TS転生したら学園モノファンタジーの主人公を暗殺することになった   作:妃野平

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第一話

 今から遡ること18年前、とある小さな国の王女として俺は産まれた。だが数年前から不況に見舞われていた国では子などいても邪魔なだけだった。王族としての華やかな暮らしができないほどに切羽詰まった国だったからだ。隣の国から援助を受けることもできず、周辺に住まう魔物から身を守ることすらできない。民は食べる物もなく、魔物に怯えながら暮らす日々を送っていたようだ。

 

 そんな国が長く続くことはなく、俺が3歳を迎えた頃に滅んだ。誰が雇ったかわからない暗殺者に城にいた人間が誰一人として残ることなく殺されたからだ。

 俺が殺されなかったのは俺が産まれた時から前世の記憶というものを持っていたからだ。前世は男であったがなぜか女になった。そう、例のアレが奪われたのだ。それに気付いたときには悲しみの涙が溢れた。

 そして俺は自分からこれ以上何も奪われないように、生きるために何でもした。母親と父親に捨てられないように媚びを売ったらある程度は愛情を持たれたようだった。まあ赤ちゃんは可愛いからな、これはどの世界でも一緒だろう。

 

 だが、この世界には前世にはなかった魔術というものが存在する。それを知ったときにはとても嬉しかった。前世で見た物語のように魔術でこの国の現状というまでは行かなくても今の自分の状況を改善することができると思ったからだ。うまくいけば性別も変えられるはずだ。魔術で食物を育てたり、魔物を一掃したり。

 だが、現実はそんなにうまくいかなかった、それもそうだ。赤子が魔術を使いこなしうまくいくようならばこの国はそもそも不況にならないし、不況から脱却することもできたはずだ。そうなっていないということは魔術を使えるのは限られた人間のみ、または使うことが困難だということ。俺の生存戦略、または成長計画は頓挫した。

 

 

 しかし、人生には転機というものが誰しもに訪れるものだ。俺は国が滅んだ日に、国を滅ぼした張本人と出会ってしまったのだ。

 その日は大きな会議があり、城にいる下働き等以外の人間がほとんど参加したようだ。俺はまだ幼いこともあり、王室の隠し部屋で一人で過ごしていた。入る方法は少し特殊だから、父と母以外の人間が来たら絶対に声を出すな、いることを悟られるなと言われたので一人で大人しく勉強や読書などをしていた。しばらくすると俺がいる部屋の前に誰かが来たようだった。

 

 俺は息を殺しその場で縮こまった。だがそいつはなぜか隠し部屋を開き中に入ってきたのだ。まだ幼い俺が一人だけでいることに気づきこの部屋に来たようだった。

 

 「おい、チビお前はシガ国の王族か?」 

 

え、この国ってそんな名前なんだ…。てかホントに誰だ?まだ高校生くらいか?まあ会話する気はあるみたいだ。俺はちゃんとおしゃべりできるタイプの幼女だ。少し幼いしゃべり方ではあるが返事くらいはしてやろう。

 

 「もし、そうだっていったらどうなるの?」

 

 「…今、この城で生きているのはお前だけだ。お前以外の人間は俺が殺した。」

 

 は?何を言っているんだこいつは。この国の王族や貴族を殺しても何の得にもなんねぇだろ。もうすでに終わりかけてんだぞ。しかも全員って言ったよな?下働きも殺してんのか?何のために…?

 

 「なんで?どうしてみんなしんだの?」

 

 「この国では城の人間だけが裕福な暮らしをして平民は日々苦しい生活を強いられていると聞いた。どうにかしてほしいと依頼されたからだ。」

 

 「どうしてわたしのことはころさないの?」

 

 「依頼を完了するために殺したが、城の中は質素で芸術品などはほとんどなく皆痩せていた。依頼者の言った内容とは少し異なるようだからだ。お前の気配を感じてここに来たが、お前があまりにも幼く、少し話をしようと思っただけだ。」

 

 「なるほど、ちちうえとははうえはいつもこのくにのことでたくさんなやんでたよ。わたしがうまれたときはうれしくなかったって。くるしくてごめんなさいっていってた。わたしもおうぞくのせきにんからはにげられないって」

 

 「そうか、城中の人間を殺した俺が言うのもなんだが、お前のような幼い子供殺すのは好きではない。今日殺した人間の中でお前ほど幼い者はいなかった。だから、今ここで俺に殺されて楽になるか、ここで見逃されるか、どちらか選べ。」

 

 ああ~、こいつ仕事ならある程度割り切れるが根は殺生を好まないタイプか。まだ若いし、てかこの歳で一人で全員殺したのか、こいつめちゃくちゃ強いんじゃないか?

 俺の両親はもう殺されいるから一人にされても困るしここで死にたくない。俺は生きるために生まれたんだ。こんな歳で諦めるわけがない…なら取るべき行動は一つ。

 

 「おにいちゃんといっしょにいく、みんなをころしたかわりにわたしのことそだてて」

 

 「はぁっ!?俺が言ったのはそういうことじゃなくてだな…」

 

 「つれてって!いっしょじゃないといや。わたしをみたときにすぐころさなかったから、ほんとはやさしいんでしょ。おにいちゃんとがいい」

 

 

 

 

 俺の駄々こねを無限に繰り返したら俺のことを引き取ってくれることになった。兄ちゃん!これからよろしく頼むぜ!

俺の人生は此処から始まった。

 

 

 

15年が経ち今現在。

 俺、元シガ国王女シャミラ・ルード 18歳、麗しき美少女である。年齢詐称をしアザル王国の学園に通い、推定主人公と思われる男の命を狙う暗殺者である。

 

 悲しきことに、美少女の中身はただのおっさんであることとする。

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