リ・エスティーゼに行くにあたり、同行メンバーを変更。コキュートスが墳墓を離れるので、彼に代わる防衛戦力としてシャルティアとマーレが残る事に。
(リ・エスティーゼが一番猛者の集まる都市。推測になるが、ラキュースさんみたいに、自殺リビルドをしている住民がいてもおかしくないから、セバスやコキュートスだけだと実際のレベルが判定しにくい。アウラは必須だからあの子は連れて行くとして、残りはセバスとコキュートスだけで良いか……ラキュースさんみたい、か。どんな変人がいるのやら)
前世に魅入られた
(ラキュースさんも狂ったリビルド勢なのかは推定でしかないが……一番強い人の系譜に師事する……相談したらこうやって紹介状を貰えたのは助かるが、どんなやばい人なんだろうか? やっぱり、常に腕に包帯巻いてたりするタイプ?)
現状モモンガが持つランポッサの情報は、老人ながらムキムキマッチョで超強い……それだけだ。その直弟子であるガゼフとはどんな人物なのか。眼帯、小難しい理屈を並べる、竜が巻き付いた剣……色々と想像してしまう。
さて……リ・エスティーゼには行くが、紹介状があるとは言えアポイントメントも無しに訪問するのはマナー違反。きちんと手紙をしたためて、行政経由でランポッサにいついつ訪問したいのですがとお伺いを立てる。一日経ったら向こうから返事があり、この日のこの時間なら空いていると手紙が返送されてきたので、その時間に合わせてモモンガらは戦闘城塞へと足を向けた。
足を向けると言っても、徒歩で移動するわけではない。エ・ランテルに設置されている、大都市間の移動に使うポータルを利用した。モモンガも転移魔法は使えるが、一度行った事がある場所でないと使用不可能。今回リ・エスティーゼを転移先として新たに登録されたので、今後はポータルを使う必要もなくなった。
ポータルが設置されている建物を出たモモンガは、周りを見渡して──
「ここがリ・エスティーゼか……エ・ランテルに比べると、何と言うか……変わっているな」
高い城壁もなく、建物も経済都市とは形が全く違う。あの都市は割と現代風に感じる雑居ビル擬きなどもあるのだが、ここにはない。この都市の建造物をあえて表現するならば──
「和風中華だな」
「和風中華? デスカ」
「ああ。ユグドラシルだと大半は北欧風だったが、都市によっては古代中国や日本をモチーフにしていた。ここも似たような感じだな……」
(タブラさんが資料として見せてくれた、三国志シリーズ。あれとエ・ランテル文化を混ぜたらこんな感じかも?)
リアルであれば江戸時代に存在したと言う長屋に似た建物や、その横にはこれまたモモンガはユグドラシルでしか見た事がない五重の塔によく似た細長いビルが建築されている。
「あの塔、ダンジョンだったりするんだろうか……」
「街中にダンジョンですか?」
「ユグドラシルにはあったんだよ、あんな感じで街中に普通に建っていてな。みんな建物の中に入れないから、非アクティブな景観だけの塔だと思っていたんだが、ある時、特定条件で入口が開くことが発見された。そうしたら、都市の中に未発見ダンジョンがあることが判明したんだ……ここなら普通にビル代わりの塔だとは思うが」
まさかダンジョンとか隠れてないよなと思いつつ、エ・ランテルとは全く違う建築様式をモモンガは物珍しそうに眺める。セバスやアウラも経済都市とは違う街が珍しいのかキョロキョロしており、初めて外に出たコキュートスもホウッ……と観察していた。
そんな三人に対して、モモンガは──
「アウラ。いつも悪いが、例の奴を頼めるか」
