ようこそ騎士王がいる教室へ   作:笹杭L

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さぁ、冤罪事件?編の始まりダァ!!!

評価感想ありがとう。ぼちぼち頑張ります。


第9話 悪逆は動き出す。

 

 

 最悪のタイミングだ。

 

 目立つのが苦手な私が勇気を出して頑張ったあの日。

 テスト返却の騒動からようやくクラス内は落ち着きを取り戻した。最初の頃は、今まで話したこともなかったような同級生と何回もお話した。

 

 とっても大変だったけど、クラスメイトで初めてお友だちが出来たのは嬉しかった。

 

 クラスが落ち着いて、私の周囲も平穏になり始めたので、この学校に来てからコッソリと続けてきた自撮りを再開しようって思ったんだ。

 それで、私の秘密を全部知ってる初めての友達がそういうスポットに詳しくて、今日も友人に勧められた()()()に訪れていた。

 

 

 そんな中、自撮りポイントを探していた私が見つけたのは、まさに事件現場だった。

 

 事の発端は階段を登っていると、何かうめき声が聞こえてきたこと。それは下から聞こえるようにも、近くにあった教室からも聞こえるような感じだった。

 

 恐る恐る教室のドアを開くと、その原因が分かった。

 特別棟のとある教室は2階と1階が繋がっているのだ。

 

 俗に言う吹き抜け構造。

 下の様子を上から覗き見ることができる。

 多分、声は下の教室から聞こえてきたんだと思う。それなら最初のよく分からない音の感覚の説明もつく。

 

 そーっと下を覗いてみると、男子生徒と倒れている女子生徒の姿が目に映った。

 

 男子生徒のほうは見たことがある。

 同じクラスで名前は忘れたけど、私の胸を事あるごとに凝視してくる、気持ちの悪い人。

 

 女子生徒は初めて見る顔だ。

 けれど、身体をロープが何かで拘束されていて、目も口も防がれている。

 

 間違いなく、事案だった。

 

 私はどうすればいいのか分からなくなり、無意識のうちにその光景をレンズに収めていた。

 音の鳴らないシャッター。撮ったあとは、こんなときに何をやってるんだという気分に襲われる。

 同姓がレイプされかけている場面だよ。

 

 でも、私は足がすくんで動けない。

 テストや()()()()()と対峙したあの時とは違う、私に実害は出ないから。

 そう、無意識に思っちゃってるのかもしれない。

 

『ンンーー!!! ンーッ!』

 

『いや、流石にヤバくね? えっ? 何これ』

 

 私には聞こえないくらいに小さな声で何かを話す声が聞こえてくる。

 

 『でも……ゴクリ。おっ◯い触るぐらいはいいよな? 目隠しで俺の顔、見えてないもんな』

 

『ンンーー!?!?』

 

 ああ、ごめんなさい。

 私には…………何かをする勇気がありません。

 

 もっと、私に()()みたいな強さがあったら。

 

 男子生徒が女子生徒に手を伸ばす瞬間を再びレンズに捉えた私は、そう心の中で謝罪する。

 

 間もなく、ガシャンという大きな音とともに閉じられていた下の教室の扉が開かれた。

 

『リカッ!? って、何やってんのよ、アンタ!!!』

 

『は、はぁ? いや、違うって〜。落ち着こ、なっ?』

 

『ふざけんじゃねぇよ! リカのこと襲っておいて、何が違うんだよっ!』

 

 開いた扉からは、恐らく女子生徒の友人にあたる人が来た。すぐに拘束されてる件の生徒を助けて、触れようとしていた男子生徒へ烈火のごとく怒りを露わにしている。

 

 私が見たのはここまで。

 

 逃げるように去っていった男。

 解放された安堵から涙を流す女の子。

 そんな彼女を腕に抱いて移動をさせる女傑。

 

 

 

 

 何もできなかった私だけがその場に取り残された。

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

「ん? ポイントが支給されていない? あぁ、例の件で査定が入ったということですね」

 

 一日。

 毎月やってくる始まりの日。

 

 この学校では少し特殊な意味を持つ。

 prが支給される日だ。

 

 先日の中間テストの結果で、大幅に上昇したcl。

 Bまであと少しの所まで辿り着いた。

 そしてそれ相応のポイントが配布されるはずなのだが、残高を確認しても昨日から変わっていない。

 

 まぁ、今回の理由は分かっています。

 というより、がっつり関わりましたからね。

 

 一応、ひよりや澪、他クラスの友人に確認をとっても、同じように支給されていないという返事が返ってきた。

 先輩に連絡を取ってみたら、問題なく支給されているとのことで、この事象が一年の間でのみ発生していることが分かります。

 

 朝、身だしなみを整えて部屋を出ると、ちょうど隣に住んでいる帆波も出てきました。

 

「あっ! アルトリアさん、おはよう!」

 

「ええ、今日も元気ですね。帆波」

 

「もっちろん。元気が取り柄だよ! あっ、そうだ。アルトリアさん、ちょっといい?」

 

