僕はダガーは傑作機だと思ってます。ある程度バリエーション化が可能で、一部エース仕様があり、後続の発展機も優秀ですからね。グングニールのせいでジム以上に雑魚モブイメージが強いですが。
すみません、謀略、政治パートは初めて挑戦してますが、どうにも会話が多くなってしまいます。読みにくかったら申し訳ありません。
「お似合いですよ、白い制服」
大型モニターのある会議室で、隣に座るアズラエルのからかう様な声に、カスは気にした様子もなく得意気に笑って見せた。
「ああ、清廉潔白で純真無垢かつ高潔無比な俺にピッタリだろ?」
その笑みの向こう隣で、そっと胃を押さえる中将を視線から外しつつ、
「マジで洒落臭いんですよね」
それぞれの4文字熟語に対する強姦罪が適用されかねない発言を、アズラエルは聞き流せなかった。
「そんで、ユーラシアとアジアはなんて?」
肩をすくめながら、カスは問う。
これから始まる会議についての質問だった。お目付け役の中将からは定例会議とだけ聞いていたが、どうも今回は特別な議題があるらしい。
地球連合を構成する勢力で、最大勢力である大西洋連邦に対し、ユーラシア連邦は時に反対の立場を取り、時に賛同者として肩を並べてきた。
カスからすればユーラシア連邦は飼い主にじゃれつく犬か、DV彼氏から離れられないバカ女そのものなのだが。
要は今回、アラスカの件に対してユーラシア連邦が嫌悪感を示し、東アジア共和国がそこに帯同した形だ。どちらにせよ連合内でも決定的な発言権を持たない勢力であり、単独で戦争を継続する事が困難な点が共通している。
「どうも、アラスカを誘蛾灯にしたことに、ひと言物申したいみたいですね」
アズラエルはどうでもよさそうに答える。
大西洋連邦主導でアラスカを使い捨てにした事で、同様の作戦を自分達の縄張りで繰り返される事に、強い危機感を抱いたのだろう事はカスにも想像できた。
「はぁん、遥か遠くの部外者共が、よく事後になってから騒げるもんだな」
そんなカスの言葉に、アズラエルも同意する様に答える。
「遠くにいるから言うんですよ。ここで騒いでおかないと、次は自分達だって自覚でもあるんじゃないですか? 正直、その辺のパワーバランスなんか知ったこっちゃないんですけどね」
「あー、陰キャが孤立しない様に必死こいてご意見述べてる訳ね。ダッサ、犬かよ」
「とは言え、プラントとの戦争中に、内輪揉めは避けたいってのもありますからね。まったく、皆さん暇で羨ましい限りです」
「あのー……元々は、アラスカの件自体は切っ掛けといいますか……ここで一度議論を主導しておかないと、連合内でも存在感が無くなるから、歯止めの観点から問題提起したようです」
なんとか復活してきた中将が、補足するように言う。
「歯止めって、今の人類に実装されてんの? ユニウスセブンの事は忘れちゃったのかな? 軍中枢をブルコスで固めてるお前等がそれを言うのは何かの自虐ネタか?」
カスは心底呆れたように返した。
「そこを突かれると辛いところですが、有り体に言えば、アラスカの件でダンマリを決め込んで、戦後の立ち位置に影響が出る事を危惧しているんですよ、ユーラシアさん達は」
戦後、という言葉をカスとアズラエルは口の中で転がして、顔を見合わせる。
「焼け野原で裸の王様やりたいとは変わった趣味だな。ムルちぃ、今の内にドカドカ難民とかマフィア流し込んで、連中の地域ワヤにしちゃおうぜ?」
「どうして悲劇を生む方に舵を切るんですか……でもまあ、国が混乱してくれたら貧困層の人間が集めやすくて助かりますね。臓器プラントが潤いますので」
「人は資源、いい言葉だよな」
