ホロウを駆ける電光   作:ケルさん

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第1話 ホロウからの脱出

 

 

 

 

─クリティホロウ─

 

 

 

ホロウ内では赤いジャケットを着た知能機械人の『ビリー』とオフショルダーの黒パーカーに胸部と両腕が黄緑色のプロテクターに覆われている女性『アンビー』がエーテリアスから逃げていた。

 

 

ビリー「……は?戻ってきたぞ!?」

 

 

そうこうしてる内にエーテリアスに追いつかれてしまう。

 

 

ビリー「クソッ、キリがねぇ!これじゃ弾代だけで大赤字だぜ……!」

 

アンビー「来る、構えて」

 

 

2人が武器を構えた瞬間、背後から3つの爆弾が転がってきて爆発し辺り一面が煙に包まれる。

 

 

ビリー「ゲホッゲホッ……」

 

アンビー「………」

 

ビリー「いや俺じゃねえって!」

 

 

ダンッ!ダンッ!

 

 

『Gyaaaaa……!?』

 

 

さらに銃声が2回響いたかと思えば、エーテリアスがコアを撃ち抜かれて倒れる。

 

 

ビリー「うおっ!い、今のは……」

 

「ほらこっち!早く来て!」

 

 

すると背後から声が聞こえて振り返るとボンプが手を振っていた。

2人はボンプの方へと避難する。

 

 

「2人ともお疲れ様!」

 

アンビー「スカーフの、喋るボンプ……」

 

ビリー「おおっ!もしや!」

 

アン・ビリ『パエトーン!』

 

リン「ふふっ……」

 

アンビー「てことはさっきの銃撃は……」

 

ハル「俺だよ」

 

 

先程の銃声の主、電車の上に登っていたハルが降りてくる。

 

 

ビリー「ハルも来てくれたのか!」

 

ハル「そりゃパエトーン専属エージェントですから」

 

アンビー「ありがとう。助かったわ……あの上級エーテリアスの声はもう聞こえないみたい」

 

ビリー「よ、よかった……走りすぎて足の油圧ロッドが折れるかと思ったぜ!」

 

アンビー「適度な休憩を取ることを提案する。いい?プロキシ先生」

 

リン「2人は休んでて、見張りは私とハルがするから」

 

アンビー「ありがとう。プロキシ先生」

 

ハル「余程強えのが出てこない限り大丈夫大丈夫」

 

ビリー「ふぅ……さっきは危なかったぜ。まさかあの赤牙組のおっさんがあんな風に異化しちまうとは……」

 

ハル「え、なにそれ……」

 

ビリー「ニュース見てなかったのか?俺たちと一緒に爆発に巻き込まれてホロウに落ちたんだよ」

 

リン「ハルは地下にいたから見てないんだよ」

 

ビリー「ともかく店長たちが俺たちをあそこから連れ出してくれて助かったぜ。流石パエトーンとブリッツ!相変わらず頼もしいな!」

 

リン「なんの、プロキシの役目を果たしたまでだよ!」

 

アンビー「ニコのことだから、節約のために自力で対処するよう言ってくるかと思った。それがまさか、かの有名なパエトーンを探してくるなんて」

 

アンビー「プロキシ先生たちが駆けつけてくれなかったら、私たちはエーテリアスの領地から脱出できなかったはず。ありがとう」

 

ビリー「ところでさ、前から聞きたかったんだけど、店長のとこの設備って、ボンプと感覚を同期できる上に、ホロウ内部ともリアルタイムで通信できるんだろ?治安局やホロウ調査協会より、よっぽどスゲェじゃねえか!そんな切り札があるなら、なんで調査協会に加入しねえんだ?もっと贅沢な暮らしができるのによ。俺らみたいなホロウレイダーと働いてたら、メリットよりリスクの方が高いだろ?」

 

ハル「あ、それちょいちょい思ってた」

 

リン「あはは……それは……」

 

ハル「……まあでも何かしらの理由があるんだろ。本人から話してこない限り、無理に聞くようなことはしねえよ」

 

リン「ハル……」

 

