すんません、モブキャラのフリッツ君なんですが、こいつブリッツと名前が似てるもんで、宗教上の理由でエミールに改名します。
これもセイルって奴が悪いんだ。
『オロールゥゥゥゥ!! クソ、この野郎!』
僚機の喪失に、エミールは激昂した。
『コロニー諸共、潰れちまえよナチュラル共が!』
大型の連装ミサイルを、アークエンジェル、コロニー内部中空を支えるメインワイヤーそれぞれへと射出する。
ニコルの奪い損ねた黒いMSがそれを追うようにこちらへ背中を向けた。
『貰ったぁ!』
エミールはミサイルラックをパージ。
重斬刀を引き抜くと、背面のブースターを全開にして突っ込んだ。
敵は――ブリッツは少なくとも、その攻撃には反応しなかった。
ただ、エミールは結局気付かなかったが、ブリッツはミサイルを追おうとしただけで、実際にはその場に滞空したままだった。
その為、かつてエンデュミオンクレーターで5機のジンが辿ったのと同じ道を、エミールも進むことになった。
――凶鳥の羽に、触れようとしてはいけない。
ブリッツは突如スラスターを吹かし、空を滑るようにその場から
瞬間、飛来した無数の75mm対空機関砲がエミールの機体を穴だらけにし、間を置かず110cm単装リニアカノンが突き刺さった。
『っ!? 直撃弾!? 戦艦から!? うわあああああああっ!』
突っ込んだ姿勢のまま、エミールのジンは火達磨となり空中で四散した。
『え……なんだ、今の』
その光景を見たキラは違和感を感じた。
『アークエンジェルの弾幕に、自分から飛び込んだ……?』
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「フッケバイン・プロトコル、順調に稼働中。右舷上部イーゲルシュテルン3基をシークエンスリロード、バリアント1番をホットスタンバイで固定」
ナタルの声が響くブリッジは、異様な空気が漂っていた。
「バジルール少尉……これが……?」
マリューの、信じ難いものを見たような声。
「はい。これがあの男の戦い方です」
ナタルは凛とした面持ちで、戦場を見つめていた。
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「ほーしのーふふふふふーん、あなたがーたらたたたらたららら♪」
ノリノリで歌いながら、セイルは飛翔していくミサイルを見送った。
アークエンジェルに向かった2発は、まあムウがどうにかするだろう。
だが、支柱ワイヤーへ向かった2発は無理だ。
ストライクの攻撃はミサイルの迎撃なんて全く向かないというか、仮にアグニで迎撃したらワイヤーは守れてもコロニー内壁はズタズタになるだろうし、方向的にアークエンジェルの対空射撃は間に合わないだろう。
ブリッツ? お前に何が出来んの? お前船降りろもう。
「どうせ連合関与が疑われた中立コロニーなんかザフトも連合も残したくないだろうし、今のオーブにケツ拭く力は残ってないからなぁ。キラにゃあ悪いけど、もう手遅れなんだなぁ、せいる」
『ああっ、ミサイルが!?』
キラの悲痛な声に、セイルは繊細な心を、
「ウープス、ウェ、ウェ、やっぱ戦闘前にコーラは駄目だわ」
痛めていた。
そうこうしている内に、ミサイルはワイヤーに当たり、その爆発によってついにヘリオポリスは限界を迎えることになった。
外壁がパージされ、壁外では次々と救命艇が発進していく。
外周にある農業ブロックも、四方へ散らばっていった。
アークエンジェルはコロニーが完全に形を失う前に、なんとか宙域へ離脱することに成功した。
「すぐに追撃が来るぞ。クルーゼが交じってたらこっちで面倒見るから、お前はそれ以外のジンを担当な」
『……了解です、でも、うまく出来るかは……』
「何かあればナタル達がフォローするから気にしねえで、お前は自慢の超ビッグコックで連中の股ぐらを女にするように貫いてやりゃあいいんだよ……あ、ごめん」
『なんで例えて言いました? 例える必要無かったですよね?』
「ごめんなキラ、ホントごめんな、今度予習用の人形プレゼントするから許してな?」
『やめて下さい、謝らな、やめろぉ!』
「お前が自室のパソコンから外部クラウドを3層くらい経由しないと辿り着けないストレージに置いてあるランダムパス生成ツールで出したキーを使わないと読み込めない外付けメモリに置いてある研究資料に偽装したファイルがある階層で非表示化してあるフォルダに入ってる動画みたいに貫いちまいな!」
『何言ってんですか、そんなことするわけないでしょ』
誰がそんな。キラは激怒した。
「……そうだな、お前は一周回って適当な映画データのコピーガード割って上書き保存してそうなタイプだよな。部屋に人とか呼ばなそうだし」
『ななななにを言っ、言ってんでええ、えすかぁ!』
『『『あっ』』』