「まったくです」
カスとクズがへへへん、と笑い合う。
「あの……犠牲者が1,000、2,000じゃきかなそうな話をそのテンションでするのは止めていただけますか」
中将は嫌いな餌を目の前にした柴犬みたいな顔をした。『え、これ本当に僕が食べるんすかご主人』みたいな感じだ。
カスは名目上の上司の余りに覇気が無い様子に、思わず苦笑を浮かべる。ハルバートンなら既に2、3発撃ってる頃だろうに、随分と弱気なことだと思った。
「まあ、最初から内輪揉めになる様な真似すんなってのは思うけどな。やるなら内部の意思は統一しとけよ、みたいな」
「それは全くその通りなんですけどね。軍人さんの事はよくわかりません」
アズラエルも結局、この会議の内容に余りにも興味が無いのだろう。
ただ、悪ノリが過ぎた自覚はあったのか、それで会話を締めてやった。
「はぁー、まさかまた内勤の、それも軍隊政治に関わるとはなぁ……ダッル」
「すみませんね、僕は立場上よくこういう場に呼ばれるもので。佐官クラスの人じゃおいそれと連れ歩けないんですよ」
アズラエルの身も蓋もない言葉に、カスは突如閃きを得たような表情を浮かべた。それを見たアズラエルと中将は揃って嫌な予感がした。
「いい考えがある。ムルちぃが俺に全財産と権力を譲るって遺言を残して自殺すれば、俺は悠々自適にFIREライフを送ることが出来て幸せになれるし、くだらない会議に出る必要も無くなる……みんなハッピーだ」
「その『みんな』に僕が含まれてないですよね? 僕だけ全部奪われてるじゃないですか」
「違うだろムルちぃ。お前は全財産と権力と命の
「それで? あの世でコンビニ袋をポンポン蹴ってろと? 発狂しちゃってるじゃないですか」
「あれ意外と難しい割に、身に付くの空中のコンビニ袋を蹴る技術だけだから、当時のカツミ・オロチは実際発狂してた説ある」
「真似したんですね……」
「消力なんかはマジでロマンあるよ。士官学校の格闘訓練で試したら普通に無理だったけど」
「そりゃあそうでしょうよ」
「お陰で俺は殴ってきた相手を半殺しにする羽目になったよ。具体的には花山がボコったトミー・カービンとジャックにやられたガーレンを足して2で割ったような目に遭わせた」
握撃は無理なので、手足はキックとサブミッションでへし折った。
「可哀想に……漫画と現実の区別がつかないとそういう被害が出るんですね……と、始まりますよ。ま、僕らは今回は静観していればいいですよ。意見を求められれば答えますがね。気楽なものです」
いよいよ始まったオンライン会議で、3人しかいない会議室内の空気は緩かった。モニターの向こうが十数窓に分割され、厳しい顔の軍人達が表示されていく。
中将はこっそりとため息をついた。
昨夜ハルバートンと話していて理解したが、このカスをコントロールするには
それなのに今横にいる自分やアズラエルはその役目を果たせないし、なんならアズラエルもちょっとカス側の気配がする。
一応階級的には自分の方が立場は上であるのに、中将はいつの間にか自分がジェットエンジン付きのサンダルを履かされていたような感覚に陥っていた。
(誰がコントロールするんだこれ……少なくとも権力と紐付けたら駄目な人種だったんじゃないのか……)
その予感は当たっていたが、多くのカス経験者達同様、真実はいつも一つ。
手遅れだった。――――――――――――――――――――――――
肝心の会議は本当にしょうもない内容だった。
モニターの向こう側で、おっさん同士が挨拶もそこそこに御大層な前振りから各々の主張を振りかざしている。
