エンデュミオンのカスの方の英雄   作:パパパパンパース

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ラクス『それで?』

青保留『あの、2人はデキてるって昔隊長が……』

ラクス『で?』

青保留『2人共有名人なので、生モノ小説にしたら人気出ちゃって……』

ラクス『で?』

青保留『調子に乗ってイベント参加を……そしたらなんかこのジャンルの御意見番みたくなっちゃって……』

ラクス『で?』

青保留『ゆ、赦して……』

ラクス『で?』

口から雷のオムザックのプロトンサンダー発射機構のようなものを突き出したハロの頭を撫でながら……彼女の目は優しさに満ちていた。

ラクス『……で?』

ただ、声音だけが氷のように冷たく突き刺すようだった。



第68話 トール・ケーニヒはキラ・ヤマトの友達である

 

静かでのんびりしてるけど、優しくて頭が良くて、いざって時は頼りになる友人だったんだ。

 

でもさ、戦争に参加することになるのは違うだろ。

 

ヘリオポリスの人達はみんな言う。

戦えるのがあいつしかいないから、苦渋の選択なんだって。

 

でも俺は思ったんだ。

 

あいつにずっと守られて、

 

悲鳴も爆音も届かない後方から、

 

何が苦渋の選択だ。

 

そういう風にさ。

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

トールが目を覚ますと、そこはベッドの上だった。

周囲はカーテンで仕切られていて、唯一塞がれていない窓の外から見える景色だけが、ここがオーブであることを教えてくれた。

 

「バカ野郎!」

 

突然、声が聞こえてきた。

 

「殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで最後は平和になるのかよ!」

 

その声には聞き覚えがある。

つい先日まで同じ艦に乗っていたのだから。

 

「カガリ様? なんで?」

 

体を起こそうとするが、よく見ると右足がギプスに巻かれて吊るされている。折れているらしい。

 

「マジか……」

 

それでも上半身だけでも、とモゾモゾしている内に気付いた。

 

(あれ、俺、これ左足、膝から下、()()()()()()()

 

「マジかよぉ!」

 

思わず叫んだその声に、カーテンの向こうのやり取りが止まった。

 

「トール!? 気が付いたのか!」

 

シャッ、とカーテンが開かれる。

その向こうにはカガリと、初めて見るロン毛で落ち着いた雰囲気のイケメンが、トールと同じようにベッドに横になっていた。

 

「あの! 足が、俺のあんよが! い、痛……くはねえけど!」

 

「あー、まだ薬が効いてるんだよ。目が覚めたなら処方が変わるから、夜は滅茶苦茶痛むし、熱も出るらしいけど……」

 

「そんなぁ! なんかないんスか!? 機械鎧とかARMSとかナメック星人的なバイオテクノロジーとか、オーブが誇る闇の科学力的なヤツ!」

 

「あるかそんなもん! お前自分の国を何だと思ってんだ!」

 

「ぷっ」

 

突如、笑い声が漏れた。

発信源はイケメンだ。

 

「いや、すまない……笑い事ではなかったんだが……すまない……ああ、何だかすごくその……ハハハ、ゴホッゴホッ」

 

ツボにでもハマったのだろうか。

咳き込むまで笑ってから、イケメンはキリッと真面目な顔になった。

 

「俺はアスラン、アスラン・ザラという。ザフトの兵士で、機動兵器のパイロットをしている。笑ったのは本当にすまない……きっと君の怪我も、俺達のせいなのに……」

 

「アスラン! キラの友達かぁ!」

 

怪我のショックなどどこ吹く風で、トールは叫んだ。

どうも投薬の影響でハイになっているのかもしれない。

 

「っ! キラを、知っているのか?」

 

アスランは顔を歪ませた。

最後の戦闘で、自分が何をしようとしたのか、まざまざと脳裏に浮かび上がる。

 

「キラは友達さ! お前もそうなんだろ? 話は聞いてるよ。キラの友達なら、俺とも友達みたいなもんだな!…………まあ、敵だったし、俺戦闘機に乗ってたから、多分足がなくなったのお前のせいなんだけど」

 

「あの時の……! 本当に笑い事じゃないじゃないか……というかカガリ、何故同じ部屋に!?」

 

「私が指示したんだ。あの艦にはニコルもいたしさ。何となく、ちゃんと話をして欲しいと思ったんだよ……色々調整をすっ飛ばしたのはごめん」

 

「ええっと、取り敢えず……あの後どうなったか教えて貰っても?」

 

トールの問いに、カガリがポツポツと話し始めた。

 

自爆の折、押し倒されたストライクと違い、イージスは背部から緊急脱出装置が作動していた。

射出されたアスランは岩影で被害を免れたが、全身を強く打ち気絶。

 

