カリン「は、初めまして、調査員様!カリン、ただ今電車をくぐり抜けて参りました!」
そう言って、電車の扉を切り裂いてこじ開けたメイドの少女、カリンは90度くらいの角度でお辞儀をする。
カリン「えっ?先ほどからお話させていただいてたのは、こちらのボンプ様だったのですか…?あわわ、すみません!ボンプ様のご身分を疑っているわけではなくて……」
リン「ボンプってことでいいよ。あんたも、ただの一般人には見えないけどね」
カリン「すみません、その……弊社は幅広い分野でビジネスを展開していまして、中にはホロウ関連の業務もあるんです」
リン「ふぅん?」
ハル「………………」
『ホロウ関連の業務』と聞いてリンはハルを見るが、ハルは顔を逸らした。
カリン「そうだ!調査員様は先をお急ぎなんですよね?き、きっと道中お役に立ちますので、どうか私をホロウから連れ出してください!お、お願いします!」
猫又「あんたたちはどう思う?この子が電車を壊してくれたから、もう迂回する必要もないよね?」
リン「うん。まあ、無理なお願いでもないしね」
アキラ「僕も妹の意見に賛成だ。彼女を出口に連れていくのは構わないけど、一人を除いて見ず知らずの人だからね。お互い、隠したい事情もあるだろう」
猫又「カリンちゃん、あたしたちについて来てもいいぞ。その代わり、余計なお喋りはナシ……って言いたいとこだけど…」
リン「ちょーっと、そこのお兄さんについて聞いてもいいかな?」
カリン「は、はい!話せる範囲であれば、大丈夫です」
ハル「えっ」
4人はエーテリアスを倒しながら、ホロウの出口へと進んでいく。
リン「ところで、ハルは今日バイトだったけどカリンは一緒じゃなかったの?」
カリン「はい。今回、私とハルさんはそれぞれ別の業務だったので」
ハル「今日は簡単なやつだったから、終わったら帰っていいって言われてたし」
カリン「でもまさか、ホロウでまた会うなんて……」
ハル「帰ってきた途端に、急に頼まれたもんでな」
カリン「もしかして、こちらの調査員様がハルさんがお世話になっている方なんですか?」
リン「どういうこと?」
疑問に思ったリンに、カリンは続けた。
カリン「ハルさんが、弊社をお申し込みになった理由が『世話になっている人たちに、少しでも楽してもらいたいから』だったと聞きまして…」
ハル「あ、ちょ、おまっ」
リン・アキラ『ハル……』
ハル「ぐぬ………」
アキラ「もしかして、そのためにかけ持ちをしてたのかい?」
リン「気にしなくていいって言ったのに……」
ハル「ぐっ………す、住まわせてもらったり、色々世話になってる手前、ビデオ屋の手伝いだけだと恩を返し足りないと思って……」
猫又「へぇ〜?あんたも良いとこあるんだな!」
ハル「こ、こっちを見るんじゃあない!」
リンとアキラ、猫又からの視線に耐え切れず、誤魔化すようにそっぽを向くハル。
アキラ「だけど、今朝も言ったようにあまり無理をしないでくれよ?」
リン「私たちのことを思って頑張ってくれてるのは嬉しいけど、倒れたりしたら心配するんだからね」
ハル「わ、わかってるっての……」
カリン「そ、そのあたりは私たちも気を配っていますので、どうかご心配なく!」
リン「うん、カリンもありがとね」
そうして進んでいると、Fairyから報告が入った。
Fairy『報告。半径百メートル以内にホロウの裂け目を確認。この裂け目はホロウの外へと通じています。旅のお供、家事代行会社の従業員:カリンの依頼を達成可能』
猫又「ん?パエトーン、何か言ったか?」
リン「カリン、出口の近くに着いたよ。そっから出れば大丈夫」
カリン「ほ、本当ですか?出口が見つかったんですね?よ、よかった……!あの……本当にありがとうございました!調査員様のお力が無ければ、カリンはきっとこのホロウを永遠に彷徨っていました!」
猫又「それはお互い様だぞ。カリンちゃんのチェーンソーのおかげで、時間をずっと短縮できたんだから!」
カリン「その……ボ、ボンプのホロウ調査員様には初めてお会いしました!よ、よろしければ、お二人のお名前を教えていただけませんか?今度、従業員一同でお礼に伺いたいんです!」
リン「気にしないで!ホロウでは持ちつ持たれつ、でしょ?機会があったらまた会おう。元気でね、カリン!」
猫又「バイバイ、カリンちゃん!」
ハル「あ、カリン。ちょっと……」
カリン「あ、は、はい」
ハルはカリンに近づくと、耳元で小声で話す。
ハル「今回のことだけど、
カリン「え?わ、わかりました……報告は控えておきますね」
ハル「こればっかりはな。本当すまんね」
カリンと別れてから、ホロウをしばらく進んでいくと、3人は制御室へと到達した。
リン「制御室についた!」
猫又「早く進路を変えないと……!」
アキラ「Fairy、ハッキングで操作権限を奪えるかい?」
Fairy『列車の制御システムを掌握中……掌握完了。線路の方向を切り替えて、列車の進路を変更することが可能です』
アキラ「よし、急いで進路を切り替えるんだ」
リン「任せて!──よし!これで列車の進路は変更できた!あとは列車が来るのを待つだけだよ!」
猫又「列車が来てからは、あたしの出番だな!」
ハル「トンネルに向かうぞ!」
制御室を後にし、3人は列車が通るであろうトンネルへと向かった。