ホロウを駆ける電光   作:ケルさん

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今回は二本立てになります!
久しぶりなせいかデュアルショベルの方がちょっと雑というか内容的に薄めな感じになってるかもですがご了承ください。


第21話 漢の中の漢

 

 

 

 

 

 

翌日、一行はアンドーの情報を元にデュアルショベルを探しに再びホロウへと向かった。

 

 

アンドー「プロキシ。信号の感じだと、今から探しに行くデュアルショベルはこの辺にいるみてえだ。ここは工事エリアじゃねえから、オレらにキャロットはねえ。つうワケで、頼りにしてっからな!」

 

リン「ホロウでの探し物は得意だよ!任せといて!」

 

アンドー「ハハハッ、そりゃあ心強えな!」

 

ハル「アンドーさん、デュアルショベルについて説明しといた方がいんじゃない?」

 

アンドー「おっと、それもそうだな。デュアルショベルが行方不明になる前の話だが、現場で出た廃材を運ぶために、毎日持ち場を往復させてた。見た目の割に身軽で、仕事の早いヤツなんだぜ。今日び、アイツ無しじゃ回んねえんだ…」

 

ベン「うーむ……」

 

アンドー「どうした、ベン?」

 

 

アンドーの話を聞いたベンが何か思っているような様子を見せる。

 

 

ベン「あぁ、い、いや…今の話を聞いて、ふと大昔の物語を思い出しただけだ」

 

アンドー「おお、熱血男児の物語だな?」

 

ベン「どうだかな…主人公は男だが、熱血かどうかまでは分からない。かいつまんで話すと、巨大な石を永遠に押し上げる罰を受けた男の物語だ」

 

ハル「あれなんかそんなゲームあったような…」

 

リン「ハル、ストップ」

 

ベン「これはあくまで憶測だが…うちの知能機械は、日に日に頭がよくなってた。論理コアをアップグレードされたデュアルショベルは、ついに持ち場を往復するだけのつまらない仕事に、嫌気がさしたんじゃないだろうか。それでホロウに……」

 

アンドー「『持ち場を往復するだけのつまらない仕事』…だと?ベン、それは違えぞ!物語に出てきた男も、うちのデュアルショベルも、毎日立派に筋トレしてたんじゃねえか!ホンモノの漢はな、そういう仕事を蔑ろにしたりしねえんだ。なんたって、筋肉を作り上げるのは日々の鍛錬だからな。なあ、ハル?」

 

ハル「いやまあそうだけども」

 

アンドー「それにだ、一見大したことねえような積み重ねこそが、魂を昇華させるんだぜ!そうやって磨かれた魂は、ダイヤモンドより頑丈になる!」

 

リン「ちょっと拍手しちゃいそうだよ…」

 

クレタ「アンドーはこういうヤツなんだ。着工式のスピーチでも、毎回こうやって場を盛り上げてくれる」

 

ハル「アンドーさんのスピーチは聞いてると、こっちも気合入るんだよな」

 

クレタ「ほら行くぞ。まずはデュアルショベルを見つけて、グレースにじっくり点検させるのが最優先だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一行がしばらくの間、ホロウを進んでいくと信号の発信源である場所に辿り着く。そこには目的のデュアルショベル『ハンス』がいた。

 

 

ハンス『ハンッ。よーやく来よったな。待ちくたびれたで』

 

 

デュアルショベルは拳を叩くようにアームを動かしながらそう言う。

 

 

アンドー「あ?なんかエラそうっすね……つうか、なんだよそのボイスは?」

 

クレタ「お前、論理コアが壊れてんじゃねえのか?帰って点検すんぞ」

 

 

クレタがそう言うと、デュアルショベルは突然瓦礫を投げつけてきた。

 

 

ハル「フッ!」

 

 

すぐさまハルがクレタの前に出て、瓦礫を真っ二つに斬り捨てることでクレタを守った。

 

 

ハンス『病院にガキ連れてくんとちゃうんやで!オレちゃんは堂々たる漢なんや!しょーもない雑務に収まる器ちゃうんや!』

 

アンドー「漢だぁ…?漢はダダをこねたりしねえ!」

 

ハンス『ほーん、自分言うやんけ……なら漢同士、真剣勝負といこか!』

 

ハル「アンドーさん」

 

アンドー「あん?なんだよ?」

 

ハル「俺が出る」

 

 

そう言いながらハルはアンドーの前に出る。両腕には重機のようなデザインのガントレットが装着されていた。

 

 

ハンス『自分が相手かいな?容赦せえへんで!』

 

ハル「上等ぉ……やってやんよハンス!」

 

ハンス『そのダッサイ名前で呼ぶな!漢の名前ってのは自分で決めるもんなんや!それもパンチのきいたシッブイ名前をな!』

 

ハル「ならお前の言う漢っての……見せてみろよ!」

 

 

こうしてハルとデュアルショベルのタイマンでの勝負が始まった。

 

 

ハンス『いくでぇ!』

 