トールもまた、爆発に巻き込まれて海へ墜落した。

衝撃はキャノピー内まで及んでいた為に、衝撃吸収剤の注入が即座に為されたものの、ひしゃげたフレームに左足を押し潰され、身体中骨折と打撲まみれであった。

 

ストライクとイージスの残骸を回収中、接舷作業に入っていたオーブ軍が近くに浮き上がってきた衝撃吸収剤の塊を発見。

ビーコンの反応があった為回収し中を空けてみたところ、気を失ったトールが入っていたらしい。

 

2人はオーブに回収され、即治療を受けたが意識が戻らず、今は戦闘終了から3日目ということだった。

 

「あの、それでキラは?」

 

トールは一番気になっていたことを尋ねた。

 

「わからない……エマージェンシーシャッターが外部からこじ開けられた形跡があって、死体も見つかってないんだ……付近に足跡もあったから、誰かが回収したんじゃないかって言われてる」

 

カガリの言いにくそうな言葉には、悲しさと僅かな希望にも縋りたいという思いが滲み出ていた。

 

「うーん、俺は生きてるって信じますよ」

 

「おい、なんか軽くないか? 友達だろ?」

 

「友達だから、あいつがこんなところで死ぬはずないって信じてるんスよ!」

 

トールは笑顔で言い切った。

 

「だってあいつ、すげえ頑張ってたじゃないですか! 本当は戦うことなんか嫌なのに、俺等や艦を守る為にって! あんなにボロボロになっても! それで報われなきゃ嘘ですよ!」

 

凄まじく前向きな言葉に、カガリもアスランも唖然としてしまった。その嘘が起こり得るのが戦争なんだと、簡単には言えない雰囲気だ。

 

「大体、隊長のパシリの方が遥かに害があって命に差し障りあるじゃないですか。それに比べたら、今回くらいの事、あいつなら乗り越えてくれますよ!」

 

余りにも開け透けに言い切られてしまい、カガリは幾らなんでもと思いつつも、その幸せな希望に相乗りすることにした。

 

「それは本当にそう。3日に一度2時間寝るのをルーティーンとかほざいてたからなあいつ。何のルーティーン? 最低限生きる為の?」

 

「真夜中に壁とか空中に向かって話し掛けて、しかも何か会話のキャッチボールが成立してた時は肝が冷えましたよ」

 

「時々食堂の鉄柱に寄り掛かって『あの頃はまだ平和だったよねカズイ』とか呟いてたのは何なんだ? 明らかに目が死んでたんだが」

 

「あれはアルテミスの時に一芝居打った時の名残りなんですよ。キラをあの柱に縛り付けて無理矢理働かせてたっていう」

 

「え……それの何処が芝居……? 無理矢理働かせてたのは事実じゃないか……縛り付けるとかいうのはちょっと理解を拒むけど、脳が」

 

「そうなんスけど、バジルール大尉が言うには、当時はフェーズ1から2への途中とかで、隊長も結構緩めだった……らしいですよ」

 

「普通に仕事してるだけで不眠不休で2日とか経ってる環境が緩い訳ないだろ。後お前、次キラに会ったら休みのことバッファって言うの止めさせろよ。うちの連中がマジで怖がってたからな」

 

「もし将来、あいつがモルゲンレーテで働くことになったらオーブの土日祝は全部バッファ扱いになりそうですよね」

 

「やめろおい、うちの国に地獄の制度を持ち込むんじゃない」

 

「2人共さっきから何の話をしてるんだ……キラの話か? それとも人間を対象に行われる何かの実験の話か?」

 

黙って聞いていたアスランが口を挟んだ。

それはそう。

 

「いや、キラのヘリオポリスからここまでの日常だよ」

 

「落ち着いて聞いてくれアスラン。全部本当のことなんだ。私も変だとは思ってるよ」

 

「キラ……そんなお前を俺は……!」

 

頭を抱えるアスラン。

 

「なんかショック受けてますね」

 

「なんかショック受けてるな」

 

トールとカガリは顔を見合わせる。

 

「「ヘリオポリスを壊したからこうなったのにねー」」

 

「うがああああ! キラアアアアアア!!」

 

カス小隊出身者は性格が歪むらしい。

 

「大丈夫なんですか? この人」

 

頭を抱えてうめき声を上げるアスランに、トールは心配そうな目を向けた。

 

「あーいや、回収された時、持ち物に処方薬が入っててな……どうやらメンタルを少しやってたらしい」

 

「あーそれで……キラやニコルもよくこうなってたから、コーディネイター特有の症状なのかと思いましたよ」

 

地獄かな?

