ホロウを駆ける電光   作:ケルさん

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柚葉と雅復刻来ましたねー。自分はアリスが欲しいので、とりあえず雅の凸を狙っていこうかと思ってます。


第19話 白祇重工へ

 

 

 

ビデオ屋に戻ると2人はすぐに出かける準備をする。

 

 

ハル「えーと、ドライバーとコアバッテリーと装備諸々……」

 

リン「あ、行く時は何に乗る?ハルのバイク?」

 

ハル「車でもいいか?行きにちょっと寄るとこがあって」

 

リン「ん、わかった」

 

 

装備を車に積んで、準備を終えた2人は車に乗る。

 

 

アキラ「それじゃ、2人とも気をつけてね。何かあったら連絡してくれ」

 

リン「うん。わかった」

 

ハル「そんじゃいってくらぁ」

 

 

ハルとリンは途中で寄り道をしてから、白祇重工へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンドー「おっ!来たか!」

 

 

白祇重工の工事現場である黒雁街跡地に着くと、入り口でアンドーが待っていた。

 

 

リン「お待たせ、アンドーさん」

 

ハル「アンドーさん、ちょっと台車ない?」

 

アンドー「ん?あぁ、そこにあるの使ったらいい」

 

ハル「あざます。リンは先行っててくれ。ちょっと荷物積んで運ぶから」

 

リン「わかった。先に行ってるね」

 

 

リンはアンドーと一緒に現場の中へと向かった。

 

 

アンドー「社長はすぐそこだ。まだ若えが、百獣の王って感じだかんな。存分に緊張しな!」

 

リン「『しなくていい』じゃないんだ……」

 

 

話しながら歩いていると、現場の奥から何やら音が響いてくる。

 

 

リン「…?何の音──」

 

ハル「ふぃー、追いついt」

 

 

「どいてぇーーー!」

 

 

すると女性の叫び声と共に巨大な四足の重機が、門を破壊して飛び出してきた。

重機の上には赤いゴーグルに露出の多い黒い作業着を着た女性が乗っている。

 

 

ハル・リン『ファッ!?』

 

アンドー「パエトーン走れ!ハル頼む!」

 

ハル「ラジャ!」

 

 

アンドーとハルは前に出て、暴走する重機を受け止める。

 

 

ハル「ふんぐ!」

 

アンドー「ぐっ……!おい、なんだこりゃ!?」

 

「君かアンドー!それにハルも!絶賛点検中だよ!そのまま止めてて!」

 

ハル「点検でどうしたらこんな暴れんだよ!グレースさん!」

 

 

グレースと呼ばれた女性は、ハルとアンドーが重機を止めている間にタブレットを操作する。

 

 

グレース「怖がらないで…ただのファイアウォールだよ……ぜーんぜん痛くない…」

 

 

操作を終えて近くのスイッチを押そうとしたその時、重機が暴れだしてグレースが放り出される。

 

 

グレース「うわぁ!?」

 

アンドー「やべぇ!」

 

ハル「あ、ちょま、ぶべら!?」

 

 

放り出されたグレースはそのままハルの方へ飛んでいき、急なことで受け止め切れずハルは下敷きになった。

 

 

グレース「あ、ごめん」

 

アンドー「おい!早く止めねえと!」

 

 

その時、上から熊のシリオンがタンピングランマーを持って飛び出してきた。

 

 

「ふんっ!!」

 

 

熊のシリオンは落下の勢いと共にタンピングランマーを叩きつけ、重機はようやく動きを止めた。

 

 

「悪い、遅くなった」

 

リン(これが百獣の王──白祇重工のボス?)

 

 

左目に傷のある熊のシリオンはランマーを置いて、こちらを見る。

 

 

リン「は……初めまして!」

 

 

リンは少しおずおずしながらも手を差し出す。

 

 

「あぁ!これはこれはプロキシさん!」

 

 

すると、熊のシリオンは丁寧な物腰で両手で握手をしてきた。

 

 

リン「あ、え……?」

 

ハル「ちなみにこの人…ベンさんは社長じゃねえぞ」

 

リン「えぇ!?」

 

ベン「いやぁ着いて早々、申し訳ない。ハハハ……社長と待ってたところだ」

 

「何すんだグレース!降ろせ!」

 

ベン「こちらが、我が社の社長だ」

 

 

ベンの後ろには、グレースに抱きかかえられている眼帯を付けた少女がいた。

少女はこちらに気づくと、姿勢を正して咳払いをする。

 

 

「白祇重工社長のクレタ・ベロボーグだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クレタ「よう、パエトーン。みっともねえとこを見せちまったな。うちへの信頼が揺らいでねえといいが。それにしても……」

 

ハル「ベンさん、これよかったら皆で」

 

ベン「あぁ、すまないなぁ。助かるよ」

 

 

クレタは話してる途中で、持ってきた差し入れをベンに渡すハルを見る。

 

 

クレタ「まさかハルがパエトーン専属のエージェント『ブリッツ』だなんてな。アンドーから聞いた時はビックリしたぜ」

 

リン「あはは……うちのハルがお世話になってます」

 

クレタ「いやいや、こっちこそハルが来てくれて大助かりしてるぜ。他に割りのいいバイト見つけたってのに、辞めずに掛け持ちしてくれてるし……」

 

リン「前に聞いてみたけど、ここは職場の雰囲気が良いから辞めずに掛け持ちで続けたいって言ってたよ」

 

ハル「うおい!?バラすなや!」

 

クレタ「ヘヘッ、そっか……それで話を戻すけど、アンドーから聞いてると思うが……うちは最近、地下鉄工事の請負を勝ち取ったんだ。これが敵のしつこい妨害のせいで、まあまあ手こずっててな……」