「ええ、いいですよ。移動しながらにしましょうか」

 

 朝から元気いっぱいの帆波と共にエレベーターを降り、一緒に校舎まで歩きます。

 

「それでね、今日ってポイント振込の日でしょ? アルトリアさんは振り込まれた?」

 

「ああ、その件ですね、私は振り込まれていません。その様子だと帆波もですか?」

 

「うん。そうなんだ、昨日はクラスの方でもちょっとした騒ぎがあったし今日はポイント支給がされないしで、何かヤダなー」

 

 おや、それは災難ですね。

 不幸は連鎖するとはよく聞きます。 

 

「はぁ、それにしても何なんだろうね? システムトラブルとかかなぁ?」

 

「どうなんでしょう。先輩に連絡を取ってみたところ、正常に支給されていたので、システム系ではないでしょう」

 

「そっかー」

 

 帆波の疑問に対して、しらを切ります。

 十中八九、原因はあれですけど根が善人の彼女には聞かせられないですね。

 

 そうして話しながら校舎に到着し、帆波と別れてCクラスの教室に入ります。

 

 席に着くと幾人かの生徒からポイント支給について言及されましたので、帆波の時と同様に濁しながら返すといったことを繰り返しているとようやく坂上先生が来ました。

 

 

 

「おはようございます。皆さん分かっているでしょうが、現在7月分のポイント支給が、とある事情により遅れております」

 

 坂上先生は教壇で開口一番そう言いました。

 このクラスの大半は事情を知りません。幹部陣の中でも、騒動を起こすとしか聞かされておらず、その実態を正確に知っているのは龍園くんと私ぐらいです。

 

 無自覚の協力者──いえ、この場合は被害者と呼びましょう──はいるのですが、彼女にそれを伝える必要性はなさそうですしね。

 

 現在、その彼女は欠席中です。

 まぁ、あんな事があったのですからしょうがないとは思いますけどね。

 

「安心してください。しっかりとクラスポイントは増えていますから、問題が解決次第、これに応じた額が振り込まれるはずです」

 

 坂上先生は持って来ていた紙束を広げて、黒板に貼り付けました。

 

 見れば、各クラスのポイントが現在のポイント状況が記載されています。

 

 Aクラス 1004cl

 Bクラス 683cl

 Cクラス 656cl

 Dクラス 25cl

 

 となっていた。

 Bクラスは目と鼻の先ですね。

 

 これは中間テストの出来栄えが影響していそうです。Aクラスが恐らく、アリス派閥が本物の過去問を使い、葛城派閥が私たちが用意した偽物を掴まされましたね。遭遇したあの時、濁らせてはいましたが言っていましたし。

 

 そうでなければ、Aクラスはもっと高くなっていてもおかしくありません。

 

 Bクラスは過去問などは使わず、真っ当に試験を熟したようですね。しかし、範囲変更も相まって、普通に高得点を取るのは難しいでしょう。

 

 私たちCクラスは大勝利ですね。

 過去問をフル活用して、大半の生徒が満点を取得し、一番低く点を取っていた人でも70点を超えていました。

 

 問題のDクラス。

 前日にテスト範囲変更を知り挑んだ中間テスト。

 このポイント増加かつ退学者が3名にまで抑えられたことから鑑みるに、過去問に辿り着いた人がいるようです。

 

 即座に、その答えに辿り着けるブレーンがいるというのが分かっただけでも収穫ですね。それにしっかりと偽の過去問には引っ掛かってくれてはいるようですし。

 

 ああ、そういえば退学者が5人と聞いていたはずなのですが3人に減っていましたね。一人はお友達でしたので手助けしましたが。

 

 また、退学者が出たことで良いことを知れました。退学に関するクラスへのペナルティです。

 試験による退学は、試験要項に詳細がない限りクラスへのペナルティは無いようです。しかし、自主退学になればー300clが課せられるという非常に重いものがあることも判明しました。

 

 龍園くんが中間テストで欲していた情報はこれですね。退学者を出し、それに乗じて退学に関する情報を搾り取る。普通であれば、退学におけるペナルティなんて聞く必要ないですし、何も類似するものがない状況でそれを聞いたら危なそうです。

 

「さて、私からの説明は以上ですので、残りの時間はご自由に使って下さい。ああ、それとペンドラゴンさん。今日の放課後、生徒会室に来るようお願いします。堀北生徒会長からの呼び出しです」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 生徒会から呼び出される。

 この時期に生徒会で集まる案件なんて無かったはずです。

 となってくると、可能性としてあるのが事件を担当するのが先生方ではなく生徒会?