「いつものやつですね。承知いたしました!」
この都市は他の都市と違い高い城壁はないとモモンガは聞いているが、流石に<
「……モモンガ様。この街が、連邦でも一番強者が集まる……でしたよね」
「そうだ」
「その言葉ですが本当みたいです。そこらを歩いてる住民の中に、普通に70や80が混ざってます……うわ、あそこの食事処っぽいところから出て来た三人なんて、90以上です」
「90……大戦期の英雄が、もっとも集まるのもリ・エスティーゼ。そりゃ、いるよな」
エ・ランテルで過ごすと分かるのだが、大戦を生き抜いた亜人・異形・エルフのような長命種は80レベル以上はほぼ確定。90レベルも珍しくはない。
しかしこの都市はそう言った大戦期の生き残りだけでなく──
「モモンガ様。ドウヤラ、長命ナ者デナクトモ相当ノツワモノガ多イヨウデス。アソコデ店主ト談笑シテイル若イ人間。彼ハ私ガ見タトコロ、75ハ確実ニアルカト」
「コキュートス様にはそう見えますか。私には気の波動から察するに、81はあるように思えますね……エ・ランテルのレベル平均値は大体50ですが、リ・エスティーゼはもう少し高い。そうですな……商人と思わしき人物らは、ヴァーチ様と同じで55程度に見えます故、中央値自体はそこまで変わりありませぬ。しかし平均値となると……高いものが多い分、もう少し上がりますね」
「前評判に偽りなしか。ランポッサさんが指定された時刻には猶予がある。街を歩いて、もう少し情報を仕入れておくか」
まだ通りにいる人物らを見ただけなので、本当に強者ばかりなのか確かめたい。そう思って、モモンガは宮殿に向かうまでの時間を散策に使う事にした。
エ・ランテルは石畳が多い都市だが、リ・エスティーゼは土のままな地面の方が多い。大通りらしき場所はコンクリートのような材質の石で覆われているのだが、通りを外れるとすぐに土に戻ってしまう。
「……リ・エスティーゼの技術が低いとか、そう言う訳でもなさそうなのに、どうして土のままなんだろうな?」
「言われてみれば、たしかに不思議ですな」
「家とかの見た目が違うのもあるかもしれませんが、なんだろう……壁に使われてる材質なども、どこか安っぽく見えますね」
同じ連邦の国家なのだから、技術力が極端に低いというのもありえない。では貧乏なのかと言うと、通りを歩く住民の服などをみれば全く違う。これまた和風中華に合わせたのか、着物や漢服のような者らも混ざっているが、モモンガがみたところ概ねエ・ランテル領の住民が着ている服とそこまで変わらないように見える。
ただただ、建造物や通りなどがどうにも安く見えるのだ。それらを不思議がるモモンガだが──
「モモンガ様。我らですが、どうやら注目されているようです。かなりの視線を感じます」
「なに? そうなのか?」
セバスの言葉にモモンガは周りを見渡してみると、確かに通りを歩く人間や亜人がこちらを見て、ひそひそと噂をしている。
「ヒューッ! 見ろよあの爺さんの筋肉を……まるでアダマンタイトみてえだ!! 服で隠れて分かりにくいが、やつはやるかもしれねえ」
「そっちよりも、あの水色の亜人……異形種か? どこぞの匠が拵えた鎧なのか、それとも外骨格なのか……どちらにしろ、すけべ過ぎる!!」
「うむ……誘えばやれぬだろうか。声をかけてみるか?」
「声かけなど風情がない。より魅力的に誘わねば、お主の立派な剣も廃れるぞ」
遠すぎてモモンガには声が聞こえないが、遠巻きに噂されるのはあまり気分が良い物ではない。もしも顔に筋肉があれば、モモンガは顔をしかめていただろう。