 

ベン「あー、社長……プロキシさんの前で、あいつらを敵呼ばわりするのはどうなんだ……」

 

アンドー「おい、ベン……甘えたことぬかしてんじゃねえぞ!あのクソ野郎どもはこれまで散々汚えマネをしてきただろ!あんな奴らに気ぃ遣うこたねえぜ!」

 

ハル「まあいざとなったら俺が追っ払えばいいしー」

 

ベン「追い払うにしても、四肢の関節外して行動不能にした上で追い討ちするのはどうなんだ……」

 

クレタ「どっかのヤクザのゲームじゃん…」

 

リン「ハルは敵と認識したら、加減の文字が頭から消えるけど」

 

アンドー「やけに容赦ねえなと思ったらそういうことか!」

 

ハル「誓って殺しはやってません」

 

クレタ「やってたらマズイわ!」

 

ベン「えっと、話を戻すが……我が社は機械製造と建設業をやっている。いわゆる新興企業だが、近頃は業界でもある程度業績をあげていて、それが地下鉄改修プロジェクトの請負に繋がったわけだが……それ以来、俺たちは財力のある大手競合他社にとって、目の上のコブになった。奴らは、いまだにプロジェクトの請負を虎視眈々と狙っている……俺たちがヴィジョンのように、スキャンダルで失脚するのを待ってるんだ」

 

 

ベンが言うには、相手は銀行を買収して低金利で融資するのを止めさせたり、チンピラを送り込んで工事現場をめちゃくちゃにしたり、建築確認済証と消防同意の審査をあの手この手で妨害したり、テレビ番組で小細工を仕掛けたりしているらしい。

ちなみにチンピラに関しては、たまたま出勤していたハルが全員病院送りにしたので現場の被害は少なかったらしい。

 

 

ベン「よりにもよってそんな時期に、うちの工事現場で事故が起こったんだ……」

 

グレース「先週、子供たちが3台も……ホロウの中で行方不明になったんだ!」

 

リン「こどっ……え?」

 

ハル「グレースさん、それだとプロキシが誤解する」

 

ベン「プロキシさん、うちの会社が独自開発した『ホロウ用知能重工業機械』は知ってるよな?」

 

リン「テレビで言ってた気がする!じゃあ子供って……」

 

ハル「白祇重工の重機のこと」

 

グレース「そう。ホロウの中でも長時間安全に作業のできる知能ある重機──あの子たちこそが、白祇重工のコア・コンピタンスなのさ。あの子たちはずっと私がメンテナンスしてきた。メンテナンスやアップグレード……そもそも『プロトタイプ』の技術を土台に、各職種の需要に応じた改良をしてあの子たちを造り出したのも私さ。私にとっては、我が子も同然なんだ!」

 

 

グレースが言うには、数日前に論理コアを更新した直後の3台の重機は、ホロウの中で作業していた時に指令を無視して、自分の意志でホロウの深部へと入っていってしまい、それ以来戻ってこないと言う。

 

 

リン「まさか……論理コアが故障したとか?」

 

グレース「原因は分からない……実際、ホロウ内作業に携わる企業にとって、チップの故障やエーテルの侵蝕なんて日常茶飯事なのさ。ただ、それが今の白祇重工となれば……揚げ足取りには格好の材料だ」

 

クレタ「知能重機の性能は充分あったと思うけどな。わざわざ更新する必要あったのかよ?アイツの残したコードを論理コアに組み込みさえしなきゃ、今頃こんな事には……」

 

グレース「待って、おチビちゃん。まだチップの不具合だと決まった訳じゃないよ。それに美しく逞しい機械には、そのボディに相応しい魂が必要なんだ!ねえ、ハル!」

 

ハル「だからって、ドライバーに論理コアを組み込むのはやらせんぞ!?」

 

グレース「いいじゃないか!それの開発に私も手伝ったんだし、ちょっとくらい……」

 

 

グレースの発言に、ハル以外の全員がグレースを見る。

 

 

リン「グレースさん、ブリッツドライバーの開発に関わってたの!?」

 

クレタ「……どうりでハルがブリッツだってことに反応が薄い訳だ……」

 

 

突然のカミングアウトに、驚きつつもクレタは話を進める。

 

 

クレタ「コホンッ……とにかく、あんなバカ高え知能機械を失くしたら大損だ。敵の問題があろうがなかろうが、見つけるに越したことはねえんだよ。そういうワケだ、プロキシ。行方不明の重機3台を捜索するために、ホロウの奥までガイドが要る──これがうちらの依頼だ。うち2台の位置は、ざっくりだがアタリがついてる。他に知りたいことがあればグレースやアンドーに聞いてくれ」

 

リン「わかった。任せといて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、ハルはグレースにとある相談を持ちかけていた。

 

 

ハル「なあ、グレースさん。ちょっと相談があるんだけどさ……」

 

グレース「あぁ、コアバッテリーのことだね。確かに、私もあれについて少し思うところがあったんだ」

 

ハル「必殺技を撃てば、あっという間にエネルギー切れで変身解除……しかもエネルギーが切れたバッテリーは充電しないと再使用できない。長期戦になるとどんどんこっちが不利になる……」

 

グレース「長期戦になればなるほど、ブリッツの手札が減って対抗手段が無くなってピンチになる。短期決戦が望ましいけど、強力な個体相手だとそうもいかない……だね」

 

ハル「実際にこの前、デカブツ相手にそうなりかけたんだよな……」

 

グレース「やっぱり問題はバッテリーの持続性だね」

 

ハル「持続性ねぇ……充電は拠点でしかできないし……」

 

グレース「ふふふ……実はそれについて考えがあるんだよね」

 

ハル「お?」

 

 

 

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