機動戦士ガンダム ジークアクス  船乗りの道導   作:海空陸一体

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 戦いは時の運と言うが、実際は前準備の99パーセントでほぼ決まり、残る1パーセントの努力で勝敗を分けるけど、歴史で注目を集めるのは後者の方だ。


第5話 ルウム会戦 中編

 

 宇宙世紀0079 1月23日

 

 サイド5・ルウムへ駒を進めた、ジオン・連邦双方はそれぞれの目的に従って行動を開始する。

 

 サイド5から地球連邦宇宙軍第二艦隊が離れた隙を狙って、シャア・アズナブル中尉率いる部隊が破壊工作を実施。

 これを受けて、レビル中将は第一連合艦隊から、ワッケイン少将にダグラス少将の分艦隊を派遣。減少した戦力は、第三連合艦隊との距離を詰める事で対応した。

 

 ジオン軍は、連邦艦隊の撃滅。

 連邦軍は、制宙権の奪還。

 

 この認識の違いが、戦いの行方を大きく左右する事になった。

 

 

 

 

 ティアンム中将座乗艦・第二艦隊旗艦『タイタン』

 

「前方、三万五千にジオン艦隊を捕捉」

「敵戦列に『ワルキューレ』を視認。ドズル艦隊だと思われます」

「敵艦隊は全てムサイ級で固められています。グワジン級やチベ級は確認出来ず」

 

 次々と上がってくる報告に耳を傾けながら、ティアンムは怪訝な表情をする。戦力では優勢な第二艦隊相手に、マゼラン級戦艦に引けをとらない火力を持つ、グワジン級戦艦が姿を見せない事に疑念を抱いた。

 

「間もなく距離三万……!?ジオン艦隊発砲!」

 

 レーダー画面を睨んでいた参謀の一人が警告を上げる。暗黒の果てが光輝いたと思ってから、差ほど時間を置かず第二艦隊へ黄金色の光線が流れてくる。

 

「この距離でか?」

 

 しかし、ジオン艦隊のメガ粒子砲は命中することなく、艦艇から離れた空間を通り過ぎてゆく。

 

「有効射程外です、味方艦に被害無し」

「ジオン艦隊、第二射来ます。距離二万九千」

 

 続けて放たれた砲撃も陣形の隙間へ流れ、宇宙の彼方へ消えていく。

 

「ジオンめ、何を考えているか知らんが。借りを返させてもらう」

 

 ティアンム中将の言葉を受けて、幕僚団と艦橋要員たちは一斉に動き出す。

 

「全艦!砲撃用意!!」

「レーダーに障害発生しつつあり、ミノフスキー粒子と思われる。距離二万八千」

「光学測距に切り替え、敵艦隊の発砲光から位置を逆算せよ」

 

 マゼラン級戦艦『タイタン』の艦橋最上部に設置された、レンジファインダー(光学測距儀)が己が敵との距離を正確に測る。巨大な双対の望遠レンズとレーザー測定器の組み合わせは、枯れた技術ではあるが、それ故に高い信頼性を保証していた。

 

「艦対艦レーザー通信を怠るな、防空球形陣を維持せよ!」

「各見張り員、全周警戒。僅かな異変も見逃すな」

「距離二万七千、火器管制システムチェック異常なし」

 

 陣形が横縦陣や梯陣、単縦陣など戦隊毎にバラバラなジオン艦隊に対して、地球連邦軍第二艦隊はマゼラン級戦艦を中心に複数の球形陣を形成し、防空戦に有効と考えられるコンバット・ボックスを組んでいた。 

 

「巡洋艦『サロ』被弾、戦線を離脱。戦艦『コロラド』被害軽少と報告あり」

「全砲門、スタビライザー起動。VLS、安全装置解除!」

「敵艦隊との距離、二万六千。有効射程まで、あと千」

 

 マゼラン級戦艦の大型連装メガ粒子砲が、ゆっくり鎌首を敵へ指向する。単装の速射メガ粒子砲を、滑らかな動きで目標へ向けるサラミス級。船体に据え付けられた、多数のミサイルランチャーの発射口を開放するレパント級フリゲート。

 修正射を繰り返していたジオン艦隊の砲撃。互いに距離を詰めつつあるのも影響して、ついに被弾する艦も出たが陣形が乱れることはない。寧ろ強烈な敵愾心を煽る結果になった。