「なあ、中ちん。もしかして今ユーラシアの人が言ったのって、『クソみたいな僻地にマスドライバー造ってやるから金と資材と発電所奢れ』って意味で合ってる?」
本当にしょうもなかった。
「概ねは。恐らくは先に発電施設を造らせておいて、マスドライバーは建造中に終戦を迎えるか、最悪完成後にザフトに攻められても切り捨てやすい土地なら良いということなんでしょうね」
中将は慣れたものなのだろう。特に感慨もなく、訥々とカスの疑問に答えていく。
「そりゃこんなご時世だし、エネルギー施設が出来んのは恩恵デカいんだろうけど、タカり前提かよ」
「原子力発電に頼っていた地域は、今も完全復旧とはいかない状態ですからねぇ。多少のリスクと引き換えにそれが少しでも解決出来るなら、という話ですね」
その説明に、カスはマジかよ、という顔をした。
この男がその様な反応をするのは余程のことなので、例えばナタルがこの場にいたら目を丸くしていたことだろう程だ。
「アラスカの話なんか5秒で終わったじゃん。何が『誠に遺憾』だよ。主題でもなんでもねえじゃん」
中将はさもありなん、という様子で解説を加える。
「あの感じ、恐らくは会議前にある程度話はついていたんでしょうなぁ。アラスカの件はそこを攻める意味と、敵を誘引可能な戦力と、山程のサイクロプスがあって初めて実現ラインに乗りますから……」
「あー、そもそも第2のアラスカは
飲み込みの早いカスの反応を見て、中将は頷いた。
「戦争中の今、最も即金性が高いのは軍需産業です。しかし兵器の類は時期が良くない。何せ、ようやくナチュラル側にもMSの量産体制が整いますからな。今更戦車や戦闘機を造っても、ねぇ」
「じゃ軍事施設が欲しいけど、終戦後は宇宙との橋渡しにも使えるマスドライバーか。どの程度本気で言ってんだ? 満額回答はまず無理だろ」
漸くこの場での考え方がわかってきたのだろう、カスの思考も回り始める。
「そうですねぇ……まあ、次の建設計画が立ち上がった時に、候補地として1つでも順位が上がれば良い、位だと思いますよ…………ああ、ちなみに東アジアはMSの優先配備狙いですね。ここも終戦後、内輪の国々とにらめっこをする為でしょうな。あそこは昔から内戦の火種が絶えませんし」
次いでにと東アジアの要求にも言及する。
モニターの向こうでは、今まさに東アジアの代表が張りのある声で主張を続けていた。
うへえ、と嫌な顔をしたカスは、天を仰いだ。
「戦況が激化する中、増大する市民達の不安を軽減する為にって、どんな理屈だよ。騒ぐようなら殺しちゃえばいいじゃん」
身も蓋もない言葉に、横からアズラエルが入ってきた。
「またそういうことを……いいんですか? ジャパニメーションや、コミックス等の文化は、未だにあそこが世界の中心ですよ?」
「せめてハンターが完結してりゃ、隕石落とされようが放置安定なんだけどな」
故人の思考を完全にトレースしたAI富◯は、サボらないよう複数の監視用AI◯樫に管理、監督され、今でも連載を続けていた。週刊誌にも月に2回は原稿が載る。
「というかこれ、事実上は戦後処理の話になってますね」
閑話休題。
アズラエルの言葉にカスは疑問を浮かべる。
「戦後処理?」
「まがりなりにもアラスカは本拠地ですよ? それを捨て石同然に扱い、味方諸共吹き飛ばした。ユーラシアと東アジアは、ここで追及の手を止める事で責任の所在をあやふやにする事に合意したんです。今はその、報酬交渉フェーズってやつですよ」
「そもそもアラスカはどっかの金持ちが邪魔な味方消す為に内通したのに、クソ他人事やん。ウケる」
「え」
カスとクズのやり取りに、中将は思わず声を上げる。
何今、何、こいつら今なんつった?
