1%のクジ   作:中二満載

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頑張ります


8話

「おーおー、お前等見たか?『バケモン』がいっちょ前に『人間』の心配してるぜ?」

 

 

あれ、おかしいぞ僕正体張らしてないよな?

 

「ッ!!?」

「……何よそれ……化物って、どーいう意味よ?」

 

目の前の女の子が、犯人を刺激するかも知れない危険を犯してまで僕に謝罪の言葉を言ってくれた直ぐ後、犯人達の中の誰かが、訳の分からない事を言い出した。

僕の反対側に居るアリサって子も訳が分からないのか、気丈にも犯人達を睨みつけながら言葉を返す。

でも、何故か僕の隣に居る少女は顔色を真っ青にしていた。

 

 

 

――まるで、今の『バケモノ』って言葉に聞き覚えがあるかの様に。

 

 

 

「へへっ……それはなぁ――」

「そこの紫髪のガキの、そして我々夜の一族の事さ」

 

と、先程まで上機嫌に話していた男の言葉は途中で遮られ、そこにまた別の人物の声が割り込んできた。

その声の主は、黒服とは真逆の白いスーツを身に纏った姿で現れた。

両隣と後ろに表情の欠けたメイドを引き連れて。

顔は正にイケメンそのものだが、僕達を見る視線は養豚所の豚を見る様な目付き。

つまるとこ人として見られて無いと言う事だ。

 

「……氷村の叔父様?」

 

そして、さっきまで震えていた少女は、顔面蒼白といった顔色のままに、こっちまで歩み寄ってきた男を視界に捉えてポツリと呟く。

叔父?……と言う事は、主犯はこの子の親戚か?

いやそれよりも……。

 

「……夜の一族って何よ?」

 

僕の疑問と同じ事を聞いたのはアリサって子だ。

彼女の言葉を聞いた氷村とかいう男は、その言葉に不機嫌そうに鼻を鳴らす。

 

「下等種如きが僕に話しかける等、身の程を弁えないとは……まぁ良い」

 

氷村は不機嫌な顔付きを変えて口元を歪ませると、紫の髪の女の子に指を突きつける。

その動作を見てる女の子は、目尻に涙を溢れさせながらうわ言の様に呟いていた。

「止めて」、と……。

 

「ソコに居る月村すずかはなぁ、僕と同じ夜の一族!!吸血鬼なのさ!!」

 

しかし彼女、すずかって子の懇願は聞き入れられず、氷村は彼女の知られたくなかったであろう言葉を高らかに宣言してしまった。

 

「ッ!?……あ……あぁ……あぁぁぁぁ」

 

それが引き金となったんだろう。

今まで気丈にも泣かなかったすずかって子は、声を押し殺し、泣いた。

しかし、アリサって子は今聞いたワードが信じられないって感じに呆けてた。

ちょっと待てよ……彼奴今なんてった?

 

「……吸血鬼?」

 

「あぁそうさ!!人間という下等種を遥かに上回る超人的な肉体!!頭脳!!そして吸血衝動に狩られ、人の生き血を啜る選ばれた種族!!それが夜の一族だ!!」

 

氷村はまるで大々的に誇る宣伝の様な大声で、この廃墟一体に自分の演説を披露する。

両手を仰々しく広げて天を仰ぐその姿は、自分という存在に陶酔してる様にしか見えない。

 

「いや……いやぁ……やだよぉ」

 

一方で、同じ血を受け継ぐと言われたすずかは、まるでこの世のお終いを体験したかの如く顔色が悪い。

そんなすずかの怯える様子を見た氷村は、これでもかと不機嫌な表情を浮かべた。

 

「ふん……だというのに、この上位種たる僕を差し置いて夜の一族を統べる当主という立ち位置に居座った月村の一族、そしてこの女は自分を偽って人間共という下等種と友情なんぞが築けると疑って……いや、縋っていたんだな?秘密を隠し通せば、友達等と言うくだらんモノが出来ると本気で考えていたんだろう」

 

しかし話していく中で、氷村は蔑みを篭めた笑みですずかを見下ろし、残酷な言葉を叩きつける。

この子の全てを否定するかの如く。

 

「止めて……止めてよぉ……言わないでぇ」

 

すずかの懇願する声を聞いて、氷村は更に笑みを深めていく。

更に今度はアリサにまでその目を向けやがった。

まるで長年の鬱憤を晴らすかの如く。

 

「だが残念だったなぁ、下等種共?貴様の友とやらは、夜を彷徨うバケモノだったのだか「……のよ」……何?」

 

氷村の言葉に被せる様にアリサは何かを呟き――。

 

「だから何だってのよ!!この気持ち悪いヘタレナルシストッ!!!」

「――ッ!!?」

 

 

 

 

 

途轍も無く強い意志を篭めた瞳で氷村を睨みつけ、威勢の良い啖呵を切った。

その啖呵を聞いた氷村は、驚愕の表情を浮かべる。

 

 

 

 

「黙って聞いてたのが馬鹿らしいわッ!!何かとんでも無い理由が出てくるのかと思ってたら、要は自分が当主だか何だかになれなかった事への八つ当たりじゃないッ!!陰湿どころかヘタレ過ぎてちゃんちゃら可笑しいったらありゃしないわねッ!!見た目はそこそこでも、アンタみたいなマザコンのヘタレじゃ生きててもしょうがないわよッ!!」

 

「なッ!?……なぁッ!?」

 

まるで水を得た魚の如く、暴言という名の攻撃を繰り出すアリサ。

突然過ぎるアリサの変貌に、今まで泣いていたすずかも顔を上げた。

彼女の顔は、涙の痕が残っていたが、今はその瞳に悲しみは現れていない。

一方でその言葉を聞いた氷村は、声にならない声を出し、顔を赤に染めていく。

凄いな……人が怒りで顔真っ赤にするとか初めて見よ。

しかしそれでも彼女のターンは終わらず、彼女の口撃は激しさを増す。

 

「すずかはアンタ何かとはぜんっぜん違うわ!!えぇ比べるのもおこがましい!!あんたみたいな万年厨二病の痛いヤツが、私の親友を馬鹿にしてんじゃないわよ!!」

「ちゅ、厨二?……僕が、厨二?」

 

「えぇそうよ!!何よ、自分の事を選ばれた者みたいに長々と語っちゃって!!気持ち悪いったら無いわよ――すずかが化け物だろうと何だろうと知ったこっちゃないわッ!!アタシはすずかの『親友』なのよッ!!」

 

言いたい事を言い終えてスッキリしたのか、アリサは満足そうに息を吐いて氷村を睨みつける。

しかし氷村はと言うと、アリサに言われた事が余程ダメージがデカかったのか、茫然自失って状態だった。

しかも周りに居る黒服共までもがポカンとした間抜け面を披露してるからだ。

 

(アーカード起きてるかい?)




次は戦闘シーンをまでいきたいです
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