ホロウを駆ける電光   作:ケルさん

7 / 22
うーん、ちょうどなとこで区切ると文字数少なくなるなぁ……
これまで普通に文字数4000代で出してたから違和感を感じる


1章 猫の落とし物
第6話 迷い猫


 

 

 

 

 

 

数日後、リンとハルはアキラに店の裏の駐車場に呼び出された。

 

 

リン「お兄ちゃん、駐車場になんか呼び出してどうしたの?」

 

ハル「てかお前、何持ってんだ?」

 

 

アキラの手にはゴミ袋があり、大量に詰め込んでいるのか大きさはかなりのものだった。

 

 

アキラ「このゴミ袋のこと?中身は廃棄されたボンプの信号発信機だよ。これだけあれば、小型の信号遮断機数台分の働きが見込める」

 

ハル「……ということは?」

 

アキラ「これで「千里眼」かつ「地獄耳」の人工知能──Fairyに内緒で話ができるよ。彼女について話し合う必要があると思ってね」

 

リン「確かに、この事については話しておくべきだね」

 

アキラ「マスターなんて呼ばれて、すっかり懐柔されたかと思っていたけど……ちゃんと警戒していたんだね。その顔を見て安心したよ」

アキラ「Fairyがプロキシの活動に関わるようになってから、しばらく経つけど……近頃の君のホロウ脱出ルートは、全て彼女ひとりで導き出したものだ。君も気付いているだろうけど、彼女はローカルデータに一切頼らない。何のサポートもないのに、以前の僕たちより270倍も早くルートを算出してるんだ」

 

ハル「確かに前より格段に早くなったと思ってたが……そこまでとはな」

 

アキラ「彼女はホロウのデータを瞬時に取得できるんだ。以前、「全都市80%以上の知能設備にアクセスできる権限を持っている」と言っていたけど、どうやら本当のようだね」

アキラ「これまでの僕たちは、せいぜいホロウの一角しか見えてなかった。それが今や彼女のおかげで、ホロウの全貌さえ掴めるようになったんだ。だけど──」

 

リン「私たちにとってFairyの存在は、災いを呼ぶ可能性だってある……」

 

ハル「うまい話には裏があるってわけね……」

 

アキラ「その通り。Fairyは、新エリー都の上位勢力が夢にまで見た力を持っている。僕たちが抱えてるのは悩みの種どころか、時限爆弾のようなものだ。それと、彼女は半ば強制的に君と主従関係を結ばせたんだろ?「その時」まで、「規約」に則り…とかなんとか言ってたけど……」

 

ハル「……具体的なことは一切言ってなかったな。これも、ちと怪しいな…」

 

 

3人はFairyに対しての不信感を募らせるが、リンは続けた。

 

 

リン「だけど、Fairyの力を上手く利用できたら、ずっと調べてきたあの件(・・・)も真相に近づけるかも……先生(・・)の悲願だって……」

 

ハル「2人が俺にまだ話してないやつのことか」

 

リン「そうだけど……ハルは覚えてないの?旧都のことは……」

 

ハル「……あぁ、あの時から自分のことのいくらかを除いて、ほとんど記憶が抜けてる…」

 

 

ハルは旧都出身だが、旧都陥落によって旧都にいた時の記憶をほとんど無くしてしまっていた。

覚えていたのは、「ハル」という自分の名前、両親から教わったこと、そして『誰かの為に、手を差し伸べられる者であれ』という父の教えだけだった。

その教えの基に、ハルは居候させてくれたプロキシ兄妹の恩に報いる為、バイトを掛け持ちしたり、2人に頼み込んでエージェントとしてプロキシの活動に関わるようになったのだ。

 

 

アキラ「とにかく、何とかしてFairyの正体を突き止めないと。とはいえ、急いでも仕方ないし、Fairyに関しては、焦らず地道に調査しよう。幸い、彼女の隠蔽能力はそれなりに高いみたいだし、ハッカーの件の二の舞にはならないだろう」

 

リン「そういえば、ニコたちに調査を頼んでたよね?進展はあるの?」

 

アキラ「それが、これといった進展はないみたいだ。邪兎屋は匿名の下請け業者から金庫の依頼を受けたから、関係者とは一切会ってない。ニコは赤牙組を糸口に手掛かりを探すと言っていたけど……それきり音沙汰がないんだ」

 

ハル「なーんか、面倒事に巻き込まれてそうな予感がするなぁ……」

 

アキラ「大事は小事より起こるというけど、彼女たちは大事を凶事にしちゃうからな……さて、ずいぶん話せたし、今日はここまでにしよう。最近はインターノットの新アカウントの名声を上げたり、ビデオ屋の経営だったりで、あまり休めてないだろう?今日はテレビでも観て、リラックスしようか」

 

ハル「あ、俺そろそろバイトだわ」

 

リン「ハルも大変だねー。ビデオ屋を手伝ったり、あちこちバイト行ったりして」

 

アキラ「あまり無理はしないでくれよ?君はうちの専属エージェントである前に家族なんだから、何かあったら僕もリンも心配するよ」

 

ハル「分かってるって。まあ今日は早く終わるって聞いてるからさ。そんじゃ行ってくる」

 

 

ハルは近くに置いていたバッグを取ると、ビデオ屋の社用車の隣に停めてあるバイクに乗ってバイトに向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─その日の夜─

 

 

アキラとリンはテレビを観ていた。

内容はヴィジョン・コーポレーションによる、『旧都地下鉄改修プロジェクト』に関する報道だった。

テレビにはニュース記者とヴィジョン・コーポレーションの代表である、チャールズ・パールマンが写っており、インタビューを受けているところだった。

 

パールマンが言うには、カンバス通りにある旧都陥落により崩壊した地下鉄路線をエーテル爆薬による爆破解体を行い、そこに新しい地下鉄を建設するという計画だった。

 

 

アキラ「工事が行われる場所はホロウの近くで、しかも大勢の人員を移動させる必要がある……」

 

リン「TOPS財政ユニオン入りを目指す企業はやることが違うね」

 

 

その時、Fairyが突然警報を発した。

 

 

Fairy『警報。街道カメラにて、何者かが本店へ急速に接近しているのを確認。推測──トイレを借りたい、レンタルしたビデオの期限が迫っている、本店に対し悪さを企んでいる』

 

リン「ハルかな?」

 

アキラ「いや、ハルはバイクで出たから戻るなら裏口からのはず。お客さんが来ただけだろう、僕が出よう」

 

 

アキラが店の入り口まで行き、ドアを開けると

 

 

「ふみゃー!?」

 

 

突然、猫のシリオンの少女が飛び出してきて、店の中でずっこけた。

 

 

アキラ「ん?」

 

リン「え?」

 

「いたたた……は、鼻が……はっ!このだるまみたいなオッサンを信じちゃダメだ!こいつは嘘をついてる!」

 

 

少女は鼻を押さえながら起き上がると、テレビに映っているパールマンを指さしてそう言った。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。