エンデュミオンのカスの方の英雄   作:パパパパンパース

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get wildも良いけどアカペラでサビから入るあんなに一緒だったのにでもいいな……SEEDは名曲が多いですよね


第32話 低軌道会戦②

 

『カスはいるかね?』

 

通信が繋がり早々に、ハルバートンはセイルを呼んだ。

 

「オランチョ()()ならブリッツのコックピットで機乗待機中です。今繋げます」

 

マリューの言葉に従い、ミリアリアがブリッツのコックピットを呼び出す。

 

『はーい、こちらスーパーイケメングレイトヒーローオランチョ、この電話は只今使われておりません……ダッル』

 

ブツッ

 

「あの……切れました」

 

「もう1回、呼び出して貰える? 私の胃がまだ保つ間に」

 

「はい……」

 

『……っだよ!? 寝てんだからかけてくんなって! おっぱい揉むぞミリリっちょ……あっ』

 

「何で申し訳なさそうな顔するんです?」

 

『ごめんな……本当ごめんな?』

 

「セクハラっすよ隊長! あと揉む位はありますよ!」

 

「トールは黙ってて。後で酷いからねアンタ」

 

「そんな!」

 

「中尉、提督から連絡です。繋ぎますよ」

 

ナタルが2人の夫婦漫才をぶった切ってハルバートンとの通話に参加させる。

 

『おう、上司を待たせるとは良い度胸だカス。流石少佐から中尉まで直滑降した逸材は違うな。お前のキャリア、朝イチだけ上振れした設定1のジャグラーみたいだぞ』

 

ハルバートン、ノリノリである。

 

『まともな上司はちょっと救命ポッドぶっ壊してアルテミス駄目にして勝手に捕虜解放してお前にタメ口使った位で2つも落とさねえだろが。少しは振り返った方がいいんじゃねえか? 自分ってやつをよぉ』

 

『どうしてお前にはそう罪の意識がないの? カスなの?』

 

カス、不満そうな原因は論功行賞にあるようだった。

ナタルから挙げられた報告書は、ヘリオポリスに辿り着くまで、そして第8艦隊に合流するまでの上下巻に分けられており、その8割はセイル・オランチョの言動に関する内容だった。

 

曰く、

 

緊急事態における臨機応変な対応により、アークエンジェル離脱に尽力大、ザフトのパイロットを捕虜に取り、ジンを撃破しクルーゼを退けた。

加えて不足するクルーの補填に関しても機転を利かせ、航行の安定化に貢献した。

 

更に、作戦立案にも携わり、艦や非常事態につき戦時徴用したパイロットのキラ・ヤマトにも大きな被害を出すことなく戦場をくぐり抜けた。

 

いち大尉としての職責を大きく超えた働きであり、1階級昇進が妥当とする内容は、さしものハルバートンも頷かざるを得なかった。

 

そして、

 

ナタル・バジルール少尉に対する度重なるセクハラ、当時ヘリオポリス避難民だったサイ・アーガイル達に対する非人道的な発言、ヘリオポリス脱出後カズイ・バスカークに行われた非人道的な行為、キラ・ヤマトに対する人権を軽視する扱い、ヘリオポリス避難民を乗せた救命ポッドに攻撃を当てた挙句放り捨ててデブリに追突させた件、任務遂行の為とはいえ味方である軍事要塞アルテミスの防衛システムを破壊した件、捕虜となったニコル・アマルフィへの過度な虐待、軍用機ブリッツに対する無許可カスタマイズの数々、ブリッジでの喫煙、備品の破壊、捕虜を戦闘時に人質として使うコルシカ条約違反、プラント重鎮の関係者であるラクス・クラインを無許可で引き渡し交渉に使った事で前人未到となる2度目の2階級降格となった。

 

当初は、さしものハルバートンもノータイムで銃殺刑を決断した。

 

それくらい、コルシカ条約違反は本当にマズかった。

ただ状況的にアークエンジェルが逃げ切る手段が他に無く、当のニコル・アマルフィが書面で許す旨をサインしてくれた為、遺憾ながら命は助かることになった。

 

『で、なに?』

 

『今し方、突っかけてきたハエを追い払ったんだがな』

 

『おん』

 

『捕虜にしたパイロットがかなり若い。聞けば艦長も同世代だと』

 

『はぁ? 捨て駒じゃねえのそれ』

 

