思い付いたヒロアカ系短編集   作:色々残念

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マジシャンズレッドだこれ その2

気分次第で、人は何かを壊すことができる。

 

八つ当たりとして何かを壊して鬱憤を晴らしたことがある人もいる筈だ。

 

個性という力があるこの世界で、強力な力を持った存在が壊せるものは、並みの人間が壊せるものとは規模が違う。

 

ビルを3分も使わずに平らにしたり、街1つ壊滅させることが可能な個性も存在し、国すら壊せる個性も無い訳じゃない。

 

改造を施されてマスターピースとして完成した死柄木弔の個性である崩壊は、日本という島国の大地を全て崩壊させて、1つの国を海に沈めることも不可能ではない個性だった。

 

数多の個性を所持しているオール・フォー・ワンに似たようなことが可能でもおかしくはないし、永遠にワン・フォー・オールを手に入れることができないことにオール・フォー・ワンが気付いて、何かしら行動する前に、どうにか見つけ出しておきたいところだ。

 

闇の支配者として治めるつもりがあるからこそ、世界を壊そうとまではしていなかったオール・フォー・ワンの箍が外れてしまえば、何をしてもおかしくはないだろう。

 

そんな危機感を抱きながら、時間さえあればオール・フォー・ワンを探してみたけれど、隠れ潜むことが得意なオール・フォー・ワンが、そう簡単に見付かることはない。

 

その代わり、オール・フォー・ワン以外のヴィランを発見することになって、ヒーロー殺しステインを見付けた僕。

 

路地裏でプロヒーローを殺そうとしている最中のステインの武器に、僕が投擲したのは拾った小石。

 

念によってオーラが込められた小石は、ステインが持つ刃こぼれした日本刀を容易くへし折ると、路地裏の壁面に深々とめり込んだ。

 

ステインの意識が壁面へとめり込んだ小石へと一瞬だけ向いた瞬間に、身動きできなくなっていたプロヒーローを抱えて移動し、ステインと距離を取っておく。

 

「ハァ、また子どもか。他者を助けるが為に力を振るって、迷わず動いて見せたところを見ると、前の偽者よりはマシなようだが」

 

包帯を巻いて顔を隠している此方を見て、そんなことを言ってきたステインは、自分が殺害した相手のことも覚えてはいるらしい。

 

「そんなに酷かったんですか?」

 

偽者だと判断された火山九郎が実際どんな感じだったのかが気になったので、背後にプロヒーローを庇った状態で試しに問いかけてみると、口を開いたステイン。

 

「他者を助ける意志も、己が傷付く覚悟もなく、ただ己自身の利益のことだけしか考えていない偽者は、子どもであろうと粛清対象だ」

 

静かに燃える思想犯の目をしながら、簡潔に此方の問いに答えたステインは折れた日本刀を捨てると、大振りのナイフ2本を鞘から引き抜き、構えた。

 

「ハァ、力が無ければ、自身の命すら守れはしない。その力を、お前は何の為に使う?」

 

嘘偽りを話そうと、それが本心ではないと見抜けそうなステインからの問いかけには、正直に答えておくとしよう。

 

「傷つき苦しむ誰かを見ないように、余計なお世話をする為ですかね」

 

そんな嘘偽りのない僕の言葉を聞いたステインは、笑みを浮かべていた。

 

「そうだ!己自身の為ではなく、他が為に力を振るう者にこそヒーローの資格がある!」

 

嬉しそうな顔をしているステインは、此方を粛清対象とは見なしていないみたいだが、僕の背後のプロヒーローを殺害することを諦めてはいない。

 

「子どもに庇われている偽者とは違う。お前は生かす価値があるようだ」

 

ステインの殺気は僕の背後のプロヒーローにだけ注がれていて、此方を殺害するつもりは無さそうだが、僕の動きを封じてプロヒーローだけを殺害しようと考えていそうなステイン。

 

凝血という個性を持つステインは、相手の血を舐めるだけで、身体の自由を奪うことが可能だった。

 

ほんの1滴でも血を舐められてしまえば身体が動かなくなり、その間に僕が背後に庇っていたプロヒーローは、確実にステインに殺されてしまうだろう。

 

手の届く範囲で、特に罪を犯した訳じゃない誰かの命を助けられるなら、助けておきたいところだ。

 

ハンター×ハンターの世界で身に付けた念を用いて、オーラを強める練の状態で留めて防御力を上げる堅を使うだけではなく、ダイの大冒険の世界で身に付けた闘気、史上最強の弟子の世界で身に付けた硬気功も併用し、肉体の強度を高めた今の僕の肌は、簡単には斬れない。

 