 

 ふむ。学校側の対応も中々に面白いですね。

 確かに監視カメラがない場所による、やったやってない論争は、グダグダになりやすい傾向にあるでしょうけど。

 

 まぁ行けばわかりますか。

 

 よし、そうと決まれば放課後が待ち遠しいですね。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「よく来たな、ペンドラゴン」

 

 放課後になってすぐ教室を出て到着した生徒会室。

 中に入るとそこには生徒会執行部が揃い踏みでした。

 

「おや、すみません。私が最後でしたか」

 

「気にするな。さて全員揃ったところで始めるとしよう。現在、一年の生徒間でトラブルが発生し、その事態が解決するまでプライベートポイントの支給が停止している。俺たち生徒会は、中立の立場から見定めていくことになる」

 

 私が用意されている席に座るやいなや、会長は今回の招集の理由を話しました。

 

「既に知っている者もいるだろう。現在、二つのトラブルが同時に発生している。両方ともに物的証拠がなく、我々生徒会が審議を担当することになる」

 

「審議に関しては承知しております。しかし…………ふ、二つ? プライベートポイントの支給が止まった件から、何かしら騒動が発生したとは思っていましたが……二つも」

 

「お前にしては情報が遅いな、ペンドラゴン。この二つのトラブル、両方に関わっているクラスはD。片方ずつにBとCがいる。本来、一年生に参加させるものではないが、こういうのはそう起こらない。二件、それも同時に発生するのはイレギュラーだ。お前達の経験値を積むという意味でも、参加させる価値があると判断した」

 

 ……………………はぇ?

 

 っと、危ない危ない。

 チャームポイントのアホ毛が引き千切れる所でした。

 

 しかし完全に想定外です。

 DとCの諍いは恐らく、私たちが引き起こした例のアレで間違いないと思うんですけど…………。

 

 DとBって何ですか?

 帆波が言ってた昨日の騒ぎってこれのこと?

 

「まさか、二件もなんて面白いっすよね、堀北先輩?」

 

「南雲、片方については内容が内容だ。そう面白がっていいものではない」

 

「はいはい。分かってますよっと」

 

 南雲副会長のチャチャ入れを華麗にさばいた会長は、改めて私と帆波を見た。 

 

「ああ…………とはいったが、基本的には上級生で対応する。お前たちに雑務を熟し、我々の動きを見て学べ」

 

 そう言って、二種類の資料を渡されました。このうちの片方が私たちが引き起こした案件ですね。

 

 トラブルの詳細です。

 ぺらぺらーっと読ませてもらいますね。

 

『山内春樹が起こした諸藤リカに対する猥褻行為』

 

 はい、これですね。

 龍園くんが考えて、私が色々としました。幹部陣はどういった内容なのかすらも知りません。ひよりや澪に聞かせたくなかったですしね。

 思いの他、山内君が勝手に動いてくれたので、冤罪なのに証拠もばっちり入手出来ているんですよね。

 

 書類の内容を見ると、山内は特別棟に諸藤リカを呼び出し!隙を突いて気絶させ室内に連れ込んだ。襲われそうになったのを、不安に思った友人がGPSで駆け付けたことでギリギリ回避したと。

 

 これらの証言は訴えを起こした真鍋さんが伝えたものという。あの人、不良気質ですけど何だかんだ身内に甘いですからね。

 

 まぁ、別にこっちは良いんですよ。

 0から100までコッチの仕込みですから、知ってます。

 

 問題はもう一つ。

 

『須藤健による柴田颯への暴力行為』

 

 なーにやってるんですか、貴方は。

 

 聞きましたよ! 赤点だったのに気が付いたら、退学取り消しになってたって。多分、例の頭の回るブレーンが裏から手を回したんでしょうけど。

 せっかく生き残ったのに、こんな問題起こすなんて。

 

 それに相手は生粋の善人集団であるBクラス。

 これは勝てませんわ。

 

 資料を読むと、中間テストで溜まった負の感情が爆発して、学校の設備にストレス発散目的で攻撃して居たっぽいですね。

 それを諫めようと近づいたBクラスの柴田くんに振り切った拳が炸裂。我に返った須藤はその場を逃げるように去っていった、と。

 

 アウトーー!!!

 

 監視カメラによる物的証拠こそありませんが、ほぼ確で有罪じゃないですか。こんなの。

 

 えぇ…………。

 せっかく龍園くんと色々準備してきたのに。

 

「ペンドラゴン、それと一之瀬。お前たちには両方に参加してもらう。それと同じクラスが関わっている際は、中立という面から基本的には発言権はない」

 

「理解しております。先輩方は?」

 

「こちらはそれぞれ、BDを俺と橘。CDを南雲と桐山が主体となって動く。その補佐がお前たちだ」

 

 そういうことですか。

 かなりのアクシデントではありますが、いいでしょう。

 

 一部、予定を変える必要がありますけど、龍園くんなら何とかしてくれると信じてます。

 私は動けませんけど、頑張ってください!

 

 





山内
これくらいならやるかなって思った。反省はしてない。

カメラを持つ少女
中間テストと採点結果発表の間で何かあったらしい。
その詳細を知るものは、ほとんど居ない。

アホ毛
抜いてもオルタにはならないですけど、自己が保てなくなると千切れるらしい?

評価感想ありがとうございます。
モチベーションに繋がります。

策略の詳細

  • 事前に知っておきたい
  • 重要なシーンで「一体何が⋯」とともに回想
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