深灰と赤紫の糸   作:空白零無

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どうも、日々の忙しさと気温で頭の働かない作者です。
今回の話はこれでよかったのかとかなり悩んでいるお話となっています。あまりにも納得がいかない場合、大幅の修正。あるいは、話を削除するかもしれません。


返事はアドリブと(2)

 

 某ファミレス。そこは姉さんのサークルメンバーと初めて出会った場所でもあり、私のあまり足を運ばない場所。大体、コーヒーが飲みたい時は喫茶店だし、軽食も喫茶店。お腹が空けばスーパーで材料を買って自分で作って食べる。この手の場所に近づく理由がないからね。

 

「玲音ちゃんは何食べ? グラタン食べる? パスタ食べる? それとも初めからパフェとかパンケーキとか行っちゃう?」

「…………お腹、空いてない」

「ええー。ちゃんと食べないと元気でないよ。あたしが注文して良い?」

「……鳳えむ。に、任せる」

「はーい。じゃあ、ポテトとラーメンと」

 

 待ってくれ、任せるとは言ったけどさ。私、そんなに食べられないし、エスプレッソ飲んできてるからそこまでお腹は空いていないんだけど……。

 

「えむくん。玲音は少食なんだ。そんなに注文しても食べきれないよ」

「えー。でも、玲音ちゃん。あまり元気ないし細すぎるよ。美味しいもの、たくさん食べた方がいいと思うんだけどなー」

「…………食べきれないから」

 

 神代類、フォローをありがとう。でも、そこまで効果はないみたいだ。

 

「うーん。じゃあ、ポテトとハンバーグはどうかな? チーズたっぷりって書いてあるし、美味しいよ!」

「……多分、ポテトで限界」

「えー。もっと食べようよお」

 

 食べれないことはないんだろうけど、血糖値が上がって気絶してしまう。気絶した場合、私は誰に運ばれるんだろうか。

 料理を注文して各々飲み物を取りに行き──

 

「よし、やるか。ワンダーランズ×ショウタイムの舞台の成功を祝して。かんぱーい」

「「「かんぱーい」」」

「……ぱーい」

 

 天馬司が音頭を取り、グラスを掲げ、メンバー全員が掲げる。それに合わせて私もグラスを掲げておく。ある程度は合わせないとね。

 

「テンションが低いな。玲音、あまり乗り気じゃないのか?」

 

 そうは言うけど、半ば無理やり連れてこられているからね。私。

 

「僕たちが半ば無理やり連れてきているからね。今回ばかりは逃がせないんだ」

「珍しいとは思ってたけど、そうだったんだ」

「玲音も交えて、これからのことを少し話もしたかったからね」

 

 ……それ、私がいてもいいのか? なぜ私も交えてなんだ。

 まあ、何か私にも話があるんだろう。飲み物でも取ってこよう。

 

「飲み物を取りに行くのかい。僕も同行しよう」

「……」

 

 私のいる席はテーブルとボックスの半々といった感じで、私は椅子に座っているものの、神代類と天馬司に挟まれて身動きが取りにくい。

 そして、席を立つのは2度目だが、やはり神代類はついてくるらしい。

 

 少し席を立って適当に飲み物を。……おや? 鹿児島茶が入荷されてる。温かい物を飲みたい気分ではないけど、鹿児島茶は飲みたい。

 

 ……仕方がない。今度一人で飲みに来よう。今回はドリンクバーのサーバーにあるウーロン茶で妥協しておこう。

 

「あ! るいさんだ」

「おや、咲希くん。久しぶりだね」

「……?」

 

 金髪ツインテールの少女。声が大きく、明るい雰囲気を纏う少女。どうやら神代類の知り合いらしい。

 ……しかし、この雰囲気。どこかで。

 

「綺麗ですね! もしかして、彼女さんですか?」

「……違う」

 

 たぶん、私じゃなくてその椅子に座るのは草薙寧々じゃないだろうか。

 

「司くんなら、奥の席にいるから、会いに行くといいよ」

「お兄ちゃんに会いに行ってきます!」

 

 天馬司の知人でもある。……ん? お兄ちゃん? 

 ……ああ、なるほど。天馬司の妹か。確か、体があまり強くないとか聞いたな。

 

 何やら三人ほど後をついて──。

 

「玲音さん?」

「……望月穂波」

 

 その三人の中に望月穂波がいた。

 

「知り合いかい?」

「穂波、知り合い?」

「……ん。知り合い」

「はい。そうですね、奏さんの弟です」

「へえー、奏さんの弟さんか。弟、…………弟!」

 

 そんな見つめないでほしい。そしてそう大きな声を出さないでほしい。他のお客さんにも迷惑だし、人目が集まって不快だ。

 

「弟……、奏さんの弟くん」

「……とりあえず座ろう」

 

 話はそれからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奏さんにはお世話になってます。星乃一歌です」

「……そう」

「?」

「……?」

「玲音さん。名前ですよ」

 

 ? 私の名前を聞きたいのか? 