 第二艦隊へ補充された艦艇群はモスボール艦の他に、コロニー駐留軍やパトロール艦隊の残存戦力から充てられている。彼らの憎しみは知らず知らずの内に伝播し、第二艦隊の底なしの戦意へと変わっていた。 

 

「砲撃、始め!」

 

 ティアンム中将の号令が下ると、地球連邦宇宙軍第二艦隊は溢れんばかりの憎悪と怒りを込めて、ジオン艦隊へ発砲した。

 

 

 

 

 反撃を開始した第二艦隊を前に、ジオン軍は事前に練られた作戦に基づいて行動を開始した。

 囮を務める少数の殿を残して、旗艦『ワルキューレ』に続くように離脱を開始した。

 

「敵艦隊の砲火苛烈!」

「味方艦の被害が予想を超えています!?」

『こちら『ラファイエット』、右舷推進器に被弾せり。されど任務を全うせん!』

 

 囮部隊の指揮を担うムサイ級『エレメント』の艦橋は、断末魔を上げる味方の声とクルー達の悲観的報告が混じっている。

 既に『ワルキューレ』を始めとする多くの艦艇が、ミノフスキー粒子により発生した電子の雲を利用し、第二艦隊の左右を迂回する形で、その砲撃の雨から逃れていた。

 そして今もなお、豪雨の如く撃ち込まれるメガ粒子砲に捉えられているのは、運悪くエンジンをヤられた『ラファイエット』のような艦や、決死の覚悟で踏み止まる『エレメント』率いる部隊。

 

「怯むな!!敵に本隊が離脱したのを悟らせてはならぬ!我々の戦いがジオン独立に繋がる事を心せよ!!」

 

 艦長の雄叫びに応えるように、艦橋前部の3基の連装メガ粒子砲が、黄金色の光線を休むことなく撃ち続ける。連邦艦隊に対して果敢に立ち向かう『エレメント』の姿に影響を受けてか、被弾し大破状態の艦も生き残った砲を振り上げた。

 されど数は劣勢。反撃してくる艦には、10倍返しと言わんばかりに砲火が集中する。マゼラン級の砲撃により爆散、サラミス級の戦隊から統制射撃を受けて航行不能、レパント級ミサイルフリゲートから飛んでくる大型対艦ミサイルは、一発で瀕死に陥った。

 

「『グワラン』より暗号通信!ワレ、モビルスーツ隊第一派発艦完了セリ!!」

「……そうか。聞いたな諸君!今しばらく耐えるのだ!そうすればドズル閣下が必ず仇を取って下さる!!我等の屍がスペースノイドの真の自由の礎となるのだ!!!」

 

 『エレメント』率いる囮部隊は、死を目前としながらも獅子奮迅の戦いぶりであった。事実、第二艦隊はマゼラン級3隻を中心に、少なからず放棄又は戦線離脱さぜるを得ない程の損害を受けた。

 

『ジーク・ジオン!!』

 

 僚艦が全て撃沈されてもなお、最後まで抵抗を続けた『エレメント』の乗員達は、艦が火達磨と化す中、ジオンの勝利を叫びながら轟沈した。

 

 

 

 

 

 

 ジオン軍MS強襲軍団 旗艦『グワラン』

 

 囮部隊の最後に放った通信は、散布されたミノフスキー粒子により発生した電磁波が届かぬ暗礁地帯に潜む、MS母艦群にも届いた。

 

「味方の犠牲を無駄にしてはいけない!直ちに第二次攻撃隊発艦せよ!!」

 

 軍団司令部の号令。これを受けて500機余りのザクが次々と、ブースターを吹かしながら格納庫から出撃する。第一次攻撃隊の700機超を加えると、1200機以上の編隊は一路、連邦軍の大艦隊を目指して宇宙を翔る。

 ミゲル・ガイア特務中尉が先導する第一次攻撃隊はレビル本隊を、発艦し隊形を組みつつある第二次攻撃隊は、レビル本隊より遅れて進む敵第三連合艦隊をターゲットとした。

 

「これで格納庫は空っぽ、直掩機も全て駆り出した」

 

 この大型戦艦『グワラン』の船体が、過積載されたモビルスーツ隊に時折、悲鳴を上げるのを聴きながら、待機地点に到着した時など安堵を憶えた。

 本作戦を最高司令部から聞かされた時、どの艦の艦長や整備長が嫌がり、それをドズル閣下とキシリア閣下の両名が、2人掛かりで説得する珍しい光景が見られた程だ。

 本国防衛隊や、敵陣突撃を敢行するムサイ級で統一された本隊から、押し出されてきたザクも全部載せてきたのだ。

 

