エンデュミオンのカスの方の英雄   作:パパパパンパース

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トレカとかゲームの一枚絵だと割と優遇された上に美化されがちな3人娘ですが、活躍はイマイチでしたね。もっとナデシコを見習って。

TCG関連の話はよく読みますが、僕には書けないですね。やったけどもう無理。。。


第59話 たまにはこんな昼下がり(日常回)

 

「で、どうだった?」

 

アークエンジェルの自室で、タバコをくゆらせながらカスはそう尋ねた。手元ではトランプのようなサイズのカードの束をイジっている。

 

「そうですね……ひと言で言えば、チグハグでした」

 

キラの受け答えに、カスはデスクに足を乗せたまま眉を顰めた。

 

「なんて言うか、妙に完成度が高い部分と、駄目な部分が同居してたというか……取り急ぎ、指示通りエールストライクの三世代前のOSをベースにフィッティングしました。低軌道の時位のやつです」

 

「オッケーだ。堅実に動くのが一番丸いからな。俺が最初見た時、あの便器共は何をするにもゆっくりで、走ることも出来なかった。その癖、拳法じみた動きをしてんのは笑えたが」

 

キラは弄っていた端末のモニターにデータを出して、カスへ差し出した。

 

「その、拳法みたいな動き、変なんですよ。普通あれだけバランサー制御が不安定だと、パンチすらまともに打てないのに、型みたいな動きが出来てたんです」

 

つらつらとモニターをプログラムが流れていく。

淀みない式を追いながら、カスは煙を吐き出した。

 

「気になってその部分だけ抽出してみたら、明らかにクオリティが段違いなんですよ。イミテーションの中に、ひとつだけ本物が混じっていたみたいで」

 

ピコピコと、火のついたタバコの先端でモニターを指す。

 

「つまり、こいつの製作者は不特定多数の玉石混交で、その中に、お前から見てもとびきりのが混じってた、と」

 

「OS自体、元々の出来はそこまで良くなかったと思いますよ。ただ、拳法周りの動きはその中でも動作に支障が出ないように調整されてて……多分これ、既にあるものの一部か、完成前のものをコピーしたんじゃないですかね……じゃなきゃこのアンマッチさが説明出来なくて……」

 

キラの推測にを聞き、眉間にしわを寄せる。

 

「……こいつは、腐ってもMSのOSだ。コピーして来るっつっても、大元の数自体が限られて……ああ、まさか」

 

「セイルさん?」

 

カスは己の推論をキラへ聞かせる。どうやら考えをまとめたいらしいことを察したキラは頷いた。

 

「ヘリオポリスにあったMSは、5機のGだけじゃなかった……? アストレイは、王道ではない……じゃあ王道とは何か……大西洋連邦主導で製作されたMS?……だから、()()()()()()?」

 

まあ、あり得る話だとキラは思った。

中立コロニーでMSを作るような連中が、何を考えやっているかなどキラには思いもつかないのだから。

 

「まだ、あそこにMSがあったんですかね」

 

「可能性はあるかぁ……ヘリオポリスの直接的な崩壊原因は、支柱ワイヤーの切断だ。粉々に吹っ飛んだ訳でもなし、秘匿ブロックならある程度頑丈に造ってあるだろうし」

 

しかしそれを是とするならば、疑問もまた同じ様に湧いてくる。

 

「でも、誰が持ち出したんですかね。あそこから、僕らに先駆けてオーブにデータを持ち帰ってたって事になりますけど……」

 

「そりゃあ……まあ、普通に考えればオーブの人間だろうよ」

 

「うーん、それならそのMSはどこにあるんですかね……本体があれば、それをベースに改良すればいいんだから、こんな事になってないと思うんですが」

 

だってあんなん、ゴミでしたよ。と言いたげな瞳だ。

 

「そうだなぁ……んー、情報が足んねえなぁ」

 

カスは諦めたように肩をすくめた。

 

