男の娘は奴隷商人です。   作:セパさん

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少女は尊厳について思うようです。

「やぁウィリアムさん!やっとうちで働く気になったかい?」

 

「買ってもらう【商品】だが、淫紋を刻んでいる。それと元A級冒険者であることから名前も知れているだろう。1年契約で金貨150枚の価値はあると思うぞ。」

 

「おお、これは中々仕上がっているねぇ。噂には聞いているよ【ダフ・デック】の女剣士エリーゼだろう。」

 

「耳が早いな。器量もあるし名前にブランドもある。それに淫紋が思った以上に馴染んでいるので娼婦としても良い働きをするだろう。言い値でよいか?」

 

「いやいや、【ダフ・デック】といえばリーダーが村人を強姦したゴミパーティだろ。ハーレム要因の一人として見られてもおかしくない。言うなればお古だ。そもそも1年契約の相場なら60枚といったところだ、80枚ならどうだ。」

 

「生憎彼女は正真正銘の純潔だ。テグレクト=ウィリアムの名において証明書を発行してもいい。130枚なら如何か。」

 

「ほう、仲間には手を出していなかったのか。しかし1年契約で130は破格すぎる。証明書付きで95枚。」

 

「金貨95枚か……。まぁ妥当な線だろう。わかった、その値段で売ろう。」

 

「ああ、交渉成立だ。一応聞いておくが、1年過ぎてもまだ働きたいと本人がいうならば追加料金は発生しないんだよな?」

 

「ああ、その場合報奨金はいらん。好きにしろ。」

 

 

(ウィーサ、顔色が悪いが大丈夫か!?)

 

(いえ、娼婦として売られる【商品】を直にみるのが初めてでして……)

 

(何を今更。過去見てきた【商品】の辿る末路を考えれば1年で自由になるだけマシではないか。)

 

(そうですね……ですが、なんでしょう。女性の尊厳が商品価値になっている様をみると改めて(おぞ)ましさを覚えてしまいまして。)

 

(【商品】なのだから仕方があるまい。男性恐怖症の気でもあるのか?)

 

(どうなのでしょうか。思えば碌に男性と交流することなくこの年まで過ごしてきましたので。)

 

「さて、金貨70枚で売れれば御の字と思っていたのだが、95枚とは得をした。一々値切り交渉をしてくるのは面倒だがやはり娼婦・男娼を売るならばフィリの店が一番だな。さて、貴女らのコソコソ話は聞こえていたが、これから先娼館と取引をするたびそんなに(おのの)かれては仕事にならん。【商品】とは身体・能力だけでなく地位・名誉・尊厳その全てに値札がつく。それは一月もこの屋敷にいれば理解出来ただろう。」

 

「はい、申し訳ございません。ウィリアム様。」

 

「とはいえ、女性として身の毛がよだつ光景であったことは理解する。だが慣れろ、これが我々の商売だ。それが嫌ならば社会運動家として活動でもしていればいい。」

 

「はい!全身全霊でお勤めする次第にございます。」

 

「だが貴女の意見も一理ある。我々が〝尊厳〟を扱う商売であることを努々忘れるな。〝尊厳〟とは厄介なもので、人の生き死ににまで発展する場合もある。軽視していれば手ひどいしっぺ返しを食らうぞ。」

 

「かしこまりました。醜態をお見せして申し訳ございません。」

 

「構わん、飯にしよう。」

 

 

「ほう!見た目ではわからなかったがこれは衣で揚げたエビか!火を通せば丸くなるというのに、随分とまっすぐなのだな。うむ、油も良質であるし、プリプリとした触感がたまらぬ!」

 

「はい、この卵を使ったソースも美味しいです。」

 

「そうか、口に合ったならば何よりだ。……連勤になるが、今日も【商品】の入荷がある。代理の休暇は受理するので、好きな日に休んでくれ。金が欲しいなら超過勤務手当を支払ってもいい。」

 

「いえ、連勤と言ってもまだ6日目ですし、そんなに疲れているわけではないので……。」

 

「貴女には労働という義務が発生している以上、雇用契約内における権利がある。そしてわたしは自ら権利を放棄する人間が好きではないし、雇用主としてわたしも義務を果たさなければならない。黙って選べ。」

 

「かしこまりました。考えておきます。」

 

「それでアムよ、今日はどんな【商品】がくるのだ?もし二束三文の値が付くこだわりのない品ならばわたしが最高値で買い取ってやろう!わたしも奴隷(ヘム)を飼いたいと思っていたところだ!」

 

「使用人に世話係を付ける予定はない。自分のことは自分でやれ。」

 

「なんじゃ、冷たいの。」

 

「そんなにうちの【商品】が欲しいならば独立して事業でも立ち上げろ。幸い金はあるようだからいい取引先となるだろう。もっとも、王立調査局と反王政組織の二つに目を付けられている貴女が何日娑婆で無事にいられるか、わたしも興味が尽きないところだ。」

 

「やはりアムの世話になるぞ!自分のことも自分でする!」

 

「ならばいい。【商品】の預かりは日が暮れてからだ。それまで自由に休息でもとっていてくれ。」

 

「はい、では読書でもして過ごしています。」

 

「おう!わたしはゆっくり寝ているとしよう。」

 

 

