エンデュミオンのカスの方の英雄   作:パパパパンパース

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まさかの3話構成
セリフ多すぎて疲れた
ちょっと試しに会話多めにしました。退屈な内容だったらごめんなさい


第15話 消えるガンダム、こびり付いたカス②

 

「人質の価値は相手にとってどれだけ大切な人物か、これが重要だと言われている」

 

セイルは説明を始めた。

 

(どこで言われているのかしらね……?)

 

(さあ……ドブカス界隈とかじゃないの?)

 

「だが実はもう一つ軸がある。それは想定外であることだ。自分の娘が人質に取られるかもしれない、と備えている父親には、いきなり妻の薬指だけ送り付けてやった方が動揺が大きく、要求が通りやすい訳よ」

 

(……一応聞くけど、経験者?)

 

(いえ……あれは未遂のようなものでしたので)

 

(あるのかよ!?)

 

「君達、パパの話はちゃんと聞きなさい」

 

セイルはコホン、と咳払いすると続けた。

 

「クルーゼ隊の連中は年若いメンバーが多い。まあ、前回の後でどう補充をしているかわからないが、Gを盗んだ連中の親は全員プラント評議会議員だ。評議会とは名ばかりの学級会レベルのおままごとだが、権力闘争がライフワークになってる」

 

端末に繋がれたモニターに、写真が三枚。

エザリア・ジュール、タッド・エルスマン、そしてパトリック・ザラの姿が写っている。

 

「つまり、わざわざエース部隊に突っ込んだ身内を、一回の失敗で本国に連れ戻すなんてわかりやすいイモを引く訳にはいかねえのさ。このレベルの議員になると、なおのことな」

 

セイルは煙草に火をつけた。

 

「ブリッジは禁煙だぜ?」

 

「知ってるよ。一般教養には自信があるんだ」

 

煙を吐き出しながら、モニターに火のついた先を向ける。

 

「この親とガキだが、バスターをパクったエルスマンのガキは作戦の対象外だ。そもそも親の方が研究者気質の上、本人も評議会議員の席を重荷に感じてる。息子に不利なことが無いように、位の理由で議員をやってるだけの無能だ」

 

煙草の火が、そっとタッドの顔に押し付けられた。

 

「それは艦の備品ですよ?」

 

「知ってるよ。後で持ち主に謝っといてくれ」

 

次に、とセイルは続けた。

 

「パトリック・ザラ。タカ派急先鋒で日頃ナチュラルへの恨みを吹いて回ってる癖に、大好きな嫁を核で吹っ飛ばされた救いようのないピーナッツ野郎だ。プラントが世界に誇る恥さらしだが、何でかタカ派の中でもトップクラスの求心力を持ってる。一方でこいつのガキは責任感が高く、面倒見がいいこと以外普通だな。士官学校のトップ卒で、そこで知り合ったアマルフィやジュール、エルスマンのガキと親睦を深めている。親父みたいに徹しきれないくせにザフトには入る、筋金入りの優柔不断男だ。こういう奴には人質って戦術自体は効くが、リミット超えると見捨てる傾向が高い。イージスに乗ってる」

 

「人質は戦術だった……?」

 

「人の心……」

 

「最後、エザリア・ジュール。本作戦協力者の一番指名だ。こいつもタカ派で、間抜けなコーディの旦那がブルーコスモスのテロで死んでるせいか、ナチュラル蔑視がやべえらしい。一方で、さっきのパトリック(パティ)とちげえのは市民の噂になるレベルの子煩悩ってとこだ。コーディはガキが作りにくいとかいう人型の欠陥動物だから、逆に親子愛とかはナチュラルより濃いのよ気持ちわりい。つまり、こいつのガキにとって親の失脚は脅しの道具になる。脅されるために生まれてきたようなガキだ。流石間抜けの精子、生き様まで間抜けで笑えるわ。可哀想だからせめて俺の作戦でスポットライトを当ててやる。こんなんがデュエル(決闘)とか、世も末っすわ」

 

「まあまあ聞かねえぞこのレベルの罵倒」

 

「愛とか知らなそう」

 

ムウとマリューはひとしきりしゃべり終わったセイルに対して、大きな大きなため息をついた。

カスは一気に吸い込んで1センチ近く煙草を燃やし、アホみたいな量の煙を吐き出した。

 

「さて、皆様に前提条件も説明したところで、アルテミス出港後に実行するオペレーション『ロミジュリ・クライシス』の詳細を発表しまーす!」

 

タバコの煙がブリッジの換気機能で消えていく中、セイル・オランチョは本当に楽しそうに笑ってみせた。

 

「胃が痛いわ」

 

「ちょっと気持ちわかるわ」

 

「もう慣れました」

 

セイルの言葉が紡がれるにつれて、ブリッジは不穏な空気に満たされていった。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

「司令! こちらの哨戒範囲内にザフト艦を感知しました! 熱源から見て高速艦、アークエンジェルの報告にあったヴェサリウスかと思われます!」

 

「でかしたぞクルーゼ!! よし! 即刻傘を展開しろ!

あのおぞましい連中を今すぐここから叩き出せ!!」

 

ガルシアの執務室ではそんな会話が成されていた。

 

「はっ! あの、補給はどうされますか? このままあの艦が第8艦隊と合流すれば、我々がなんの支援もしなかったことが露見するのでは……」

 

部下から言われたガルシアの脳裏をよぎったのは、あの鎖で繋がれたコーディネイターの少年だった。

 

「……食料品のコンテナをくれてやれ。推進剤も、多少は入れてやって構わん」

 

「よろしいので?」

 

「……例えコーディネイターであろうとも、働きに対する見返りは必要だろうが。いいか、ストライクのパイロットに免じての補給だと言うことを、徹底して伝えろ! 行け!」

 

「はっ!」

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

ガルシアが軍人となって1番の優しさを発揮していた頃、アルテミス外縁、傘と呼ばれるシールド発生装置の真下にカスがいた。

 

「バカは良いように解釈してくれるから助かるなぁ。世界がバカで満たされたらいいのに」

 

何本目になるかわからないタバコを燻らせて、セイルは呟いた。

 

「なあ?、お前もそう思うだろ?」

 

返事のない誰かに話し掛けながら、セイルは整備班のマードックに作ってもらった手製の爆弾を傘の発生装置に仕掛けて回った。

ランサーダートから抜き出した信管と爆薬だった。

火薬を抜き取られたダートは一部形を変え、食堂に突如出現した柱となっていた。

 

「どうせ俺等が出てくるのを遠距離で見てるんだろ? キモいんだよクルーゼ。お前の為に赤ペケ先生のハ◯撮りを接触通信で送り込むシステムはキラに開発させてある。無修正の威力で脳味噌ぶっ壊してやるぜ」

 

コックピットのモニターに、設置した爆弾のカウントダウンが開始された。

 

5

 

「しっかしやべえな」

 

4

 

「ミラージュコロイドしか使ってねえのに、もうバッテリー半分かよ」

 

3

 

「この燃費で作戦行動させようとかバカ過ぎんだろ」

 

2

 

「キラに言ったら燃費改善ツールとか、作ってくんねえかな」

 

1

 

「でもあいつ、最近ずっと壁にぶつぶつ言っててキショいんだよな」

 

 

 

「地球降りたら、女でも奢ってやるか」

 

アルテミスに、爆炎の華が咲いた。





セイルはキラがニコルとお互いの友達について会話しているのを盗聴器で聞いていました。
カスの舎弟に人権は無いので。
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