「頼むぞ、戦争の行く末はMS隊の働きに掛っている」

 

 艦橋と宇宙空間を隔てるガラス越しに、スラスターの墳進光を輝かせるザクの背中を見送りながら、回収地点への移動を命じる。

 腹に抱えていた巨人達が居なくなった事で、軽くなった船体を緩やかに旋回させながら、『グワラン』を中心とする母艦群は移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球連邦宇宙軍 第一連合艦隊

 副将 ロドニー・カニンガン准将座乗艦 マゼラン級『ネレイド』

 

 地球連邦設立以来、その権威を誇示してきた連邦軍の証とも例える事が出来る程の戦力で、会敵予想宙域に進む連邦宇宙艦隊。

 それを構成する一翼を担う『ネレイド』の艦橋で、カニンガンは言いようのない不安を抱えていた。

 

「ティアンム中将の第二艦隊からの続報はないのか?」

 

 そう聞かれた通信オペレーターが顔を左右に振って否定する。接敵を知らせる第一報が届いてから、何の音沙汰がないのだ。

 

「准将、レーダーも10分以上前からホワイトアウトしたままです」

 

 レーダー画面を操作する下士官が、故障ではなく何らかの外的要因によるものだと告げる。

 

「ミノフスキー粒子か、話には聞いていたがまさか此処まで酷いとは想像してなかった」

「電波通信は完全に使用不可の状態です。現在、レーザー通信で代用出来ていますが、本格的な艦隊行動には不安があります」

 

 艦長の懸念も理解していると返し、手に持ったコーンパイプで遊びながら考え込むカニンガン。

 ジオン艦隊発見の報から間もなく20分が過ぎようとしていた。その一報の後からレーダー画面に異常が発生し始め、第二艦隊からの連絡を途絶えたままだ。

 ティアンム提督が敗北したとは考えられなかった。ジオン艦隊の戦力が()()()()()()()()()()()()()()のは、報告に含まれていた。マゼラン級であれば小細工無しで撃破出来る上に、サラミス級やレパント級は数で圧倒している。

 

「待て……ムサイ級のみ艦隊?」

 

 そこで初めて疑問を憶えた。グワジン級やチベ級などのが確認出来ていない事に。そしてまだ姿を見せぬ巨人の存在が頭をよぎる。 

 

「ミノフスキー粒子の影響がここまで広がると考えられるか?」

「サー、私も詳しい事までは理解出来ていないので確証はありませんが、誰かが意図的に我々にまで影響が出るほど撒いているとしか」

 

 傍らの居る参謀達に問い掛けると、その内の一人があくまで仮定の話としながら、自らの予想をカニンガンに伝える。意図的に撒いてるとしたら誰だ?ティアンム中将はそんな事はしない。

 だとしたら、散布する必要性があるのはジオン軍しかいない。ナニが目的でミノフスキー粒子を過剰とも言えるレベルで散布している。

 

「レーダーが使えない状態でなければ成立しない戦法?……奇襲か?だが電波も使えない……いや、違う。奴らは端から捨ててるのか…!」

 

 カニンガンは最悪の事態に思い当たった次の瞬間、見張り所から緊急の報告が入る。

 

『艦長!『フォレスタル』が被弾!!』

「モニターを出せ!」

 

 艦橋に居る全員の眼に、艦中央部で誘爆を繰り返すマゼラン級の光景が映った。爆発を止まることはなく船体が真っ二つに割れた。

 

「マゼラン級が……」

「全艦に命令!緊急戦闘配備!!」

 

 唖然とする艦長を置いて、指揮下の戦隊に緊急配置を命じるカニンガン。一気に艦内が騒然とする中、外から強烈な閃光が入ってきた。

 それに目を向けると、『アナンケ』が一隻のムサイ級と擦れ違うのが見えた。

 

「『ワルキューレ』!ドズル・ザビの座乗艦が何故ここに!!」

『総旗艦『アナンケ被弾』!繰り返す!!総旗艦『アナンケ』被弾炎上!?』

 

 事態は瞬間的に悪化している。『ワルキューレ』を先頭にムサイ級の2~3隻の戦隊が、次々に第一連合艦隊の内側に突入し、至近距離からメガ粒子砲の猛射を浴びせている。

 