「わかったところで、僕らがどうこう出来る訳でもないですしね」

 

「しかしなぁ、タカちん用にMS1機位パク……貰いたかったんどけどなぁ。強請るのに良いネタかと思ったんだけど」

 

残念そうに漏らすカスに、キラは素朴な疑問をぶつけてみる。

 

「僕よくわかってないですけど、MSってかなり高価なんじゃありません?」

 

「バカだなぁキラ君、だから人にオゴッてもらうのが良いんじゃねえか」

 

返ってきたのはクズの満点回答だった。

キラはそっと話を逸らすことにした。

 

「あー、まー、そうですね……ところで、さっきからその手に持ってるカードはなんなんです?」

 

カスは先程からずっと、手元でカードをイジっている。

各種シャッフルし、めくったり並べたり。まるで感触を確かめるように何度もだ。

 

「ん? これは俺達の冒険を無かったことにしない為の記録みたいなもんさ」

 

そしてその正体を、事も無げにカスは明かした。

 

「記録、ですか?」

 

「ウィ、その名もTCG.エンジェル・サーガ。実在の英雄達の色々な一面を切り出した、トレーディングカードゲームさ」

 

「……実、在?」

 

キラは嫌な予感がした。

絶対ロクでも無いものだと確信した。

 

「お前もいるぞ? ほら」

 

カスがそう言って見せてきたのは、プリズム加工の施されたカードだ。そこにはキラが写っている。目が不自然に輝いた、どこか空中を見つめたキラが。

 

いや盗撮だよ、盗撮して加工してるよこれ。キラは即座に察した。

カードの下半分はステータス欄となっている。

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

カード名:尊敬する隊長の背を追うキラ・ヤマト

 

スタッツ

コスト:5

格闘:6

射撃:6

防御:3

機動:6

魅力:3

 

属性:地球連合軍、ヘリオポリス、アークエンジェル、オランチョ小隊

 

特性:コーディネイター、パイロット、童貞、男(弱)

 

スキル:このカードは場にある『カード名にオランチョを含む』カードがテイクした際に手札から同じ戦域へ特殊配備する事が出来る。このカードが手札から特殊配備された場合、プレイヤーは『属性:地球連合軍のMS』を1体、ドッグから直接出撃させ、このカードを搭乗させることが出来る。その場合、プレイヤーは手札から『属性:ヘリオポリス』のナチュラル2枚を墓地に捨てる。

 

フレーバーテキスト:僕、隊長を尊敬しています! 隊長みたいな男の中の男になりたいです!

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

「このカード1枚で勝てそうですね。名誉毀損の裁判に」

 

またしても音速で目が死んだキラは、死因に対してそんな言葉を吐いた。

 

「おいおい、そいつは最高レアリティだぞ? 将来は1枚30万位の価値になると見込んでるんだ」

 

死因はどこか『やってやった』感がマシマシで得意気な様子だ。

 

「……それを聞いて僕が喜ぶとでも? ていうか1枚の動きに役割持たせ過ぎですよ。禁止カードになりますって」

 

エラッタされて即牢屋行きですよ。僕が何したって言うんですか。

 

「大丈夫だ。このゲームはお互いに開戦準備、進軍、戦後処理のフェーズを推移する中で、いかに相手の妨害を受け流し、自分のターンに有利な状況を作るかを競う戦略・戦術要素が強いんだ。属性、特性の数はそのままバフデバフのターゲットになるのさ」

 

「属性オランチョ小隊は確かにデバフですね。存在そのものが」

 

世間に後ろ指差され隊的な意味で。

 

「特性の童貞は男系最弱だ。魅力が高い相手に攻撃されると男相手でも不利になる。後々カードを見返して、『この頃は童貞だったなぁ』とお前が懐かしむ為につけた」

 

「リアルガチで余計なお世話なんですよね」

 

「これぞ俺の戦後不労所得策の一つよ」

 