 

「人の心の耐久実験場みたいな環境だったよな……あの隊長は持ってないんだろうけど」

 

いいえ、アークエンジェル艦内です。

 

「隊長にだって心はありますよ……ベヘリットみたいな形してそうだけど……」

 

「チェンソーマンにいたら絶対強いタイプの悪魔じゃないか」

 

「それで言うなら隊長は()()()()って感じっスね」

 

「凄いな、もう絶対勝てないってわかる」

 

「マキマさんがガチの敬語使いそう」

 

「善行したヤツを即死させる力とか持ってそう。信号守ったレベルの」

 

「うわありそうっスね。わざと落とし物して拾ってくれた人殺してそう」

 

「でもきっとビジュアルが良いから人気投票は常に上位なんだろうな」

 

「悪さんとか呼ばれるんでしょうね」

 

クソみたいな話の間に、アスランが復帰した。

 

「……俺はキラを、何も理解出来ていなかったんだな……それどころか苦しめ続けて……」

 

「まあ気にすんなよアスラン。その苦しみの大半は身内による犯行だったから」

 

「なんなら途中で諦めればいいのに、小器用になんでもかんでもこなしちゃうあいつにも責任はあると思う」

 

「いや、それは流石に酷くないですかカガリ様?」

 

「限度があるだろ。アサギ達の機体調整しながらマルチタスク4本走らせたり、モルゲンレーテの手伝いしながら徹夜麻雀付き合わされたりしてんだぞ。何か断れよとは思ってた」

 

「……ッスゥー、ッス」

 

スしか言えないトールだった。

 

「な、なあ、キラは、もしかしてそっちの艦でイジメにでも遭ってたのか? コーディネイターってことで……」

 

恐る恐ると言った様子のアスランが尋ねる。

 

「まさか、みんなキラの事は心から心配してたし、助けてやろうって考えてたよ。そんなイジメとかする軍人なんかいるかよ」

 

「そうだぞ。大体、貴重なMSパイロットのモチベーション削ごうとする馬鹿な軍人がいると思うのか?」

 

「あ、ああ……良かっ」

 

「「いたんだよなぁ」」

 

「キラアアアアアア!!!」

 

「「やっべ、超面白えこいつ」」

 

バカ共の騒ぎは、様子を見に来た看護師がブチ切れて止めるまで続けた。

カガリはおとんまで報告が上がり、正座して写経という罰が下された。パイロット3人娘がちょいちょい覗きに来てはケラケラ笑って去って行った。

 

トールは起き抜けに騒いだせいか徐々に意識レベルが怪しいことになったので薬をブチこまれて再び眠りについた。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

余りの寝苦しさにトールは目を覚ました。

起き抜けにも分かる程、全身が汗でびっしょりとしている。

 

暑いのか、そう思い布団を除けようとして気付く。

違う、汗はかいているが室温は極めて快適だ。

これは自分の身体が熱を帯びているのだ。

 

夜には熱が出ると、カガリが言っていた事を思い出すと同時に、耐え難い痛みが左足から伝わってきた。

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぐぅううああああ……」

 

叫び声を上げる程ではない。しかし、この痛みをしばらく耐えろと言われればたちまちに心が折れてしまうだろうレベルのものだ。

 

今のトールはご丁寧に医療用のオムツを履かされている。

医師達はトールが痛みに耐えきれず、漏らすとでも思っているのだろう。

 

トールは脂汗を垂らしながら鼻で笑った。

全く舐められたものだ。

 

ズキン

 

漏らした。

 

「いってぇ………!」

 

オーブ産のオムツが吸水性能を遺憾無く発揮する横で、トールはどうにもならない痛みと熱に苦しみのうめき声を漏らすしかなかった。

 

「トール……大丈夫か?」

 

そこへ、カーテンをくぐりアスランが顔を覗かせた。

 

「ア、スラン……へへっ、余裕だぜこんなの……嘘、クッソ痛え!」

 

「無理するな……とは言え、そう何度も薬で眠らせる訳にもいかないらしいからな……次の痛み止めは朝の8時だそうだ」

 

「い、今何時? 朝の7時くらい?」

 

一縷の望みを掛けて、トールは尋ねた。

窓の外はド深夜としか思えない暗闇に包まれていたが、ワンチャン賭けるしかなかったのだ。

 

「深夜1時だ、残念ながらな」

 

アスランてそういうとこあるよね。

 

「もぅマジむり」

 

「気をしっかり持て。戦闘機で俺のMSにドッグファイトを仕掛けてきた気概は何処に行ったんだ」

 