ハル「来いやオラァ!」

 

 

デュアルショベルのショベルによる攻撃をハルは真っ正面からぶん殴って迎え撃つ。ガァン!と凄まじい轟音を響かせ両者は拮抗する。

 

 

ハンス『な、なんやと!?真っ正面から止めおった……!』

 

ハル「伊達にここの仕事でしごかれてねえんで……なぁ!」

 

ハンス『うおっ!』

 

 

ハルは押し返すとすぐさまデュアルショベルの懐へと接近して左のパンチを打ち込む。

 

 

ハンス『なんの!』

 

ハル「なっ!」

 

 

しかし、打ち込まれる寸前にデュアルショベルは後ろに飛び退くことで回避する。

 

 

クレタ「あいつ、重機にしちゃ随分すばしっこいな」

 

アンドー「それよりハルが腕に付けてんのは何だありゃ?」

 

グレース「『スクラップハンマー』。こうなることがまたあるかもっておチビちゃんから頼まれてたハルの装備だよ。あれならいくら硬い物をぶっ叩いても平気さ。まあハルのパワーなら特に問題ないだろうけど、一応パワーアシストも付いてるよ」

 

クレタ「また重機ぶん殴って怪我されたら敵わねえからな」

 

リン「え、何それ聞いてない」

 

クレタ「……あいつ身内に黙ってやがったな」

 

 

ハル「ドラァ!」

 

ハンス『ふん!』

 

 

ズガァン!と轟音響かせ何度目かわからないぶつけ合いをするハルとデュアルショベル。

 

 

ハンス『ぐっ……!オレちゃんとほぼ互角て…ど、どこにこんなパワーがあるっちゃうんや…』

 

ハル「お前の言うしょーもないことを積み重ねた結果だよ」

 

ハンス『な、なんやと?』

 

ハル「俺は……一緒に住まわせてくれてるプロキシに…リンとアキラに恩を返すために白祇重工に入って今まで仕事してきた。プロキシの仕事を手伝うようになってからは、戦えないプロキシを守るためにずっと鍛え続けてきた!」

 

 

リン「ハル……」

 

クレタ「あいつ……」

 

 

ハル「見せてやるよ。積み重ねたものの底力を!」

 

 

そう言ってハルは構えを取る。

 

 

ハンス『や、やれるもんならやってみいや!』

 

 

それに対してハンスは両腕のアームで防御の姿勢を取る。

 

 

ハル「我流体術……!」

 

 

ハルは弾丸の如くデュアルショベルへと突っ込んでいき、目の前で踏み込むと共に拳を叩き込む。

 

 

ハル「鉄砕拳・豪烈突破ァ!!」

 

ハンス『うぐおぉぁ!?』

 

 

叩き込まれた一撃はデュアルショベルを吹っ飛ぶまではいかずとも、かなり後ろへと後退させた。しかし防御したはずのアームはベッコリと凹まされていた。

 

 

ハンス『な、なんちゅう重い拳なんや……しかもただ重いだけやない……あいつの拳に乗せた気持ちがこっちにまで伝わってきおった…!』

 

ハル「なあ、ハンスよ」

 

ハンス『!』

 

ハル「お前がやってきた仕事はつまんねえかもしんねえけどさ、途中で投げ出してカッコ悪く終わるより、最後までやり切ってカッコよく終わらせた方が……漢らしいんじゃねえのかな」

 

ハンス『……たしかに』

 

アンドー「ハルの言う通りだ」

 

 

するとアンドーたちもハンスの元へ歩み寄ってくる。

 

 

グレース「実はハルが使ってるスクラップハンマーは、君が毎日運んでいる廃材から作ったんだ。だから君がやってきたことは決して無駄じゃないんだよ」

 

アンドー「確かにてめぇのやってる仕事は地味で変化も乏しいかもしれねえ。でもそれを何度もコツコツと積み重ね続けていけば、結果として必ず自分に答えてくれる。そうすりゃお前の立派なユメも叶えられるさ!」

 

ハンス『アンドーの兄貴……!ああ……!ああ!オレちゃん、やったるで!』

 

 

デュアルショベルは決心したように顔を上げる。

 

 

ハンス『兄貴!兄貴を見習って、オレちゃんホンモノの漢になるための修行をやるで!兄貴の言う通り小さいことからコツコツとな!』

 

アンドー「おう。一緒に頑張ろうぜ、兄弟!」

 

 

そう言ってアンドーとデュアルショベルは互いに拳を合わせる。

 

 

グレース「何はともあれ、この子はもう大丈夫みたいだね」

 

クレタ「だな。手間かけさせやがって……」

 

アンドー「そういや、まだお前の新しい名前を聞いてなかったな」

 

ハンス『オレちゃんの新しい名前はな…黒鉄男児・百錬成鋼・エンジン点灯・ハンス、や!』

 

リン・ハル『「ハンス」入ってんじゃん!』

 

 

そうツッコむリンとハルの声がホロウに響くのだった。

 

 

 

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