ロクデナシ賢者教師、現代ダンジョンを転移と核撃で破壊する 作:ゴミカス蛆虫宮沢鬼龍
模擬戦から2日、いつも通り事務仕事をしている君のところに君の同僚、異様に口の悪い目の死んだ青年、通称【死神】が伝言を伝えに来た。
クソッタレ赤髪チンピラカスのガキが菓子折りを持ってやってきた。とのことだ。
なんでも先日の試合の件で君に謝りたいことがあるそうだ。
あいつチンピラみたいな外見してるのに嫌に素直だな、良い奴じゃねえかと君は思ったが頭を降ってその考えを追い出した。
悪党が気まぐれに善行を積んだのを過剰に褒め称えるのはずっと真面目に生きてきた人間への最大の侮辱であると考えている君だ。
今の自分の考えは最低の人間のやることだったなと自嘲しながら立ち上がった。
まあ今回の場合君主青年が悪党かと言えるのかは大分怪しいのだが。
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ノブレスオブリージュという言葉がある。
主に富裕層、有名人、権力者、高学歴者が「社会の模範となるように振る舞うべきだ」という社会的責任に関して用いられる言葉だ。
君主青年はこの精神がめちゃくちゃに強いようで、恵まれた自分が恵まれて無い人間に負けたのは恥だ、怠惰だ、義務を果たせていないと涙で顔面をくしゃくしゃにして語った。
初対面の時のヘラヘラした軽薄そうな雰囲気は消え去り君へ舐めた事いってすみませんでしたと謝罪をする際には土下座までしかねない雰囲気だった。
過剰な謝罪を一種の暴力だと感じている君に全力で止められたが。
センセイに勝ちたい、センセイを超えたい、センセイに認められたいと語って帰って行った君主青年の背中からは上流階級特有の気品とプライドがにじみ出ていた。
その気品とプライドは君にとって決して不快なものでは無かった。
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そして次の日、君、白髪少女、赤髪青年は迷宮に来ていた。
こびりついた血特有の不快な据えた匂いが漂うもののどこか懐かしい匂いも感じられる不思議な空間。
クソッタレで悪意まみれでどうしようもない愛しい愛しい地獄。
迷宮の雰囲気になれさせるため、そして迷宮の魔物との初戦闘、及びに初の殺害の覚悟を決めさせるためブラブラと君たちは歩いていた。
敵が弱いこの階層では戦闘より厄介なのは罠だ。
悪意に染まった迷宮では通路にも宝箱にも致死性の罠が仕掛けられている。
そして君は罠が苦手だ。
というのも、君の魔術行使能力は驚異的だが、頭と察しがいまいちなのでそこそこの確率でトラップに引っかかるのだ。
なのでいつも通りの手を使う。
お約束の【核撃魔術】だ。
以前君はほぼすべての問題を転移と核撃で解決可能といったが罠も例外ではない。
範囲を本日の探索予定ルート全て―もちろん道中の探索者は範囲に含めない様にする―に限定した【核撃魔術】を叩き込んだ。
ジメジメとした迷宮の壁を干からびさせるようなそれは人類の生み出した最強最悪の暴力を体現した閃光。
上を通った探索者を串刺しにする植物を利用した処刑装置【鮮血槍林】や捕食性スライムを体内に注射してくる【餓食故注】といった罠が塵一つ残さず消し飛んだ。
塵一つ残さずという表現はありきたりでチープな表現だとは思うが実際に君の【核撃魔術】を食らった対象は跡形も無く消えるのでそうとしか言いようが無いのだ。
もし盗賊、忍者といった斥候系クラスについた連中が今の罠解除を見たらブチギレそうだがこれが一番速いから仕方ないなと君は思った。
おそらくこんな事ばっかやってるから君はどんどん頭を使わなくなっていくのだろう。
一応フォローしておくがいかに君が優れた魔術師であろうと斥候の仕事を完全に奪うことは無い。
通路の罠に対しては核撃罠解錠は有効なのだが宝箱に仕掛けられた罠に対しては無力だ。
もちろん核撃魔術を宝箱に叩き込めば問題無く罠を破壊できるものの中身まで粉砕してしまう。
それではまさに本末転倒だ。
3種の神器なる規格外のマジックアイテムが中身であれば【核撃魔術】ですら耐えきる耐久性があるため漢解錠も有効な手段なのだが少なくともこの階層で核撃魔術を耐えられる存在はいない。
魔物も探索者も道具もだ。
まあ今回は赤白コンビの順応レベルアップを進めるために来たので何の問題も無いのだが。