「あれはキラを助ける為だったんだよ……足を失ったのも、この痛みだって、あいつをずっと前で戦わせちまった俺への罰なんだ」

 

トールは痛みで朦朧とする意識の中、込み上げてくる感情のままに言葉を紡いだ。

 

「アスランは、ヘリオポリスであいつがどんなだったか、知らないだろ?」

 

弱々しい問い掛けに、アスランは頷く。

 

「ああ、幼い頃に別れて、次に会った時にはもう敵だったんだ……」

 

「敵になったら……ぐぅ……友達じゃ、なくなんのか?」

 

「え?」

 

「敵味方と、友達は、別の! 話だろ!」

 

ぷぴー、と鼻水が飛び出る程に力みながら、トールは言い切った。

力み過ぎてオムツに2発目のハイドロポンプが発射される。

 

「お前ヘリオポリスからこっち、一度でも武器を持たずに、キラと話す時間とったことあんのか? あいつはずっと、お前のこと気にしてたぞ!」

 

……地味に優先順位が入れ替わるくらいにカスに忙殺されていたのは言わないことにした。

 

一方でアスランはこれまでの事を思い返す。

オーブでの邂逅はほんの一瞬だった……それ以外で、武器を向け合わずにキラと話したことなど……あった。

 

ラクス・クライン返還の際だ。

 

あの時は確かに、2人の間には昔の様な雰囲気が漂っていたのだ。

 

何処ぞの仮面をつけたスーパーエースが、アーパー丸出しの挙動で突っ込んで来て、瞬く間に半殺しにされたお陰でワヤとなったので忘れていた。

 

「1回武器持っちまうとさ、手放すのが怖いよな……俺も初めてパイロットとして戦場に出た後は、ブリッジにいるのが怖かった……強い兵器を、常に手にしていたかった」

 

トールはアスランを見た。

 

「アスランは俺なんかよりずっと強くて、優秀なパイロットだから、尚の事かもしれないけど……」

 

トールの瞳を見て、アスランは動揺した。

怖かった? 自分は怖かったのか?

 

武器を持たずに、キラの前に立つことが?

 

「そんな事は無い……そんな事は無いんだ……」

 

項垂れてしまったアスランに、トールは気合を振り絞って言葉を掛ける。

 

「なあ、どうせベッドに戻っても、俺の、うめき声ASMRが延々と聞こえてくるだけだろ? どうせなら、話でもしないか?」

 

「話……?」

 

「お互いが知ってるキラの話なんか、どうだ? 偶にニコル君の話も混じるけど」

 

「ああ……キラもニコルも、俺の友達だ……付き合うよ」

 

アスランは顔を上げて笑った。

思えば戦争が始まって以来、初めてと言える位に心休まる時間だった。

 

「よし、ならまずは俺から……」

 

語り始めるトールの言葉に耳を傾けながら、アスランは静かに決意する。

もし次にキラと出会ったなら……その時は顔を見せて、武器も捨てて、ちゃんと話をしよう、と。

 

………

……

 

「そんで……キラとニコルがパンイチでローション相撲する事になってな……」

 

「それは見たかったな」

 

「ヌルヌルの2人が組み合った姿のアクスタがあるよ。機会があれば見せてやる」

 

「……さっきから致命的なシーンに限って証跡が残されてるのはどうしてなんだ?」

 

2人の夜は静かに過ぎていった。

 

 

 

朝になり、新人看護師にオムツの交換をされたトールは静かに泣いた。

それを見ぬ振りしてやりつつもイジる程度には、もう2人の関係は友人だった。





ラクス『キラは、全てにおいて奥手で受身で、ごく偶に男らしさを発揮する、定期的にウジウジと悩んでしまう優しくて可愛い人でなくてはいけないのです』

青保留『』アセダラダラ

ラクス『キラニコは赦しましょう、キラの優しさにアマルフィさんが絆されるのもわかります』

青保留『』コヒュッ……コヒュッ……

ラクス『ですがベッドヤクザキラ概念は赦す訳には参りません』

青保留『あーこれ解釈違い地雷の過激派案件だ、助からないやこれ』

ラクス『という訳で次回作のあらすじについて提案なのですが』

青保留『……流れ変わってきたな』




悪の悪魔、自分を倒そうとする行為そのものを善行と判定するので無敵かつ無法。
チェンソーマンに喰わせようにもこの世から『悪』の概念が消えるのはどうなるか予測がつかなくなるため却下。

多分デンジは蘇生の悪魔の力で銃の魔人になったアキを蘇らせて戦闘、悪の悪魔をそれに巻き込んで殺した。アキはなんやかんやあって正気を取り戻した、的なお話を考えていたことがあります。
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