ジ・Oの女は恋知らず   作:エタノル

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口紅について言及すれば女らしくなると思っている節があります。


真っ赤なルージュを引き下げて

「先ほどは声を荒げていたが」

 

ラウラだった。結構ラインを超えた発言をしてしまったので気まずい。

 

「ほかの子たちは?」

 

「セシリアとシャルロットはISの調整、鈴音は箒のもとへ行った」

 

「ラウラは?」

 

「手升の前にいる」

 

私だけ苗字呼びか

 

「エスパーなんだろ?当てて見せろよ」

 

「お礼参り?」

 

「礼はしない。専用機持ちので銀の福音と戦う」

 

「お礼参りじゃん」

 

「そういうのか、覚えておこう。貴様は行くんだろう」

 

「城子でいいよ」

 

「?」

 

「呼び方。あの時はごめんね」

 

ちゃんと謝れていなかった。

 

「クラリッサが言っていた。日本では殴り合いで友情を深めると。いいキックだった」

 

「ありがとう」

 

「城子、お前は天才だ。技術者でありながら、この私に勝ったのだ」

 

「急にどうしたの?」

 

「すぐに追いつくということだ。私は戦いのために生み出された、人間もどきだからな」

 

ラウラは不敵に笑った。

 

「期待してる」

 

こうも都合よく励ましてもらっては、答えるしたない。私は装備を整え、ラウラと海岸に行った。そこには、海岸に一夏以外の専用機乗りも集まっていた。敗北に落ち込んでいた箒が立ち直っていたようだった。

 

全員で銀の福音のもとへ向かった。

 

「多分一夏はすぐ回復するよ」

 

「そうなのか、嫁は無事か」

 

「どうしてそんなことがわかるのよ」

 

「天才だから」

 

「そうでしたわね」

 

ラウラは初撃を放った。セシリアとシャルロットが弾幕を張り、銀の福音を襲う。

 

それに対抗して銀の福音は光弾をばらまいた。

 

「セシリア、ビーム攪乱幕を使う」

 

そうだ私はシロッコではない。使えるものを使えるだけ使って戦おう。

ビーム攪乱膜を受けた銀の福音は光弾を使わず、格闘戦で箒を狙った。接近の得意なリンちゃんが切り付け、シャルロットが打ち込み、箒が決めた。福音は堕ちた。

 

「第二形態移行!?」

 

銀の福音が進化した。光の翼が解き放たれる。超スピードでセシリアに向かった。

 

「神に好かれてるおつもりで!」

 

「そうはさせないよ」

 

シャルロットがフォローに回った。パイルバンカーによる特攻だったが、銀の福音によって交わされた。だがそれはシャルロットの狙いでもあったようだ。回避行動という隙はラウラのレールガンの的になる。それをかわしてもセシリアがいる。だが今の福音の計算内のようだった。

 

「そんな」

 

銀の福音は、シャルロットを盾にし、セシリアに光弾を放った。リンちゃんが拡散する衝撃波を放つも、弾幕の多さに勝てずセシリアとラウラが戦線を離脱した。次はリンちゃんを狙ったようだった。後方移動しながら逃れるリンちゃんを福音は追う。光弾と衝撃はがぶつかりあった。

 

「やらせはせん」

 

箒が割って入った。福音が反撃しようとしていたため、ジ・Oで蹴りを入れた。飛ばされながらも福音は反撃を辞めず、捌ききれなかった箒とリンちゃんが落ちた。

 

「機械人形ごときが、調子に乗るな」

 

敵をサブアームで海にたたきつけた。ラウラが迎撃するが当たらない。先を読み切れていないんだ。

 

腹が立ってきた。絶対防御があるとはいえ、一時戦線離脱するほどダメージを与えて。

 

恐らく箒の姉のせいだ。おんぼろの無人機を開発したのも、この銀の福音を暴走させたのもすべてそうだ。己の開発のために倫理を無視し、私の開発の邪魔をする。篠ノ之 束

 

「貴様はもう、消えていい」

 

「暴走する武器など、消えろ!」

 

私は追いながらビームライフルを打った。背中に当たったところでラウラが近接を仕掛けようとした。近づかれすぎて、近接せざるを得なかったのだ。

 

