デッドエンドホロウ内のトンネルに列車が通り、3人は減速する列車と並走する。
Fairy『マスター、間もなく列車が予定地点を通過します。依頼人共々、行動できるよう準備してください』
ハル「よし、猫又!」
猫又「うん!プロキシ、今だ!」
猫又はボンプを走行する列車の上へと投げ飛ばす。
ボンプは無事に列車の上に着地した。
猫又「よし!ドンピシャ!」
ハル「あとは中から列車を停止させるだけだ。まあ用心するに越したことはないから、ちょっとサーチしてみるか……」
猫又「そんなこともできるの?そのバイザー結構便利だな…」
ハル「色んな人に教えてもらいながら制作したからな。周囲環境をマーク中……っと」
『ちっ、面倒くせぇな。任務とはいえ、こんな格好をしなきゃならんとは……』
『少しは我慢しろよ、俺だって靴が合わなくて辛いんだ』
『おい!列車がルートを外れてると隊長が言ってるぞ!どういうことだ!?』
列車内部をスキャンすると、10人以上の人間の反応が現れた。
ハル「は?人が乗ってんじゃねえか!?」
猫又「えぇ!?」
ハル「乗り込むぞ!」
猫又「わ、わかったぞ!」
『あー、隊長。上から喋るボンプが落ちてきたのですが、パールマン長官に引き渡しますか?……はっ!今すぐ処理します──』
ハルと猫又は列車の窓を蹴り破り、内部へ侵入する。
猫又「せやっ!」
ハル「イヤーッ!」
「なっ……ぐあぁ!?」
「グワーッ!?」
猫又は通信していた人間を、ハルはボンプに銃を構えていた人間をそれぞれ蹴り飛ばした。
リン「ハル!」
ハル「まさか人間を積んでたとはな!猫又!」
猫又「こっちだ!」
ハルの呼びかけで、猫又はボンプを抱えると窓から列車の外へと放り投げた。
猫又「ここはあたしたちに任せて、先に戻って!キャロットがあるから大丈夫、後でお店に行く!」
ボンプは列車の外に放り出され、列車は行ってしまった。
リン「うわぁ!」
アキラ「もしもし、聞こえるかい?一体何があったんだ?」
リン「何かがおかしい……今から店に戻るから、それまで待ってて!」
猫又がボンプを外へ放り出した時、ハルは対峙している相手に、両手を合わせてオジギをする。
ハル「ドーモ、ヴィジョン=サン。ホロウレイダーです」
「な、何故ホロウレイダーがこんなところに!?」
ハル「まさか積んでたのが爆薬じゃなくて兵士とはな。とにかくさっさと片付ける!」
「あ、ちょま、グワーッ!?」
アイサツをするなり先手必勝と言わんばかりに、ハルは正面の兵士にボディブローを叩き込む。
狭い上に人の多い車内では、ブレードは使いにくいので格闘で立ち回る。
ハル「シィアッ!」
「へぶぅ!?」
蹲る兵士を踏み台にして跳び、2人目の兵士の顔面に膝蹴りを叩き込む。
ハル「ジョルトスマッシュ!」
「ピガーッ!?」
ハル「ローリングソバットォ!」
「グワーッ!?」
機械頭の兵士の顔面にジョルトブローを叩き込み、その勢いで回りながら、その後ろの兵士をソバットで蹴り飛ばす。
ハル「オラオラオラオラァ!!」
さらに列車内を縦横無尽に駆け回り、跳び回りながら殴る、蹴る、投げ飛ばす等して兵士たちを蹴散らしていく。
猫又「つっよ……あ、は、ハル!そろそろ脱出しよう!」
ハル「そうだな。ついでの土産だ持ってけ!」
去り際に兵士たちに向かって、何かを投げつけてからハルと猫又は列車から離脱した。
「手榴弾だ!」
『イヤァァァァァ!?』
車内で爆発が起こり、列車は煙を上げながらトンネルの奥へと走っていった。
猫又のキャロットを頼りに、2人はホロウの出口へと向かった。
ハル「……ふーむ」
猫又「ハル……?」
ハル「猫又、お前まだ俺たちに隠してることあるんじゃねえの?」
猫又「そ、それは……」
ハル「爆薬を輸送する列車は無人のはず。なのに列車内には治安局に偽装した奴らばかり……あいつらヴィジョンの奴らだろ。治安局が関わってるなんてニュースでも言ってなかったしな」
猫又「あ、あたしだって中に人がいるなんて知らなかったし……」
ハル「の割には結構慣れた感じがしたけどな」
猫又「そ、それは他の場所で奴らを見たことがあったからで……」
ハル「猫又」
ハルは閉じていたバイザーを開いて、目線を合わせて真っ直ぐと猫又の顔を見る。
ハル「お前と邪兎屋に何があったか、全部話してくれ。別に俺やプロキシだって融通が利かないわけじゃないんだ」
猫又「あたしが説明したところで……ホントに……信じてくれる?」
ハル「ちゃんと話せば大丈夫だって。俺も手伝うし、プロキシも手を貸してくれる」
猫又「わかった……でも上手く説明できるかな……あ、そうだ!ニコのボンプ!あれの記録の一部始終を見れば、分かるはずだ!」
ハル「わかった。ならとっとと戻るぞ。出口がどこに繋がってるか教えてくれ」
猫又「うん!こっちだ!」
─ Random Play ─
バイクのエンジン音が聞こえて、少ししてから猫又とハルが店に戻ってきた。
猫又「ただいま!はぁ、はぁ……予想以上に時間が掛かっちゃった。あたしが持ってたキャロットだと、遠い方の出口しか分からなくて……」
ハル「まあバイク使ったから、ある程度短縮できたろ」
リン「あ、だから駐車場からエンジン音が聞こえたんだ」
猫又「そ、それよりも、あんたたちに謝らないと……実は黙ってたことがあって……」
リン「大丈夫、話してみて」
猫又「実はあたしと邪兎屋はとんでもない面倒事に巻き込まれたんだ!でも、それは人助けのためなんだ!信じられないことの連続で、上手く説明できる自信がなくて……本当にごめん」
耳まで垂れ下がって頭を下げる猫又。
リンとアキラとハルの3人は顔を見合わせ、頷いた。
リン「猫又、顔を上げて」
猫又「………?」
リン「大丈夫、慌てなくてもちゃんと話してくれれば、私たちも協力するから」
ハル「だから言っただろ?大丈夫だって」
猫又「うん……!」
アキラ「ちゃんと話してくれるかい?君たちに一体何があったのか」
猫又「それだったら、ニコのボンプの記録を見た方が早いぞ!」
アキラ「よし、Fairy、視覚記録の出力を頼む」
4人はモニターの方へと向き直った。