「申シ訳……御座イマセン。モモンガ様ノ命ヲ破リ、差シ出ガマシイ真似ヲシテシマイマシタ。必要トアラバ、コノ命ヲ差シ出シテデモ──」
「デスリビルドの助けをするだけにしかならないか、それは? ……どちらにしろ、いつかは必要になる事であった。遅いか早いかの違いしかない……むしろ、今回の一幕で候補者を探す必要性が生じた事の方が、私としては頭が痛い……アウラにセバス。お前達であれば、我が命ではなく、己が意志でリビルドを行えるか?」
「……難しいです。モモンガ様の御命令であればこの身を捧げられますが、あたしの意志でとなると、抵抗があります……」
「私は可能です。執事であれ……これがたっち・みー様が私に定めてくれた役割です。執事とは、主の為に存在する右腕が如き。リビルドが必要とあれば、我が在り方を変える事に支障は御座いません」
リビルドを決意したコキュートスを連れて、モモンガ一行はリ・エスティーゼからナザリックに戻って来ていた。ブレインへの弟子入りを決意したが、今回はあくまでも顔合わせだけ。コキュートスにはナザリックの僕らに戦闘のイロハを教える役割もあり、あまり墳墓を留守にするわけにもいかない。
返る途中、リビルドの方法についてセバスとアウラも教えられた。死亡と蘇生を繰り返し、最適解を探す作業について……
(アウラは茶釜さん渾身のNPC。設定による縛りは強く、支配する魔獣軍団による圧殺、つまり群体による強さが真骨頂だから、大して単独への強さに憧れがない。セバスの方は、たっちさんが設定を殆ど入れて無いから、リビルドに対する抵抗感が薄い……てところか。これは誰がリビルドをするのかを、今から候補者を募っておかないといけないな)
モモンガはリビルドに関して無理強いをするつもりはない。死を伴う作業の上、親からの贈り物を否定させるのだ。これを命で実行させるのは、モモンガとしても望まない。
ともあれナザリックに帰還したモモンガは、コキュートスと向かい合う。
「もう一度だけ聞くぞ。コキュートス、今までを否定し、これからのために苦難を進む覚悟。それがお前にはあるのだな?」
「勿論デゴザイマス! 武人建御雷様ガ目指サレタ最強ノ座。ソコニ立チ、必ズヤモモンガ様ノ剣トナル所存デゴザイマス!」
「その心意気、しかと受け取った……では、そんなお前のために、一つ役に立つ情報を教えよう」
迷いなく、自らこうするのだと断言するコキュートスに対して、モモンガは指を一本立てる。お役に? と疑問を呈するコキュートスは──
「恐らくと注釈はつくが……お前が目指そうとしているであろう最強はランポッサさんだろ? 確かに、ランポッサさんは連合国最強ではあるだろう。理想型になるまで、間違いなくリビルドをしている。しかしな……理想ではあるが、あの人でも理論値ではない」
「ナッ!?」
モモンガの言葉に驚愕の声を上げる。驚いているのは彼だけでなく、セバスとアウラもだ。
「ど、どういう意味ですか!? あのお爺さんが理論値……つまり上限じゃないってことですよね!?」
「言葉通りだ。リビルドで、クラスレベルは最上位だけを並べている。これは推測に過ぎないが、コキュートスが良い様にされた時点で確定と見ても良いだろう。だが習得したクラスそのものは、望んだ物とは違う……私はそう見ている」
「あれほどの強さでも、望んだ……最適解ではないのですか?」
「そうだ。この世界に来てから、私が自分のステータスを確認しようとするなら、必ず玉座の間でマスターソースを用いないと不可能。もしもマスターソースがなく、私がレベル1のスケルトンだったとするなら、レベルアップ時にどうやって習得したクラスや種族を確認する?」
「……あ! そもそも分からない!」
「そうだ。確認しようがない。ステータス画面が見れないこの世界で、自分が習得したクラスが実際に何なのかの確認は出来ない。自分の勘だよりになる筈だ。なんとなく、自分は最上位のクラスを引いたとは確信できても……それがどんなクラスなのかまでは見当もつかない。例えばランポッサさんの話になるが、ランポッサさんは直刀をメインとしているなら、戦士の中でも剣士型でビルディングする。ユグドラシルならそうなるが……この世界で、剣士型にしようとするなら、どれだけのガチャが必要になる? 間違って拳神などのモンクタイプのクラスを獲得したとしても、それが拳神だと判別できないなら、間違ったビルドになってしまう」
モモンガが上限ではないと断じたのは、この辺りが理由だ。己の感覚だけでクラス習得をすれば、目的のビルドなど作成は出来ない。
「クラスだけではない。スキルも自動取得なら、お目当てのスキルが引けたのかどうかも、やはりステータスが見れないから確認は不可能。仮に剣神のクラスを習得したとして、そこからどんなスキルを習得するのか……もしもレベルアップごとに抽選とするなら、斬撃攻撃力2%アップが欲しいのに、毒耐性Vが追加されるかもしれない。運が悪ければ、既に習得しているスキルを引いてしまうやもしれない……ランポッサさんにしろキーノさんにしろ、確認が出来ないなら理論値は達成していない筈だ」
最上位で揃えたならば、ステータスの面では理想値に近い……と言うよりも、ほぼ理想だろう。しかしスキル面は違う。完璧なビルドに仕上げるならば、スキル構成の方が重要になる。なのに、お目当てのスキルが引けないなら、とてもではないが本当の理想ビルドなど夢のまた夢だ。
「それにクラスやスキルの問題だけではない。装備品の問題もある。ランポッサさんの直刀、あれは神器級相当の品として、それ以外は? 武器にしても貰い物なら、自分の持つクラスやスキルと完全に噛み合うのか?
