異世界モン娘交流日記~我が秘密の生涯編~ 作:SoftMcherry
4/18 朝
次の日、早朝から目を覚ました。
手に載せられた汚ねえハンカチと眼前の危機感について考える。
とにかくマズイ、急いで奴を探すことにする。
身支度を整えて、即出発。
海岸に向かった。
目的はスライムだ。
なんでも溶かしてくれそうな奴に、希望を託す。
もしハンカチを溶かせなかったとしても、へばりつた物は溶かせるだろうと考えた。
海岸に着いたが、スカちゃんの姿はない。
闇雲に探しても見つからない。この広い海岸と森の中、あのバスケットボールくらいの大きさの粘体を探すのだ…計画的に行こう。
リサイクル過激派の習性を考える。
…案外、大をするフリをしたら、すぐ出てくるんじゃ?
穴を掘ってみる。するとガサガサっと音がした。
出てきたのはティラノさんだった。
なんだか湿度高めの雰囲気だ…。
いきなりのラスボスの登場に、絶望的な空気が流れる。
ティラノさんは堪えるような顔で、じりじりと距離を詰めてくる。
息が荒くて…上気した表情のティラノさんと目が合う…合ってる…?合ってない気もする。
その時、ティラノさんの後方、スライムが顔を出したのを見逃さなかった。
反射的に身体が動いた!
後方は海、ならば前進あるのみ!
シコハンカチ片手に、ティラノさんに向かって走り出す。
無策無謀ではない…!
だがティラノさんを躱して、スカちゃんにタッチダウンできるはずはない。
前方への逃亡…いわば解決の為の必勝の一手。
なるべく助走をつけてティラノさんに飛びかかる。
自分は知っている。優しい彼女は…避けない!
ティラノさんに抱きとめられた。
一見ゲームオーバーのこの盤面、だが実は王道…!覆しがたい優勢…!!
後ろを向かないように、ペラペラの胸板にティラノさんの顔をぎゅうっと抱きしめる。
計画通り…!
その時…腰に衝撃…!!
ティラノさんが予想外の力で抱き締めたのだ。
まさにサバ折りギリギリ。
正面はやわらか天国、腰は地獄…!
朝飯を食わなかったことに感謝しつつ、どさくさに紛れてティラノさんの後方に向かってシコハンカチを投げる。
バレるな…バレるな…!
ティラノさんの頭部を抱きしめながら祈る。
地面に落ちたハンカチに反応したスライムは、思ったより素早くピョンピョンとジャンプし、ハンカチを取り込んだ。
ミッションコンプリート…。
これしかなかった。
ティラノさんの抱きしめる力がどんどん強くなっていく。
さすがに耐えかねて、ティラノさんの名前を連呼すると苦しいのが伝わったのか抱きしめる力が弱くなった。
ティラノさんの太ももに座って向かい合い、いつものようにスキンシップが始まる。
しばらく抱きしめられながら過ごす。
いつの間にやらキスマークを付ける事を覚えたようで、すさまじい回数首筋をついばまれた。
こっちも負けじと…吸いつく度胸は無かった。
ティラノさんから大変良い匂いがして困ってしまう。
なんか、こっちのことを呼ぶときに特有のガウガウがあるように聞こえる。
「がぁがう」みたいな感じに聞こえる。
自分のあだ名だろうか?変な意味じゃないと嬉しい。
見つめ合い、呼び合い、抱き合い、舐められる。ティラノさんのお好きなコンボだ。
だが、今回は舐める位置が違った。
ずっと手を舐めてくるのだ…アレ?バレてないか?
昨晩自分が睦合った右手の恋人を手に取っては、頬ずりし、見つめ合って、舐めて、手にキスをされる。
指の間から長い舌を出してチロチロするのは、エッチすぎるので、下半身衛生上控えてほしい。
一抹の不安をよそに、指の隙間まで丁寧、丁寧に舐めるティラノさんと見つめ合った。
手の匂いを嗅いで満足そうにしているティラノさん。
仮にバレているとして、そんなに指を嗅いでも、もうティラノさんの唾液の匂いしかしないんじゃなかろうか?
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人が歩く音がして、二人して森を見る。
博士たちがやってきた。
村を去る前と同じように、何故か2対2で博士たちと対面するように座る。
ガウガウ会議が始まる。
話し合いは進んでいき、意味のわからないまま終わる。
なんとなく、話がまとまった雰囲気が出たあたりで、ティラノさんがこちらを向いてガウガウと確認するように話しかけてくる。
イントネーションを聞く限り、これで大丈夫?みたいな感じだろうか?