「て、敵だ!?」

「索敵機はどうした!見逃したのか!!」

「『アナンケ』との通信途絶!」

 

 レビル中将の『アナンケ』は健在ではあった。しかし、『ワルキューレ』からの砲撃により通信設備が損傷し、艦隊指揮が不可能な状態に追い込まれていた。それが混乱に拍車を掛け、第一連合艦隊の連邦軍艦艇はマトモな反撃が出来なかった。

 

「なんてこった……ピクニック気分で戦場に来たのは我々の方だったか!」

 

 事態の深刻さを認識したカニンガン。それに追い討ちを掛けるかのように凶報が飛び込んできた。

 

『こちら右舷サブブリッジ、下方から多数の飛翔体接近!』

 

 見張りの悲鳴のような報告と同時に、『ネレイド』が大きく揺さぶられる。外を見れば同じように被弾している友軍の姿。

 

「カニンガン准将!第三連合艦隊・第五艦隊より平文の緊急文です!!」

「読め!」

「サー!『発・第五艦隊旗艦『オケアノ』宛・第一連合艦隊各旗艦へ。第三連合艦隊は敵人型機動兵器の攻撃を受ける。第四艦隊旗艦『オーシャン』は大破、艦隊は大混乱に陥りつつあり』以上です!!」

 

 内容を聞きながら艦橋の外を見続けていると、連邦艦隊とジオン艦隊の間を飛び越えるように上方へ向かうザクの大編隊が見える。

 モノアイを光らせながら獲物を見定めるその姿に、カニンガン准将は悟らざるを得なかった。

 

「我々は嵌められたのだ!!」

  

 

 

 

 

 

 地球連邦宇宙軍・第三連合艦隊を襲撃する総数500機を超えるMS隊。ミノフスキー粒子により中長距離の対空監視が機能不全となり、その接近を探知出来なかった時点で勝敗は決していた。

 

 対艦用の280mmザク・バズーカを構えた3機編成のザクが航過すると、その進路上に滞留していたレパント級が横転しなから行き足を止める。

 対艦ライフル・ASR-78から狙い澄まされた弾丸がエンジンブロックを撃ち抜くと、サラミス級が艦尾から炎を噴き出し味方艦と衝突する。

 多数のザクがハチの様に群がり、手持ちのザクマシンガンから120mm徹甲榴弾を浴びせられると、穴だらけになり沈黙するマゼラン級。

 

「狩り放題だな」

 

 断末魔を上げる艦と狂ったように対空砲火を上げる艦が混じり合い、眼下は混乱の渦中にあった。唇を湿らせながら選定し、孤立したマゼラン級に次の獲物とする。

 

「ダイブ!ダイブ!!ダイブ!!!」

 

 スラスターを少しだけ使い機体を捻れば、敵艦へ向かって急降下してゆく愛機。ブースターで加速した事で強烈なGが発生するが、それすら心地よく感じる程だ。

 使い捨ての手持ち式ロケットランチャーを準備しながらマゼラン級へ降下する。獲物はこちらには気がついておらず、周囲を飛び回るザクに対して、デタラメに対空砲を撃ちまくる。

 衝突寸前まで近づきシュツルムファウストを放つ。

 

「これで2隻目!」

 

 バズーカ弾より大型のロケットが、船体に食い込むと爆発と共に大きな破坑が出来、僚機がそこに追加のクラッカーを擦れ違い際に放り込む。

 

『今のは共同戦果だな、ジョニー』

「オイオイ、ファウストが直撃した時点で撃破確実だろ!」

 

 艦内部をクラッカーが炸裂しズタズタにされ、のたうち回りながら沈むマゼラン級。  

 その横を、第一連合艦隊を突破し、パニック状態の第四艦隊へ襲いかかるムサイ級の戦列が通り過ぎる。

 

『撃ち続けろー!今、ここで!!連邦艦隊を叩きのめすのだ!!!』

「ドズル閣下は気合い入りすぎだろ」

 

 砲身が焼き切れんばかりに連射する『ワルキューレ』のメガ粒子砲。至近距離なので最大出力まで溜める必要はなく、発砲可能になりしだい連邦艦に撃ちまくっている。

 旗艦に続く傘下の艦艇群も、最寄りの敵艦に向かって黄金色の豪雨を降らせる。

 

「ん?」

 