これはモモンガの心の中にあった言葉。ユグドラシルの装備品は、基本素材に追加効果のデータクリスタルを投入して作成する。例えばモモンガが持つ装備であれば、弱点である神聖属性や正属性に対する耐性なり、即死魔法の成功率を上げたりなどしている。しかしスキル自動取得で神聖属性耐性を獲得していたら、装備に耐性のデータクリスタルを投入する必要もない。別の効果を追加する方が強くなれる。
「では……モモンガ様から見て、ランポッサ殿はそれほどではないと?」
「それほどではある。あのステータスを倍にする武技。あれを考慮するなら、ランポッサさんはレベル換算で250相当。とてもではないが、ユグドラシルのビルド構成者が単独で勝つのは無理だ。仮に守護者全員で私とチームを組んで、あの子を投入しても……足りんな。250はコホルスレイドボスの領域だ。100レベルのプレイヤーを30人は揃えて、ようやく勝ち目が出てくる」
しかしなとモモンガは続ける。
「クラス間のシナジー効果や、スキル厳選。装備まで含めて計算し構築した理論値を上の上としたらランポッサさんで下の下……良くて下の中あるかどうか。極まった理想像がどれほどの出鱈目かは想像もつかん」
ランポッサで良くて下の中。あまりにもあんまりな話に、三人とも嘘だ……と反応する。コキュートスが手も足もでなかった太陽王ですら、真の極みではない。それはとんでもない出鱈目な話で──
「私が思うに、コキュートスが目指したい最強と呼べる戦士。建御雷さんがこの場にいたなら、なろうとしたであろう王者。そこに辿りつきたいのであれば、このぐらいの条件がいるな」
モモンガがインベントリからペンと紙を取り出して何かを書き連ねていく。それを三人は覗き込んで──
①最上位のみを取得する
②クラス&種族のシナジーが最適解
③自動取得スキルが完璧
④全装備を全て神器級以上で揃える
⑤相手にあわせて最適な装備を使用可能
⑥補正値やスキルが強力なワールド職を獲得
⑦失われたと言われる原初の魔法を獲得
⑧強力な武技を持つ
⑨強力なタレントを持つ
⑩ワールドアイテムを所持する
⑪上記に見合うだけのプレイスキルを習得する
⑫ボス化のアーティファクトを使用する
「こんなところか。これらのうち、⑦と⑧は戦士系と魔法系で両立できないだろうからどちらかのみとすると……11個。11個の条件を満たして、ようやく理論上の最大値に到達できる」
提示された条件を見て、コキュートスはふしゅぅ……と唸る。まず⑨は満たせない。生まれつきでしか備わらない能力となると、努力も何もないからだ。
「⑨はまだあれとしても、④と⑤も難しいですよね。神器級装備なんてそうそう簡単に揃わないですし……」
「そうだな。ンフィーレア君の使うパワードスーツも、彼のタレントありきで無理矢理運用しているらしいから、この世界の高い技術力を駆使したとしても、易々とは敵わない。ナザリックには神器級装備用の素材はいくつかあるが、補充が効かない以上簡単には使えん」
「あと、困難なものとなると……⑥もですな。ワールド職、つまりたっち・みー様のワールドチャンピオンのような、特殊なクラスは取得が難しい……で御座いますね?」
「ワールド職はどうしてもな。特定条件を揃えないといけないから、この世界で狙って取得するのは無理だろう。同じ理由で⑫もだな。この条件に似合うアーティファクトなど、ワールドエネミーがドロップするアイテムしかない。だが、あれはナザリックにもないからな……なので、⑫もまず無視して良い」
「となると……現実的なのは、①②③⑧⑪を達成させられるかどうかですね」
「⑩のワールドアイテムはどうでしょうか?」
「我がナザリックならある程度は満たせるだろうが……とてもではないが、貴重過ぎて外への持ち出しは許可出来ない。私のこれにしても、完全に私専用だからこそギリギリ許されている……もっとも、ンフィーレア君であれば使えるのかもしれないが」
モモンガは自分の胸に納められた紅い球を指で突く。取得者専用のワールドアイテムで、今はモモンガ以外が持ったところで使う事も出来ない最上位の代物。これもあまり持ち出したくはないのがモモンガの本音だが、『世界の守り』バフはいざと言う時用に欲しいので仕方なしに装備したままにしている。