大型ナイフによる二刀流で襲いかかってくるステインの攻撃を、素手の打撃でナイフの腹を叩くことで、ナイフ自体を粉砕して防いだ僕は、ステインの顎に拳を叩き込むと同時に波紋を流し込んで、身体の自由を完全に奪っておく。

 

動けなくなったステインから刃物を全て没収してから縛り上げ、凝血の効果が切れて動けるようになったプロヒーローの人に、ステインから没収した刃物を渡し、縛り上げたステインを抱えた僕は、その場を素早く逃げ去った。

 

プロヒーローの人を置き去りにして、抱えたステインと一緒に移動していき、ある程度離れたところでステインを起こして、死柄木弔についての情報を持っていないか聞いてみたが、隠れ家として死柄木達が使っているバーの場所を教えてくれたステイン。

 

やけにあっさりと教えてくれたステインは「私利私欲ではなく、他者の為に動くお前にならば」と言っていたが、ありがたい情報ではあったんで感謝はしておき、再びステインに波紋を、今度は優しく流して眠らせておいた僕。

 

縛り上げたままのステインを警察署前に置いて立ち去ると、尾行されてないことを確認してから一旦自宅にまで走って戻り、今生の母には散歩に行ってたと言っておいた。

 

死柄木達が隠れ家として使っているバーに向かうのは、明日にしておくとしよう。

 

 

 

 

死穢八斎會の若頭である治崎廻ことオーバーホールが壊理という少女の身体を素材として、作成していた個性消失弾。

 

なんとなく直感でそれが必要になりそうだから頂いてしまおうと考えて、早朝から死穢八斎會のアジトへ、こっそりと潜入した僕は、治崎廻とその側近である玄野を、念弾を用いて暗殺して処理。

 

完成品らしき個性消失弾を幾つか奪うついでに、治崎の個性によって寝たきりにさせられていた組長さんを治療して、壊理ちゃんと引き合わせておく。

 

治崎が壊理ちゃんにどんな仕打ちをしていたのか知った組長さんは壊理ちゃんに謝っていた。

 

壊理ちゃんの角が伸びてきたら巻き戻しのエネルギーが蓄積されてきた証拠になることを組長さんに教え、個性を消せる個性を持つヒーローで、雄英教師のイレイザーヘッドなら、壊理ちゃんの個性が暴走しても止められることを伝えておいた僕。

 

組長さんに何者なのかと問われた僕は「今は悪質な泥棒ですよ」とだけ言って死穢八斎會の拠点から素早く立ち去る。

 

顔を包帯で隠し、名探偵コナンの世界で初代怪盗キッドから教わった声帯模写で声色を完全に変えておいたんで、緑谷出久だとは気付かれない筈だ。

 

それから神奈川県横浜市神野区に存在する死柄木弔のアジトであるバーへと向かった僕は、バーの内部に人が居ることを感じ取り、内部へと突入。

 

「ハロウィンには、まだ早いぜミイラ男」

 

包帯で顔を隠している此方を見て、ヘラヘラ笑いながらそんなことを言ってきた死柄木弔。

 

ヒーローには全く見えない此方をヴィランとでも思ったのか、あまり警戒はしていない死柄木弔とは違い、警戒を緩めない黒霧へと念弾を撃ち込み、体内で念弾を爆裂させて破壊した黒霧の肉体。

 

倒れて動かなくなった黒霧を見て、ようやく此方を警戒するようになった死柄木弔の両腕を、ワンパンマンの世界で身に付けた旋風鉄斬拳を用いて切断。

 

手が無ければ個性である崩壊が使えない死柄木弔が、このままなら殺害されてもおかしくはないとオール・フォー・ワンは考えたようで、泥を用いた転移を発動させて死柄木弔を逃がしたオール・フォー・ワン。

 

泥による転移は、転移させられる場所が限られている為、死柄木弔はオール・フォー・ワンの近くに転移させられた可能性が非常に高い。

 

死柄木弔の気は既に記憶してあるので、何処まで離れていても感知することができる僕は、ドラゴンボールの世界でヤードラット星人だった時に学んだ瞬間移動を用いて、死柄木弔の近くにまで瞬間移動する。

 

突如として姿を現した僕に戸惑う死柄木弔とは対照的に、オール・フォー・ワンは「いい個性だ。それは欲しいね」と楽しげだ。

 

工業地帯のようなマスクを装着しているオール・フォー・ワンは「オールマイトの友人が作った個性増幅装置も、このマスクの内部には仕込まれているのさ」と自慢気であり、余裕を崩してはいない。

 

「デヴィット・シールドの誘拐には失敗したみたいだが、その発明品だけは、ぼくの友人が届けてくれてね」

 

とてもとても楽しそうなオール・フォー・ワンが此方へと手を向ける。

 