そんな彼とは別に、コキュートスやセバス、アウラは聞こえていた。聞こえていたから、はてなんだろうと首を傾げたくなる。
「なんだろ、やるかもしれないとかすけべ過ぎるとか?」
「ん? ……アウラには、彼らが何を語っているのか聞こえているのか?」
「はい。ただ、どうにも良く分からない内容でして……どうもセバスの筋肉とかを褒めているみたいなんですが、どうしてそんな事をしているのかまでは……」
「褒める? なら、陰口を叩いているわけではないのか……とは言え、歩いているだけで注目を浴びるのはあまり好ましくないな。どこかの店に退避するか」
アウラが言うように理由は不明だが、モモンガらは注目を集めている。注視されるのが好きではないモモンガは、コキュートスらを連れて近くの武器屋らしき場所に入った。
武器屋の中は空間拡張されているのかそこそこ広く、エ・ランテルではあまり見ない刀などの刀剣が置かれている。この店はエ・ランテルの武器屋と違い<魔法抑止領域>の効果が及んでいるのか魔法が使えなかったので、今回はコキュートスにモモンガは鑑定してもらう。
「良イ剣デス。メインウェポントスルニハ不足デスガ、コレクションニ加エルニハ相応シイ輝キヲモッテイマス」
「ユグドラシルのランク判定で分けるなら、どれになる?」
「ランクトシテハ最上級程度デ。デスガ、刀身ノ刃文ノ美シサヲ考慮スルノデアレバ、モウ少シ高クテモ良イカモシレマセン」
「美術品としての価値があると言う事か。武器の美しさ……となると私には、どうにも理解が及ばぬ分野だな。建御雷さんであれば、また違った言葉で刀に賞賛を贈ってくれたやもしれぬが……」
「武人建御雷様デアレバ、必ズコノ刀身ノ素晴ラシサヲ褒メ称エテクレタ筈デス」
モモンガも刀身をじっくり観察する。確かに波模様が綺麗で、迂闊に触れたら斬れそうな刃をしている。実際には最上級判定程度の武器ではモモンガを傷つけたりは出来ないが……それはそれとして、理解が及ばぬと言ったモモンガだが、刀のフォルムの良さぐらいであれば納得できる。なにせ、コキュートスの創造主である武人建御雷から、これでもかと日本刀の美しさを説かれ、大量の資料を見せられたこともあるのだから……
アウラはそこまで興味がないのか離れてみているが、それ以外の野郎三人はじっくりと刀を検分する。そんな一行に対して店の奥から、店主らしき人物が近づいてきた。
「メイン武器とするには不足か。こいつは言うねえ……と言いたいが、蒼い外骨格の武人さんからすれば、うちの刀剣は相応しくねえか」
声に気が付いてモモンガが振り返れば、六本の腕に黒い肌を持つ、紅い一つ目の異形が立っていた。
(一目連? この店の店主だろうか?)
「スマナイ。悪ク言ウツモリハナカッタノダガ、店ノ者ニ聞コエルトコロデ言ウコトデハナカッタ」
「かまわねえかまわねえ。おべっかを並べられるよりかは、本音をドーンと言ってくれた方がマシだ。しかし……お客さんら強いねえ。そっちの骨の人はマジックキャスターぽいし、エルフのお嬢ちゃんは……良く分からねえが、お爺さんと外骨格の武人さんは相当の腕前だろ?」
「そう言う貴方も、かなりの達人ですね。大戦を生き残られたお一人ですかな?」
「おうよ。今はしがない刀剣屋の店主だが、それ以前は……やんちゃしてたな」
大戦の生き残り。つまりレベル90を超えているかもしれない猛者の一人だ。モモンガがこっそりとアウラに聞いてみたところ、彼女の目には96に写っているらしい。
(やはり大戦で大幅にレベルアップしているのか、全体的に戦争経験者は高レベルだな……今のところ100レベルは見たことないが、いないんだろうか?)