「あ?」
「あー」
2人揃って中将を見る。
「嘘だろムルちぃお前、言ってねえのかよ」
「しょうがないでしょ、言いふらすようなもんじゃないですし」
「ったく……おい中ちん、余計な事は考えるなよ」
「そうですよ、まだ死にたくはないでしょ?」
「親類縁者も根絶やしだからな」
「ついでにアラスカの件も被ってもらいましょうか」
「あ、じゃあ売春組織の元締めもやってたことにするか」
「丁度、裏金の処分に困ってたんですよね」
「待って、人身売買と麻薬密輸もあったわ」
「兵器の横流しなんか、軍人さんらしい犯罪だと思いません?」
中将の人生が身に覚えのない犯罪行為でデコられていく。
「………………僕は何も聞きませんでした」
それは魂から絞り出したような声だった。
「よろしい」
「中ちん、かっこいー!」
駄目だこいつら、早く何とかしないと……何とか出来るの? 本当に?
中将は人生最大の貧乏くじを引かされたことを、心の底から嘆いた。
新人少将のカスには専属の部隊がない。
事務方からコネで上がってきた中将にも、部隊指揮の経験は愚か、自由に動かせる戦力もない。
この場で唯一それを用意出来るムルタ・アズラエルは、どうやらカスを主軸に戦闘部隊を編成するつもりらしい。
となれば、必然的に中将の存在価値は地に落ちる。寧ろ邪魔なだけだろう。
「しっかし、予想はしてたが……マジでこの階層の考え方が理解出来ねぇわ。いや、わかるけど、頭の中でまとまんねえ」
カスは珍しく弱音を吐いた。
「違うな……多分これは、純粋に俺の知識や経験値が足りてねえ感じだ……クソ、早かったかな」
「殊勝なセリフですね。まあ、心配しなくても貴方はまた前線に戻れますよ。そうしてもらわなきゃ困りますからね」
アズラエルは言いながら小巻を取り出して火をつけた。
「俺は万能にして謙虚な男だからな。反省も得意なのさ」
カスも取り出した煙草に火を灯し、2人揃って煙を吐き出す。
「あの、会議室は禁煙で……」
中将の言葉に、
「灰皿は持ってますから、お気になさらずに」
「大丈夫、気にしてないから」
それぞれ好き勝手な返事を返す。
「てか送ってもらった生体CPUのデータ見たんだけどさぁ――」
「ああ、中々ご機嫌な性能ですよ。8割方が違法技術の塊なのが玉に瑕ですが」
あれー、これ無事に終戦迎えられるのかなー?
中将は今にも倒れそうな程に疲弊しながら、意識の片隅でそんな疑問を浮かべていた。
当然の様に、答えは返ってこなかった。
朝帰りカス「中たん中たん、これシクヨロ!」
戦車買えちゃうんじゃね? という額の領収書を渡す。
中(将)たん「は?」
カス「こっちに『拠点』なかったからさー、買っちゃった。もう人も呼んで『稼働』してるよ。あ、勿論、『商売』は軍とか関係ないヤツにするから、安心してよ」
中たん「ンンゥ……流石にこれは」
胃を押さえる。
カス「買う時に中たんの名前使ってるから、ムルちぃに泣きつくなりして立て替えてもらって痕跡消さないと、何かあったとき困っちゃうかもよん?」
中たん「ングゥゥゥゥ……」
秘書「人の心とかないんか……」
■人物紹介
・格闘訓練でカスを殴った人
当時刃牙にドハマりしていたカスが『消力ってワンチャン再現性あるんじゃね?』と訓練で試したところ、普通に失敗した為に、拳をカスの顔面にクリーンヒットさせる偉業を成し遂げた人。
イケメンで人柄も良く、未来の幹部候補生だった。その名は今も士官学校の石碑に刻まれ、人類史に残る英雄として語り継がれている。
生まれて初めて顔面を男に殴られたカスは殺意の波動に目覚め、トミー君(仮)のアゴをアッパーで砕き、耳を引きちぎり、肋骨を全損させ、両手足は最低3箇所の骨をへし折った。
訓練中の不幸な事故としてお咎めは無かった。
※実際あったが何らかの弱みを握られた教官が始末書と反省文と処分通達の納期を100年後に設定した為、執行はされていない。
トミー君(笑)は敢え無く長期休養となったが、治療中に身長2メートル級のナースに俵抱きで運ばれている目撃情報を最後に消息不明となる。