ロクデナシ賢者教師、現代ダンジョンを転移と核撃で破壊する   作:ゴミカス蛆虫宮沢鬼龍

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模擬戦

新たに生徒となった二人に君は持ち前の他人への無関心さを存分に発揮した。

 

なぜ探索者になりたいのかという質問、親睦を深める様な事は一切言わずに単刀直入にクラスを聞いたのだ。

 

 あらゆる探索者にはクラスが決められている。

 

 戦士なら肉体への成長、僧侶なら白魔術の習得が効率よくできるようになるなどクラスに応じたボーナスを得られるためどのクラスであるかは探索者のかなり重要な要素だ。

 

 そして赤髪ヤンキーのクラスは聖騎士。

 白髪少女のクラスは魔法剣士だと伝えられた。

 

 聖騎士はは全クラスの中でもかなりの当たりとも言われる職業だ。探索者の基本4技能と呼ばれる剣術、白魔術、黒魔術、斥候術のうち剣術と白魔術に適正がある。

 

 複数の技能に適正を持つクラスは基本的に中途半端になりがちだが聖騎士は別だ。二つの技能を高水準で育てられる。

 

 それに対して白髪少女のクラス、魔法剣士は剣と黒魔術に適正こそあるが双方共に中途半端だ。

 

 下位の黒魔術には一つを除いてそこまで強いものは無いので魔術要員としては微妙、そして近接戦闘能力は純戦士に見劣りするためそちらも微妙。

 

侍は君の同僚である世界最強の探索者【勇者】の職業であるがアレが例外なだけで基本的に侍は大成しないのが常識だ。

 

「先生のクラスは何なの?すごい魔術師だって聞いたんだけど。」白髪少女が質問する

 

 俺のクラスは賢者だ。

 

 君がそう言った途端微妙な空気が広がる。

 

何を隠そうクラスの中でもかなりの外れが賢者というクラスだ。

 

黒魔術白魔術に適正があるというと強そうだがどちらにも大した適性は無い。なにせ4位階より上の魔術を使える賢者は君以外にいないのだ

 

基本的にどのクラスになるかは運、そしてクラスを後天的に変えるのは不可能なためクラスが賢者になった人間は探索者を諦めるのを強要される。

 

白髪と赤髪の間にこいつに師事して大丈夫か?という空気が流れる。

 

その空気を吹き飛ばすべく君は一つの提案をした。

 

 俺は素手、10秒経つまでは魔術使わないという条件で模擬戦をやろう。一撃でも良いの入れられたら今日の飯は奢ってやる。

 

 まずはそっちの赤髪からだ、かかってこい。

 

まずはこのいけ好かない赤髪をボコボコにして〝わからせ〟よう。

 

そう思った君の目から放たれる敵意の籠もった視線に触発されて赤髪がのそりと立ち上がった。

 

「俺強いッスよ、センセイ」

 

そう言いながら赤髪は不敵な笑みを浮かべる。

 

「ここに来る前に調べたんですけどセンセイ普通の家の出でしょ。そういう荒事は俺等みたいなイイトコの出の人間に任せてくださいよ。先生達と違って俺等は才能も義務も背負ってるんで」

 

 生意気な口調で挑発してくる君主青年に御託は良いからとっととかかってこい、と言い返す。

 

「素手だから負けたとか前衛いなかったから負けたとか後で文句言わないでください、ねっ!」

 

 君主の青年が強烈な踏み込みで君に接近する。

 

空気を引き裂く様な音と共に強烈な唐竹割りが繰り出される。

 

 並の後衛職なら確実にダウンしていただろう強烈な斬撃を君は素手で受け止めた。

 

 素手でいなしたのにもかかわらず君の心に湧いたのはこいつ凄えなという感情だった。

 

 これは単なる真実だが君は強い。もうめちゃくちゃなまでに。魔術では世界最高峰、肉体も殆どの純近接職探索者を凌駕する程に頑強である君には彼の剣も容易く見切れる。

 

 はっきりいって今の彼の剣技だと寝ながら戦いでもしない限り君の皮一つ裂くことすらできないだろう。

 

 しかし君には分かるのだ、彼の剣技の異常性が。

 

 一体どれだけ剣を振ればダンジョンでの順応を進めずにこの領域へたどり着ける?一万回?一億回?一兆回?一京回?

 

 何でも良い。

 

 血を吐き泥を啜りぶちまげた血と泥の混合物を更に啜って出たような勤勉さの結晶であることは間違いないのだから。

 

 とにかく真っ当な努力と研鑽のにじみ出るような愚直な一刀。

 

 意外な事に劣悪卑劣卑怯怠惰極まりない君は努力というものに敬意を払い憧れ尊ぶ。

 

 二度の受験と一度の就活の中で柄にもなく努力と挫折を味わったためだ。

 

 眠気と苦痛を振り払い刹那でも多く自己研鑽に齧りつく尊さも、努力が無駄になるかもしれないという不安と恐怖も、すり減った心で必死に藻掻く苦しさも知っている。

 

 童貞以外にアイデンティティの無いカスだの老若男女の悪いところミックスセットだのろくでもないあだ名を大量に持つ君の数少ない人格面での長所と言えよう。

 

一閃を受け止められた赤髪は剣を手放し後ろに飛び予備の剣を【アイテムボックス】から取り出した。

 

 「…舐めたこと言って悪かったよ、()()

 

 良いよ舐められるのは慣れてるんだ、俺の()()()

 

 彼に敬意を払いながら君が詠唱したのは第一位階【小炎】

 

 全魔術の最低レベルに位置するこの魔術につけられた渾名は【屁】だ。

 

 炎を打ち出す魔術だがとにかく威力が低い、範囲が狭い。弾速が遅い。線香花火かという程ショボい

 

 ガチの屁ぶっ放したほうが悪臭の分ダメージがデカいともっぱらの評判だ。

 

 これしか使えない魔術師は基本パーティに入れてもらえ無い。

 

 後方で戦士職に石でも投げさせていたほうがはるかに強いからだ。

 

将来新たな魔術が使える将来性を加味しても魔術師は掃いて捨てるほどにいる。

 

よっぽど一芸が無い限り探索者は諦めたほうが良い。そう言われる程度の魔術だ。その程度の魔術のはずだ。

 

 それがどうだろう、君が詠唱し頭上に出現させたそれは半径一メートルに達する火球と化している。

 

 打ち出されたそれを赤髪君主青年が必死に横に飛んで躱す。

 

「【大炎】か!上等だ!」

 

 今のを炎系最強の魔術と誤認した聖騎士少年の叫びが広がるが君は涼しい顔をしている。

 

 今のはメ◯ゾーマではないメ◯だ。

 

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