「自分の不労所得って言っちゃってるじゃないですか」

 

「しかしアレだな。お前この手のホビーわかるクチか」

 

ジト目のキラに、しかし、カスはちょっと楽しそうに言った。

 

「そりゃまあ。よくアスランからカードを巻き上げて泣かせては怒られてましたから」

 

キラはカードをカスへ返しながら、思い出に浸る。

脳裏に蘇る幼少期の記憶……ハンデスで主要カード抜かれた挙句スキップで何もさせてもらえず、ひたすらスリップバーンで削り殺されたアスラン、除外に次ぐ除外で痩せこけた墓地と焼け野原になったフィールドに駄目押しのトリシュをぶち込まれるアスラン、構築がザコでデッキ破壊が刺さりまくり開始数ターンで虫の息になったアスラン……みんないい思い出だった。

 

「いいね、まだまだルールのブラッシュアップが必要だからな。ちょっと付き合えよ」

 

「良いですけど…………僕はこの手のゲーム、多分強い方ですよ?」

 

「俺だって素人じゃねえさ。何を隠そう巷を騒がしたTCG専門犯罪集団、グールズは10年前に俺が組織した」

 

「ホビーアニメのボスキャラじゃないですか」

 

「デュエル!」

 

 

TCG.エンジェル・サーガは開戦準備フェーズで軍勢を待機エリアに配備し、進軍フェーズで3マスの前線エリアを取り合う。その攻防で世論値と呼ばれる変動評価点を稼ぎ、それを元に最後の戦後処理フェーズで自軍優勢で終わらせる、戦略色の強いカードゲームだった。

 

ルールブックを読み、スターターデッキを叩きに各々構築を行いま、いざデュエル開始。

 

まずはお互いに開戦に向けた戦線構築を淡々と行う。

そして――

 

「開戦! 進軍フェーズ! 俺のターン! ドロー……俺は手札から『緊急発進(スクランブル)』を発動! ドッグの山札を上から3枚引き、前線待機中のパイロットを搭乗させる! 緊急発進のデメリット効果で各MSの耐久値はマイナス3! 前線エリアを進軍!」

 

前線エリアにカードを展開するカス。

 

「くっ、この大量展開……狙われたか! 進軍に対し僕は前線物資エリアの伏せカードから1枚をオープン! 『ユニウスセブンへの強襲動議』を発動! このターン属性にザフト、プラントを含むユニットはイニシアチブをマイナス2する! 更に手札から『十字砲火(クロスファイア)』を展開中の第8艦隊にチェーン! 自身よりイニシアチブが低いユニットを全て破壊する!」

 

キラは果敢に攻めた。このゲームが構造上、守りに回ってはいけないことを理解していた。

 

「ハッ、カウンタートラップは虎の子だろうに。早まったなぁ、キラァ! 俺は前線待機中の『決死の伝令兵』をテイク! スキル発動、この進軍フェーズで自軍の属性に兵器を含むカードが3枚以上墓地に送られていた場合、同数の守備隊トークンを展開出来る! トークンは墓地に送られたカードの中で一番守備力が低いカードと同スタッツになる! ターンエンド!」

 

「分厚い……! なら僕は、相手プレイヤーのターンエンド宣言に対し、先程の第8艦隊のカウンターに更にチェーンして手札から『ゴッドスピードの呼び声』を発動! 名前にアークエンジェルを含む戦艦を待機エリアから前線へ移動、迎撃権をテイク!」

 

ここぞとばかりに展開をしていくキラ。

その勢いには、あのカスですら瞠目させた。

 

「っ! 野郎、トラップからの連動迎撃だと!?」

 

「アークエンジェルはクルー充足状態ならイニシアチブがプラス3される高速艦です。速度差によって迎撃は100%先行になります! アタック!」

 

「ちぃ、防衛ラインが!」

 