「結局のところ、重要なのは①から③だ。この内、ランポッサさんでも達成しているのは恐らく①だけ。②と③を満たせたなら……中の中ぐらいにはなれる」
「シカシ……①ダケデモ、達成ハ困難……私ガ望ンデ進ムトハ言エ、険シイ道ダト感ジ入リマス」
「マスターソースがある分、コキュートスがリビルドするのは楽ではあるんだろうけどもね」
ステータスを目視で確認できるナザリックの住民であれば、①②③の厳選も、この世界の住民と比較したらまだ楽だ。しかし、それでも困難なことに変わりはない。だとしても──
「必ズヤ、コノ手ニ栄光ヲ」
気合を入れたコキュートスに不可能はないだろう。これで目標も決まったので、セバスとアウラと別れてから、コキュートスとモモンガはとある人物の元に行く。
「無事に戻ったぞデミウルゴス」
「モモンガ様。御身の御帰還、心より嬉しく存じ上げます」
その人物とは、現在単独でナザリックの運用を一心に引き受けているデミウルゴスだ。デスリビルドについて思い至り、行うかどうかは保留にしている彼に説明すべき。同時に、許可なしで行わないように釘を刺しておこうと思ってモモンガはここに来た。
「時間が惜しい故、単刀直入に用件だけを言おう。コキュートスから、蘇生を使ったリビルドの話を聞いた。一応、念のため、万が一のために聞いておくが……まだ、私の許可なく行ってはいないな?」
「行っておりません。僕の蘇生が可能なのか否か。また、我ら僕一同はモモンガ様の財であり、至高の御方が命をお与えくださり生を授かりし存在。私の一存で僕を殺害することは、我らが神々に唾を吐きかけるに等しい行為です」
「そうか……とりあえずは安心した。今後も、私の命なしでリビルドを行う事は許さん。また我が許可なく他の僕に強要することもな。今後リビルドを行うのであれば、まずは私に連絡し、報告して相談せよ。その上で、行いたい僕、及びお前かパンドラを交えた上で協議した上で、リビルドを行う。よいな?」
「はっ! 承知致しました……ところで、こちらにコキュートスも来られたと言う事は、彼に許可を出されたのでしょうか?」
「ああ。今回、リ・エスティーゼに赴いて分かった事がある。お前の意見に全面的に賛同するつもりはないが、いざと言う時の備えがナザリックには必要だとな」
下手に外の脅威度を伝えるのは少し不安だが、ナザリックの運営を任せているデミウルゴスには相談しておかないといけない。ランポッサを始めとした強者を相手に下手に戦端を開くような真似をすれば、ナザリックが崩壊する危険性がある。どれほどの脅威なのか。それをモモンガから伺ったデミウルゴスは、想像以上に危険ですねと呟いた。
「お前が、第三者の視点で外のレベルをダウンさせたい気持ちが理解出来ないわけではない。彼らに邪まで他者を追い落としてやろうとする、私が心底から忌み嫌う感情があればお前の案も検討はした。だが、彼らには他者を理解しようとする博愛の精神があり、また下手に敵対するような真似をする方がナザリックにとっても危険だ。インフラなどを彼らに委ねるのは早計ではあるが、必要以上に敵視して、行動と思考が凝り固まる事を私は望まない。この地に住まう者が持つ技術力は、維持資金の解決などを含めて、我らナザリックにも大きな益がある。だから、あれだ。今すぐとはいかないが、いずれはお前にもこの世界を見渡して視野を広げて欲しい。私が言いたい事は分かるな?」
「……承知しております。みたところ、コキュートスも少しは変わったようですから……コキュートス、君は自らが新たな自分になることに、決心がついたようだね」
「……オ前カラリビルドノコトヲ聞イタ時ニ即答ハ出来ナカッタガ、今ナラバ断言デキル。コノ世界ニ住マウ者ラハ、高潔ナ精神ト武人ノ覚悟ヲ備エ持ツ強者ダ。今ノママデハ、私ハ何モ成セナイ。己ガ意志デ選ブ覚悟ガ無ケレバ、彼ラト対等ニナドハ成レン」
