応で返ってきたのが印象的でしたね。

 

 私自身あまり本を読んだことが無かったため、いい機会だと椎名さんにおすすめの本を聞いたら、そこから一気にお話をするようになり、友人関係を構築できました。

 

 

 「――――と、そういえば今日から水泳があるらしいのですが、椎名さんは大丈夫ですか」

 

 そう聞くと椎名さん纏う空気がずうぅんと一気に重くなった。

 

 「うぅ……私、あまり運動は得意ではないんです。アルトリアさんはどうですか?」

 

 「私は運動は得意です。というより、人生の大半をスポーツ競技に割いてきましたから」

 

 「そうなのですね、羨ましいです……」

 

 「ふふ、私としては知識が豊富な貴方のほうが凄いですよ」

 

 気づいたらお互いに長所を褒め合っていました。

 

 

 

 それから幾つかの授業が終わり、いよいよ水泳の時間です。

 屋内プールで実施される水泳の授業。

 しかも50mプール、これほどの施設が校舎の中にあるのはさすが日本屈指という他無いでしょう。

 

 椎名さんと一緒に着替え更衣室から出ると、既に着替え終えたほとんど生徒の姿が見えます。

 体育会系な気質の我がクラスのというのもありますが、ほとんどの方が休まずに参加していますね。

 授業でも一切の注意が無いため仮病で見学される人もいるかと思っていたので、少し驚きです。

 

 「よーしお前ら集合しろー」

 

 そして号令をかけるのはマッチョ体系のいかにもな風体をしている男性。

 体育の教師でしょう、ああいうタイプは私たちのクラスと相性がよさそうですね。

 

 「見学者なしか、見事だな。流石はCクラスだ」

 

 今の発言。

 …………なるほど、上級生のCクラスも似たような雰囲気だったのでしょう。

 例年のCクラスは大半が身体の能力に自信があるひとたちが中心だったようですね。

 

 「急で悪いが、準備体操が終わったら実力を把握したい。お前たちには泳いでもらうぞ」

 

 体育の教師がそう伝えると、少し不満そうな声が生徒から上がる

 

 「えぇ、いきなり過ぎませんかー」

 

 「すまんな、だがこれは必要なことなんだ。もし泳げないという奴がいても必ず夏までには泳げるようにしてやるからな、安心しろ」

 

 「いや、別に泳げはするっすけど。この時期からとか早すぎません?」

 

 「まぁ、学校側が決めたことだからな。うだうだ言っても始まらんぞ」

 

 不満を漏らす生徒を窘め、そのまま準備体操が始まる。

 私も準備体操をしながら先ほどの会話を考察します。

 

 必要なこと、夏までに、必ず。

 夏休み辺りで何かしら泳がされるイベントでもあるのでしょうか?

 まぁ、生徒会長との語らいでおおよそ見当はついていますけどね。

 

 

 体操が終わると50mほど流して泳ぐよう指示が出ます。

 私はイギリスにいた頃、よく泳ぎに行きましたがここ数年はトンと行ってないですね。

 プールの中に入ると温度調整がされているのか寒くはないです。

 

 軽く50mを泳いだ後は、椎名さんの傍にいて支えてあげてました。

 

 「…………はぁ……はぁ……ありがとう、ございます」

 

 「気にしないでください、それにしても本当に運動が苦手なのですね」

 

 「……はぁ……ふぅ……はい。とっても苦手なんです」

 

 泳ぎ終えた直後ということもあり、疲労困憊の様子を見せる椎名さん。

 横で並行しながら見ていましたが、彼女の運動能力は壊滅的でした。50mこそギリギリで泳ぎ切ることは出来ていましたが、これは少し改善が必要でしょうね、今度の展開を考えると。

 

 「とりあえず全員、泳げはするようだな」

 

 生徒の泳ぎを見ていた先生は、満足そうに頷いていた。

 

 「では次に競争をしてもらうぞ、男女別50m自由形だ」

 

 「競争!? マジかよ!」

 

 「1位になった生徒には俺のポケットマネーから特別に5000ポイントを支給してやろう。ただし、一番遅かった奴には補習をプレゼントだから気をつけろよ」

 

 その言葉に大半の生徒は歓声を上げています。

 例外がいるとすれば、椎名さんのような勉強は得意だけど運動は苦手な人、感情をあまり表に出さないアルベルトくんのような人、最後に龍園くん。

 

 やっぱりというか、私たちのクラスは血の気が多いですね。

 授業とは言え優劣をつける勝負に滾っているようです。

 

 「男女ともに人数が多いから5人一組に分けてするぞ。タイムの早かった上位5人で決勝だ」

 

 そういって、先生は準備を始めました。

 

 「お互い頑張りましょうか、椎名さん」

 

 「間違いなく補習です」

 

 「ふふっ」

 

 「あ、笑いましたね?」

 

 「すみません、ついつい。もし補習になっても私が一緒に泳ぎますから、機嫌を直してください」

 

 ついつい、笑ってしまい椎名さんの機嫌を斜めにしてしまいました。

 

 そうこうしているうちに、始まりそうです。

 今の私はどれくらい掛かるでしょうか。

 

 これから始まる競争で、第一陣が既に配置に着いたようです。

 私は第2レースからですね。

 

 笛が鳴り女子5人が飛び込む。

 泳ぐ様を見ていると、1人突出した女子がいてそれ以外がトントンといった感じ。

 

 その生徒はその後もドンドン後ろから距離を離して見事1位でゴールしていた。

 

 「ほう! 見事だな伊吹」

 

 そう、1位を独走していたのは伊吹澪さん。

 このクラスでもかなりの一匹狼気質な人で、入学以来あまり話せていないひとですね。

 何かきっかけがあればよいのですが。

 