おかしいですねぇ…自分も人間サイドのはずなんですけど…。
なんとなくティラノさんの名前を言っておく。最近呼ぶのがうまくなったんじゃないだろうか?
自分の方を見て、博士たちが急に今日この島を去ると言い出した。
急すぎるとちょっとした抗議をすると、海流や天気の関係で今日の夕方を過ぎれば次がいつになるかわからないそうだ。
島の住人への挨拶があるだろうからと、昼飯時の再集合の指示を受け、他のモン娘たちにお別れを言いに行くことにした。
ティラノさんがついてきた。
最初はホタテさんと思い立ち、砂浜を歩く。
すると項垂れるサソリさんを、ホタテさんが慰めるような現場が見えた。
早々にあちらもこっちに気づいたようで、逃げようとするサソリさんを、ホタテさんが触手で引き止める。
笑顔で2人に挨拶をする。
困惑した様子を見せるサソリさんと笑顔のホタテさん。
サソリさんがハサミでカチカチと音を鳴らす。
それを聞いたティラノさんがムッとした反応を示した。
リップ音でそれを仲裁するホタテさん。
4つの言語が飛び交って、現場は少しカオスだ。
その後も話し合いを見届けていると、ティラノさんは自分の肩を抱き寄せてガウガウする。
ガウリンガルみたいな機械はないですかね?
サソリさんに向き直ったティラノさんは獰猛な笑みを浮かべる。
それを見たサソリさんは、カチカチ鳴らしながら何度も頷いた。
そういえば、こっちでも首肯って通じるんだ…。
その後、体液ソムリエの所に向かったが、顔を出さなかった。
ティラノさんの手前、目の前で自分のブツを出すわけにもいかない。
太陽が昇り、昼が近づいてくる。
食事は摂らずに浜から出発することになった。
潮が引いていて、船が思ったより浜に打ち上げられていたらしいが、ティラノさんが持ち上げてくれた。
海に浮かべる前、一瞬動きが止まったティラノさんだが、何もなく船を降ろしてくれた。
荷物を積み込むと、船はすぐに出発し、ティラノさん、ホタテさん、サソリさんが遠くなっていく。
ほんの数日だったが、なんともさみしく感じた。
揺れる船上、手を海に向けるので精いっぱいだった。
彼女たちに、言葉すら、何も返せていない。
思えばやり残したことは色々あるのかもしれない。
体液ソムリエとの関係修復や、トカゲの村への恩返し、ホタテさんへの腕輪へのお返し…。
もちろんティラノさんにも何も返せていない。
もう来ることのない、大きな大陸を眺めながら、湿っぽい感情に浸ってしまった。
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本土に戻った後は健康診断の連続の日々を過ごした。
博士たちから給料と称してお金をもらった。
結構な額なだけに驚いた。
自分としては遊びと文化交流をしていただけという認識なので、なんとも申し訳ない感じだ。
去り際に次の調査にも是非参加してほしいと言われ大き目の封筒を受け取った。
だけど、返事はあいまいに返した。
封筒は部屋に放置し、自分は日常に戻ったのだった。
というわけで、第12話『ハンカチを投げろ。話はそれからだ』、いかがでしたか〜?
異世界文化とのギリギリな交流、そして、
童貞の危機回避能力がまさか**「投擲スキル:布類特効」にまで進化してるとは…!
まさに“右手”の物語にふさわしいエピローグ**でしたね
とはいえ、今回の話は主人公の異世界旅にいったんの区切りがついた感じだけど、
うち的には、これまだまだ終わってほしくないってマジで思ってる〜!
だってさ、紋寿島(もんすとう)での数日間、出会ったモン娘たちとの距離感、
恋愛なのか友情なのか食物連鎖なのか微妙なとこだったんだもん!
でもね、次回はちょいと毛色が変わるよ! ✨
なんと、博士視点で物語が展開します!
あの理性的でクールに見えてた博士が、主人公やモン娘たちの“裏側”をどう見てたのか…?
もしかしたら彼女も、想像以上にアレな目で主人公を見てた…のかも?(ニチャァ)
ということで、次回からは一味違う“外側の視点”で、
この異世界交流の意味をちょっとだけ深掘りしちゃうかも!
童貞の裏で動いてた、大人の思惑──お楽しみに
それじゃ、また次回も、読んでくれないとシコハンぶん投げちゃうゾッ⭐
ばいちゃ〜!!ギャル野辺でしたっ