エンデュミオンのカスの方の英雄   作:パパパパンパース

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ユニウスセブンは非公式コロニーなので何やっても合法ですよね。
え、違うんですか? この辺、友達とも意見が分かれるんですよね。
あと、前話のワンアウトは作者基準ですね。
まあこれくらいならワンアウトで許してよワハハって。


第18話 歌姫キャッチ・アンド・リリース 前編

 

かつてユニウスセブンと呼ばれていたコロニーの一部が漂うデブリ帯にて、アークエンジェル艦橋から折り紙で作った花が飛び立った。

 

鎮魂の祈りを乗せたそれらを前に黙祷を捧げた後、マリューはクルー達へ探索の指示を降した。

 

『ブリッツ、ストライクは探索班を中心に警戒をお願いします』

 

場所が場所だけに、余程のことがなければ襲撃は無いだろうということだが、万一もある。

キラはグリップを握り直して緊張の息を吐いた。

 

「こちらストライク、了解」

 

『こちらブリッツ、了解』

 

ストライクのメインカメラを巡らせると、遠くにブリッツのスラスター光が見える。

 

『こちらブリッツ、ちょっと思い付いたんだが』

 

セイルの声は場所のこともあり、気は進まないが、といった風に聞こえた。

 

『その辺漂ってる死体を回収して適当に組み合わせて、家族を回収しました、つってプラントに売るのってコスパ良いかな?』

 

お前マジそれを言うなよここでよ。

キラは憤慨した。

 

「良い訳無いでしょ。いくら見た目を似せたって、結局遺伝子検査でバレますよ」

 

『そこはほら、お前。ヤマトさんちのキラ君謹製スペシャルプログラムでさ、検査結果を誤魔化せるやつ作ってもろて』

 

「多分ちょっと本当に、歴史に名前が残るレベルで重犯罪扱いになりそうなのは……その辺の石とか破片を加工して、追悼記念アクセサリーとかじゃ駄目なんですか?」

 

『いや、真似が簡単なブツは偽造が出回るのも早えんだ。この手の商売は売り抜けが基本だから、捌くペースが遅れると在庫抱える可能性が出てきて赤字のリスクがな……』

 

なるほどなー、とキラは思った。

クズ的発想なのにリスクヘッジは考えてる辺りは、流石だな、と。

 

「いや、頷いてちゃ駄目ですよキラさん! 冷静になって下さい。どっちも死体ビジネスって土台には乗っちゃってますよ。プラントから暗殺者送られますって」

 

今回、ユニウスセブンという場所に対して、どうしても自分の目でも見たいというニコルからの強い要望に、ストライクにはキラとニコルの2名が同乗していた。

 

万一があった時、キラが根本からイジリ倒しているストライクのOSの方が操作が困難で、脅威になり難いとの判断もあった。

あと、セイルとの2ケツは泣いて拒否されたのもあった。

 

「…………ハッ、本当だ……何考えてたんだ僕は……ありがとうニコル君、危うくセイルさんの考えに引っ張られるところだった」

 

正気に戻ったキラを他所に、カスはビジネスプランを練り上げていく。

 

『そうか……プラント権力者のガキであるニコルが広告塔になる事で信頼度は爆アゲ、加えてもし露見したとしてもあくまで主犯はアマルフィ家に……フフッ天啓、あまりにも天啓! 流れは我にあり!』

 

「ウチの家族を巻き込まないで下さい! 絶対協力しませんからね! 絶対ですからね!」

 

えー、という顔をするセイル。

懐から小さなデータ端子を取り出して、指先で弄ぶ。

 

『ほな、この『栄光のザフトレッド屈辱の捕虜墜ち。避難民のお姉様とイケない夜遊び』ROMを写真集化するしかねえか……』

 

「それはまさか僕が錯乱してる時の……な、何もなかったですよ!? なかったじゃないですか!!」

 

『心配すんなよ。映像加工なら俺、得意中の得意だからさ』

 

「あれ……もしかして僕、詰んでる?」

 

顔を青くして震えるニコル。

キラは本当に可哀想だなと思いつつ、ここ数日自分に伸し掛かっていた負荷が分散されて少し気持ちが楽になっているのを実感した。

 

(そうか……バジルールさんの言っていたのは、こういう事だったのか……)

 

正確にはナタルの苦労はカスの行動を制御する……横道に逸れないように手綱を握る、いざという時に有効活用する、という点に重きが置かれていた。あれは単純に、カスの標的が一本化されることで管理が楽になるという意味での『助かる』だった訳だ。

 

まあ舎弟同士の苦労が分散されるという意味ならキラの感じたことも間違ってはいなかった。

あえて言えばカスとこの世界が間違っているだけで。

 

『ん……おい、なんか光ったか?』

 

その時、セイルから真面目な声が発された。

 

「え、僕達以外にですか?」

 

『インディゴアルファだ。お前のが近いから、スラスター切って慣性で行ってみろよ。なんかあったら臨機応変に対応しといて。高度な柔軟性を維持して俺に余計な手間を掛けさせないように務めろな。もしザフトならこんなとこいる理由も知りてえし、可能なら鹵獲して来いよな』

 

「そんな馬鹿な」

 

「なんで連合軍はこれが許されるんでしょうか……」

 

特に許されてはないのだが、話に聞くハルバートン提督なる人物と合流した際、まとめて精算されるということらしい。

なんだ、そのクレカみたいなシステムは。

 

キラとニコルはため息をつきながらスラスターを切ったストライクで、AMBACを駆使しながら瓦礫の海を進んでいく。

辺りの瓦礫がかつてコロニーだったこと以外、キラにとっては最も静寂な宇宙と言えた。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