己が意志。それを聞いて、デミウルゴスはなんとも言えない気持ちになる。僕は主のためにあってこそ。そこに必要以上に己の意志を噛ませてしまうことは危険に思えたが……横にいるモモンガが何も言わず、またコキュートスのやる気が燃えているならば口を出すべきではないと横やりを入れない。それよりも──
「そうか。君がリビルドすることにモモンガ様も同意しているなら、私が出来る事は一つだけだね」
「? デミウルゴスが出来る事?」
「はい。少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか? コキュートスがリビルドをするのであれば、渡したい贈り物があります」
「贈リ物?」
「君への贈り物であり、同時にモモンガ様にご献上したい貢ぎ物かな? ともかく、少しばかりお時間を頂戴したいと思います」
「私ヘノ贈リ物ヲ、モモンガ様ヘノ貢ギ物ト同列ニスルコトニ物申シタイガ……私ハ大丈夫ダ」
「私も構わん。このタイミングでの献上物となると、十中八九リビルドに関する物なのだろ?」
「ありがとうございます。それでは……<伝言>。すまない、モモンガ様にあれを献上したいので、今すぐに持ってきてくれるかな?」
「……誰に連絡を取ってるんだ?」
デミウルゴスがどこかに連絡を取る。誰だろうなとモモンガが想い待つこと数分。その人物は現れた。
「お待たせいたしました、モモンガ様。貴方様の忠義の士、恐怖公、ここに見参致しました」
「お前かい!」
現れたのは体長30㎝ほどの二足歩行G──恐怖公だった。普段は第二階層の一部領域を守る守護者であり、そこから動くことがないGだ。丁寧な口調と落ち着いた声、それを裏切る驚異的ビジュアル。異形種だらけのナザリックでも、女性陣から蛇蝎の如く嫌われるが、彼は紳士な口調で続ける。
「デミウルゴス様。こちらをどうぞ」
「有難く頂戴するよ」
そんなGはデミウルゴスに何かを渡す。それは虫かごで、中には──
「わぁ……あ……」
大量のGが詰まっていた。見た目は恐怖公が召喚する黒いあれそのもので、それがわしゃわしゃとかごの中で蠢いているのだ。骨となってしまったモモンガだが、それに対しては生理的嫌悪感をちょっと覚えてしまう。思わずひぇ! となった。
「そ、それは恐怖公の眷属だ……よな? なぜそんなものを……」
「こちらですか? これがモモンガ様にご献上したい代物……蠱毒産の蜚蠊で御座います」
「……蠱毒?」
蠱毒。それは虫を同じ容器で飼育し、互いに喰らわせ、勝ち残ったものを使う毒が由来なのだとか。虫かご内のG達は、共食いをさせまくり最後まで残った猛者なのだとか。
「そ、そうか。それで、なぜそんなものが私の献上物に?」
「こちらの共食いさせた蜚蠊なのですが、なぜかレベルアップしました」
「なにィッ!!」
「通常、召喚物はレベルアップをしません。しかしながら、なぜか恐怖公の眷属だけは共食いすると、それで経験値を得るのかレベルが上がったのです。それを聞いて、私はハッと思いつきました! この子達を共食いさせてレベルアップさせ続ければ、高レベルの蜚蠊が出来るのではないかと」
「高レベルの……あ! 高レベルと言う事は……高経験値になるのか!!?」
「その通りで御座います!! こちらは正式型の蠱毒になるのですが、使い物になるかどうかを恐怖公に試作型で試して貰いました。そうすると、みるみる彼のレベルが上昇しまして……」
「吾輩、今ではレベル77になりました」
前二本足を使ってVサインを取る恐怖公に、モモンガはマジかよと目をやる。短期間でおかしなレベルアップをしている恐怖公。つまり、蠱毒を活用すれば一気にレベルを上げる事が可能になる……
「デミウルゴス様から伺っております。リビルドなる作業を行うには、大量の経験値が必要になると。それの補助を吾輩の眷属が行えるのであれば、これほど嬉しい事はありません」
「コキュートスが、いずれは強くなりたいと願うことは想定内でした。しかし100レベルの君が1レベルまで落ちれば、ナザリック全体の戦力低下を招く。それを防ぐためにも、経験値の安定供給は必須。いずれは必要になるだろうとご用意させて頂きました」
腰を折り礼をするデミウルゴスと恐怖公に、こいつらとんでもねえもん作成してやがるとモモンガは慄く。あと恐怖公のGてそんな仕様だったんだと……
