《RTA》『限りを齎す者』《完走失敗》   作:アーっr

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本編に登場しなかった伝説の領域展開。
皆に望まれたその幻想(ユメ)が、地獄から甦る!


伝説の領域展開

 

 

 村を満たした悪魔の呪力を燃料に。それを外へ出さない為の結界を外殻として、領域が完成される。

 

 その領域は村全体を射程とする。無量空処すらも超える長射程は、無量空処の外殻を破壊した。

 

 「───は?」

 

 六眼を持つ五条悟には、確かに見えた。

 

 この村にあった呪力の全てが、人の中にあった呪力までもが、その領域に吸収された(・・・・・)───!

 

 「エネルギー… 吸収… アリーナ」

 

 村に居た全ての存在から呪力が無くなった。

 土地は均され平地となり、一つの大きな舞台(アリーナ)となった。

 

 

 スッ、と悪魔はファイティングポーズをとる。

 

 「領域展開」

 

 呪力ゼロ 拳のみ 勝者あり

 

 

 

 

 

 

 「舐めんなクソガキ!」

 

 五条悟の長い手足(リーチ)から繰り出される攻撃は悪魔にダメージを蓄積する。

 しかし、悪魔も負けていない。

 

 「クハッ!」

 

 五条悟の拳を耐え、悪魔が拳を振りかざす。

 

 「ちっ───!」

 

 そもそも、肉体の強度からして大きな差があるのだ。五条悟の拳は、決定打を与えられない。

 

 対して悪魔の拳は、掠っただけでも五条悟の肉体を破壊しかねない。

 現に、五条悟は追い詰められている。

 

 「(コイツ、体術はド素人だな。だが限界は来る。肉体の性能で圧倒的に負けてる以上、何か打開策がないと───)」

 

 悪魔が再び拳を振る。五条悟は見抜いて、その一撃を避けようとして───

 

 「あ?」

 

 悪魔の拳は地面に落ち、悪魔はそのまま足払いをする。

 

 「浅知恵お疲れさ、ま!」

 

 足払いを避け、思い切り悪魔の頭を蹴り飛ばすが、あまり効いていない。

 

 「(さっきまでは無かった攻撃方法。明らかに時間が経つにつれて上手くなってやがる)」

 

 領域展開前に五条悟によって付けられた角の傷は未だ治っていない。

 呪力の禁止は領域全体に対して、つまり展開した悪魔自身も禁止なのだ。

 

 つまり、悪魔は黒閃の傷を抱えながら戦い続けなければならない。

 

 「(角をブチ折れば多少ダメージは入るだろ。無量空処のダメージもおそらく抜け切ってない)」

 

 五条悟の考え通り、悪魔には無量空処による脳へのダメージもある。

 二人の間に、そこまで大きな差があるわけではないのだ。

 

 

 

 

 

 ───それでも、その時(・・・)は来てしまった。

 

 「触んなよまっくろくろすけもどき!」

 

 悪魔が五条悟の両腕を掴んだ。五条悟は抵抗しているが、地力の差が大きい。

 

 悪魔が口を開ける。

 並んだ歯はどれも鋭く、五条悟の肉体を容易く噛みちぎるだろう。

 

 「オ、レの、かち!」

 

 悪魔は勝利を宣言し、噛みつき───

 

 「それはどうかな?」

 

 突如として現れた夏油傑に、後ろから殴られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「グ………ギ……ッ」

 

 「遅すぎだろ傑。一週間は奢れよ」

 

 「仕方が無いだろう、タイミングを見計らってたんだから」

 

 夏油傑の攻撃は、そこまで威力が高かったわけでは無い。

 だが、無防備な状態かつ傷の入った角を殴られたことにより、神経に衝撃が入った。

 

 歯が抜けると激痛が走るように、小指をぶつけると激痛が走るように、角を殴られた悪魔は激痛に耐えていた。

 

 「それにしても、よくもまぁわざと捕まりに行ったね。危ないとか思わないのかい?」

 

 「“勝ち方が決まってる奴は、勝ち筋を作ると簡単にノってくる”だろ?」

 

 今までの攻防は、全て五条悟の掌の上であった。

 

 小さな村で呪力を使って暴れていただけの悪魔が、技を磨いているわけがない。

 

 単純な力ではなく技術を習得していた五条悟の方が、何枚も上手だったのだ。

 