100レベル達成者はエ・ランテルでも見たことがないので、ひょっとしたらこの世界の上限レベルはユグドラシルと違い、90代なのだろうかとモモンガは推測する。
「どうだ、武器としては微妙でも、そいつが美術品として気に入ったなら買って行かないか? 今なら値引きもしてるぜ」
「そうなのか?」
「値札のとこに書いてあるだろ?」
店主が指さすところを見たら、値札には値引き交渉受け付けますと書いてある。武器としては微妙ではあるが、コキュートスが気に入ったなら普段の労いとして買ってあげても良いかとモモンガは少し考える。それに値引きをしてくれて少しでも安くすむなら、やってみるかとモモンガは値引き交渉を試みてみた。
「いいぜ……それじゃ何本やる?」
モモンガが値下げてくれと頼んだら、なぜか店主が剣をカウンターから取って来た、カチャカチャ剣を抜いては戻してと繰り返し始める。モモンガにはまるで意味が分からない。
(こいつは何をしているんだ? 武器を手に取ったと思えば、子供のように剣を鳴らして遊ぶ? ……分からん。文化が違う)
モモンガだけでなく、コキュートスらも店主である一目連の行動が理解できないせいか、困惑した態度を取ってしまう。その様子を見て、おやと気づいたのか一目連は──
「もしかして……あんたら、リ・エスティーゼは初めてか?」
「あ、ああ……その……購入するかどうかの交渉で、なぜ剣を取って来たのだ?」
「そいつはすまねえ。てっきり達人っぽいから、この都市のことに詳しいと思っていたぜ……値引きのことをまけるって表現するのは聞いた事があるか?」
「それはあるな」
値段をまけてくれ。そういう文化がリアルにもあったが、この世界にもあるのだろうかとモモンガは思いを馳せる。
「値引きのことをまける……こいつはスレインの六大神が遺した商人向けの言葉らしいんだが、値段を下げるのをまけてくれと言うらしくてな」
「……六大神か」
推定プレイヤーが建立した国なのだから、ユグドラシル──正しくはリアルの言葉が残っていてもおかしくはない。それなら世界が違うのにまけると言う表現が通じるも納得だとモモンガは頷く。
「まける、つまりは負ける。こいつはつまるところ、勝負ごとで負けたら、その分商人は観念して安く売る。勝ったならお客が勝者の特権を得るってことだ」
「え?」
「むろん商人側が勝てば、その分気持ち程度だが価格に上乗せさせてもらう。これがこの都市での値引き交渉……決闘による駆け引きってやつだ」
「……俺の知ってるまけると全然違う。そ、そもそも決闘とはなんだ? リ・エスティーゼでは腕を競い合うことが珍しくはないと聞いているが、まさか街中で戦いをするのか?」
「なんだ、そのことも知らないのか? この街じゃ、お互いの同意があれば市中で死闘をしても問題ないんだよ。もちろん、あくまでも同意があればの話だ。同意が取れていないのに殴りかかったりすれば、そいつは不同意決闘罪で死罪になる」
「死罪!?」
「死罪と言っても、あくまでも生命力を損失させるだけ。ま、不同意決闘罪になったやつなんざすぐに街の噂になって、恥ずかしくて生きていけねえがな」
「……そ、そんなに恥なのか」
「そりゃそうだ。決闘となれば生き死にの問題になる。自分から戦いを申し込んで負けたならそいつの自己責任だが、強制的に戦わせて相手を殺すようなやつなんざ生きている資格もねえ。古い考えかたかもしれねえが、戦士の風上にもおけねえな」
「もしも、自分よりも弱いと思う相手に、その不同意決闘を申し込むような輩がいればどうなるのですかな?」
「間違いなく周りが止めに入るな。俺たちは弱いままでいるのは罪だと思ってはいるが、強さにも色んな種類がある。例えば武器職人が喧嘩で弱かろうが、そいつが造った武器が強いならそれも一種の強さだ。なのにそんなことも考慮せず、仮に武芸を鍛えたやつが鍛冶師なりを殴ったりしたら……その鍛冶師に世話になってるやつが、そいつと戦う」
「──────────」
あまりにもエ・ランテルと違う文化の在り方に、モモンガは開いた口が塞がらない。アウラも日常的に死闘してるのこの人ら……と呆れていた。しかし──
「ナント高潔ナアリ方カ。己ガ腕ヲ磨ク、サレド無理強イハシナイ。武人トハコウアリタイト思ウ、理想ノ姿ダ」