「今のぼくなら手で触れずとも個性を奪える」

 

そう言いながら僕の個性を奪ったオール・フォー・ワンが、想定したものとは違う個性を得たことに、僅かな一瞬だけ動きを止めた。

 

その隙を狙って瞬間移動した僕は、完成品の個性消失弾をオール・フォー・ワンへと叩き込んだ。

 

完全に個性が消失してしまえば、個性を増幅できても意味がない。

 

「何をしたのかな」

 

個性が使えなくなったことへの戸惑いを隠せていないオール・フォー・ワンへと、僕は口を開く。

 

「僕の個性は、欲しがってたからくれてやりましたが、その代金として、お前の個性も消してやっただけですよ。個性の増幅装置があろうと、ゼロに何を掛けてもゼロでしょう」

 

それだけ言うと、構えた僕は個性が消失したオール・フォー・ワンを旋風鉄斬拳で輪切りにして殺害し、気弾によって死体すらも跡形もなく消し飛ばした。

 

残っているのは、オール・フォー・ワンから超再生を渡されたのか両腕が揃っている死柄木弔だけとなり、オール・フォー・ワンが殺害された怒りと憎しみを剥き出しにして、此方へと襲いかかってくる。

 

オールマイトへの嫌がらせと、ワン・フォー・オールを手にする為に、生き方さえも誘導されていた死柄木弔という存在。

 

ヒーロー「デク」であるなら、死柄木弔すらも助けようとしたんだろうが、僕は緑谷出久という名前であってもヒーロー「デク」じゃない。

 

ヒーローではない僕は、死柄木弔を助けることもなく、個性消失弾を叩き込んで個性を使えなくしてから、痛みを感じる間もなく安らかに、永遠の眠りだけを与えた。

 

残った死柄木弔の死体も消し飛ばしておき、自宅へと戻った僕。

 

休日が終わってから雄英高校に行き、個性が使えなくなったことを正直に雄英の教師達に伝えておくと、急遽校長先生とオールマイト先生に担任のブラドキング先生と面談を行うことになる。

 

個性ではなく特技であると伝えていた声帯模写で、オール・フォー・ワンの声を出して、この声の人に「いい個性だ。欲しいね」と言われたことを教えると「やはり生きていたのか!」と真剣な顔で怒りを剥き出しにするオールマイト先生。

 

いや、そいつもう死んでますよ、とまでは流石に言わないけれど「触れなくても個性が奪えるとも言ってましたね」とも伝えておくと、凄まじく頭を悩ませているようだった校長先生達。

 

その後、担任であるブラドキング先生と一緒に、ヴィランによって僕の個性が使えなくなったということをB組の皆に伝えた。

 

物凄く心配されることになったが、個性がなくても戦える僕ならヒーローになれると言ってくれたB組の皆には感謝をしておこう。

 

それから、個性ではない武術や技術を幾つか使用しておき、イレイザーヘッド先生にも協力してもらって、それが個性によるものではないと証明した僕。

 

イレイザーヘッド先生の個性である抹消を使われている状態で、数年前にオール・フォー・ワンとの戦いで負ったオールマイト先生の古傷も完全に治療してみたりもすると、凄まじく驚いていたオールマイト先生とイレイザーヘッド先生。

 

「緑谷少年ならリカバリーガール以上の治療系ヒーローになれるんじゃないかな」

 

「これが個性に関係のない技術だというのが驚きですが」

 

そんな先生2人の会話があったりもしながら、僕は戦闘も可能な治療系ヒーローとして戦っていくことになった。

 

個性が無くなったとしても雄英高校1年B組として生活していく僕は、ある日街中で、弓矢の矢じりの破片なようなものを見付けて拾ってみたが、それは僕に引き寄せられたかのように動き、僕の掌に突き刺さる。

 

突き刺さる矢じりの破片を引き抜いて、波紋で掌の傷を癒した僕の身体から、飛び出してきたのは、赤い鳥の頭を持つ人。

 

道行く人々には見えておらず、僕だけにしか見えていないこの赤い人には、とてもよく見覚えがあった。

 

「マジシャンズレッドだこれ!」

 

個性のマジシャンズレッドが奪われたと思ったら、矢じりの破片に刺されて、スタンドのマジシャンズレッドが使えるようになるとは思ってもみないよこれは。

 

というかこの矢じりの破片、スタンド能力を発現させる矢の矢じりの破片だったみたいだけど、凄まじい危険物じゃないか。

 

オール・フォー・ワンが居なくなっても、厄ネタがまだある世界ということになるよね。

 

スタンド使いが他にも居るとするなら、まだまだ僕が頑張らないと駄目そうだ。

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