『だよねぇ。クルーゼ来てるのかな?』

 

『来てたらワザワザ囮は出さねえだろ。横並びならともかく、球形陣だろ? 少数で手ぇ出す意味はねえだろ』

 

基本的に球形陣は索敵・防御用の陣形であり、そこに単艦で突撃を仕掛ける理由がなかった。

 

『別動隊に備えてはいたがね、そっちはさっぱりだった。接近の兆候すらなかった』

 

『あー……馬鹿が早まったか、何かやってるかだな』

 

『……ジンの連中、最外縁のセレウコスを狙っとった。母艦はだいぶ後方にいたがね。まあ、死んだけど』

 

『じゃ()()()()わな。球形陣に単艦で突っ込んで駆逐艦狙いは馬鹿過ぎるでしょ』

 

球形陣は外側に索敵能力、機動性の高い艦が並ぶ。

駆逐艦は足が速いが、総合的な戦闘力では戦艦には及ばない。

そして駆逐艦が少し時間を稼げば、球形陣の奥から戦艦が顔を出して戦闘に参加するのだ。

 

ヒットアンドアウェイをやるにしても、尚の事母艦が初めから戦闘に加わらず、艦載機のジンだけを先行させる意味が見出せなかった。

やるなら短時間で最大火力を発揮、そして直ぐ様逃走が単艦で出来る最善手であると、ハルバートンとカスの見解は一致していた。

 

『こっちの陣形を綻ばせときたかったかな』

 

ハルバートンは顎に手をやり思案する。

 

『半端に仕掛けて、逃げたとこ追わせたいとかじゃね?』

 

カスは鼻くそをほじりながら返した。

くるくる、ぴんっ、とコックピットの外へ汚物を飛ばす。

 

『それもあるな。恐らくクルーゼ達が到着するまでの時間稼ぎか。こっちの戦力を測る意味合いもあるだろうが……お前なら次の手はどうする?』

 

『ギリ艦隊の射程圏外に、デブリまとめて作った隕石落とすかなー。ギチギチにまとめて直径15メートルもありゃ、ワンチャン地表に届くかもだし』

 

『……そんな雑な手使うか?』

 

『それでもやられたら、お前等止めざるを得ないじゃん。複数方向でやられたら結局陣形だって崩すことになるし、そうなったら間抜けのケツ掘り放題よ?』

 

想像したのか、ハルバートンは眉を顰めた。

 

『……流石にカスい手を考えさせたら右に出るものはおらんな……おい、ミサイル艦を陣形底面部に並べろ。索敵は密に!』

 

『こういうのはやったもん勝ちの手が一番強いんだよ。精々気張れよ、ヒゲ』

 

『抜かせカス。ラミアス、30分後の1100になったら降下を開始しろ。物見が蹴散らされた直後だ。連中も、下手には追って来ない可能性が高い』

 

「了解です。提督、ご武運を」

 

その指示に了承するマリュー。

 

『ゴッドスピードに幸運を祈られちゃおしまいだなクソヒゲ』

 

カスの嘲るような声がした。

 

『光栄なことだよ。幸運の女神くらい言ってやらんかカスが』

 

『三十路女に女神もクソもねえだろ。腹肉についたパンツのゴム跡とか服の毛玉とか気にしなくなる歳だぞ』

 

「中尉、私になら何言ってもオッケーとか思ってるならそろそろ怒りますよ? 提督からはアラスカまで艦内の人事権をお預かりしてますので……キラ君を特務中尉にして貴方は少尉になりますか? 舎弟を上司にしてみます?」

 

その声は凪いだ海の様に穏やかだった。

 

『ヒューッ、ナイス女神! イカすぜゴッドスピード! ゴッピー! パンツもキラキラだぁ!……流石にまだキラを殺したくはねえな』

 

最後だけ素のトーンに、聞いていたトール達は思わず友人の身を案じた。

 

『ゴッピー、お前はワシの教えた中で最高の生徒だ……カス、お前この期に及んであの子に何かあったら本当に裁判だからな?』

 

「怒りますね? 提督がよくご飯をご一緒されていた秘書官のお名前を、奥様はご存知でしたでしょうか?」

 

『ゴッ、ミス・ラミアス、済まなかったね……ごめんなさい』

 

『いやその情報は俺の方で良い感じに盛り付けてもう伝えてあるから。俺、嫁さんにテイザーガンの撃ち方教えたもん』

 