 「さて………終わらせるか」

 

 「勝てるのかい?相手との性能(スペック)的な差は歴然だよ?」

 

 「なーに弱気なこと言ってんの。大丈夫でしょ」

 「俺達、最強だし」

 

 

 

 

 

 

 その言葉通りに、二人の『最強』は悪魔を追い詰めていた。

 

 「大振り過ぎる。呪力が無ければこの程度か」

 

 「だから言ったろ?コイツ腕力があるだけの猿だぞ。あ、ゴリラか」

 

 まるで教室で雑談をするかのように、全く気負うことなく二人は戦っている。

 

 素人丸出しのテレフォンパンチを繰り出す悪魔に対し、格闘技を趣味とする夏油が投げる。

 その隙を逃さず五条悟が蹴りを入れ、着実にダメージが蓄積されている。

 

 

 ぴしり、ミシミシ。

 角にヒビが広がる。亀裂は最早全体に広がり、その度に走る激痛に苛まれ、『魔』から離れていく。

 

 「ハァ………ガァァァァッ!」

 

 やぶれかぶれの一撃。

 それを完璧に見抜いた『最強』達は、見事なまでのカウンターを見舞う。

 

 バギッ

 

 「グ───ぁ」

 

 「おっ。いい音するじゃん」

 

 角が折れたことにより、悪魔は『魔』から離れ、人間に近づく。

 それ程までに角は重要な部位だったのだ。

 

 呪力があればすぐさま再生して事なきを得るが、今は呪力ゼロ。

 肉体の弱体化は避けられない。

 

 

 

 

 終わりだ。

 角は折れ、肉体は脆弱な人間のものに戻り、最早勝ち目はない。

 

 「………最期に、言い残すことはあるか?」

 

 強かった。今まで会った事がないほどに。

 

 五条悟にとって、世は花畑である。

 雑に歩けば花は散る。強者故に、慎重に歩かなければならない。

 

 そんな五条悟には、大凡対等と呼べるような存在は夏油しかいない。

 もし夏油がいなければ、今頃どうなっていたかわからない。

 

 これは強者への尊敬の念と、少しの同情。

 

 別の出会いならば、或いは後輩として接する事があったかもしれない。

 五条にとっての夏油のような『誰か』に会えたかもしれない。

 

 五条は悪魔に………悪魔だったその子供に、もしもの自分を重ねたのだ。

 もし夏油に出会わなければ。もし五条家に生まれなければ。

 

 五条は、悪魔になっていただろう。

 

 「………ああ、やっぱり」

 

 子供が口を開く。

 内臓が傷付いているからだろう、血が肺にまで入って上手く話せていない。

 

 それでも、五条は聞いた。

 

 「きれいな、目。ほしいなぁ………」

 

 

 

 

 

 

 記録 2007年6月

    ◾️◾️県◾️◾️市(旧◾️◾️村)

 

 

 任務概要

  村落を囲う結界、及び村落内に満たされた呪力による不完全な領域展開

  その原因と思われる呪霊の討伐

 

 

・領域が完成する可能性も踏まえ、特級術師夏油傑(高専3年)を派遣

・担当者(夏油傑)の派遣から2日後、『窓』による調査で戦闘が行われた痕跡を確認

・不完全な領域が崩壊していないことから担当者(夏油傑)を死亡と断定

 

・特級術師五条悟(高専3年)を派遣することに決定

 

・特級術師五条悟(高専3年)を派遣から2時間後、村落を囲う結界の解除及び村落内に満たされた呪力の消失を確認

・特級術師夏油傑(高専3年)の生存を確認

・本件の原因は呪霊ではなく呪詛師であるとの報告、及び呪詛師『悪魔』の死体を確認

・特級術師夏油傑(高専3年)に協力した現地の呪術師(幼児2名)を保護

・呪詛師『悪魔』の死体が呪物化していることを考慮し、高専内に封印措置をとる

 

 

・任務完了から三週間後、特別秘匿案件が発覚

・緊急措置として、特級術師夏油傑(高専3年)及び特級術師五条悟(高専3年)を動員し、事態の収束に当たらせる

 

 

 

・新総監部部長より通達。特別秘匿案件の収束を宣言し、秘匿死刑対象を赦免する

 

 




Q.術師を殺す時に気をつけるべきことは?
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