「ばかな」

 

射撃特化とはいえ至近距離でも打てる代物であった光の翼は、近接するラウラに集中砲火できた。彼女らは一瞬で戦線を離脱した。安全装置が起動したからだ。

 

「派手なだけで」

 

タイマンだった。私の一方的な攻撃だったので、ジ・Oが優勢なのは間違いない。しかしこのまま長期戦が続けば、未完成のサイコフレームによる熱暴走が起きるのは間違いない。それまでに敵のシールドエネルギーを削り切れるかが賭けになりそうだ。

 

「魂のない動きなぞに、このジ・Oをとらえられるか」

 

精神を強くつ必要がある。少なくとも無人機の反応から、ISの意識にもジ・Oのプレッシャーが効くのは間違いない。突破口はある。

 

「城子ぉ」

 

一夏が加わってきた。私の予想が当たったようで嬉しかった。

 

「進化したか!」

 

「好きに使え!」

 

紅椿の光弾が福音に当たる。

 

「そうだ城子、今は私たちもいる。今は対等だ、だから勝てる、そうだろ?」

 

「もちろんyesだね」

 

回復した箒の言葉だった。それに喜んだ私はプレッシャーを解放した。みんな強い子だったんだ。忘れていたわけではないけど、任せて好きにしよう。

 

「ねぇ一夏、今度決着をつけようよ。代表戦のやり直し」

 

「こんなときに」

 

最高出力で撃ったビームライフルで銀の福音を打ち抜いた。

 

「パワーダウンか、白式」

 

「一夏!」

 

紅椿のエネルギー補給が一夏に入る。

 

「コンビネーションで!」

 

ラウラが敵を静止させセシリアがビットで打ち抜く。敵の羽にはリンちゃんの衝撃波とシャルロットの実弾が放たれた。それに合わせてラウラが退散する。それを福音が追う。

 

私は2本のビームサーベルを連結させて投げた。

 

「譲渡許可、リンちゃん!」

 

「受け取った!」

 

私のビームサーベルは、ほかのISのそれとは違う。ほかのISはバーナーのようなもので、私のそれは、Iフィールドによるエネルギーの固定だ。Iフィールドによる力場は、光弾をはじいた。

 

武装を封じられた福音は、最後に凶音を聞いた。紅椿によって回復した、白式の単一仕様能力だ。

 

「零落白夜!」

 

一夏の必殺の一撃が決まった。

 

一夏がいなかったからか箒もおらず、私は一人でご飯を食べていた。さみしい。ほかの専用機乗りの子はテーブルだ。みんな足がしびれるらしい。

 

「結局あれ、なんだったの?」

 

「なんでもないよ。監視されたくないっしょ?」

 

「そうだね」

 

いつのまにかほかの専用機乗りがいなくなっていた。一夏のところに行ったんだろう。

 

「そういえば織斑くんとデートするってほんと?」

 

噂が早い!口軽のセシリアめ

 

「嘘じゃないよ。でもほんとでもない」

 

「どういうこと?」

 

「あくまで名目ってだけ。男の視点が欲しいだけ」

 

「でも年頃の男女が2人で出かけるんでしょ?」

 

「そりゃそうだけど」

 

「それってデートじゃん」

 

「利用するだけだってば、クーポン券がもったいないでしょ」

 

「あらやだ聞きましたか奥さん」

 

彼女たちへの信頼は得られそうになかった。

 

「あーんな派手な水着を着ててよく言うわ」

 

「あれは後輩が」

 

「どうだか」

 

話は簡単に燃え尽きる。嫉妬の炎は熱かった。

今の私の情熱が、その炎によるものなのか、それとも自分自身によるものなのか、今の私にはまったく理解ができなかった。

 

 

IS学園に帰った後、サイコフレームの調整を再開した。銀の福音との戦闘が想定よりも長引いたおかげで、サイコミュの負荷が高い状況下での長期運用のデータを取れた。こればっかりは心の問題だから、実践時にしか取れないものだった。

 

そもそも私のISであるジ・Oは、元は30mくらいの宇宙用ロボットだ。それが地上で着ぐるみのようにして着ているため、冷却の問題は強烈だった。

 