「さらに戦艦であるアークエンジェルのスキル、艦載機発艦により2機の艦載機を展開します。ドロー……僕はドッグからメビウス・ゼロと鹵獲ジンを発進。パイロットはそれぞれムウさんと僕です。展開後、僕のターン! 進軍フェーズで相手前線フィールドに敵機がいない為、部隊の進軍判定は成功します」

 

天井を仰ぐカス。

 

「クソが! ザフトデッキは受けに回った時の脆弱性がデカ過ぎるぜ」

 

「やっぱり、組織統一デッキは特色の押し付け合いになるから難しいですね。あ、僕は手札から『ゴッピーの腹部装甲(腹肉)』をアークエンジェルに使用。このターンのみイニシアチブをマイナス1して前線中域で停止します。これで前線空きスペースが2つ隣接した場合に投入可能な『ザフト強襲部隊』の裏取りは無効ですね」

 

相手の切り札を先んじて潰しつつ、わざわざ説明する害悪YPムーブにカスがキレる。こいつは自分でやる癖に人にされるとキレるからだ。

 

「まだ出してないカードをメタるんじゃねえ! お前絶対アスランに嫌われてたろ! 敵の進軍に対して、前線物資エリアから1枚オープン! 『反転攻勢』を発動!」

 

「通します。まさか、親友でしたよ」

 

「効果で手札のカード1枚を破棄してそのカードのコスト以下の戦術カードを手札から発動出来る! 俺は『ラクス・クラインによる追悼団派遣』を発動、前線最後方に非武装トークンを設置。このトークンは次の自分ターン終了時に消えるが、それまでは戦闘以外で破壊が不可能であり、戦闘破壊された場合は相手に世論値マイナス10を与える!」

 

めげずにトークンを設置するカスに、キラの手が止まる。

 

「っ……典型的な足止め特化の壁カードか……世論値マイナス10は痛い……戦後処理フェーズで引っくり返される……! アークエンジェル隊を警戒態勢にしてターンエンド」

 

「耐えたー! ちょっと進軍フェーズは前線物資の仕込みが生命線過ぎて一辺倒な流れになるな……要修正だなこれ」

 

「使用条件を絞るかわりにユニークな効果を発揮するカードを予め伏せておくっていうのは、面白いと思いますけどね」

 

「なるたけ運頼みの今引き合戦にはしたくなくてな……ドロー、うん、進軍フェーズは俺の負けだな」

 

カスは手札をまとめた。

 

「降伏ですか? 戦後処理フェーズに入りますけど……」

 

しかしこのカス、ただでは終わらない。

 

「その前に! 俺は手札からザフト督戦隊を非武装トークンにチェーン! 非武装トークンのスタッツを二分の一にしてアークエンジェル隊へ進軍、攻撃! 更に自身の進軍に対して前線物資エリアからオープン! 『世界情勢ニュース』! この戦闘における世論値の増減を倍にする!」

 

「これは……まさか、世論コントロールの動き!? まずい、最初から戦後処理が向こうの狙いか!?」

 

つまり戦後処理を、大きくプラスに傾いた世論値を盾に、被害者ムーブで有利に進めようとしている。ただ戦闘に勝てばいいという訳ではないのが、このゲームの嫌らしいところだった。

 

「さあ! そのアークエンジェルで無抵抗な非武装トークンに無慈悲な反撃をしなぁ!」

 

「くそ…………手札2枚を捨てて『ゴッピーの診断書』を発動。アークエンジェルはこの瞬間行動完了状態になり、こちらからの反撃は起こりません……あの、このテキストだと無法過ぎませんか診断書。攻防の間に差し込めちゃうから下手したら相手の反撃さえ『戦闘が強制終了したのでキャンセル』と判定出来ちゃいますよ」

 

キラの指摘に、カスもアゴに手をやって思案する。

 

「ゴッピーミッドレンジか……確かに。手札コストだけで戦艦のスタッツや行動に干渉出来るのはやり過ぎたか。流石持ってる女、カードになっても目立つ、いや、はみ出るな」

 

