氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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社員1「おっ、ついに真相ばらすのか」
社員2「早いもんだなぁ・・・」
社員3「終わりが見えてきましたね」
社員4「それよりも朕たちの外伝は?」
社員2「無さそうだけどな。ま、ハーメルンSS系列はレイク・オブ・スワン関係が多くなるだろうから出番はあるかもな」
社員1「そうだな、とりあえず次回を待て!だな」


露子さんの本音の話

実家にある露子の部屋

現在ここには部屋の主である露子とエスデス、シュラと皇帝陛下がいた。

泊まる場所も村には無かったため、露子が率先して彼らを部屋に泊めることにしたのだ。

 

すっかり寝ているタツミと皇帝陛下をよそに、エスデスは寝間着姿で露子に迫っていた。

 

「いい加減、何があるのか教えろ」

「な、何がって…」

「お前の能力のことや、なぜループすることを決意したか。お前は何か隠しているのだろう?」

 

エスデスの強い語気に露子はたじろぐ。

シュラも気になるようで適当な言葉でエスデスを煽っていた。

 

「今日こそ話せ、露子」

 

殺気が混じり始めたエスデスの言葉に、露子は覚悟を決めようとしていた。

 

今まで散々誤魔化し続けていたが、どこかで…話さなければならないだろう、と。

 

秘密にしたいことに変わりはない。言うべき真実ではないだろう……露子は、悪戯にエスデスたちを混乱させたくはなかった。

 

 

そして彼女は、いつかのループしていた頃のことを思い出しながら、エスデスたちに問い掛けた。

 

 

 

 

【とあるループ回にて】

 

「貴方は、万人が幸せになるハッピーエンドというものが存在すると思いますか?」

 

夜の闇を思わせる漆黒のローブを脱ぎ捨てながら露子は彼に尋ねた。

彼…ロッドバルトと名乗る悪魔はワインを飲む手を止める。

 

露子がループを繰り返して、数百回は越えたあたりだっただろうか。

殺して殺されて助けて助けられなくて

 

そんなことを繰り返していた露子をロッドバルトは傍観者、いや観客として楽しんでいた。

露子が死ぬたびにループを続け、そのループを巻き戻す間や、誰もいない場所でこうして露子と会話に興じるという…なんとも悪趣味なことをしていたのだ。

 

 

「やけに唐突な質問ですね。」

「…どう、思いますか?」

「私個人としてはあり得ると思いますよ。もちろん、そこに至るまでに犠牲もある場合や、困難すら存在しない世界線もあるとは思いますが」

 

ワインをグラスに注ぎ直しながらロッドバルトは返答した。

答え方としては、中々に逃げ道を作ったものだろう。

悪魔の意見自体、信憑性は低いが露子はそのままの言葉として受け取ったようだ。

 

「そうですか…」

「そういう露子さんはどうなんですか?」

「…私は、無いと思います」

 

とても静かに、彼女はロッドバルトに答えた。

 

「へぇ、自己犠牲真っ最中の貴方がそんなことを言うなんて、少し驚きましたよ」

「…そんな、綺麗なものじゃないですよ」

 

面白がるロッドバルトに露子は言葉を続けた。

 

「私のしていることは、ただの自己満足です。私が勝手に【幸せになって欲しい】だなんて思っただけで、相手にとっての幸せではないんですよ」

 

「……自分の価値観を押し付けている、と?」

 

「……はい」

 

「馬鹿ですね」

 

沈んだ露子に対して、ロッドバルトはその考えを一蹴した。

 

「人間は誰しも価値観を押し付けたり、他人の価値観に簡単に染まるもんです。そんなことを気にしていたら貴方が幸せになって欲しい方々を幸せにはできませんね。」

 

「そんなことって……」

 

「そもそも人を助けるというのは自分勝手極まりないことなんです。貴方はもっとそれを自覚すべきですよ」

 

「………」

 

 

 

【回顧録終了】

 

 

 

「万人が幸せになる、ハッピーエンドは存在すると思いますか?」

 

 

露子はエスデスとシュラに問い掛けた。

二人は突然の質問に閉口した。どうやら露子の意図を読みかねているようだ。

 

「私は無いと思ってます。誰かが不幸せにならないと、他の誰かは幸せにならないと。だから私は、敵になりました。帝国の敵に、革命軍の敵に……」

 

ここから先の言葉を少し露子は躊躇う。あのロッドバルトにすら言っていなかった考えを出すのが……酷く羞恥心を覚えたのだ。

情けなくてカッコ悪いことだけれども

 

「本当はただ・・・ただ、悔しかっただけ、なんです」

 

「・・・悔しかっただけ、だと?」

 

エスデスの言葉に露子は頷いた。

 

「……………私、あのとき、何も出来なくて、悔しかったから」

 

 

そう、本当のことを言えば露子はただ、悔しかったのだ。

 

他の参加者のように何か力があれば何かできたかもしれない

本気で誰かに語り掛ければ何か変えることができたかもしれない

 

何も変えれなかった自分に、変えようとすることを諦めていた自分に、最初から他の参加者のように戦う力や知恵を得ることを怠ってしまっていた自分に・・・大人ぶってしまった自分に憤った。

 

・・・あぁ、それなら

 

最初から「主人公(それ)」を目指せばよかった

 

主人公にはなれないだなんて、かっこつけずに、青臭くてもいいから何かのために最初から「何か」を成せばよかったじゃないか。

 

後悔ばかりが先だって、ただただ悔しかったのだ。

あのタツミに憑依した人間に、何も言い返すことができなかった。

 

だから彼女は選んだのだ。

今度こそ自分の力で何かを選びたいと

誰かに翻弄されて諦めてしまわぬように彼女は決意した

 

 

 

 

「・・・エスデスさん、シュラさん、聞いてくれますか」

 

 

露子は二人の視線に合わせて、声を震わせながら彼女たちにこう言った。

 

 

「今から話します。嘘みたいな話だけれど、本当の話です。だけど信じてください・・・お願いします」

 




ロッドバルト「ちなみに露子さんがエスデス様達に語った説明は端折ります」
社員1「そんなこったろーと思ったよ!!!」
社員2「いやそこも!見せろよ!」
ロッドバルト「めんどくさいじゃないですか。面倒な部分はちゃちゃっと終わらせるのがコツですよ」
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