 ドズル本隊の強襲を受けて壊乱し、バラバラに逃走し始める連邦軍第四艦隊。当然、単艦になってでも逃げようとする船が出てきてもおかしくはない。一隻のコロンブス級が隊列から離れてゆくのを見つけた。

 

「あれを沈めて、次こそ単独撃沈2隻目!」

 

 機体を加速させながら、マシンガンの残弾をチェックする。バディ機がしっかり付いてきてるのを確認しながら目標に向かうと、こちらに気がついたのかコロンブス級の格納庫の扉が開くのが見えた。

 

「まずは前菜」

 

 格納庫の少し先に照準を合わせ引き金を引く。ザクマシンガンから発射された弾丸のシャワーが、格納庫の鼻先を掠めるのと、発艦しようとしたセイバーフィッシュが重なる。 

 図太い120mm弾にキスをされた貧弱な機体が爆散するが、1機だけではない。母艦を守ろうと次々と飛び立とうとしていた機体が、張られた網に絡め取られてゆく。バディも同じように片側の発進口を狙い撃ちしている。

 そしてザクのモノアイが映し出すのは、上下に観音開きしている格納庫。腰部分にマウントしてあるクラッカーを取り出す。

 

「あばよ」

 

 全開になったそこへクラッカーを投げ込む。巻き込まれないように離れると、まだ残っていた艦載機に誘爆したのか、一際大きい火球となりながらコロンブス級が宇宙の塵となった。

 

「さて3隻目を探しますか!」

 

 後に、真紅の稲妻と呼ばれるジョニー・ライデンが操るザクは、その名に違わぬ戦果を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一連合艦隊・『ネレイド』直掩戦隊

 サラミス級巡洋艦『アオバ』 

 

 ジオン本隊の強襲とモビルスーツの自由自在な攻撃により、地球連邦軍第一連合艦隊は壊滅的打撃を受け、指揮統制が完全に崩壊していた。部隊としての集団行動を取れず各個の判断で生き延びようとするが、孤立した艦から狩り取られていた。

 そんな中、カニンガン准将は総旗艦『アナンケ』が指揮能力を喪失したと見るや、独自の判断で残存艦艇を纏め上げ撤退行動に移った。

 

「まだ離脱しない気か!?カニンガン閣下は!」

 

 近場の味方艦が僅かな希望を頼りに、離脱コースへ逃れるが、『ネレイド』は最後尾に留まり追撃しようとするジオン軍を妨害し続けていた。

 

「このままでは、我々も捕まるぞ!」

「モビルスーツ接近!4時方向、数2!!」

「主砲斉射!」

 

 対空砲は戦隊に取り付かんとする別の編隊を迎撃してる為、主砲にて対応するしかなかった。対空砲には及ばないもののそれなりの連射性はあり、接近を防ぐには効果があった。  

 『ネレイド』を守っているのは、『フルタカ』を先任艦とするサラミス級一個戦隊と、推進機関に被弾して離脱を諦めた艦艇群。

 

「カニンガン准将は、可能な限り味方艦を逃がすと…!」

「閣下の信念は理解しているが、既に充分過ぎる数が撤退している!それにトウゴウ大佐から閣下を頼むと言われた身を考えろ!?」

 

 頑強に抵抗すればするほど戦場では目立ち、連邦軍の残存部隊を見つけたと言わんばかりに、緑の巨人が寄ってくる。

 

「SAM!」

 

 ミノフスキー粒子下での戦闘を前提に、応急的に搭載した熱探知式の短距離防空ミサイルを発射する。複数のミサイルが向かってくるのを、既存の兵器を上回る機動性を駆使し回避するザク。

 その回避した先の空間に、より大型の対艦ミサイルがあったとしても特に警戒することもなく、ただ当たらないようにその脇を避けようとした。

 

「バカめ」

 

 ミサイルが起爆する。まさか突然、爆発するとは思わずにいたザクは、その衝撃と破片に巻き込まれ大破してしまう。『ネレイド』と直掩戦隊の周辺には、不用意に接近しようとし、返り討ちに合ったザクの残骸が漂流していた。

 

「ジオンのクソ野郎共、調子に乗りやがって……」

「『ネレイド』左舷に敵編隊!対艦装備です!!」

 

 見張り員の指し示す方向から、バズーカ砲を構える3機のザクが突入してくるのが見える。その時点で『アオバ』の艦長は覚悟を決めた。

 