「なんで言い直しました? 大体艦長が診断書貰う羽目になったのって隊長のせいじゃないですか。いくらタフでメンタル太い艦長でも怒りますよ」

 

「太いとか言うなよ。本人気にしてんだぞ」

 

「メンタルが、です。でも実際『腹肉』は便利なんですよね。結局前線中央を抑えちゃえば突貫も奇襲も防げますし、高速艦のアークエンジェルでも他の部隊と歩調が合わせやすいので。手軽なコンボが……まあ、別に太ってないとは思いますけど、『腹肉』の為にも今のままで――」

 

 

 

「貴方達」

 

 

 

キラの両肩に、後ろから手が置かれた。

 

「ずいぶん、楽しそうね?」

 

部屋のドアを開けっ放しだったことを後悔するも時すでに遅く、キラは冷静に弁解を、

 

「かかか、艦長、違うんですこれは……」

 

したかった。

 

「キラ……やっちまったな」

 

カス、流石の初動。

 

「何がです? 流石にそれは通しませんよ」

 

「腹肉使いのキラ……痛恨のプレミだな?」

 

腹肉使いのキラは何としても目の前のカスの離脱を許すまいとした。だってさっきから肩を掴む指の力がどんどん上がっているから。怖くて後ろを振り返れないため。

 

「無理筋に押し込もうとしないでくださいよ頭高速アグロですか?」

 

「わたしから貴方達にダイレクトアタックをしてもいいのよ?」

 

しかし淡い抵抗だった。声に情が感じられなかった。有り体に言えば暴力を振るえる人間が出す声だった。

 

「ふう……とりま、カードテキストと一部ルールは調整が必要だな。いいテストだったよキラ、ありがとな」

 

カス、撤退戦を開始。

即座に追い縋る腹肉使い。

 

「僕を生贄にしないでくださいよ。艦長が本気の目をしてるじゃないですか。一緒に謝るんですよ」

 

「あやまる?……忍たまのキャラか?」

 

「この前ウズミ様にやってたじゃないですか……あれ、あれは夢だっけ……? 夢の時は口の中が血の味するから、夢じゃなかったような……」

 

「2人共、アークエンジェルは5日後に出航する事が決まりました………………休暇は、最後に1日あれば十分よね?」

 

逃避行動に入ろうとしたキラを、怒りのゴッピーが現実へ叩き戻す。

 

「え、俺それまであのヒヨコ共の面倒見んの? ダルいんだけど」

 

「あの、僕はそもそも艦載機の調整やらオーブへの協力やらで他のクルーより働いてて……」

 

「よね?」

 

どうやら、覆らないらしい。

 

「しゃあねえ……キラ、連中の訓練、お前も付き合えや」

 

「そんなバカな……」

 

肩から外れた指が、先程までプレイされていた盤面を指す。

 

「あとそのゲーム、戦前、進軍と戦後処理で求められるスキルや構築が違い過ぎるわ。いっその事、戦前は手順を省略して、進軍と戦後処理でそれぞれデッキを分けたらどうかしら」

 

カスの目がキラン、と光る。

 

「ほう、イケるクチだなゴッピー」

 

ふふん、と得意気な女、ゴッピー。

 

「女デュエリストがいないとでも? グールズ討伐作戦には私も参加しましたからね」

 

その言葉に、カスは驚愕に目を見開いた。

 

「まさか……ライトニング・ラミアス!? 雷光の膝と呼ばれた女か!!」

 

「あら懐かしい、詳しいのね」

 

何がライトニングだよ、キラは思った。雷光の膝はデュエリストにつく二つ名じゃないでしょ、と。

かつて『ネオ悪魔の子』と呼ばれた男は思った。

 

「あんたに潰されたグールズはダースじゃきかねえからな」

 

因縁まであるらしい。

 