他のISであれば発熱しやすいパーツを肉体から離し、箒の姉が開発した熱に強い回路を使っているために排熱の問題が比較的軽い。しかし感度を最大化させることが目的のジ・Oでは、ほかのISのようにすれば反応性が遅れ、運動性が損なわれる危険があった。つまり回避 100くらいにしたいものが、話してしまえば回避 87にまで下がる。13も下がれば、超速戦闘の中では”今の押したって”が連発することになる。だから冷却の問題は重要なのだ。

 

「簪ちゃん、できれば使って。こんど倉持技研向けにロールアウトするシュミレータ」

 

「独自規格。すごいね」

 

「まあね。でも私のチームの試験だけじゃ足りないから、代表候補生として意見を聞きたいの」

 

そもそも簪ちゃんと一夏以外には、所属の関係で教えられない。一夏は例外な上に機械屋ではない。必然的に簪ちゃんが対象になった。

 

「わたしにできることってそうないと思うけど」

 

「それが私のチーム、女の技術屋が私だけで、なにより簪ちゃんの意見を聞きたい」

 

「そう」

 

機械屋にとって他人の意見は最重要だ。ニュータイプ的な直感である程度はある程度は代用できるが、それにも限度はある。

 

「ちょっと感度が良すぎるかな。量産機向けにロールアウトするにしても、こんなに早くない」

 

「ありがとね。ジ・O想定のデータだったからかな」

 

このマシンにもマグネットコーティングを施していて、最大感度で動かしていたから多少の遅延設定が必要そうだ。

 

「これでどう?ここのパラメータを設定すれ、打鉄くらいの設定にできるよ」

 

「これくらいならちょうどいいかも」

 

なかなかの好感触だ。

 

「量子化したISか記憶回路を組み込めば、弐式のパラメータで確認もできるよ」

 

「ありがと。あ、ここエラーって出てる」

 

「ちょっと弐式見せてね」

 

「あっ」

 

私は弐式にかけより、エラーが見えた場所を確認した。その影響範囲もだ。それは弐式のアクチュエータが、ほかのパーツと干渉していたのだ。

 

「ここじゃない?」

 

「ほんとだ。でもいいのかな、私」

 

「いいでしょ。エラーコードを人に見てもらうくらい、篠ノ之 束だってやってるよ。IS作ってるとこ横から見てたけど」

 

あの頃はまだ、箒の姉のことをまともだと思っていたから。少し懐いていたような動きをしていた。一夏や箒との出会いよりも、私は箒の姉とのかかわりの方が古かった。

 

「妹と幼馴染だもんね」

 

「そういうこと。で、ここをいじれば仮想敵と戦える。このデータはこの前来た無人機の戦闘データをもとに作ったもの」

 

「すごい。あんなサンプルデータでよく作れるね」

 

「あれは本質的にはbotだからね。ここをいじれば、5倍の性能相手に戦うことができるよ」

 

「5倍じゃさすがに勝てそうにないかも」

 

「勝てなきゃ候補生止まりだよ。なんせ私がいるからね」

 

この程度の無能機械なんて、5倍あっても勝てないと、ジ・Oに攻撃も当てられない。

 

簪ちゃんに確認してもらった後、ジ・Oの方でも調整した。過去の戦闘データを学習させたNPC相手の対戦だ。脳波を測るためのヘッドホン型の測定機器を頭に付けて、シュミレータを起動した。

 

結果を言えば、サイコフレームのおかげで、新型の冷却板であれば長時間の本格的な戦闘にも耐えられる。最大稼働で動かしたとしても、ジ・Oのエネルギー以上の稼働ができることが分かった。空間が空いた分、弱点を補うことができた。

 

現状のジ・Oのコンセプトはガンダムのものとは違う。スポーツ大会で戦うためのものであるため、基本は決闘用だ。だからこそダミーバルーンのような、ぎりぎりの隙を作るための武装をいくつか積んでいたがそれも減らしていってもよいのかもしれない。何よりシンプルになるにつれて完成に近づいている実感が得られる。シンプルイズベスト。それこそ私の最大のロマンだ。




ビーム薙刀はノリです。それ以上はないので今後出てきません。
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