コキュートスも、難題の一つであった経験値どうするのか問題が一瞬で解決したことに驚いている。それを見ながら、モモンガは大量の経験値が手に入ったのかと頷き──
「デミウルゴス。その蠱毒達は、安定供給が可能なんだな?」
「はい。恐怖公がいる限り、無限に御用意可能です」
「そうか……それなら少し待っていろ。私に考えがある」
「? 承知致しました」
デミウルゴス達を残し、モモンガは爆速で宝物庫に直行。とある物品を取り出して、すぐに部屋に戻って来た。
「それはなんでしょうか?」
「これはワールドアイテム『強欲と無欲』だ。これには経験値を貯蔵する特性があり、無制限に経験値を貯めておける」
「経験値を? ……なるほど。通常では1レベル分しか貯蔵できませんが、それがあれば幾らでも貯蔵できるのですね」
「そうだ。前も一瞬は考えていたのだが、安全に経験値を貯める手段が無ければ無用の長物。外に持ち出すには貴重過ぎて持ち出せない……しかし蠱毒があるのならば。それを渡してくれ」
モモンガが手を出したので、デミウルゴスは恭しくモモンガに虫かごを渡す。渡されたモモンガは、若干かご内の黒い昆虫にドン引きしつつも、即死魔法で皆殺しにする。
そうすると虫たちから青い球が宙に浮かび、モモンガが装備した籠手型のワールドアイテムに収容されていく。
「そうか、これが経験値か。まるで魂みたいだな……凄いな。一かご分殺すだけで、これほど貯まるか」
なんとなくかなり溜まったと感覚で理解したモモンガは、貯蔵された経験値を使ってとある
「モモンガ様! これは超位魔法の……なぜで御座いますか?」
「なぜと言われたら、今からコキュートスのクラスを少し弄るからだ。今から発動するのは超位魔法<
「後ろに……なるほど、そう言う事ですか。現在コキュートスが持つ最上位のクラスを後ろに追いやり、下位クラスを前に追いやれば、死亡しても消えるのは下位のクラスからになる」
「そうだ。通常では、死亡時に消失するクラスや種族レベルは、習得した順。しかし<星に願いを>でクラス順位を弄れば、消える順番を操作できる。蠱毒と組み合わせれば、リビルドの難易度は大幅に下がる」
あとは選択肢が引けるかどうかだなとモモンガは呟く。<星に願いを>の効果は、200近い選択肢からランダムだ。引けなければもう一度使う事になるが、リビルドの難易度を低下させて、死亡回数を減らしてやれるなら、一日4回しか使えない超位を使う事に躊躇いはない。コキュートスの覚悟を受け取ったが、それでも無駄に死亡させる必要もない。
いい選択肢でろよーとモモンガがお祈りし、ついに超位魔法が発動して──
「うっそだろお前……これ許されるんだ」
ユグドラシル時代とは変わった魔法の仕様があるのはモモンガも承知していたが、まさかここまで変わっているとは思いもしなかった。
モモンガを満たすのは全能感。この世の答えそのものに触れているかのような、絶対的な力の奔流。選択肢の中から選ぶなどと、そんな矮小なものではない。己が望むがままに、この世全てを変えられる。そんな思考すら沸き上がるほどに、今のモモンガの全身を力が満たす。
「
あらゆる根底を覆す、
ナザリック式デス(Gを大量に殺すの意)リビルド。感想でもあったGとかやばそうに対する回答回。数は正義だ
デミウルゴス牧場:両脚羊に代わってGがいっぱい
蜚蠊蠱毒:恐怖公の眷属は食べると栄養(エントマ調べ)になる→生物判定突破。Gはプレイヤー仕様→こいつらを共食いさせて高経験値タンクに変える。『強欲と無欲』と組み合わせると──
強欲と無欲:世界を変えたワールドアイテムにすら対抗しうるワールドアイテム。やっぱこれが無いと始まらない
星に願いを:出来ない事はあんまりない。ジェネリックウロボロスは伊達じゃないね
究極:コキュートスが目指そうとする場所。太陽王や竜殺しですら仰ぎ見る見果てぬ遥か空に輝く真なる頂き。ここに到達したものにとって、もはや世界を侵す敵ですら苦難にあらず
ランポッサ&キーノ:究極への入口にしてスタートライン。極まった理想形態からすれば乱雑なビルド&粗雑な装備なのでどうしてもね?