「すみません、バグみたいな情報を流し込むのはやめてもらえませんか……」

 

何とかそれだけ言ったキラは、大きなため息をついた。

 

カスと膝の会話は、中々戻って来ない艦長を心配したナタルとムウが様子を見に来るまで続いた。





試しに会話だけで話を進めようとしたけど、思ったより厳しいから練習がてらテーブルゲームでもやってるシーンにしよう……トレカかなぁ→今話となります。

さあ、いよいよ出航が見えてきましたね。

多分次は、苦手だけど恋愛話が入ってきます。


■用語解説
・童貞
童貞。魅力値5以上(アンコモンの『寝ながら歯ぎしりするミリリっちょ』が1である)から攻撃された際、手札1枚を捨てないとコスト以外のスタッツが半減する。
補足:アンコモンの『笑顔の便所掃除番ニコル』の魅力値が5である。


・男(弱)
弱男ディズム。女(強)から攻撃された際、無条件で行動完了状態にされる。ヘリオポリスの男はトール以外これ。
一応戦術カードで無効化出来るが特性に干渉するカードは軒並みレアリティが高い為、使い所が重要。


・グールズ
グールズは当時第◯次トレカブームにおいて、レアカードの強奪を繰り返していた半グレ集団を指す。強引にアンティルールのデュエルを持ち掛けカードを奪っていた。

別にルール通りじゃね? という意見もあったが、強奪したレアカードを秘匿、流通量を意図的にコントロールする事で、不当にカードの値を吊り上げ、傘下の転売ヤーに売買させて資金調達するという、ある種のマネーロンダリングを行なっていた。

また、カード強奪→転売→買い取った者を襲撃→再度強奪→転売
という通称『グゥループ』により巨額を得ていた。

この事から悪質性が極めて高いとして界隈からは蛇蝎の如く嫌われていた。
何人かの構成員は逮捕されたが、どう遡っても支店長クラスまでしか判明せず、設立者、黒幕の情報は闇に包まれていた。

グールズの特殊な点は、活動地域が絞れないことにあった。
地球の各国主要都市、コロニーは元より、プラントにすらその活動の痕跡は残されていた。
新型の犯罪組織として、今でもしばしば研究対象に挙がる。

最終的に有志のデュエリスト達が結束し、各地で『グールズ討伐作戦』を開始。組織は壊滅的な打撃を受け解散したが、それまでに収拾された一部レアカードや転売資金については行方が現在に至るまで分かっていない。

被害総額は数十億ドルに及ぶとされている。
カスの資金源の一つだった。バカじゃねえの。


・ライトニング・ラミアス
典型的なデュエルの際に性格が変わるタイプ。
膝は相手の股間か鳩尾に吸い込まれる。相手は死ぬ。
グールズが犯罪集団と認定されてからは嬉々として『狩る側』に回って、どのツラ下げてか討伐作戦にも参加した。

何なら最後の方はデュエルの途中でも容赦なく膝を使っていた。

決めゼリフは『悪いわね。私の膝、速攻魔法なの』だった。
コズミック・イラにおける最新の魔法少女。

なお地元では害悪YPとしての名を欲しいままにしていた。
膝を止めた相手には自称『破壊神の肘』を見舞っていた模様。

こいつの方がヤバい。
軍に入って丸くなったが技術職の割には白兵戦が上手い。


・ネオ悪魔の子
高過ぎて腐ったプライド位しか特徴がない地元カドショのYPやポケカプレイヤー相手に、子供ならではの無垢な視線と褒め言葉で自尊心を擽り、衆人環視の中でボコってカードを得ていた。
アスランはよく止めようとしては酷い目に遭い、テーブルゲーム恐怖症になった。

一時ハマっていたが、ふとした弾みに飽きて引退していた。



……マリューさんは技術士官なのにちょいちょいキルスコア稼いでる事について説明がなかったので、過去が盛り放題ですよね。
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