 さて、次は私の番ですね。

 さっき泳いでみた感じ、そこまで衰えてはいなかったので問題は無いでしょうけど。

 

 位置について、皆の準備が終わると笛が鳴った。

 それと同時に、私は水に飛び込んだ。なるべく抵抗を減らし、足をイルカのように上下に動かすことで推進力を生み水中を進んでいく。

 俗にいうドルフィンキックと呼ばれる技法ですね。

 徐々に水面に浮上し、ある程度水面に到達した段階で通常の泳ぎに切り替えます。

 50mプールですのでターンなどは必要なく、そのままペースを落とすことなく反対側へと到着します。

 

 泳ぎ終え、耳から水を抜くと皆がいる方向から、驚嘆の声が聞こえてきました。

 

 「すげぇな、ペンドラゴンの奴。めちゃくちゃ速かったぞ」

 

 「ねぇ、凄くない? 今のペンドラゴンさん」

 

 ふふん、まぁ? 本気を出せばこんなものですよ!

 

 「凄いぞペンドラゴン! 26秒切っているぞ」

 

 おや、結構速かったですね。

 

 他のレーンが終わり私はプールサイドに上がります。椎名さんは次のレースですので、こっちにはいないです。

 一息ついて腰を下ろすと、声を掛けられました。

 

 「ねぇ、あんた」

 

 「ん……はい? 私ですか?」

 

 「そっ、さっきの見てたけどめちゃくちゃ速いじゃん、あんた何か運動でもしてたの?」

 

 話しかけてきたのは、先ほど話題に挙げた伊吹さんでした。

 どうやら、私の泳ぎも見て話しかけてくれたようです。

 

 「はい、幼少から格闘技を少々嗜んでいます。運動神経は良いほうなので」

 

 「そっか、てか近くで見ると筋肉凄いね。引き締まってるというか、細身なのに肉体に一切の無駄がないっていうか」

 

 「えぇ、見た目は大事ですから」

 

 とは言うものの私は特に何か特別なことをしたわけではない。

 生まれついて戦いというものに惹かれその道へ進み、身体も成長に合わせて勝手に完成していった。

 多分今が完成形だと思う、勘ですけど。

 

 「伊吹さんも見ていましたけど、中々お早かったですよ」

 

 「そういうのはいいよ、周りが弱かっただけだし」

 

 そう謙遜されますが耳が少しだけ赤くなっています、照れてらっしゃいますね。かわいい。

 流れでそのまま中身のない会話を続けていると、泳ぎ終わった椎名さんがやってきた。

 もちろん、ビリでしたね。

 

 「負けてしまいました……」

 

 「仕方ありません、泳ぎ切れただけでも上々というものです」

 

 「補習は嫌です……おや、そちらの方は?」

 

 補習が確定して落ち込んでいる椎名さんは、そこで初めて伊吹さんに気付いた。

 

 

 「あぁ、彼女は伊吹澪さん。同じクラスの人ですよ?」

 

 「ごめんなさい、人の名前を覚えるのは苦手で……椎名ひよりです」

 

 「別に気にしてないわよ……伊吹澪、よろしく」

 

 「はい、よろしくお願いします」

 

 話し込んでいると男子の方も終わったのか、決勝が始まるようだ。

 まずは女子かららしく私と伊吹に集合が掛かった。

 

 「ではいってきます」

 

 「はい、いってらっしゃい。伊吹さんも」

 

 「……いってくる」

 

 

 決勝戦は先ほどと展開は一緒だったので割愛。

 タイムがさっきより2秒早くなりはしましたが、そこまで重要ではないでしょう。

 結果としては、女子の中では私が1位です。

 

 

 結果を聞いた後は、伊吹さんを伴って椎名さんのところへ向かいました。

 1回目泳いだ時よりも、生徒の皆が騒がしいです。というより、先生が一番煩いです。軽く話を聞くと、どうやら凄い記録だったらしくめちゃくちゃ水泳部に入らないかと勧誘してきます。

 あぁ、確か女子50mの最速記録って23秒くらいですっけ? 超えてなくともそれに近い記録を出したんですから当然でしたね。

 でも、食費の為に取れるポイントは保守しておきたいんですよねー。勧誘や好奇の目を掻い潜り椎名さんの所に着き、そのまま今回の水泳についてお話をしていると男子の方も終わったのか、補習者を除いて自由時間となりました。

 男子はアルベルトくんが1位だそうです。巨体ですので速さ勝負では不利と思いましたが、圧倒的な筋力で泳ぎ切ったみたいですね。

 

 さて、自由時間ではありますが私は椎名さんの世話を焼くと決めていたので、つきっきりで見てあげましょう。

 どうやら伊吹さんも一緒にみてくれるらしく、ありがたい限りです。普段ツンツンとしていますが、これが俗にいうツンデレというやつでしょうか。

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 side 龍園

 

 「ククク、いいねぇ。あいつら以外にも骨がありそうな奴がいるじゃねぇか」

 

 誰に話しかけるでもなく独り言ちる龍園は、先程行われた女子の水泳競争を思い出していた。

 

 「ただのつまんねぇいい子ちゃんかと思ってたが……」

 

 そして獰猛な笑みを浮かべた。

 

 「中々面白くなってきやがった、あいつらを終わらせたら次はお前だぜ」

 

 

 

 ――――アルトリア・ペンドラゴン

 




アルトリアさんって、皆さんはなんて呼んでますか?
やっぱりセイバー?

私はFateシリーズはFGOから入った異端者ですから、セイバーと言えばクラスを表す記号であって、名前ってイメージがつかないんですよねー。

キャストリアとかセイバー以外にもアルトリアいるし


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