 

「……宵崎玲音。………………神山高校の2年」

「同い年なんだね」

「……同学年、なんだ」

「……」

「……」

「……なにこの空気」

「玲音さんは口数が少ないから、……奏さんのことなら饒舌なんだけど」

 

 話す話題ないし、天馬司の妹。天馬咲希に席を取られたので、席が変わり、相変わらず神代類の隣ではあるが右隣は望月穂波になった。知らない人よりは良いんだが……舞台の打ち上げだったはずが、これではただの食事会ではないだろうか。

 私以外はみんな知り合いの様だし、まあ良いか。

 

「お待たせしましたー、フライドポテトのお客様ー。前おきますねー」

「……」コクコク

 

 ……フライドポテトが届いたのは良いが、一人だけ食べるのも忍びないし、ここは全員で分けてもらおう。私は飲み物飲んでたりするからお腹が空いてないんだ。

 

「…………どうぞ」

 

 とりあえずシェアしやすそうな場所に置くが誰も手を伸ばさず……。なんだこの気まずい空気は。

 

「玲音ちゃん、もらうねー」

「オレも貰うぞ」

「アタシも」

「……どうぞ」

 

 空気感に耐えかねたのか、それともあえて無視してか鳳えむ、天馬司と天馬咲希がポテトに手を伸ばして食べる。

 そこから周りもだんだんと手をつけ始めた。

 

 それから少しずつ会話が始まり、各々舞台のことや最近のことなどが聞こえ始める。

 

 私はそれを少し離れた場所から見ている気分になっていたんだが、

 

「そう言えば、玲音さんって普段なにしてるの?」

「……色々やってる」

 

 もちろん、集団の中にいる以上、会話は振られる。

 しかし、普段していることか。特定のことをしてることの方が少ない。最近だと、家のことは最低限にセカイでただボーッとしていることが多い。

 

「その辺をもう少し詳しく」

「……絵を描いたり、楽器触ったり、詩を書いたり、小説書いたり。……最近はやってないけど、コスプレしたり。かな」

「へえ、色々やってるんだね。でも、司さんとか鳳さん達とはなに繋がりなの? あんまり関係を想像できないんだよね」

 

 どういった繋がりか、か。

 別に神代類は友達だが、天馬司や草薙寧々、鳳えむは友達……ではない。そこまで深く……天馬司はかなりずけずけと入ってくるし、草薙寧々も鳳えむもかなり踏み込んでこようとはする。が、まだ深くは来させていない。

 

 ワンダーランズ×ショウタイムの仲間でもないが、関係がないわけではなく、今回の様に頼まれて演者を任されることもある。

 合作相手ではあるが、公的にはワンダーランズ×ショウタイムが単独で作ったオリジナルの作品達となっている。

 

「……………………………………私は「玲音は、ショーを手伝ってくれる仲間だよ」……類?」

「普段は忙しくてあまりショーに関わることはないけど、ショーの内容や背景の作画、小道具の製作は玲音がやってくれることが多くてね。音響や効果音なんかも玲音が一から制作することもある。是非とも正式に加入してほしい人材だ。そうだろう、司くん」

「そうだな。なにかと玲音が手伝ってくれて助かってることもある。特に、今回みたいな照明の当て方とか、視線誘導とかなんとかで見え方が変わる背景なんかを作って来たりするからな。すごいだろ、玲音は」

 

 ……仲間か。仲間、ね。

 

 ────今日から友達ね、玲音。

 

 ワンダーランズ×ショウタイムは万人を笑顔にする。そんな君達の元に、私は行けないよ。

 私の手は、人を笑顔にできる手ではないから。

 

「玲音さんって色々出来るんだね。奏さんみたいに作曲できたりするの?」

「……可能。あまり作らないけど」

 

 あまり大衆向けには作っていない、大体は鹿野ちゃんへの贈り物か、ただの自己満足かのどちらかだ。

 

 話を聞いてみると、星乃一歌や望月穂波、天馬咲希、先から全く言葉を発しない日野森志歩の四人でバンドを組んでいるらしく、作曲関係で姉さんにはよく相談に乗ってもらっているのだと。

 確かに、姉さんなら適任だろう。私は自分の曲を作ることはできても、誰かに教えることが苦手だ。全て言語化する前に感覚で話してしまうから。

 

「……作曲は力になれない、けど。楽器なら……ピアノとアコースティックギター以外なら、力になれる」

「その時は頼っちゃおうかな」

「……好きにして。望月穂波なら、私の連絡先を知ってる、筈だし。姉さん経由でも、望月穂波経由でも、連絡をくれれば手伝う」

 

 久しぶりだの。他人とここまで話すのは。……楽しそうに見ているが、神代類。私のこの状況のなにが楽しいんだ。笑って誤魔化すんじゃない。……まったく、これだから天才は。

 

 全員食事を食べ終わった状態で雑談しているし、この後注文することもないだろう。

 

 スマホを指で叩いて秘密の信号を送ると、スマホの画面にひょっこりと⬛︎⬛︎(ミク)︎が顔を出した。もう一度スマホを指で叩いてキャッシュレス決済アプリのカメラを起動し、テーブルで会計を済ませる。……合計で9000円ぐらいか。お財布に優しい店だ。

 

「…………倉庫の整理、あるから。先に帰る、ね」

「おう、気をつけろよ」

 

 さて、荷物を整理しに倉庫へ行こう。そろそろアレをメンテナンスしたり、動かさないと動かなくなってしまう。

 それに、今日は配信もある。配信の準備もしないとね。

 

 

 ……あ、そう言えば。

 

「…………今後の話。聞けてないな」

 

 今度会った時に聞かせてもらおう。どうせ、学校に行けば居るんだろうし。

 

 







「え? お、お会計が」
「はい。お済みになっている様なのですが……」
「……類、まさかこれが」
「そうだろうね」
「暁山さんから聞いたことはあるけど、実際にやられるとこんな気分なんだ……」
「なんでー? なんでお会計が終わってるの」
「奏さんから聞いたことはありましたけど、まさか本当だったなんて」
「……心当たりが?」

「うん。話は聞いていたけど、実際に見るのは初めてだよ。犯人は、玲音だろうね」

 お会計失踪事件(鳳えむ命名)は、こうして幕を開け、翌日。玲音は神代類と天馬司率いるワンダーランズ×ショウタイムと望月穂波にお叱りを受けるのだった。



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