ビリー「それもそうだな……悪い店長」

 

リン「ううん。大丈夫。ありがとね、2人とも」

 

 

『Guuuuu………』

 

 

すると何か唸るような声が聞こえてくる。

 

 

アンビー「エーテリアスの声……」

 

ビリー「……はやくね?横になろうとしてたところだったのに!」

 

ハル「こんな地べたで横になるんじゃありません」

 

アンビー「すぐに撤退しないと。でもまあ、ビリーが望むならここで永遠に眠るのもいいかもね。来年のスターライトナイトの新作のベルトをあなたの墓前に供えてあげる」

 

ビリー「そういうこと真顔で言うなよ……本気か冗談か分かんなくなるだろ!?」

 

リン「移動しよう、ちゃんとついてきてね」

 

アンビー「道中での戦闘は任せて」

 

ビリー「もちろん、戦いが長引いたら手を貸してくれると助かるけどな」

 

ハル「まあ戦闘員が3人もいるし、そんな長くならんでしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンビー「フッ!ハッ!」

 

ビリー「よっと!デリャア!」

 

ハル「シィッ!ぜぇあ!」

 

 

追ってくるエーテリアスを倒しながら出口を目指す3人。

 

ビリーは2丁のリボルバーを駆使して、エーテリアスのコアや急所を撃ち抜いていく。

 

アンビーは電磁ナタを駆使して、電撃を纏いながらエーテリアスを切り裂いていく。

 

ハルは電磁ブレードを駆使しながら、周りの電車や鉄骨を縦横無尽に跳び回り、2人に合わせて斬り伏せていく。

 

 

ビリー「店長、次はどの方向に行けばいいんだ?」

 

リン「このまま進んで」

 

ビリー「了解、このまま進むぜ!……待てよ…このまま進むだと!?けどよ、この先は壁だぜ!?破れってか?壁をぶち破れってことなのか?今の火力じゃ流石にキツイと思うが……」

 

アンビー「ハルなら斬って破れそうだけど」

 

ハル「朝から篭りっぱなしだったから、腹減って力出なくなり始めた」

 

ビリー「ガス欠起こしかけてんじゃねえか!」

 

アキラ「心配しないで、リンの言う通りにすれば大丈夫だから」

 

ビリー「この声は…おお!もう1人のパエトーンだ!」

 

リン「お兄ちゃんったら、急に私のチャンネルで話さないでよ!ビックリしたぁ」

 

アキラ「悪かったよ。でも、今の君はボンプに意識を宿しているんだ。こんな形でしか連絡できないだろう?ビリー、アンビー、聞こえているかい?とにかく、リンの言った進路については間違ってない。知っての通り、ホロウの中は秩序のない混沌、つまり……」

 

アンビー「──生への道が死に見えたり、死への道が地獄に繋がってたりする」

 

ビリー「アンビー、貴重な常識をシェアしてくれてありがとな……」

 

アキラ「それと、ホロウを出てからの脱出経路も手配してある、僕たちを信じて。リンも、そろそろ感覚同期を解除してもいいよ」

 

リン「それじゃ切るよ、またねー」

 

 

リンが同期を解除すると、イアスは元のボンプに戻った。

 

 

アンビー「静かになった……普通のボンプに戻ってる」

 

ビリー「なんで肝心な時に憑依を解くんだよ!」

 

ハル「いいから言われた通り直進すんぞ」

 

ビリー「や、ちょ、ぶつかるぶつかるぶつかるぅぅ!!」

 

 

3人はそのまま直進していき、奇妙な解放感と共に3人とボンプは壁をすり抜ける。

 

 

アンビー「エーテルの圧迫感が消えた」

 

ビリー「やっと…出てこれたんだな、俺たち!よっしゃあ!」

 

ハル「だーから言ったろうに…」

 

 

すると車のクラクションが聞こえて、邪兎屋の社用車が近くに止まる。

 

 

ニコ「時間も場所も、全部パエトーンの予想通りね。ほら、3人とも乗って!」

 

ビリー「ニコの親分!」

 

 