「で? 変なジンを吹っ飛ばして拾ってきたのがコレか?」

 

アークエンジェルの格納庫にて、帰投したストライクを待っていたセイルは開口一番にそう言った。

 

ストライクはあの後、単独で行動していた強行偵察型のジンを発見。水を発見した味方を見つけられてしまった為に、狙撃。見事に動力パイプを撃ち抜かれ、パイロットは早々に離脱した。

 

その機体と、近くを漂っていた救命ポッドを回収し、帰艦したのだ。

 

なお、ニコルはキラが味方のジンを撃つことを何も言わなかった。自分に言う権利はないということもあるが、ヘリオポリス以降、ニコルの中でザフトに対し、何か言葉にし切れない疑念が渦巻いていた。

 

「ジンは複座か……おい、取り敢えずハンガーに入れとけ。マードック、悪いけど推進剤とバッテリーは抜いといてくれ。若えのが多いから、下手に暴走して乗られても面倒だ」

 

セイルは顎に手を当てて考える。

 

(両肩のアレ、レドームか……てことは偵察型? だったらザフト勢力下でもねえこの辺りで、僚機がそばにいねえのは不自然だろ……必要だったのはその索敵機能か?)

 

「へいへい……と、こいつプロペラントタンクもありますね。これも外しますかい?」

 

「あー、頼むわ」

 

(長距離活動を想定した装備の偵察機…………追跡……いや、探索か)

 

セイルはアタリをつけると救命ポッドの方へ向かった。

丁度保安部を連れたマリュー達も到着したところである。

 

「タカちん、中身が厄ネタかどうか賭けようか?」

 

ムウへ話し掛けると、

 

「こんなとこに漂ってるポッドを、俺とお前がいる艦が拾ったんだ。厄ネタじゃない訳……って言うと艦長の胃がまた悪化するから、奇跡を信じて今回は無害に賭けるさ」

 

そんな回答が返ってきた。

 

「グゥゥゥッド、負けた方がマリューのスリーサイズ調査な」

 

「艦長にも助かる目を残してやれよ……そういうことしてると、少尉に怒られるぞ?」

 

「いいんだよ、ナタルのサイズは知ってるもん」

 

「……あれ、やっぱそういう?」

 

「俺はあいつの親父と祖父からは汚物君と呼ばれてたまに銃で撃たれるが、母親とは普通に仲が良いんだよ。プライベートは筒抜けだぜ? なんなら、26まで相手が出来なきゃ嫁に貰う話も出てる」

 

「それ、少尉は知ってるのか?」

 

「知ってる訳ないじゃん。そもそも俺が特定の誰かと結婚? 冗談だろ」

 

「まあ、聞いてる身としては冗談であって欲しいと思うよ。お前の言動であのレベルの子と結婚とか、マジで殺害に舵切る奴が出てきそうだもんな……別にしなかったから許される訳では絶対ねえが」

 

「浮気に寛容で自分が産んだわけでもない子供でも喜んで育て50歳くらいまでは全然抱けて全てを俺の為に捧げてくれる子がタイプなんだよね」

 

「ギリ神龍が叶えられない可能性あるヤツじゃん」

 

「ポル◯ガならいける。俺ならポル◯ガで最長老を不老不死にしてからデ◯デ以外他の住民を皆殺しにして星を占拠してたね」

 

「デ◯デは従わねえだろ、そのカスフ◯ーザには」

 

「バッカ、折角不老不死にしたんだから、目の前で最長老拷問すりゃ余裕だわ。願い事叶え放題……懐かしいな、5歳の時に考えたプランだ」

 

「お前アクマイト光線で即死しそうだよな」

 

「あのババアんちは最優先で片付けるわ。唯一の脅威だ」

 

バカ男子のDBZ談義が止まらない中、遂に救命ポッドが開いた。

 

「ハロ、ハロ」

 

飛び出してきたのはピンク色の間抜けな声を上げる球体。

そして……

 

「皆様……ご苦労さまです……私はラクス・クライン、追悼慰霊団としてここに……あら? こちらはプラントの船ではありませんのね?」

 

ピンク髪で、喋り方ののんびりした、まあ簡潔に言えば厄ネタだった。

 

「ラクス・クラインって、シーゲル・クラインの娘じゃん。プラント最高評議会議長の」

 

驚いたセイルの言葉に、

 

「ええ、シーゲル・クラインは私の父ですわ」

 

と返ってきた。

 

「ほい、厄ネタ決定。納期は明日までね」

 

「良いじゃねえかよ……希望を持ったって……こんな時代だぜ?」

 

項垂れるムウ。

 

「これ、G兵器より捕虜の方が価値ある可能性出てきたな」

 

セイルも流石に苦笑いだった。

 

「とにかく、まずは彼女を拘束して……艦長? 艦長!?」

 

前の方で、ナタルの慌てた声が聞こえる。

 

「ナタルちゃーん、どうしたんだーい?」

 

セイルの呼び掛けに対し、

 

「その……立ったまま、気絶しています。代わりに場の取りまとめをお願いしても?」

 

ナタルは驚きも隠せずに答えた。

 

「すまんが、それは私の力を超えた願いだ」

 

横にいるムウの背中を押し出して、セイルはその場を去ったのであった。





ヘリオポリスの避難民には重度のショタコンをこじらせた変態が混じっていた、いいね?
原作にそんなものは居なかった、とは書かれていない。つまりいる(暴論)

文量が安定しなくてすみません。。
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