ホロウを駆ける電光   作:ケルさん

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大変お待たせしましたぁ!展開がなかなか思いつかなかったのと、ここ最近仕事しんどくて全然気力湧かなくて進められずにいました。
やーっとちょっとずつ書けるようになってきたのでチマチマゲームの方も進めながらやっていきたいと思います。


第20話 恋する乙女

 

 

 

 

 

 

グレースからの情報を元に、一行は『III型ホロウ用デモリッシャー』の反応があったホロウへと向かっていた。

するとホロウに入ったあたりで、リンがハルに声をかけた。

 

 

リン「そういえば、今回ハルが腰に付けてるの何?コアバッテリーが付いてるけど」

 

ハル「あぁ、こいつか?グレースさんが用意してくれてたコアバッテリーのホルダー」

 

グレース「ただ持ち運ぶためだけじゃないよ。なんとセットしておくだけで、大気中のエーテルを使って充電することができるんだ!」

 

リン「それってエネルギー切れになっても、その場で充電して再使用できるってこと?」

 

グレース「なんなら戦闘中にも充電できるから、バッテリーが切れたらフォームを変えて、充電しつつ戦闘を継続することができるんだ」

 

リン「すごい!これならバッテリー切れで変身解除とか考えなくて済むじゃん!」

 

ハル「まあ充電完了まで保たせないとだけどな」

 

グレース「それでもそこまで気にはならないかな……っと、ここだよ。あの子──『III型ホロウ用デモリッシャー』グレーテルの信号は、この近くから来ている」

 

クレタ「プロキシに先導してもらう必要があるな。グレース、デモリッシャーの特徴を教えてやれ」

 

グレース「あの子は真面目な頑張り屋さんさ!小さい頃のおチビちゃんも、同じくらい可愛かったなぁ」

 

ハル「性格を教えてどうすんねん」

 

クレタ「それで誰が分かるっつうんだよ……」

 

グレース「はいはい、あの子は地下道を掘るための機械さ。他の仕事にも対応できるよう、建築物の解体ができるチェーンソーも完備しているんだ!論理コアを更新すれば、もっと出来る子になってくれると信じていたのに……それがまさか、家出してしまうなんて……!」

 

クレタ「お前がしつこく更新しようとしたからだろ。パソコンの自動更新ばりにウゼえからな、それ」

 

リン「あー……なんか分かるかも」

 

ハル「俺、ちょいちょい放置してるわ……」

 

グレース「君も変わったね、そんなことを言うようになって。あ〜あ、小さい頃はあんなに可愛いかったのに……」

 

ベン「うーん、子供が大きくなる過程で、急に反抗期になるのはよくあることだろ?デモリッシャーにも、ついにその時が来たというだけじゃ……」

 

グレース「そんなのダメだよ!」

 

 

ベンの言葉に、グレースは声を張り上げた。

 

 

グレース「私の可愛い可愛い子供たちが、やりたい放題の反抗期モンスターになるなんて、絶対にダメだ!深夜に暴走族の集会に行ったり、わざと機体にキズを作ったり、剥がせない巨大ステッカーを貼ったり、違法混合エーテル燃料に手を出したり、旧文明のアニメを真似して他の機械と合体なんてしようものなら……」

 

リン「落ち着いてグレースさん、相手はまだ子供なんだから」

 

ハル「そうならないように、子供を導いていくのが親ってもんじゃね?」

 

グレース「……確かにそうだね。取り返しのつかないことをする前に、あの子たちを見つけないと──プロキシ、先を急ごう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくホロウを進んでいくと、中央に大きな建物がある広い場所に出る。

デモリッシャーを探して周囲を見渡していると、何処からか声が聞こえた。

 

 

『それ以上来ないで!』

 

リン「ん?」

 

『ここはあたしたちの秘密の花園!』

 

ベン「女の子の声……?あ、そこだ!」

 

 

ベンが指した方には、建築途中であろう白いビルがあり、その上にデモリッシャー『グレーテル』がいた。

 

 

グレーテル『分かってるわよ!真白クンとの仲を引き裂く気でしょ?』

 

グレース「デモリッシャー……会わないうちにいっぱしの乙女になって……!」

 

ベン「グレース、おい……落ち着け。だが真白クンとは?白いのか?」

 

ハル「なあ、ベンさん。まさかとは思うんだけどさ……」

 

ベン「まさか……あの作りかけのビルか……?」

 

グレーテル『作りかけですって……!』

 

 

ベンの言葉に憤ったのかグレーテルは、ビルから飛んで目の前に降りてくる。

 

 

グレーテル『あたしね、真白クンと添い遂げるの……だから今の取り消しなさいよ!』

 

 

グレーテルはチェーンソーを展開して駆動音を響かせ、ハルたちに襲いかかってきた。

 

 

ハル「変身!」

 

 

〈ディスチャージアップ!〉

〈スパークラビット!〉

 

 

クレタ「か、変わった!?」

 

ベン「おぉ、あれが……」

 

 

デモリッシャーの突撃を避けてから、ハルはすぐさまブリッツに変身、その手には青い大型のハンドガンような武器が握られている。

 

 

〈ボルトチャージガン!〉

 