車に乗り込むと一同はビデオ屋の方へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Random Playの裏にある駐車場に着くと、裏口からリンとアキラが出てくる。

 

 

ニコ「来たわね!ナイスタイミング!」

 

ハル「ふぃー……戻ったぜー。あー、腹減った」

 

リン「ナイスタイミングの割に遅くなかった?結構待ったよ?」

 

ニコ「だ、だって信号通るたびにハルがうるさいんだもん……」

 

ハル「お前が信号が赤でも突っ走ろうとするからだろうが」

 

ニコ「ぬぐっ……あっ、それから来る途中に確認したけど尾行はされてなかったわよ!」

 

アキラ「ニコ、従業員たちを助けてあげたんだ、そろそろツケを払ってもらえないか?」

 

ニコ「待って!まだ終わってないでしょ?あたしの依頼は、『人とモノ、どちらもホロウから出すこと』。ほら、半分しか終わってないじゃん!」

 

リン「安心して、ニコ。ちゃーんと覚えてるよ」

 

ニコ「もう、パエトーンは頼りになるって信じてたわ!」

 

アンビー「撤退前に目撃した状況だと、対象の金庫は危険度の高いエーテリアスの活動範囲内にある。ホワイトスター学会のエーテリアス図鑑での登録名は『デュラハン』。上級エーテリアスよ」

 

ハル「うへぇ……よりによってデュラハンかぁ……あいつ攻撃も防御も高いんだよな…」

 

ビリー「赤牙組の親玉も運が悪いな。強烈なエーテル物質に侵蝕されて高危険度のエーテリアスになっちまった。俺とアンビーで金庫を奪おうとしたけど、あいつ尋常じゃないくらい強くてさ。撤退するのがやっとで回収まで手が回らなかった……てか親分、あの中には一体何が入ってんだ?ここまで体を張る価値があんのかよ?」

 

ニコ「ふふん、さっそく答え合わせをしましょ。これを見て!」

 

 

そう言ってニコが取り出したのは、牙の形をしたペンダントだった。

 

 

ハル「んん?何これ?」

 

リン「これ…ちょっと変わったペンダントに見えるけど、ほんとはメモリディスクだよね」

 

ニコ「ええ。これは小型のメモリディスク……シルバーヘッドの所有物よ。十四分街から抜け出す前に、ビルの中で拾ったの。事前に調査したところによると……あいつ、これを肌身離さず持ってたらしいわ」

 

ハル「そいつぁ怪しいねぇ。中に重要なもんが隠されてるってわけだ」

 

ニコ「そういうこと!金庫の暗証番号と関係があるに違いないわ!」

 

アンビー「でも、少し破損してるみたい」

 

ビリー「…本当だ、焦げちまってるぞ!」

 

ニコ「パエトーン、なんか方法はないの?あんたたちの店にある、あの複雑なコンピュータは使えない?」

 

アキラ「H.D.Dのスペックは、ほぼホロウデータの処理に割いている。けど、内部のデータを取り出すくらいでいいなら……僕がインターノットの演算パワーを拝借して復元してみるよ」

 

ニコ「よし、じゃあ約束ね!こっちは何とかしてホロウにある金庫の位置を確認するから。手掛かりがあったらまた連絡するわ!あたしから金庫の回収作業の連絡がくるまでは、他の仕事をしててもいいわよ!あ、メモリディスクからデータを抽出するのも忘れずにね!」

 

ハル「よし。こっちもアレの修理を終わらせとく。デュラハン相手だと今の装備じゃパワー不足だしな」

 

ビリー「じゃあまたな、店長!ハル!」

 

アンビー「では、また」

 

 

邪兎屋の3人は車に乗り、走り去っていった。

 

 

アキラ「…さて、こっちもさっそく取り掛かるとしようか」

 

ハル「その前に何か食うもん無い?腹減って腹減って……」

 

リン「もう、作業に夢中になりすぎ!」

 

アキラ「あはは…それならチョップ大将のところで何か食べようか」

 

ハル「よっしゃ!卵とチャーシューのトッピング頼もっと!」

 

 

 

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