『クァアアアアアス!!? 貴様あああああああ!!!』

 

『あいつ、奥さんとこ帰るのは経費使うのに女連れ出す時は自腹なんすよ(笑)、ってね』

 

『テメッ、カスッ、今三途ん川ぁ渡ったぞゴラァァァン!!!』

 

『提督、ブリッジです、ブリッジ内なんです! 落ち着いて!』

 

ホフマンの制止する声。

 

『ミリリっちょー、切って切って』

 

カスはそう指示しつつ、速やかに通信から抜けていった。

 

「えー、いいのかな……」

 

ミリアリアが通信を落とすと、ブリッジはようやく静かになったのだった。

 

『あ、言い忘れてた。艦長、いい?』

 

すぐにセイルが連絡してきた。

 

「……なんです? 言っておきますが私のお腹にゴム跡はありませんし、毛玉のついた服なんか着てませんよ……部屋着以外は」

 

マリューはまだ不機嫌顔だった。

 

『悪かったよ。今度ナタルとお揃いのローライズでもプレゼントするから』

 

「いりませんよ。何着同じようなの渡す気ですか。あれを履いてると父が卒倒するのでやめて下さい」

 

「私も結構……ナタルは後でそれでも贈られた服を着てしまう件についてレポートをお願い出来るかしら艦長権限で」

 

「ラミアス少佐、失礼ですが言動がヤツに酷似していますよ。それ以上進行すると戻れなくなりますからね」

 

ナタルの珍しいジト目発言に、マリューはカラカラと笑ってブリッジを見渡した。

 

「やぁねナタル、そんな冗談言うなんて珍し…………嘘よね?」

 

目線を送ると、サイやノイマン達はそっと目を逸らした。

マリューの顔がサッと青くなった。

 

「やめてよ……私まだ結婚もしてないのに……そういえばいつの間にか……胃が、痛く……無い?」

 

『艦長』

 

いつになく真面目なカスの呼び掛け。

 

『ようこそ、こっち側へ』

 

「いやああああああ!!!」

 

騒がしいなぁ、なんかこの艦、第8艦隊と毛色が違うのよね……いや、提督がいるとこはそうでもないのかな。

ミリアリアはそっとため息をついた。

どうやら、真面目なのは自分だけらしい。

 

「それで隊長、どうしたんです?」

 

そういえば前にも、こんなやりとりがあったなと思った。

 

『周辺警戒に出てるタカちんがクルーゼが来るって。どうやら連中、MSを高速艇に括り付けて最大速度で突っ込んでくるらしい。こりゃ速いわ、1本取られたねぇ』

 

「早く言って下さいよ!」

 

そして前も、まあまあな緊急事態だったのだ。

ほぼ同時に、第8艦隊の索敵からもザフト艦複数の接近警報が鳴った。

 

低軌道会戦第2ラウンドが始まろうとしていた。





後書きのカスエピが僕の実体験だ、自己投影だとか言われておりますが、そんな事ある訳ないじゃないですか。人間じゃないすよあんな事すんのは。

ただ僕も男なんで、皆さんと同じように好きなキャラが一番曇るのはどんな時だろう……って妄想は日常的にしています。

なので、心の中の【つくってあそぼ】では、ゴ◯リが『ワ◯ワ◯さーん、今日は何作るの?』と聞くと、◯ク◯クさんが『今日はこの幸せそうなカップルをグチャグチャにして遊ぼうかブラザー。もう二度と、元には戻らないくらいになAYO』って言って創ってくれます。知育番組は素晴らしいですね。男子の嗜みですよね。
つまり全部ワクワクさんが悪いんですよ。

子供の頃、アンパンマンやセラムン観ながらよくやってました。
最近だと水星の魔女で、地球に降下したチュチュパイセンが誤射で薄汚ねえアーシアン共を吹っ飛ばしてしまい、ズームアップしたカメラにたまたま映った死体が家族だった、みたいな展開をずっと待っていました。大事なモノは自分の手で壊してこそ、ですよね。

曇りが濃ければ濃いほど、その後で覗く太陽は輝いて見えますからね。

まあ、太陽が出るなんて保証はしませんが。
太陽がまた昇るなんて悠長に信じてる連中の顔から光が消えていくの、何かのアンチテーゼみたいでゾクゾクしますね。

ちょっと仕事で、次週末になりそうです。
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