 

ブリッツ「あのチェーンソーに近づくのは悪手だな」

 

リン「とにかく動きを止めないと!」

 

ブリッツ「あいよ!」

 

 

ブリッツはボルトチャージガンを構えて発砲、発射された光弾がデモリッシャーの足元に命中して動きを止める。

 

 

グレーテル『キャッ!なにすんのよ!』

 

ブリッツ「うおっと!」

 

 

デモリッシャーはチェーンソーを振り回し、ブリッツはそれを避けながらボルトチャージガンによる射撃で動きを制限していく。

 

 

ベン「いいぞ!そのままデモリッシャーの動きを止めるんだ!」

 

ブリッツ「了解!ならこれでどうだ!」

 

 

ブリッツは蜘蛛のマークが描かれた赤紫色のコアバッテリーを取り出して、ボルトチャージガンの銃身を倒し、中のスロットにコアバッテリーをセットして銃身を戻してからグリップの上のスライドを3回引く。

 

 

〈スパイダー!〉

〈フルチャージ!〉

 

 

ブリッツ「はっ!」

 

 

〈ボルテックシューティング!〉

 

 

ブリッツがボルトチャージガンをデモリッシャーの頭上に向けて撃つと、エネルギーのネットが展開しデモリッシャーの動きを封じた。

 

 

グレーテル『な、何よこれ!?動けないんだけど!』

 

ブリッツ「いっちょあがりっと」

 

クレタ「フー、よくやったハル」

 

 

すると一息つく間も無く周囲が騒がしくなってくる。

 

 

ベン「まずいな……戦いの音を聞きつけてエーテリアスが集まってきたぞ!」

 

 

ベンの言った通り周囲をエーテリアスが取り囲んでおり、真白クンの方にもエーテリアスが群がっていた。

 

 

グレーテル『やだっ!真白クンから降りてよ!ばっちい手で彼に触らないで!これ以上失礼なことされたらあたし…あたし………』

グレーテル『メッタ切りにしてやっからな!カビの生えたカスどもがああ!!!』

 

クレタ「き、急に豹変しやがった!?」

 

ブリッツ「しかも拘束を破りやがった!?」

 

 

怒りで豹変したデモリッシャーはネットの拘束をぶち破るとエーテリアスの群れに向かって突撃していった。

 

 

グレース「驚いた、これが恋する乙女のパワーってやつ?」

 

クレタ「1.4トンのチェーンソーぶん回して、エーテルと電気のハイブリッドで動く乙女がどこにいるんだよ!」

 

ブリッツ「ゲームのボスキャラでしか見ねーぞこんなん」

 

リン「そもそもこの世界ってゲーm…」

 

ブリッツ「やめないか!」

 

 

そうこうしてるうちにデモリッシャーはエーテリアスを蹴散らしながら真白クンの方へ突っ込んでいく。

 

 

ベン「待ってくれデモリッシャーさん!そっちは……」

 

 

ベンの制止も間に合わずデモリッシャーのチェーンソーはビルの支柱を破壊してしまった。

 

 

グレーテル『ご、ごめんね真白クン!あたしってば取り乱しちゃって……』

 

 

デモリッシャーは我に帰るが、支柱を破壊されたビルは大きな音を立てて崩壊、デモリッシャーはその下敷きになってしまった。

 

 

グレーテル『真白クウゥーーーン!しっかりして真白クンッ!!』

 

ベン「さっきの一撃で耐力壁が壊れたか……」

 

リン「あっちゃあ……」

 

ブリッツ「真白クン、ここに眠る……」

 

クレタ「やめろ縁起でもない」

 

グレーテル『そんな、真白クン……全部あたしのせいだ……』

 

グレース「自分を責める必要はないさ。むしろ、私は君に『おめでとう』と言いたいくらいだよ」

 

グレーテル『え……?』

 

ブリッツ「アンタイッタイナニイテンダ!?」

 

ベン「おっ、おい…グレース!自分が今なにを言ってるのか、ちゃんと分かってるのか?」

 

クレタ「しまった!グレースはメカには強いが、恋愛は経験ゼロのド素人なんだ!」

 

ブリッツ「この人容姿だけなら結構モテるんだけどなぁ……」

 

 

周りを他所にグレースは続ける。

 

 

グレース「顔を上げて、周りを見てごらん。真白クンが君を抱きしめてるよ!」

 

グレーテル『!!!』

 

グレース「これは建物にとって、一生に一度しか交わせない『抱擁』さ。彼はそれを君に捧げたうえ、エーテリアスからも守ってくれた。素敵な恋人じゃない。君はビルを見る目があるね」

 

グレーテル『ううぅ……』

 

グレース「大丈夫、これは永遠の別れじゃないさ──私達がそうさせない。ほら、一緒に帰ろう?みんなで力を合わせて、新しい土地に真白クンを建て直そう!」

 

グレーテル『うわああああああああん!!』

 

 

グレースの言葉にデモリッシャーは声をあげて泣きじゃくる。

 

 

グレーテル『ぐずっ…う"ん、あだぢ、一緒にがえる……!』

 

 

こうして一行は無事にデモリッシャーを連れて帰ることができた。

 

 

 

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