「感心しかありませぬな。エ・ランテルとは随分違いますが、根底にあるのは間違いなく善なる心。弱さを他者に押し付けず、自らのありようにまい進しようとする。これもまた、大戦後に生まれた良き在り方なのでしょう」
セバスとコキュートスは何やらしきりに感心していた。ナザリック武人コンビはモモンガからすれば、そもそも殺し合いをすんなやとしか思えない狂った価値観に共感しているのだ。二人の様子にドン引きなのか──
「モモンガ様……二人のテンションがおかしいです。あたしついていけないかも……」
「大丈夫だ。俺も意味が分からん……」
モモンガはアウラを見る。アウラはモモンガを見た。二人の視線が交錯し、想いを共有する。武人と言う名前の狂人がたくさんいそうなこの都市で、感情を共有できる。そのことに感謝しながら、アウラとモモンガは手を取り合っていた。
「それじゃ改めて……何本やっとく?」
「何本トハ一体ナンダ?」
「先にどっちが有効打を取れるかの回数だ。仮に三本勝負で勝てば三割引き、五本勝負で勝てば五割引」
「ならそうですな……時間もそこまでありませぬゆえ、二本勝負でお願いしましょうか」
「え? セバス、お前決闘すんの?」
「勿論でございます。私どもは、まだ大戦の生き残りがどの程度の実力者なのか把握しておりませぬ。ならば、この機会に実感として体感するのも良いかと具申致します」
「……言う事に間違いはないが──」
エ・ランテルでは決闘制度などないので、大戦経験者──90レベルの戦士が持つ戦力が把握できない。しかしこの都市は違う。合法的に戦力を計れるのだ。だから良い機会と言えば良い機会だが……
モモンガは熟考した末に、お互いが死なないことを条件に了承を出した。店主が死亡なし条件を呑んでくれたので、全員で店の表に出る。そこから始まるのは一目連と竜人の戦い。店主は六本の腕全てに剣を握りセバスの手足を落とさんと振り回し、セバスはセバスで相手の手足をへし折りに行く。戦いの余波で地面が抉れ通りの建物が壊れていくが、住民たちは一切動揺もしない。
しかし店主はまだしも、セバスの動きには興味があるのかギャラリーが増えていく。時折攻撃の余波が観衆に飛んでいくが、全員当然のように迎撃して撃ち落としていた。その光景にアウラは住民たち相手に恐ろしい物でも見るかのような視線を向け、モモンガはこいつらおかしいんじゃねえのと引いていた。
戦いは終始セバス有利に進み──
「はぁ……はぁ……強いな爺さん。俺の負けだ」
「ふぅ……貴方様こそ、素晴らしい腕の持ち主です。二本連続で取るつもりでしたが、まさか一本貰うとは……感服です」
セバスと一目連が握手をして、何やら奇妙な友情を築いていた。そんなこんなで価格交渉も終わり、二割引きにして貰った刀を購入し、そろそろいい時間なので宮殿に向かおうかと店を出たモモンガらだが──
チャキチャキ。カチャカチャ。ボキッゴキッ。っし。フー。ゴキゴキ
セバスやコキュートスを見ながら、私は腕に覚えがありますな連中が何やら変な行動を取っている。あるものは首を回したり、あるものは店主のように剣を鳴らす。拳をぽきぽき鳴らす者もいて、思わずモモンガは──
「うるせえなこの街。どうなってんだよ」
モモンガも彼らが何をしているのかは分かっているのだ。店主から剣を鳴らしたのは、いっちょ戦っていかないと言うサインだと聞いているから。つまり、セバスとコキュートスが強者だと見抜ける連中は、思い思いの行動で誘っているのだ。一発やっていかない、と。
「モモンガ様……動物って、求愛行動で色んな音を出すんですが、もしかしてこれって……」
「アウラ。お前はまだ幼い。顔を真っ赤にしながら、求愛なんて言うんじゃない……いや、マジで」
えらく物騒で汚い動物園だなおいと思いながら、モモンガは駆け足でランポッサがいる宮殿に向かう。途中途中でコキュートスがうずうずしていたが、それらを全て無視。
(……ラキュースさん。すまない。ダーク=ナイトとか将来絶対後悔するぞとか思ってたけど……まさかそれら全てをひっくるめて、リ・エスティーゼでは常識人よりだとは思わなかった。ほんとごめん……)
自らの世界に浸っているが、決して他者に迷惑はかけないダーク=ナイトがびっくりするほどの良識人なのだと知り、モモンガはひたすら心の中で、現在エ・ランテルにいるこの都市の武人に謝っておいた。
モモンガ&アウラ:こわいよぅ……この都市の武人頭おかしくてこわいよぅ
セバス&コキュートス:良い都市ですなぁ……