「おいブリッジ! あっ、そうなのね意外だわ。大人しく見えてもやっぱり男の子なのねって反応はやめてやれよ可哀想だろ!? この年頃のガキは人に言えない性癖の100や1,000は心に抱えてるもんなんだよ! な、キラ!」
『ご、ごかい、誤解なんです……ちが……そう、友達が!』
「馬鹿野郎! 例えお前が妊婦や老婆や鎖骨や鼠径部や膝裏にしか興奮しなかったとしても俺はお前の味方だ! 恥ずかしがるなよ!」
『いや鼠径部は一般性癖だろ』
『フラガ大尉、この戦いは貴重なGの戦闘記録として地球連合軍内にアーカイブされます。この会話も含めて』
『え、ちょ』
「何にせよお前の性癖は宇宙の藻屑になったから、心配すんなよ……後でオーブに問い合わせて俺の持つ全ての権限を使ってお前の購入履歴は漁るけど。心配すんなよ」
『心の! 心の休まる時がない!!』
「……さあ、話の途中だがそろそろテロリスト共もこっちを捕捉した頃だぞ」
セイルは会話を打ち切ると、宙域に出たアークエンジェルをカバーするようにブリッツを前に出した。
『情緒どうなってんですか……?』
キラもストライクにアグニを構えさせた。
『諦めるんだ坊主。あいつに絡まれた以上、今後はこれがお前さんの日常になる』
『地獄……』
『ヤマト』
『バジルールさん……』
『助かる』
『む、無許可で負荷分散先にされている……?』
『レーダーに感! グリーンブラボーにヴェサリウス、MS3機の発艦を確認! 内1機はGAT-X303イージス!』
チャンドラからの報告に、ブリッジがざわめく。
「誰だてめーは!」
『つ、通信士のチャンドラです、大尉!』
「チャンドラ……? 誰だてめーは!」
『わ、忘れられている……!?』
『奪ったGをもう投入してくるなんて……』
『敵はザフト……コーディネイターです。こちらの尺度で測るのは危険な相手と言うことでしょう』
『それよか、相手にもフェイズシフト装甲があるんだろ? 生半可な火器じゃ歯が立たないぜ』
『そんな、誰も聞いてない……!?』
「取り敢えず加速して、頭抑えられる前に追わせる形にしちゃおうぜ? どうせMSが先行して回り込んで来るんだから、それ蹴散らして回収してる間に振り切っちまおう」
『だな。ヴェサリウスは足が速い。追われるにしても、足止めは必須だ』
「どっかの猛禽類が使えりゃもう少し余裕あんだけどな」
ブリッジとの会話を進めながら、プランが出来ていく。
「やべえのは他の盗品まで使われることだろ。どうせこのブリッツみたくビームは積んでんだろ? 艦載火器潰されたら終わりだぜ?」
『オランチョ大尉、我々は先のコロニー内で4機のジンを撃墜しています。盗まれたGを除けばこれが最後の戦力でしょう。撃退できれば向こうは補給で退がらざるを得ないはずです』
「つまり頑張れ、と。まあ、やるだけやってみますかね」
右手前方より、MSのものと思われるスラスター光が見えた。
「特に動きが良いのが1ついるな。あれがクルーゼか」
隊長機であるジンハイマニューバを筆頭に、M69バルルス改特火重粒子砲を担いだジン、そして最後方に明らかにザフトとは異なる意匠の赤い装甲とツインアイをしたMS。
「……キラ、やっぱジンは両方こっちで見るわ。お前はあの赤いのね」
『!……あれは……』
「あん?……おい、とにかく撃ちまくって近付けさせるな。あの赤いのだけでいい。当てなくてもいいから時間稼げ」
セイルは眉を顰めたが、すぐに切り替えて続けた。
「ブリッジ、ジン2機を寄せるぞ、うまくやれよ。キラ、こっちは援護は要らん。何度も言うが、時間を稼げ。それだけでいい。ムウはキラをフォローしてやれ」
『任せろ。やるぞ坊主』
『り、了解です』
キラは何かに堪えるように言って、アグニを迫りくるイージスへと向けた。
『機関全速、取り舵。これより本艦は戦闘を行いながら本宙域を離脱します』
『了解。機関全速、取り舵』
『機関全速、取り舵』
操舵士のノイマンの操作に従って、アークエンジェルが徐々に加速する。
『フッケバイン・プロトコルをフェーズ2で起動。バリアント1番2番、連動開始。ヘルダート4門即応準備!』
ナタルの指揮するCICも戦闘準備を整える。
『オランチョ大尉』
ナタルからの呼び掛けに、セイルはいつものように応えた。
「なんだい愛しのナタルちゃん」
『ご武運を』
「お前が
『結構。目は離しませんので、ご自由に』
「アイアイマム」
ヘリオポリス宙域での戦闘が始まった。
まあ、改名したところで退場なんですけどね。
今回の戦闘
クルーゼ「とりま2人先行させて、時間差で突入したろ。あいつら驚くでぇ」
キラ「守りたい世界があるんだぁ!」
ヘリオポリス「ぎゃあああああ!」
クルーゼ「なんやあのビームは。こっわ、待ち伏せあるかもだからタイミング考えな」
オロール&エミール「うぼぁ」シュンサツ
クルーゼ「ファーーーwww」
戦力の漸次投入は駄目とは聞きますが、あれMSにも当てはまるんですかね。