「フランツ・パーペン 23歳 男性 パーベン家の薬師の一族に長男として出生し、王立薬学院を卒業後、16歳でコトボの治療院に薬師として勤務。その後19歳で薬を扱う行商人として独立、コトボから仕入れた薬を各地で卸すほか、自らの調合した治癒薬も好調な売り上げをみせ、順調な経営をしていた。しかし薬だけではなく武具・防具・魔石など多角的な経営を始めた頃より売り上げに陰りが見え、半年前金塊取引に着手するも価格が暴落し破産。金貨56枚相当の借金を背負う。本人に支払い能力はなく、この度職業斡旋のため、金貨80枚にて案内する。 以上、相違はないか。」

 

「はい、ございません。」

 

「ではこの書類に捺印を頼む。おい、まずは【商品】を洗っておけ。それが終われば2番房室に入れておくように。」

 

「はい、かしこまりました。」

 

奴隷(ヘム)の洗体か!わたしに任せておけばよい!」

 

「リリアちゃん、何度も言いますが決して遊ばないように。」

 

「安心しろ!〝遊び〟はしない!」

 

「本当でしょうか……。」

 

 

「ふむ、非常に良い【商品】じゃ。魔力に満ちておる。媒体もさぞ旨いのだろうな。さぁ奴隷(ヘム)、わたしが手ずからその身を清めてやる。ありがたく思え。」

 

「ふ、ふぅ。」

 

「指の腹で優しく優しく洗うのじゃったな。どれ、心地よいか?」

 

「ふひぃぃひぃ。」

 

「貴様は男娼として売られる可能性もあるからな。指と手を使って念入り……それはもう念入りにに洗ってやろう。ぬるぬる♡ぬるぬる♡」

 

「あひぃあひいいいい。」

 

「なんじゃ~~?恍惚とした表情を浮かべておるな、〝事故〟が起こればウィーサやアムに叱られてしまう。我慢するのじゃぞ。ぬる~~♡アハハ!もう限界といった顔じゃな、我慢じゃ♡絶対に我慢じゃぞ♡」

 

「こら!リリアちゃん、【商品】で遊んじゃいけないって言ったでしょう。」

 

「げ、ウィーサ。折角良いところじゃったのに。」

 

「全く、そんなことじゃ洗体業務今後任せられなくなりますよ!」

 

「わかったわかった。あとはお湯で流すだけじゃ。……ということで残念だったな奴隷(ヘム)よ。そのまま生殺しじゃ♡」

 

「そういうところがダメだといっているのです!」

 

「ウィーサは頭が固いの。アムからそんな大きく叱咤されたことはないぞ。むしろアムも同じようなことをしているのではないか?魔術師の媒体とは貴重じゃからな。」

 

「そんな訳ない!……と思います。」

 

「とりあえず洗い終えたぞ、2番房室に入れておけばよいのだな。」

 

「はい、運ぶのを手伝いますよ。」

 

 

「アム!2番房室にぶち込んでおいたぞ!」

 

「ご苦労。」

 

「ウィリアム様、あの【商品】金貨80枚といつもよりも高く買い取りましたが、どこに売るのですか?」

 

「あの【商品】には高い魔力適正も薬師としての知識もある。コトボの製薬ギルドに被検体(モルモット)として売り払うのが一番手間が無いだろう。」

 

「そうですか……。今更な質問ですが、彼はどこから売られてきたのでしょう。」

 

「本当に今更だな。高利貸しだ。大体のお得意様だな。月に利息が1割という良心的なところもあれば、月に120%複利という暴利もある。特に複利とは恐ろしいぞ、金貨10枚を年間複利120%で借りたとして三年後にはいくらになると思う?」

 

「ええっと……。一年で2倍になって、2倍になって……50枚くらいですか?」

 

「金貨309枚と銀貨1枚、銅貨で68枚だ。とはいえそんな借金を背負わせたところで返せるはずもないから、ほどよい塩梅になれば当館へ売りに来る。あの【商品】の破産金額が金貨56枚だったのに、金貨80枚になっているのはそんなカラクリだ。」

 

「しかしアムよ、〝笛吹のメルン〟が違法な商品を売りに来たときはあれほど激高していたではないか。そもそも金の貸し借りにおいて利息をとるのは違法じゃろう?何故それは許容する。」

 

「あの時も言ったようにわたしは〝違法な品を扱っている〟ことに怒ったのではない、〝商売上のリスクが高いので断っているのにしつこくやってくる〟から怒ったのだ。善悪など知らんよ。そもそも利息をとってはならないとは明確には違法ではない、神殿が流布している〝道徳〟だ。」

 

「そうなのですか。わたしもてっきり違法なのかと。」

 

「わたしとしては貸金業を明確に法で認め、国が上限金利を定め明文化した方が余程この世は正常に回ると思うのだが、そうはなっていない以上、リスクよりもリターンが勝ると考えたならば商いを行うまでだ。」

 

「本当に商売人とはややこしいのぉ。日がな一日損得の勘定ばかり考えて疲れないのか?」

 

「むしろ損得を考えず生きる方が、わたしは恐ろしく感じるよ。」




※ 最近すっかりお色気担当となっている合法褐色のじゃロリ娘リリアですが、「こんな描写いらない」「この子はもういい」という場合ご感想でご意見をください。次はウィーサかアムが頑張るかもしれません。(反省していない模様)
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