「機関全開!『ネレイド』の左舷前方に出る!!」

 

 船体のあちこちから黒煙を曳きながら、『ネレイド』とザクの編隊の直線上に移動する『アオバ』。少しでもその行動を妨害すべく、向けられる砲は全て迎撃に当たらせる。

 

「左舷に居る乗組員は直ちに、右舷側に退避せよ!隔壁も閉鎖!」 

 

 艦内放送を聞いた乗員達は持ち場を離れると、次々と手動で非常ボタンを押し隔壁を下げる。被弾後の損害を少しでも抑える為だ。

 

「敵弾!来ます!!」

 

 ザクの編隊から飛んでくる数発の対艦ロケット弾。対空砲が撃ち落とそうするが、ミノフスキー粒子によりレーダー連動が機能せず、目視照準に頼るしかない状態では望みは無かった。

 

「衝撃に備え!」

 

 280mmロケットは、1発が『ネレイド』に2発が『アオバ』に直撃し、その船腹を抉った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宇宙世紀0079 1月24日

 

 地球連邦軍は、ルウム会戦に動員した300隻を超える、宇宙艦隊の7割強を損失。第一・第三連合艦隊は消滅し、総司令官レビル中将が捕虜になるなど、尋常ならざる損害を出した。

 大戦果を上げたジオン公国は、地球連邦政府に対して、事実上の降伏勧告を突き付けることになる。

 

 ティアンム中将の第二艦隊を除き、壊滅し敗走する連邦宇宙艦隊とは逆走する形で、トウゴウ大佐指揮のCSAR隊群はルウム宙域へ向かっていた。

 




 ルウム会戦 残存戦力

 ジオン公国軍
 ドズル中将直卒・ジオン軍本隊
 改ムサイ級・総旗艦『ワルキューレ』
 ムサイ級巡洋艦×41隻
 総数42隻  11隻、撃沈破

 ジオン軍MS強襲軍団
 グワジン級戦艦×4隻
 チベ級重巡洋艦×26隻
 パプア級補給艦×22隻
 ヤップ級大型輸送艦×4隻
 ザク×943機  343機、撃墜又放棄


 地球連邦軍
 ティアンム中将・第二艦隊(増強一個艦隊)
 マゼラン級戦艦×15隻  3隻、戦線離脱
 サラミス級巡洋艦×48隻  4隻、撃沈破  
 レパント級ミサイルフリゲート×22隻  2隻、撃沈破
 コロンブス級輸送艦×5隻  1隻、戦線離脱
 戦闘機14機×15飛行隊=210機  1飛行隊14機、放棄

 レビル中将直卒・第一連合艦隊
 マゼラン級戦艦×7隻  25隻、撃沈破
 サラミス級巡洋艦×11隻  91隻、撃沈破
 レパント級ミサイルフリゲート×4隻  32隻、撃沈破
 コロンブス級輸送艦×2隻  10隻、撃沈破
 戦闘機14機×4飛行隊=56機  30飛行隊、420機損失

 第三連合艦隊
 マゼラン級戦艦×5隻  23隻、撃沈破
 サラミス級巡洋艦×15隻  71隻、撃沈破
 レパント級ミサイルフリゲート×3隻  25隻、撃沈破
 コロンブス級輸送艦×3隻  5隻、撃沈破
 戦闘機14機×6飛行隊=84機  14飛行隊、196機損失


 
 ザクの損失が多すぎるかな?と印象を持たれるかも知れませんが、連邦艦隊も死に物狂いで対空戦闘をしている、と仮定して、この数字を出しました。
 またファースト設定上だと、ルウム会戦の影響は、地球降下作戦にも及んだとあるので、一定のザクの損耗があったのだと考えました。

 
 アンケートの結果、次話にて『宇宙の蜉蝣』にご登場願います。アンケートのご投稿、ありがとうございました。

 誤字脱字の報告。
 感想・ご意見をお待ちしています。
 
 

GQuuuuuuX本編 ガンダム2号機鹵獲、これによる本来の地球連邦軍量産型MS・『ジム』の不登場。それによる地球連邦軍の代用機体について。構想中ですが、SEEDの『ダガー』を代用して考えています。『ダガー』が『ストライク・ガンダム』の量産型の更に簡易生産モデルの設定なので、『ジム』の簡易型として『ダガー』を考えてます。

  • ダガー・シリーズ  OK
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